2026/08/17
南浦和出張記②
南浦和出張記①
2024/05/26
「インダストリアル・ブロック・エクササイズの実演」
2024/04/21
「ニューたからについて知っていることを話そう」
2024/04/15
矢吹純個展「山笑うとき」開催中!
2024/03/15
「帰ってきた橋本治展」
当館は、2019年以降、橋本治の直筆原稿をはじめとする資料をご家族、ご関係の方々から寄贈いただき〈橋本治文庫〉として保存しています。本展は、時代を先取りし、さらに、人間と人間の生きた時代を描きだそうとした橋本の生涯を、所蔵資料を中心にたどります。
2024/03/11
「WHEN THE MOUNTAINS TURNIN’ GREEN」
2024/02/06
薩摩キッドを語りつくす! 泰尊へのインタビュー⑥
–さて、残すはあと3曲。まずは「再見」について聞きたいのだけど、この曲は誰か、具体的に捧げたい人がいるのかな? そうであれば、納得。そうでないと、不思議。変わらない日常を過ごしながら不意に宿る寂寥感というか、寂しさを含んだ曲だと感じる。「さよなら、また会おう」なんてリリックもあって、気になるんだよね。
具体的に捧げたい人かあ。実はそういう唄じゃないんです。勿論、色んな顔が浮かび、描きましたが。この曲は、とある唄旅の時、そこは山口県の萩でした。その街にある 〈中原木材〉という製材所でライブをしたんですがその夜が、そのパーティーがとんでもなく、最高で。もう忘れられない一夜だったんですね。
その翌日、残ったメンバーとゆっくり話している時に 前々から想っていたことを話してみたんです。話してみたくなったんです。「何故、こんなにも旅を続けているんだろう?」、「出会うことも大事だけど、別れることの重要さ 」そういったことを。したら聴いてくれた友人が 「そんな泰尊のいまに相応しい言葉がある」って。それが タイトルである再見。中国語で さようなら なんだけど、「きっとまた逢える」って前提のさようなら、なんだよねって。その瞬間稲妻が落ちるような感覚で腑に落ちて。ああ、そうだったのか、それでいいんだ、これでいいんだって。今までを肯定してもらったような気持ちになって。
その後も旅は続いたんですが、その旅が終わってる頃には描き終えていました。本当に導かれるように。だからその旅路の風景も重要なポイントとして言葉になってます。この歌が出来たおかげで、本腰入れて制作が始まりましたね。特定の誰か、ってよりは 「また逢いたい」って思えるあなた、というか。
最後の最後に、houちゃんの女神のような声も入ったおかげでより唄に艶が。素晴らしい唄に育ってくれました。
–次は「Time After Time」。最終盤にチラリ挟まれるインタールード。いよいよ『薩摩キッド』が終わるけど、みんな準備はいい? と聴衆に聞いているような感じがある。
そういう風に聴こえるなら嬉しいなあ!!ここでもSKIT/インタールードを挟みたかったんですよね。こんなタイミングでSKIT挟むなんて、ある意味贅沢ですよね(笑)。ボリュームがあるからこそ出来た遊び。この曲は何度も話に出てる、ミックスエンジニアの「Quanata Recognize」に託したんです。エンジニアとして支えまくってくれたから最後はビートもやりましょう!と。すげえいい塩梅ですよね。ちょっぴりポップで、ちょっぴり寂しくて。
彼は琉球に根を張るサウンドエンジニアで、ホントにジェントルメンだし、優しく真面目に取り組んでくれました。あらゆるジャンルと仕事してる職人。あがた森魚さんの音も彼が支えていたり。もっと知ってほしいエンジニア、アーティスト。
–いよいよ最後の曲、「百年樹」。いま住んでいる古民家との出会い、解体、再生のドラマを語った曲。ここにフューチャーされている、ぢゃんシーラカンスって方の声がとにかく印象的。言ってしまえば、最後の最後の濃い味が出てきた……という印象。サラリ、スルリと終わらずにしっかり声と語りを聞かせるこの展開、どんな意図があるのかな?
