2026/10/22

10/22 店日誌


10月22日、木曜日。魅惑のオンライン・ショップ〈パライソ・レコード〉で買った、TAJ MAHAL『GIANT STEP/DE OLE FOLKS AT HOME』がとてもいい。針をおろして、一音目が鳴った瞬間に居間に馴染んだというか、これ前から持っていたんだっけ? と錯覚してしまうほどに自然に響いた。バンド編成の「GIANT STEP」と弾き語り「DE OLE FOLKS AT HOME」という2部構成ではあれ、トーンに大きなズレはない。前者にグルーヴはあれど大袈裟じゃなく、柔らかな耳ざわり。後者にはジョセフ・スペンスみたいなリラクシンムードがあって、聴いていて安らぐ。

1枚目をジェシ・エド・デイヴィス、ゲイリー・ギルモア、チャック・ブラックウェルという、あのローリング・ストーンズ伝説のお蔵入り映画「ロックンロール・サーカス」出演時の編成で録音したバンドサウンド、2枚目にバンジョーやナショナル製スチールギターなどによるソロ弾き語りを収録。

レビューを読み直して、驚く。このメンバーで、ロックンロール・サーカスに出演していたのか。CDショップでバイトしていた頃に観て、ぶっ飛んだ。ジェスロ・タル、ザ・フー、ダーティ・マック、どれもカッコいいんだもの。タジの印象があまり残ってないのは、まわりがあまりに強烈だったからか(Gジャン姿のジョン・レノンがクールなんだよねえ)。

やっぱり、パライソで買うレコードは特別。厚めの外袋に内袋2種が分かれて入ってる。こうやって届くのが妙に嬉しいのは自分だけじゃないと思う。

さあ、今日もやりますか。音源、新刊に新着入荷がありますよ〜。

2026/10/21

10/21 店日誌


本当に面白いものやら笑えることっていうのは、ドブや道端に落ちてるもんであり、街の面白さとはその街を形成している人々の息遣い。(チャーリー宮毛)

10月21日、水曜日。先週の土曜日に納品された『EL CINNAMONS』vol.5のページをめくっていて、思わずニヤつく。こんな塩梅の雑誌が読みたかった。有り体のイケてる店、人を紹介するんじゃなくて、個人の興味が誌面に反映されている。SNSで話題の……みたいな意識は皆無だし、金銭的に余裕のある人だけが行ける場所、会える人は出てこない。直感を信じて、行動を起こす───角を曲がるか、扉を開けるか───ことで掴んだ実感、経験が書かれているのが嬉しいのだ。好奇心と感性が織り込まれた120ページに拍手を送りたい。

あと一年もすれば、私もすこしはジャズを語ることができるようになるだろうが、とにかく、そんなふうにジャズを聴いているうちに、時代というものに対する考え方が変わってきたのだ。要するに、よくも悪くも時代は変る。(洲之内徹)*

洲之内徹『さらば気まぐれ美術館』を読んでいると、あちこち付箋だらけになってしまう。とにかく面白い! って書けばそれまでだけど、この味、読み手を引きつける力は何なのだろうか。魔力のような強度がある。書きながら迷い、迷いながら筆を進める洲之内話法の虜になっている。今日もぐいぐい読んでいく。

*「モダン・ジャズと犬」(須之内徹『さらば気まぐれ美術館』p.114)

*
南浦和、古賀、益子、北茨城とつづいた遠征出店がようやく終わった! 季節は夏から秋になり、雨があり晴天もあった。失敗あってこその手応えもあり、予期のできない出会いにも恵まれた。店に閉じこもって屈託していくより、疲労の度合いも軽かった気がする。声をかけてくれたみなさん、手伝ってくれた友人たちに感謝、感謝! どうもありがとう。

では、久しぶりに開店〜! オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。

2026/10/20

10/20 雑記


ところで、そういえば、正平さんの絵もやっぱり、私が見れば「幸福の絵」なのだ。だから、正平さんの絵もついでに一枚並べておこう。どこかの海水浴場らしいが人間はいない。しかし、誰もいない幸福というものもあるだろう。(須之内徹)*

須之内徹『さらば気まぐれ美術館』を読んでいて、思い出す。おととい、きのうで訪れた北茨城市磯原町の海岸には誰もいなくて気持ちが良かった。犬を散歩する人がいない。遠い海に浮かぶ船もみえない。テトラポット以外の人為的なものといえば、ちょろっとしたゴミくらい。打ち寄せて崩れる小波、泡、濡れる砂以外に目に入るものがない。あんなにも居やすい海ははじめてだった。

