「2024年を振り返る」
2024年は最近の週刊少年ジャンプを字義どおりに背負ってきた「呪術廻戦」と「僕のヒーローアカデミア」という超人気作品が立て続けに完結を迎え、連載を終えた。この2作品の巷での人気は言わずもがな、僕個人としても毎週の楽しみであり、仕事のモチベーションを向上させるガソリンとしても機能してくれた。物語の展開によっては気分を振り回されることもあり、まさに両作の存在自体が自分にとってのヒーローでもありヴィランでもあり、そして呪いでもあったわけだ。呪いと言えば、2年前に亡くなった友人のことがいつまでも僕の内側で澱のように滞留し続けていて、不謹慎な言い方かもしれないがそれはもう僕にとっての呪い以外のナニモノでもなかった。そんな彼が生前取り組んでいた音楽ユニット「スチルス」の音源を、友人たちの力を借りてタラウマラからリリースできたことが、2024年の最も重要な出来事だった。完成した音源を遺族の方に手渡すことができたとき、それこそ僕は「呪術廻戦」の主人公、虎杖悠仁が物語のラストでふたたび宿儺の指を百葉箱に納めたときの心境に近いものがあったのかもしれない。ここ数年、人はあまりにも安易に言葉を扱っているような気がしている。人を貶める言葉も、人を救おうとする言葉も、みな一様に軽い。それらの言葉が印字され、書籍という体裁になっても、まだ軽い。偉そうな言い方に聞こえるかも知れないけれど、本当にそう感じることが多くなってしまった。もちろんすべてがそうではないし、実際に僕のまわりには素晴らしい書籍を作っている方々やそれをきちんと届けるべき人のもとへと届けておられる方々がいる。前述のコミックの主人公たちは言葉ではなく、明確な行動で以て自らの気持ちを世に示し続けてきた。そんな彼らが最後の最後に他者に手を差し伸べ、心の奥底から湧き上がる素直な感情を言葉で表現する。僕はそこに頗る感動した。本は人と人との狭間を巡る。巡り巡った本たちはどれだけ時間がかかっても、また人と人との関係へと立ち返らせてくれる。そんな当たり前のようでいて、ついつい忘れがちなことを、僕は今年もピープルブックストアに教えられた。来年も自分や他者に「期待」し続けたいし、もっともっと「好きに生きたい」と思う。
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