最後の最後に……濃厚ですよね。贅沢なボーナストラック的楽曲。意図で言うと、最後は壮大なソウルミュージックで締めたかったんです。
喉の調子が悪くなって、LIVEができなくなって、じゃあその期間何した?と聞かれたら「家を買ったんよね」って。どえらい古民家を。自分や仲間や信頼できる大工さんとリホーム(*リフォームではなく)して。築100年の古民家、そこに立つ巨大な銀杏の木。それが本当に自分達のモノになった時に、ああ、この家の、この樹の唄を創りたいな、で、そうなったらサビはあの人に歌ってほしいな……ってとこまでイメージ出来てたんです。内容は聴けばわかるんで聴いてほしい。この唄はCD限定なんでね、今んとこ。
壮大って言ったけど、歌ってることはめちゃくちゃ小さな半径というか。目の前の暮らしというか。それでいいんですよね。そこを唄うことが反戦歌だと想ってるんです。で、このぢゃんシーラカンスとは福島出身のとんでもないうたうたいで。めっちゃお世話になってます。仏と鬼を共存してる人。聴けばわかりますが、凄まじいですよね、凄まじいんです。植田さんにも聴かせたい。
そのぢゃんさんが 「life is wonderful」って叫んでるしキーワードになってるんだけど、とある映画を見てて その言葉の和訳が 「人生はいいもんだ」だったのがすげえ良くてさ、と、「人生は素晴らしい」じゃなく、「人生はいいもんだ」って。それにすげえお互い共感して、そのフレーズが、和訳が、この唄のムードになってくれましたね。色々あるけど、いいもんだよって。最後の最後は、そんな気持ちで締めたかった。ビートも最高。
–この曲は、ぢゃんさんの語りもインパクトがあるよね。「なあ、泰尊」って言葉がずっと頭に残る。最後の最後までしっかり濃い味を出すところ、泰尊くんらしいよなあ。……じゃあ、最後に泰尊くんからひと言、お願いします! ライブのスケジュールなど告知があれば、ご自由に!
まずは植田さん、関わってくれた皆さんへどうもありがとう。
このアルバムを世に出してもう2ヶ月が経ちますが、余裕でこっからだと想ってます。今月から本格的に薩摩キッドを携えた旅路が始まります。関東近辺でしたら2/16国立地球屋、2/17埼玉東川口Senkiya、2/18吉祥寺BAOBAB、4/14はつくばOctBassへ歌いに行きます(4/13、4/15も関東で唄う予定)。他にも全国各地唄いに行きます。スケジュールはインスタをチェックしてください。
サブスクでも配信してるが全曲聴くにはCDまで辿り着いてもらえたら嬉しい。リリックブックレットにも。そうそう、PEOPLE BOOKSTOREとも面白いことやりますよね、それは近い内に 発表しますのでもうしばらくお待ちを。
逢えばわかるし、日々は続く。きっとこれからも。この世界のどこかで逢いましょう!
–行けばわかるさ、ありがとう! てな感じで、またよろしく。
インタビューを終えての雑感を少し、書いておきます。
読んで気がついた人もいるだろうけど、最初の3つの質問(①)はかなり意地悪。「なんでこんなに長いの?」「聴き手のこと考えてる?」「ここまで言葉が多いってのはひとり善がりでは……?」なんて気持ちをぶつけてみたのだ。これには泰尊くん、どう反応するかな〜ヒヤヒヤしながら。見ての通り、彼はまっすぐに答えてくれた。聞きたい点から若干ズレた気がしたけど、その姿勢に自分は懐柔された。その後は、分かりやすく誘導することだけは避けつつ、肯定的な質問が多くなった。
このインタビューを読んで、泰尊のファンにならなくていい。ひとつも共感できなかった! なんて声が聞こえてくることもあるだろう。インターネット上の動画なんかをチェックしてみて、やっぱ苦手だ……となる人がいて当たり前。でも、何かちょっとだけでも心が動く点があったなら、ラッパー・泰尊の活動に触れてみてほしい。『薩摩キッド』を買わずにいきなりライブに行くのもいい。CD付属のブックレットを読みこんで、気になった箇所を本人と話してみるのもいい。
泰尊くんが最後に言った「逢えばわかる」ってのは嘘じゃない。自分自身、本人に会っていなければ、こんな風にインタビューなどしていない。でも、会えば分かるさ! ってだけで片付けたくない気持ちもある。日頃から人柄と音楽性は切り離すべき(だから、無理に会わなくていい)、そう思っているわけだし。でもなあ、彼はやっぱり魅力的なのだ。
……こうやって書くほどに、本質から遠ざかってしまう気がするので、今のところはこの辺で。長い長いインタビューをここまで読んでくれて、ありがとうございます! 感想をぜひ聞かせてほしいです!
