2023/02/19

『極東セレナーデ』

小説は、決して〈上品な〉ジャンルではない。美術工芸品でも重要文化財でもない。二十世紀になって、小説がむずかしくなったのは、それなりの理由があるが、もはや〈難解さ〉を尊ぶ時代ではない。(「あとがきに代えて」)

小林信彦『極東セレナーデ』が届きました。
「朝日新聞」に1986年1月20日~1987年1月17日の約一年間掲載された、著者初の新聞小説。これが、まあ面白い! 主人公は短大卒の20歳、失業中の朝倉利奈。東京から一気にニューヨークに飛ぶ序盤、中盤以降は帰国後の日本、主に東京を舞台にした成長物語。これは小説、書籍のかたちを最大限に活かしたエンターテイメント。巻末に収録された主人公・朝倉利奈による小林信彦への「著者インタビュー」、斎藤美奈子の解説「バブルとバブル後を先取りした物語」まで、しっかりと読ませます。

販売価格は1870円(税込)。本書を加えた3冊の「小林信彦コレクション」を販売中。

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