2026/01/01

青野利光が2025年を振り返る


 PEOPLE BOOKSTOREから車で5分ほどのところにある古いマンションの一室で、零細出版社を営む編集者です。不定期刊の『スペクテイター』というカルチャー誌を、かれこれ25年以上にわたって刊行してきました。

 今年は、その54号目にあたる「PUNK」特集号と、パソコン誕生の歴史をマンガで解説した書籍『パソコンとヒッピー』の計2冊を刊行。また、前年から続いていた撮影関連の仕事を片付けながら、いくつかの編集・執筆をこなし、後半は来年から始動するプロジェクトの準備に時間を費やしました。

 こう書くとまるで流行語大賞の「働いて、働いて、働いて」派のようですが、仕事の合間をぬって岩手や出雲や小笠原を旅したり、漁協の年券をぶらさげて渓流釣りに出かけたりもしていたので、どちらかというと「ワークライフバランスという言葉を捨てない」派に分類されるのかもしれません。まあ、ものごとを2つに分けて競い合うのは趣味じゃないんで、どっちでもいいんですが。

 さて、テーマは「2025年を振り返る」とのことなので、過去の執筆者の例に倣って、印象に残った本を振り返ってみることにします。

 まずは、書店での購入履歴と土浦図書館の貸出レシートをめくりながら、この1年間に読んだ書籍名を時系列に書き出し、そこからさらに面白かった本をピックアップしてみたわけですが、できあがったリストを見て、思わず自分にツッコミを入れたくなりました。おまえの読書遍歴は、ヘボいDJがつくったミックス・テープか! と。

 外国人著者による日本論から始まり、民俗学的な本、聞き書きの手法で書かれた本へと進み、最後はなぜか爆弾犯の本へ。音楽に例えるならば、民謡からフォークソングを経てアナーコ・パンクに着地という具合か。ちなみに、途中から左の方へ旋回しているのは、10月に映画館で観た、レオナルド・ディカプリオが急進的左翼を演じた映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』の影響ですね。

 なんともはや、ユルユルで場当たり的なチョイス。だけど、読書もレコードも、そのときの気分に合わせて選んで繋いで、こうやって振り返ったりして楽しめるのがアナログならではの醍醐味。ですよね、植田くん!

 というわけで2026年も引き続き、自由な気分で読書を楽しんでいきたいと思います。


《2025年 ぼくの読書MIX》

1. 『神経症的な美しさ アウトサイダーがみた日本』モリス・バーマン著 込山宏太訳(慶應義塾大学出版会 2022)

2. 『忘れられた日本人』宮本常一(岩波文庫 1984)

3. 『山に生きる人びと』宮本常一(河出文庫 2011)

4. 『「日本残酷物語」を読む』畑中章宏(平凡社新書 2015)

5. 『ヤンキーと地元 解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち』打越正行(筑摩書房 2019)

6. 『驚きの介護民俗学』六車由美(医学書院 2012)

7. 『福島モノローグ』いとうせいこう(河出書房新社 2021)

8. 『アンダーグラウンド』村上春樹(講談社 1997)

9. 『ホームカミング』ボブ・グリーン(文藝春秋 1991)

10. 『新左翼と天皇』井上亮(ちくま新書 2025)

11. 『ユナボマー 爆弾魔の狂気』タイム誌編集記者著、田村明子訳(KKベストセラーズ 1996)

12. 『爆弾犯の娘』梶原阿貴(ブックマン社 2025)

13. 『狼煙を見よ』松下竜一(社会思想社 1993)


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