(PEOPLE BOOKSTORE 植田)
2024/02/05
薩摩キッドを語りつくす! 泰尊へのインタビュー③
–へえ! 演奏をサンプリングすることで生まれたノイズだとは驚いた(一発録りに近いのかと思ってた……)。で、次の「SOULBIZ」でギヤチェンジ。つくばエクスプレスのアナウンスで身体の力が抜ける。イントロからSPRAって感じのユルさだよね。ほどよく黒みもあって。他の曲に比べて、言葉を置いていってるように聴こえるけど、意図的にやったことなのかな? リリックの圧を弱めにして、他の曲とのコントラストをはっきりさせる狙いがあるのか、乗りこなすのにやや苦戦したのか、気になるな。
ユルいですかね? 俺はあまりそうは想わなくて。ゆっくりだけど攻撃的なダンスミュージックというか。黒くて面白いビートっすよね! 気付いてくれてうれしい、あのワードの置き方は意図的で、新しいアプローチでラップしたかったんです。エスプラのビートは独特で変則的でつかみどころがあまりないから、最初は 「なんじゃこりゃ」って乗せ方に超苦戦して形になるまで時間かかったけど、つかみ始めたらスラスラと出てきてその勢いでRECで声を出したら案外ハマって、結果楽しめましたね。力入れずに新しい扉開けれた感というか。そして、つくばの香りと風景を。あなたの店もモロ(笑)。
エスプラは今回のアルバムの実はキーマンで、以前LIVEでつくば市天久保の〈Club OctBaSS〉に行った時に夜中に〈DISCOS〉(*Club OctBaSSに隣接するバー)で語ってる時に「俺にとって泰尊はワイルドなんだ。だからもっと作品に落とし込んでほしい」って急に言われて。ハッとなったし、あの言葉に背中押されたっていうか。今作は好き勝手やったり挑戦してるのはあの言葉のおかげでもあるんですね。よき戦友、親友。
–次の「YANAGIDARODEO」はイントロからヤーマンな気配が漂ってきて、自然と笑えてくる。この曲は最後に「実は……ヤナキタロデオ号」と告白するところが好き。接続するように始まる「リサイクルキャラバンのテーマ pt.3 feat,TONY THE WEED,MARIYO」には驚いたな! 泰尊くんの代表曲がまさかのレゲエチューンに! この辺りの展開は音が広がっていくようで、すごく面白かった。言葉の伝わり方も波みたいな揺らぎがある。この2曲のどうやって生まれたのかな?
