2024/01/02

natunatunaが2023年を振り返る

わたしの2023、ものすごかった。
この一年だけで10年分くらい身も心も動いた気がする(気がするだけだけども)。

しかし12月に開催した名古屋のブラジルコーヒーでの個展、この3週間が全部をかっさらってしまった。すごい衝撃、これぞカルチャーショック。

てなわけで、2023あらため、金山ブラジルコーヒーの個展を振り返る─── そこには文化がありました編 ───

〇〇〇

今回の個展にむけて、そらもう気合いが入っていました。ブラジルコーヒーという場所は音楽好きな自分にとって特別で、実際ライブを観に行ったこともある。企画してくれたのは、やはり尊敬する音楽好きないけさん。週末がくるたび名古屋にライブを観るために足を運ぶような方。そんな方が企画してくれたんです、そりゃさあ、頑張るよなあ。

そんな気持ちとは裏腹に、個展の準備をしていたその頃、わたしの財政面は最悪でした。今まででワースト2くらいじゃないかな。額装するたびため息がでる。こりゃあ売れんとどうにもならんぞ。いやいや、そんなこと言っててどうするの、でっかい打ち上げ花火あげて綺麗に散ったらいいじゃない。心の中でいつも誰かが小競り合う。大抵強気な奴が勝つ。

年明けまた10年ぶりにバイトしたら良いんだよ。うん、その通り。でもさ、バイトが嫌なわけじゃないんだ。その方がきっとうまく行くと思うよ。でもね、ずっと考えていたいんだ。ずっと。寝ても覚めても、絵のこと、音楽のこと。ずっと。

この10年、馬鹿みたいにそのことだけ考えてきた。絵のこと、音楽のこと。ブラジルコーヒーでの展示はそんな自分にとってとてもぴったりの会場だと勝手に思って、車いっぱいにありったけの絵を詰め込んで名古屋に向かう。12月1日。

搬入は喫茶営業が終わってから。
少し早く行って様子を。と、20時過ぎに店へ。

なんと満席、大賑わい。夕飯食べる人、お茶を飲む人、酒を飲む人。そしてあちこちで煙が立ち上る。モクモクモクモク。すごい光景、老若男女。こどもはいない。なんたる活気。これ、ここでわたし展示すんの?大丈夫か?

企画者のいけさん、とめてくれるアトリエのいのちゃん、お手伝いになんとカタリカタリでしょうにゅうどうの河合さんが集合。さらにここの3代目店主でミュージシャンの角田波健太さん登場、なんと骨折中。いつも搬入はほとんど一人で静かに向き合う。それが何より大切…なんて今回はいってられない。なんならその日はミュージシャンのMV撮影もあり、真っ暗な中の搬入。しかも明日も喫茶店は朝から営業。驚くなかれ、年中無休。

皆さんの力をお借りして無事に設営。
作品の半分くらい飾れてないけども。持ってきすぎた。

そこで店主健太さんの声がきこえてくる。
「なんかごちゃごちゃしてんな」

ドキッ
本音だなと思う。なんなら気づかないふりをしたけどもわたしもそう思う。
飾れるだけ飾りたくなっていてぎゅうぎゅうしていた。絵を2つ抜く。

いけさん、河合さん、いのちゃんがバランスみてくれる、その節は本当にありがとう。



わたしはお客様ではないのだとこの時痛烈に感じた。
ここには圧倒的な場がありそこに流れている時間がある。わたしはそのことがまだ見えていなかった。いつも自分の絵を待ってくれている場所でばかり展示していたもんな。ゼロだ、ゼロからだ。この場で自分はなにができる。

落ち込むよりも無性にやる気が出た。たくさん持ってきた着替えが尽きそうな時一度帰ろうと思っていたけどスタッフさんたちが「着替えなんて貸すし!」「良かったら泊まって」口々に言ってくれる。まだ知り合ったばかりなのに。なんて開かれた人たちなんだ。帰る理由が見当たらなくなった。こうなったらずっといてみよう、毎日朝から晩まで全部居てみよう。こんな機会またとない。わたしは定点観測が好きなのだ。

毎日とにかく似顔絵で日銭をかせいだ。
店主の健太さんがライブの日は主催の人に話つけてくれて似顔絵やさんさせてくれた。毎日瞬間瞬間がライブで日常だった。

いつしか健太さんの帰り際の挨拶が、「また明日」になって心から嬉しかった。


とにかく色んな人が行き交う喫茶店、
わたしの作品もタバコの煙に燻され、場にどんどん馴染んで、観に来た関東の友達がこの名古屋の喫茶文化の向こう側にわたしの絵があることを楽しんでくれて心底嬉しかった。

確かに作品と観る側の間に遮るものがなにもない状態は理想的だ。自分が表現したいものを両思いみたいにしっかり受け止めてもらえることは心底嬉しい。だけど、日常の悲喜交々の向こうに絵があるの、なんだかとてもグッときた。たまに絵のことを話しかけてもらえる。それがとても自然なことに思えた。

〇〇〇


1971年創業 金山駅前に店を構えて50年の自家焙煎珈琲の喫茶店です。昔ながらの街の喫茶文化を守りながらも新しい事に挑戦する喫茶店です。
全ての人が分け隔てなくご利用いただけます。
ここには街にある大きな流れとは違う時間が流れてます。

真実はchoose  毎日のドラマに珈琲と文化を。

──ブラジルコーヒーHPより

〇〇〇


あっという間の3週間
得たものが多すぎた、大きすぎた。
絵を外した搬出の次の日
また普通の顔して店はそこにある。寂しさなんてわたしの中にあるものだ。

たくさん荷物を車に積みこんで茨城に向かう道すがら
はなうたでブラジルコーヒーの歌を作った。
馬鹿みたいに恥ずかしいくらいまっすぐな気持ちで歌いながら帰った。

またいつか、このでっかさに身を任せに。
その時はわたしも少しくらい成長してますように。

〇〇〇

思ってたんとちがうわ

あなたなんだかうれしそう
刻みつづける日常と
回りつづけるミラーボール
そこにコーヒーがあれば
あついコーヒーがあれば

おんなじ店であきないの
あきないよむしろここがいい
変わりつづける人の波に
変わらないぼくがみえたよ
ここはブラジルコーヒー
ここはブラジルコーヒー

そんな気持ちはことばに
するもんじゃないなと思ったよ
コーヒーとタバコの煙に
まかせておけばよかったな
ここはブラジルコーヒー
明日もブラジルコーヒー

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