2025/06/04

6/4 店日誌

僕は、色川さんのどの文章からも、「ぐにゃっと柔らかい、しかしごりごりした存在感の塊」を感じる。作家だなあ、とつくづく思う。(佐伯一麦)

6月4日、水曜日。この数日で紐解いた本では、田畑書店編集部(編)『色川武大という生き方』がいちばんだった。33人の追悼文をまとめたものなのだが、読むうちに色川武大の姿がぬらっと立ち上がるようで、穏やかながら迫力がある。上に引いた、佐伯一麦「『狂人日記』と私」はすらすら読めて、アクもある名文。「お互い何もしていない。何をしたらいいか分からない。でも──。と感じ、思いつつ曖昧に生きている」と始まる、山際素男「色川武大という男」も味わい深い。

何も求めず散歩に出かけてみると、どういう訳かその瞬間から、ゆっくりと時間が流れ始めます。おのずと気持ちが豊かになり、忘れてしまった懐かしいものを見つけたり、雲の流れに心地良さを感じられたりもするでしょう。(谷口ジロー)

谷口ジロー『歩くひと』もいい。ページを眺めるだけで心が広がり、満たされるのは、散歩でしか味わえない時間の流れが描かれているから。街の空気、風の感触までを感じさせる漫画はそんなに多くないだろう。

いま、読んでいるのは鷲巣功『河内音頭』で、たぶん5年ぶりの再読。「日本の音楽文化論に一石を投じる快著」という惹句に偽りなし。五木田智央の装画も含めて、スゲー本。

今日明日、明後日は15時開店。お暇があれば、ご来店ください。

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