ヤナギタロデオです(笑)。つい最近、元の持ち主の柳田さん(ウルトラ大工)がカミングアウトしてきてビックリしたんですよね(笑)。「え、今更?」って。 この曲も前々から作りたくて、モーターアンセムというか、笑える自慢というか。音楽の利益で買ったキャンピングカー乗って全国回ってるラッパーなんていないからこそ、これは唄にしたくて。ビートはPANICtracks、横浜の兄ちゃん達であるgnkosaibandの凄腕ギタリスト/エンジニア/屋台骨が担当してくれて。彼が以前出してたEPにこのビートが入ってて一目惚れして。で、無理くりお願いして快く使わせてもらいました。これはPANICtracksのエディットセンスに脱帽した楽曲ですね。一度ラップ乗せた状態とアカペラを送ったら2時間後に全く違う曲として返ってきて、それがヤバすぎてブチ上がって。そっから原曲のエッセンスをいい塩梅にいれて……感動したなぁ。トラックメーカーではないミュージシャンPANICtracksの底知れぬ狂気と才能をたっぷり知った曲になりました。まぁ何より、笑えて最高。
リサイクルキャラバンのテーマはバッチリですよね! シリーズ第三弾となる今作ではレゲエに挑戦したかったんです。レゲエのノリが好きで、生きてく上でもこれからの自分に必要な要素だよなぁって想ってて。ビートは盟友MAHBIEなんですが彼に注文して。したら彼は速攻で答えてくれて。元々彼がリサイクルキャラバンシリーズをめっちゃ好きで。「LIVEで常に唄うべきだよ!」って前から言ってくれてて。じゃあパート3はあなたでしょ!って。
で、イケイケなシャウトカマしてくれたMARIYOは鹿児島のレゲエシンガーで孤軍奮闘、長年活動してて。この唄には、そのジャンルでちゃんと活動をしてる人の声を載せたくてお願いしました。めっちゃ味が出てますよね。
TONY the WEEDことトニーさんはたまたま住む街日置に来てて。共通の友人宅に暫く世話になってたトニーさんに便利屋の仕事誘ったら来てくれて、一緒に仕事して。その時「いつか曲作りたいね」ってなり、じゃあ正にリサイクルキャラバンのテーマでしょう!って参加してもらいました。そして 各自が参加してまとまった後にMAHBIEのエディット、更に ミックスエンジニアのQuanata RecognizeのDUB魔術により生まれ変わりましたね。リサイクルキャラバンのテーマシリーズ、pt20ぐらいまでは作りたい(笑)。
–おーー! いいねえ、リサイクル・キャラバンpt.20! それは泰尊くんにしか出来ないよね。次の「ひかりのこみち」は旅を終えて、一度帰宅。子供たちの顔を見た場面なのかなと思ったり。前半ではいちばん暖かみのある曲じゃないかな。冒頭の声ふくめ、ここにこの曲を入れた理由はあるのかな?
個人事業主アンセム、これからも期待しててください。
"ひかりのこみち"、これは旅というよりは日々。父親としての変化と日常を描きました。家族の唄、子供たちの唄は1stアルバムから描き続けていて。前作で言うと"again"、"ごにんぐらし"の続編ですね。ただ、今までと大きく違うのは “家族”や”個”が対象だったのが 周りの”皆”を思い浮かべて描きました。このビートは、佐賀を拠点に活動するCogaAtsushi君が手掛けました。きづけば長い付き合いになってきたいい男なんですよ。
彼が結構前にこのビートを送ってくれて ずっとあっためていた。聴いた瞬間から、テーマもイメージも浮かんでいたが 時間をかけて創っていった。ホントに時間がかかった。同じタイミングで、長女が保育園から小学校に、次女も成長したり。四季を越えるまで熟成させていた。この楽曲は 〈森の子〉という近所の友人達が立ち上げた子供と親達の居場所創りコミュニティのおかげで出来上がったといっても過言じゃない。
小学校に入ると 色んな情報が入ってくるし、色んな子達がいること知る。いいこともそうじゃないことも。不登校だったり、世界はちいさな社会問題で溢れてる 学校がすげ〜楽しい子もいれば、勿論そうじゃない子もいる。ルールを守れる子もいれば、勿論違和感を感じる子もいる。
「なんで学校に行かなきゃいけないの?」
って言われたことだってあった。親っていっても親として子供と同い年だし、未熟だし、悩みや迷いは勿論ある。けど、おかげで色んなことを考えるキッカケになったし、友人達が向き合ってる姿を近いところで見たり、一緒に関わったり、現在進行形で無理なく一緒に楽しんでいる。