寂しい、暗い、そんな感じはまったく得られず、ただひたすら平らな水平線。延々つづく波間。その景色を目に入れてるだけで心中がすっきり整理された気がした。

*「幸福を描いた絵」(須之内徹『さらば気まぐれ美術館』より)

2026/10/19

10/19・20 連休

今日、明日は連休です。

2026/10/18

10/18 北茨城出張

本日は北茨城「Books and Craft Beer Park」に出店です。店舗は終日休業。

2026/10/17

10/17 店日誌

この要領ということが問題なんだけど、(…)信頼していた大学出の中に、上官の前だけでペコペコする、それこそ要領ばかりの人間がいたり、そんな人間を、ちっともイヤラシイと思わない人間もいたり、言動緩慢な薄のろの如き百姓出身の兵隊が、朴訥な風ボウの中に、きらめくような美しい心と勇気の持ち主であることを発見して、生きていくのが嬉しくなったり、そんな戦友をバカにする人間もいたり、ともかく精神上における人間関係が、複雑な様相を呈してくるのだ。(殿山泰司)*

10月17日、土曜日。ちょっと前に、阿佐ヶ谷〈コンコ堂〉で買った『しゃべくり105日』をきっかけに殿山泰司を求める熱が再燃している。『彷書月刊』2002年6月号(特集:殿山のタイちゃん)、『JAMJAM日記』と読みつなぎ、きのうは『三文役者あなあきい伝 part Ⅰ』を読みきった。特殊な出自、戦争体験、役者としての経験、オトコとオンナの色々……を経て得た殿山独自の反権威思想は見事。人真似じゃなく、イズムにも寄りかからず、自前の言葉で練り上げられた哲学は「あなあきい」と呼ぶのがふさわしい。

いま読んでいるのは、『三文役者のニッポン日記』。1967年に三一書房から刊行された初版である、と書きかけて、奥付けをみてびっくり! 今日は殿山泰司の誕生日じゃないか! そのまま引用する────「大正4(1915)年10月17日、東京都銀座のおでん屋「お多幸」の長男として生まれる」。

*殿山泰司『三文役者あなあきい伝 part Ⅰ』p.174

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こんなにも強力なデビューシングルがあっただろうか! 笹沼位吉と外池満広からなるレゲエ/ダブ・バンド、浪蟬坊『TELL YOU LOVER feat.Sticko』が入荷。さらにもう1枚注目してほしいのは、lakeside『slow anthology』(こちらに関してはインスタグラムに詳しく書きました)。

今日は催事準備のため、11時〜18時の短縮営業。明日から火曜まで店は休みです。

2026/10/16

10/16 店日誌


10月16日、金曜日。空気が冷たくなると、オクノ修の歌が聞きたくなる。久しぶりで『オクノ修70歳、拾得ライブ』に針をおろすと、湯船につかったように、じわっと温度が伝わってくる。北風、3マイル、サヨナラ ハッピネス、くれてゆく街角で、さよならをした夜、第5氷河期、追放の歌。A面はシブい選曲。川の流れに沿って、電車が出てゆく、唄う人、日々の泡が続けて歌われるB面には、無言で耳を傾けるのみ。最後の曲、木漏れ日は短い分だけ、言葉がよく聞こえる。

この中に、人生がある。聴いているひとの、すべての。そんな思いにさせるレコードに出会えるだけで、しあわせだと思う。(豊田道倫)

豊田道倫のライナーノーツもやはり素晴らしい。こんな風に聴いて、書く人がいるなら、まだまだ捨てたもんじゃない。しばらく仕入れていなかったけど、久々に注文してみようかな。LPがないならCDでもいい。まだまだ届けるべき人はいるはずだ。

歌う人、書く人がいて、つくる人もいる。各人が工夫を重ねて、練られ、物として生まれたものが人の手に届く。当たり前のようで特別なこと。簡単そうで難しい。自分でも小さな本をつくってみて、しみじみと感じている。

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山名昇『寝ぼけ眼のアルファルファ』、安田謙一『好きで好きで大好きで』がそろって再入荷しました。音源では、CINEMA dub MONKS『TRES』と『永遠と一日(new edit)』が新入荷。すべて、オンライン・ストア〈平凡〉で購入できます。

では、今日も開店。今週末18日(日)は北茨城に出店、19日(月)・20日(火)は連休です。