6月13日、金曜日。歩道をゆく彼を見つけて思わず駆け出す。高妍『隙間 sukima』を持って「これ、読んだ! 台湾のことなにも知らなかったよ」と伝えるとニコリと微笑んで「嬉しいです。この作者は若い人ですよ」と教えてくれる。彼以外にも台湾から留学していた友人はいたし、中国との関係について書いているのを目にしたこともあったけど、積極的に興味は持たず「大変だなー」と受け流していた。その点、『隙間』の大きな要素は台湾と沖縄、中国と日本の絡み合うさまを描いていること。やさしい絵なのだが、全体に漂う哀しみは強く、確かなものだった。
彼、と書いてて、彼の名前も知らないと気がつく。よく顔を合わせるから、次に会ったときに聞いてみよう。しっかり覚えて、その次からは名前で呼びかけられるようにできたらいい。
文章は読者を威圧することがあってはならない。だかこれはむずかしい。文章を書くよりむずかしいことかもしれない。それには何も書かないのが一番だとすら思う。書かなければ威圧にも荷物にもならない。(荒川洋治)*
図書館で借りてきた荒川洋治『ぼくの文章読本』を読み出して、考えさせられる。こんな風に毎日ここに書く必要などないのである。なにかを書くために他人を上げたり下げたりするのはおかしい。黙っている方がよほど良い。それをわかった上で書き続けるなら、よく考えて、よく観察しなくちゃいけない。うーむ、なかなか難しい。(*荒川洋治『ぼくの文章読本』所収「おかのうえの波」より)
今日も通常営業。通信販売や在庫確認など、お問い合わせはお気軽に。