おかげでこの曲は "個" じゃなく "皆" を浮かべながら創り上げた。自分にとっても成長できたことを曲を通して気付けた。子供たちの声は、アツシ君からの提案で。森の子の子ども達の声。子ども達の前でこのウタを流す度に瞬間に 「この声、◯◯!」ってイントロクイズになってまして、めっさ愛しいんですよ。大切なウタになった。
この唄が前半を締める一曲になってくれましたね。ここだな、と。ちなみにこのタイトルは少し前につくばのシンゴスター(*つくば市小野崎の〈Cox/Shingoster LIVING〉)で展示した友人で熊本在住の陶芸家・北川麦彦の親父さんが作った詩集のタイトルから勝手にいただいたのです。ひかりのこみち。
–インタールード、中休み的な「u&mi」。ここまで来て、おー遠くまで来たなあって感じだよ! まだまだ旅は続くけど、いったん休憩。茨城在住のDJ、いけたらいく氏のトラックを採用したのは何かきっかけがあったのかな? のどかな空気があってやすらぎます。
いやあ、遠くまで歩きましたよね。 聞いてる(*読んでる)皆さんマジでありがとう。いけたらいく、ことエステンさん!つくばのOctBassで俺とこしのかんばいちゃんのリリパをしてもらった時に出逢ってリハから意気投合したんです。LIVEもしっかり身届けてくれて、感動してくれて。彼のバイブスは記憶に残ってて。なんか信用できるオーラというか。その後、すぐTAPEを贈ってくれて。
「ビートも作ってるから贈るね」って贈ってくれたビートがこれだったんです。ビートレスで、切ないけどあたたかくて、ビンテージな音で。なんかじわ〜って心に沁みて、いつかどこかで使わせてもらえたらな、と。そして制作を進めて行く中で、ボリュームがある程度見えて来た時に 「これはどこかにSKITが必要だぞ」って想ったんです。じゃなきゃ事故るというか。その時に思い出したんですよね、ああ あのビートがもしかしたらハマるかもって。
声や言葉が載らない「SKIT/インタールード」がしっかり立ってるフルアルバムが好きだし、理想で。映画のような。そこに見事にハマりましたね。理想に近付けた。何より作品自体の風通しを良くしてくれた。この曲があるとないでは作品の印象はきっと大きく違う エステンさんいい仕事してくれましたよね。
(④に続きます!)
薩摩キッドを語りつくす! 泰尊へのインタビュー②
–それはいい出会いがあったね。薩摩藩の歴史、弾圧や差別、侵略の事実を受け止めて現代に立つ自分のルーツになる言葉を使う。薩摩キッドってタイトルに込めた意志、しっかりと伝わりました。話してくれてありがとう。
では、ここから収録曲の話に移ろうか。まずは「口上荒磯」! 俺、この曲すげー好きなんだよね。砂埃の向こうからマイク一本のラッパーが現れるような情景が浮かぶ。エッジのあるフロウもオープニングにぴったりだと思う。重要な役割を果たしているギタリスト、souさんのことを知りたいな。その上で、この曲をつくった意図も話してほしい。
俺もこの曲めっちゃ好き。ずっと前からギター一本とラップ一本の曲が創りたかったんです。俺にとっての”ご挨拶”。何小節かわからないくらいスピットしてます。
SOUは、茅ヶ崎出身埼玉在住のギタリストで。出逢いは初めて東京でLIVEした2016年。MOROHAのアフロって男が引き合わせてくれて、渋谷〈EAR〉という彼が働いていたBarで僕の1stアルバムのリリパを組んでくれてその時の共演者で。凄腕の同い年で速攻意気投合したんですよね。それから彼は今もそうなんですが関東にLIVEで行く度に必ずと言って良いほど足を運んでくれる義理堅く優しい男なんです。で、ずっと弾き続けてるのも知ってたし会う度に「いつか創ろうね」って話をしてて、ただそれはずっと実現してなくて。で、最後に会った時もそういう話をして別れたんだけど前ほど表情に活気がないことに気付いて(勘違いかもしれないんだけど)。
その時にその「いつか」をずっと先送りしてる自分にも気付いて、もしかしたらそのままフェードアウトしてしまうかもしれない。それは嫌だな、と。丁度このアルバムの制作を考えていたタイミングもあって思い切って声を掛けたんです。彼はめちゃくちゃ喜んでくれて。そして何度もダメ出しする俺にめげずにしっかり答えてくれたんです。いい仕事してくれた!!
