12月17日、火曜日。カウリスマキ生活、3日目。『マッチ工場の少女』を観る。冒頭、マッチ工場の機械を捉えたシーン。ガチャコン、ガチャコン、ザザーッと木片が加工されていく過程は社会科の授業みたい。ながい沈黙をやぶったのが誰だったか思い出せない。登場人物ではなく、天安門事件を伝えるテレビのニュースだった気もする。無表情の母と父、タバコを吸うだけでほとんど声を発さない。暖かいはずのスープも冷たくみえる。少女は家に閉じ込められている。ダンスパーティーでも置いてけぼり。
給料日にドレスを衝動買いして、話が転がりだす。大きな展開はない。酷薄な裏切りが重なって、女の眼が変わる。許せない。アイツだけは。……ラストシーンの潔い背中を見送り、無音のエンドロールを眺めて「…ァァ」と声にならない、声が漏れる。
「ラストは暗いわけではない。イリスは社会から追放されて運が良かったんだ。何故ならそこはこれまで彼女が送ってきた人生よりマシだからだ」とアキは言う。(宮嶋直美)
最初に観た『パラダイスの夕暮れ』ではすっぱなレジ打ちを演じていた女性(カティ・オウティネン)が、見事に少女になっていた。役者だから、と言われても簡単には飲み込めない。それほどの変貌。音楽が流れ出すタイミングが絶妙で、端々でうなる。
定休日だけど、臨時短縮営業! 日本随一のカリプソバンド、カセットコンロス13年ぶりの新作『Calypso EXPRESS』(CD/LP)と、驚きの再発! 富岡多恵子『物語のようにふるさとは遠い』(LP)が本日発売。
てなわけで、13時から16時まで開けてます。お暇があればお出かけください。
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