「いつかのEARがここで繋がる」とはまさにこういうことで。
で、イントロとしては長いんだけど一本録りだから編集ができないと、じゃあこのまま行こうと。だったらこの曲を通して俺が普段歩いてる風景や思考や人々や店や今までとこれからを一気に紹介しちまおうと。休まずに一気駆けしちまおうと。リスナーのケツに火つけちまおうと。俺も一本録りで臨んだからその時の緊張感もしっかり残ってますね。これが俺からの、薩摩キッドからの、ご挨拶です。
–2曲目の「CALM ON JOURNEY」、これぞ泰尊節だなーと思う。メロウでタフなチャレンジャー、やさしいけど甘くないリリック。はっきり言えば、耳にして新鮮味はない。でも、曲順的には必要だと思う。旅の途中の自問自答をラップしてるのかな、と思っているけどどうだろう?
この曲はまさにそうですよね。正直、アルバムに入れるか最後まで迷ったくらい自分らしい唄。めっちゃ好きなんですが、新鮮味はないですよね(笑)。
だけどそんな唄を2曲目に持ってこれたことが実はミソで。こういった曲は全体がまとまりやすくなるからクライマックスに持ってきがちだと想うんです、作品に強度がなければ尚更。だけど今回は2曲目っていうすげえ実は重要な位置に持ってきた。今回のアルバムに強度に自信があるからこそ、ここで。むしろここしかなかった。
確かに、自問自答ですね。慈愛も、自戒も込めて。リリックにある 「それで良いじゃん」「それじゃダメじゃん」本気で言ってくれる人。植田さんもそういう人だと思うんですが、良いことだけ言う人じゃなくて、褒めてくれる人だけじゃなくて、厳しいこと、ハッとさせられる人の存在。
で、自分ばっかり話すんじゃなく「そっちの調子はどう?」って相手に一言でも問いかける大事さ。ある時にやっぱり一方通行じゃダメよねって想ってて。この曲は冬の関東で描いてましたね。「急ぐんじゃねえって言われたわ/まるで新宿行各駅停車」とか、10分早く行くために鮨詰めの急行乗ってる人々を見て乗るの諦めて後に来た各停のったら超ガラガラで、優雅に本を読みながら目的地に向かって。ああ、やっぱりそうだよな、とか。って考えた自問自答ですね
この唄はビートに導かれ、そんな断片を繋ぎ合わせて調和を願ったコラージュですね。
–「Keep on moving,making magazine」! この曲いいよね。今年に入って本格化している〈食堂湯湯〉店主の中村くんとの協働をイメージさせるリリックもいい。なによりグルーヴィーなトラックのノリがいいし、カッコいい。ここでシャウトしているヨロイたけしさんって何者なのだろうか? ここで歌われるmaking magazineって言葉の意図も知りたいな。
この曲もいいっすよね、DJ YASAのビートとスクラッチが爆発してますよね。LIVE序盤でフロアに火を付ける曲が創りたくて、今までこういったノリの曲を意識して作ってなかったなあってのもあり産まれましたね。
ヨロイたけし氏は宮崎在住のファンタジスタ。前衛アーティストであり、現役バリッバリの板金屋なんです。自分で叩いて作った銅板の鎧を身に纏い九州中のイベントやパーティーを祝いにやってくる素敵な男なんです。「総員前進」がキーワード。鎧を身に纏い、パフォーマンスもするし、ポン菓子機を持ってきて爆破させて子供達に配ったり、オーガニックコーヒーを出店したり、純粋にひたすら踊ってたり愛すべき男なんです。無農薬の畑や田んぼもやっていて、奥さんも〈ippuku-ya〉という知る人ぞ知る最高のご飯屋(出店メイン)も営んでて、生き方にこだわった素敵な夫婦なんです。いつも優しく見守ってくれていますね。そんな彼の渾身のワードを世界を獲ったターンテーブリストにコスってもらうなんて超面白いよなって想ったのです。
「making magazine」。この言葉は植田さんも縁深い中村こと中ちゃん(a.k.a dj champon)が俺にくれた一言からインスパイア。彼が俺のパーティーや生き方をずっと見てくれた上で「タイソンは街の編集者だよね」って言ってくれて。「雑誌みたいなパーティーだ」って。ああ、そういった見方もあるんだって嬉しかったんですね。
街や暮らしをデザインする、じゃなく、物語を紡ぎ、編集する。エディットする。そりゃヒップホップだわ!と。きっと中ちゃんもそう在りたいと願ってる生き方だと想うし。「KEEP ON MOVING」じゃ、ありがちすぎるタイトルだと想った時にそれを想い出して、造語を創る感覚で「MAKING MAGAZINE」を足したら いい感じにフィットしてくれたんです。
雑誌のように、ラフにタフに。ワクワクを忘れずに。生きて行きたいもんです。
–しっかり答えてくれてありがとう。では、次が「薩摩キッド」だけれど冒頭でけっこう話してくれているので飛ばして、「REBEL REBEL,PEOPLE PEOPLES」のことを聞こうかな。ハードコア・パンク・バンド、LIFESTYLEの演奏の上でのラップ! 一瞬驚くけど、すんなり聴ける。「何も無い街で 何かを探せ」という言葉が象徴的なこの曲、ずばりどんな試みなんだろう? 地場の先輩、先達への敬意の表明。これからも諦めないという意思表示と俺は読んでいるけれど。
THE MESSAGE。このタイトルとサビのフレーズは生きるテーマみたいなもんです。そんな唄には、鹿児島でずっとカッケー背中魅せてくれるLIFESTYLEの楽曲をサンプリングしたかったんですよね。何より1番伝えたいことが詰まってるし、この曲に込めました。
激しいこと言ってたり、社会をぶった斬ったり、だけどよく聴いてみたらチャーミングだったりクスッと笑えるフレーズも仕込んだり、ただの文句じゃ終わらせない、怒りや哀しみや混沌の中でしっかり立って、遊ばせてもらいました。レコーディングはめちゃ大変でしたが(笑)。
この曲は 「違和感」に重きを置いていて。同じ日置という街に住む凄腕のビートメーカーのhiatohが何回もやり直してくれて。最初はもっと綺麗だったんです、だけど、もっと汚そう、もっと解放できるっしょ、って追求した結果こんな仕上がりになりました。ラストバースに行く前のチャイムは日置市の12時のチャイムです(笑)。
アルバム内でも特に、レコーディングエンジニアとビートメーカーとミックスエンジニア、私、4人の結晶ですね。
コンビニが一個しかない、引越して今や一個もない街からでも 全国に発信できるし、行動できる。 "なんもない"って嘆いてる暇ねえわ、探せ!!動け!!したらなんかしらあるよ、胸張れるよ、きっと報われる時が来るよ。それはずっと言い続けたい。
諦めないし、続けて、続いていく。けど肩にそこまでチカラは入ってないというか。そんな感覚はアルバムのムードになってますね。
あと、"薩摩キッド"で言い忘れたことがひとつあり、ビートを担当したOWLBEATSは鹿児島を代表する、いや、日本を代表する素晴らしいビートメーカーだと想ってるんですが。彼の出身は奄美大島なんです。そこもちゃんと繋がってるんです。
2024/02/04
齊藤祐平個展「膝がかゆい」
私は普段古書店を経営しながら絵を描き、発表している。 店は、お客さんとしゃべっていて「アートのことはよくわからないんですけど、齋藤さんて絵も描いてるじゃないですか」と言われた時に「僕もアートのことがよくわからないんですよ、よかったら一緒に考えませんか」と答えるきっかけを与えてくれる。
アーティストとしての振る舞いは、その人間が美に従事していることを保障しない。 しゃべっているうち、そのお客さんの中にあったアーティスト像を支える膝のあたりが崩れ始めて、私はやっと個人になる。
2024/01/24
「鮎川さんに教わった歌」
2023/12/11
「仕立て屋のサーカス 長崎・波佐見公演 2023」12/16-17
昭和前期に建てられた美しい木造洋館で、どこか遠い国の果てまで漂うような音楽、揺れる布、映り込む光と影、喧騒と静寂。演劇なのか、ダンスなのか、サーカスなのか… 。音と布と光が即興で繰り広げる幻想的な物語舞台を、是非お楽しみくださいませ。
昨年以来の長崎・波佐見町でのサーカス公演! 会場は昭和前期に建てられた洋館〈波佐見町講堂〉。日程は12月16日(土)・17日(日)の二日間。金沢公演と同じくゲストはなし。曽我大穂とスズキタカユキの二者を核にした演目を披露予定。遠く、遠く、旅をして、夜の砂漠のような風景を見せるような……。こればかりは言葉にしても、伝えられない。ご来場の上、体感してほしいです。
公演前から開かれるマーケットは、当店が参加してきたなかでは過去最大規模。九州各地から集まる飲食店、物販店舗が並ぶようなので、公演と合わせてお楽しみに。その他の詳細は「仕立て屋のサーカス」公式HPか各種SNSでご確認を。
会期前日からの3日間(12/15~17)、つくばの店舗は休業します。19日(火)から営業再開。
***
仕立て屋のサーカス 波佐見公演
日程:2023年12/16(土)、12/17(日)
会場:波佐見町講堂 ( 旧波佐見町立中央小学校講堂兼公会堂 )
住所:長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2200
【 BUY TICKET 】
前売 一般 ¥3,600 / 学生 ¥2,000
当日 一般 ¥4,600 / 学生 ¥2,000
* 乳幼児 〜18才 … 無料 ( 要予約 )
https://t.livepocket.jp/t/2023_hasami
【 日時 】
12/16(土) …
開場:16時 / 開演:18時
12/17(日) …
開場:15時半 / 開演:17時半
( 公演時間は120分 ( 途中休憩有り ) を予定していますが、前後することがございます。予めご了承くださいませ。)
問合せ :
circo.sastre@gmail.com まで、メールにてお問合せください。
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[ 注意事項 ]
・幼児・未就学児童・小学生以下のチケットご購入は、安全対策のため大人1名様につき1名までのご予約にご協力ください。
・ご入場後は、お子様から大人の方が離れないように、ご一緒にお過ごしください。
・会場は土足禁止となっております。スリッパに履き替えてからのご入場になります。また、会場は冷える可能性がございますので、室内履きや防寒アイテムのご持参をオススメしています。
・撮影録音 ok … 演出効果の妨げや、他のお客様の観覧の妨げになる行為へは、お声がけや一時ご退場をいただくことがございます。予めご了承ください。
・チケットご購入後のキャンセル不可 / 座席指定なし / 並び順入場 / 着席 ( 開演後ご来場時スタンディングの可能性有 ) / 各種チケット限定枚数販売 / 年齢チケット対象外の購入不可
協力:
monné legui mooks
仕立て屋のサーカス波佐見公演実行委員会
THINNING
Photo by Ryo Mitamura
2023/12/07
「A LONG TIME -1983解散ライブ-」
2023/11/24
河合浩個展「Plus Belle Qu’une Poubelle」
2023/11/17
「出張円盤 レコード寄席−ビートルズ英国盤を聴く編−」
画:河合浩
“ビートルズほどあらゆる国であらゆる時代にレコードが出続けたアーティストはいないと思います。同じアルバムでも、国ごとに時代ごとに音は驚くほどに変わります。それを聞き比べることで、レコードとは何か、盤のこと、オーディオのことも分かります。そして何より、ビートルズ・メンバー、スタッフたちが作った最初の英国盤はあまりにその他のレコードと音が違うのが聞きどころ。海を越え、時代を越えてさまざまな解釈をされ、ビートルズは牙を抜かれ、オリジナルとは似つかないものになってしまったのです。”
日時: