2024/08/31

8/31 店日誌

冬の日はいつか暮れ、立籠める夕靄につつまれて、田原町の角に立っている高い仁丹の広告も、向側の猪料理の看板も、ネオンサインの赤い光がにじんだように薄らぎ、街灯の火影は立木の間に円くぼんやりとしている。(永井荷風)

8月31日、土曜日。目が覚めてすぐに読んだ、永井荷風「おもかげ」(林哲夫・編『喫茶店文学傑作選 苦く、甘く、熱く』所収)に引き込まれた。新吉原揚屋町の門前、竜泉寺町の牛飯屋の屋台から出てきた辻自動車(タクシーの旧名)の運転手二人が立ち話をはじめる……。

今だにぞめき歩く素見客(ひやかし)が途絶えないと見えて、それを呼び止める妓夫と女郎の声が、此処から彼方へと池の蛙のように湧起ってはまた静まる。折から手風琴(アコオジョン)とギタアとを伴奏(つれびき)にした門附の流行唄が、河岸店の間から聞えだした。

豊といわれた運転手が語り出す。「為さん。全く、おれの話をきいてくれるなァ、君くらいなもんだ」ときりだし、はじまるのは早逝した妻おのぶのこと、その妻によく似た顔の踊り子露子との出会い。小さく哀しい逸話が淡々と、情感をこめながら語られる。季節の移ろい(回想)、時間の流れ(現在)の描写をはさみつつ、朝を迎えて話は終わる。

二人の運転手は立って拍子木を鳴し歩く女郎屋の窓の方を眺めた。窓の火影は街の上の灯火と同じく、まだ夜のままの色をしているが、東雲の微光は東の空のはずれから一瞬ごとにひろがって来て、セメント造の家の壁や硝子窓ペンキ塗の看板なぞに反映して、白く塗られたものの色が、逸早く見え初める。

いやあ、なんとも。20ページの短篇になんとゆたかな色があることか。永井荷風の小説を読むのは2、3度目なのだけれど、ここまでグッときたのは初めてだ。自分の筆が立たなすぎてまったく説明が追いつかないので、気になった人はぜひ『喫茶店文学傑作選』にあたってみてほしい。いまなら新刊書店の中公文庫の棚に置かれているはず。

今日も通常営業。お出かけの際は無理なく、お気をつけて。

2024/08/30

8/30 店日誌

8月30日、金曜日。虫の声に触発されたのか、ゲロゲリゲゲゲが聴きたくなった。このバンド(ユニット?)のことはよく知らないのだけど、仄聞するに激烈なノイズを鳴らすらしい。たまたま自分が持っているレコードは『 > (decrescendo)』で、この作品はハピドラムというスティールパンに似た音色の楽器が独奏されるだけ。風が吹き虫が鳴く、たまに車も通り過ぎるなか録音された、とても静かなアルバムである。

夜明け前、月が出ていて夜はまだ明けないだろうと演奏していましたが、演奏を終えると夜は完全に明けていました。これも意図的ではありませんが、まさに夜明け前から夜が明ける絶妙な時間です。ハピドラム以外がいわゆる主人公の曲ですが、まさかそんな貴重な時間が演奏の主人公になってくれる事までは予想をしていませんでした。(山ノ内純太郎)

裏面記載のテキストによれば、この演奏が録音されたのは、2019年9月18日(5年前なら、もう秋めいていたのかもしれない)。時間の流れがそのまま刻まれたレコードに針を落とすと、聴いている部屋の時間がぐにゃ〜り、ゆがみ出すような感覚がある。それも、いたって自然で、まともな作用だと受け止められる。

それにしても雨が強い! ときにザーッっとくると、まわりの音がかき消される。そんな中で読んだのは、川崎大助『教養としてのパンク・ロック』。ちょっと前に届いた『DEBACLE PATH』別冊2で取り上げられていて、気になった。読んでみると、これが面白い! 昨日の午後から夜までに、あらかた読んでしまった。新書で約1300円は高いようだが、単行本でこの内容だと、たぶん2200円になる。形態と価格のバランス取りで格闘している人もいると知った。

とりあえず今日も通常営業。さーて、お客さんは来るのかな……。

2024/08/29

8/29 店日誌

8月29日、木曜日。Weather Report『Weather Report ‘81』のB面がとてもいい! ベースが主導するゆったりしたテンポにいろんな楽器が乗ってくる“DARA FACTOR ONE”から“PIPELINE”の流れが楽しい(ファンクでもレゲエでもない……妙な音像)。正直、フュージョンはいまだに苦手で、どう聴いていいのかよくわからない。でも、ウェザーリポートはアルバムよっては好きなのだ。事情通には怒られそうだが、変なバンドだなーと思って聴いている。できれば、音がドドドッと詰め込まれていない曲がいい。

ながいこと得意でなかった、ジャコ・パストリアスのベース・プレイ。ここに入ってる“SPEECHLESS”はいい。全体にメロウなのだけど、途中に入るヴォコーダーの音がやや不穏。どんなセンスでこうなるんだろうか。

近所のローソンにレターパックライトを買いにいくと、売り切れていた。午後には入ってますかね? と聞くと、今日は難しいですねえとのこと。こればかりは仕方ない。あまり好きでない別のコンビニに行くことにする(と思ったけど、確実な郵便局に行く)。

今日明日も通常営業。台風の具合、どうなのだろうか。

2024/08/28

8/28 店日誌

8月28日、水曜日。夏の終わりっぽい風が吹いていた朝、『沖縄 正調沖縄民謡のすべて』に針を落とす。“安里屋(あさどや)ユンタ”、“すぅーしすぅーさー”、“村興し”、“浜育ち”、“とばらーま”、“鷲の鳥節”、“守礼の島”といった曲が順番に流れる。どこか遠くに行きたいなあ……なんて感慨にとらわれて、ブログを見返すと2年前の今ごろは山梨に行っていたと思い出す。いくつかの出張を除いて、あのとき以来、何泊かの遠出はしていないのだ。過剰なストレスは感じていないが、店を開けることにこだわり過ぎているのかも。

先週末に届いたHAPPFAT『Mitime tape series 11~夏の背中~』を流していると、気持ちがいい。じわーっと身体をあたためる、ヌルめの温泉に似た作用がある。リラックスしていい音を浴びたい方には、これをすすめる。ダウンロード・コード付きのカセットテープ。

こちらは超限定入荷! SINSUKE FUJIEDA GROUP『PERSPECTIVE/FLYING STEPS』(7インチ)も今日から販売開始。オンライン・ストア〈平凡〉にあげるかどうか、迷っているところ。店にあるのはあと2枚。オクラ印のヒデさんから預かった手製アナログ・シングル。

今日明日は15時開店! 明後日はちょっと早く開けられるかも……。

2024/08/27

8/27 雑記

先週末から、UA『ハルトライブ』を繰り返し聴いている。アップルミュージックの解説によれば「2010年2月3日、新宿ピットインでの公開レコーディング・ライブ。わずか100人の観客の前で録音された13の歌は、まるで野生の生き物のように本能的な生命力に満ちている」。なるほど、たしかに野生的。手練れのプレーヤーが集ったバンドが生むグルーヴは原始的。ここぞのときに入ってくる女性コーラスも動物が鳴いているようで、スケールを広げる。

あらたに解釈された「プライベート サーファー」から「情熱」への流れは絶品。シブ〜く抑制を効かせた前者から一転、解放されたような後者は文句なしのカッコよさ! バンドの大波を乗りこなすように歌うUAがたくましい。サビ部分のラップ気味な言葉の落とし方にも痺れてしまう。

今日はまず柏、そのあと北千住にいく。先輩たちに会ってくるのだ。

2024/08/26

8/26 店日誌

8月26日、月曜日。午前中、理髪店〈Bespoke〉まで自転車を走らせて散髪。サッパリした頭で帰宅、シャワーを浴びて、扇風機にあたりながらカップ麺を一気に食べる。ラジオからは「昼のいこい」。この番組の醸し出す雰囲気、おっとりした空気が好きだ。日ごとのテーマにそった選曲もシブい(今日の1曲目は園まり「なんでもないわ」)。聴取者からの便りに季節感があるのも、とてもいい。

独自の姿勢をつらぬくパンク・マガジン『DEBACLE PATH』、約4年ぶりとなる刊行は『ハードコア・パンクの歌詞を読む』につづく別冊号。数日前の日誌にも書いたけど、パンク本座談会「「現場」からの『パンクの系譜学』批判を中心に」が面白い。この他、マルクス・ルンドストロム「スウェーデンでアナキズムとパンクが出会ったとき」などを収録。

暑さもだんだん和らいできたような……。届きたてのHAPPFAT『Mitime tape series 11~夏の背中~』のテーマは、終わりゆく夏。夕方の風のようなムードのミックステープ。やさしく身体をなでるような質感で、気持ちがいい。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ。

2024/08/25

8/25 店日誌

8月25日、日曜日。大きな祭にぶうぶう言うのはナンセンス。読んでいてイヤになったよーって声こそなかったけど、自分で読み直して呆れてしまった。思いつきの行数稼ぎとはいえ、もう少しうまく、気の利いたことを書くべきだよなあ……。なんて思い直したのは今日の朝。まつりつくばに出かける人はどうぞ楽しんで! そうでない人も、いい時間を過ごしてほしい。各自が工夫して気持ちよく過ごせば、いい日曜日になるだろう。自分は店で、作業をしつつ、お客さんを待つことにする。

近所に住んでいるソニックさん、大阪からきたカワブチさんがたまたま居合わせる。難波ベアーズ、新世界ブリッジ、山本精一などいくつかのキーワードをもとに話に花が咲く。最新号を納品にきたスペクテイター編集部の青野さんもまじえての会話はめちゃくちゃ濃かった(ソニックさんの最新号への反応もヴィヴィッドだった!)。

いくつかの新刊にくわえて、古本には日々入荷あり。音源では、HAPPFATの新作ミックステープがそろそろ届きそう。だいたいのものはオンライン・ストア〈平凡〉でも購入できるので、チェックしてほしい。

今日明日は13時から19時までの通常営業。お暇があれば、お出かけください。

2024/08/24

8/24 店日誌

8月24日、土曜日。つくば駅周辺で、毎年恒例の大規模な祭がはじまったらしい。こうなるとヒマなんだよな〜、まあ作業もできるしいいのだけれど、どうにかならんものかなあ。じゃあ参加すればいいじゃん! と言われても困る。沢山の人があつまる催しには関わりたくないのである。だから、こんな店をやってるわけだ。ここで話はふりだしに戻る。そもそも古本屋なんだぜ。静かでいいじゃないか。この商売、祭ごとには向いてないのだ。

皮膚感覚や現場経験は、パンクにとってすごい重要なんだってことを明らかにしておかないとね。アカデミアではロジックや法と理性が優先されて、経験なんて軽視されるのかもしれないけど。(黒杉研而)

ひと足さきに読んでいる、『DEBACLE PATH』別冊2が面白い(発売は26日(月))。「ハードコア・パンクの読書」と題された特集の巻頭に置かれているのは、「現場からの『パンクの系譜学』批判を中心に」という座談会。示唆に富む内容で、一気に読んだ。議題の本より、川﨑大助『教養としてのパンク・ロック』を読んでみたくなった。

元気にしてるかなーと思っていた、開店当初からの常連Hさんが顔を出してくれて嬉しい。いつも通りに『アルテリ』ともう1冊買っていく。こうしたお客さんがいるから、なんだかんだあっても、やっていける。日報を楽しみにしてると伝えてくれた方もいて、ちいさく驚いた。

今日も書籍に入荷あり! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ〜!

2024/08/23

8/23 店日誌

8月23日、金曜日。今朝は起きられず、草刈りも体操もできないまま、だらだら過ごす。暑いには暑いけど風がぬけてちょっと涼しい。隣の家の工事が進んで、古い家屋が壊された。これまで見えなかった風景がいくつかあって新鮮。すぐ慣れて、なんとも思わなくなるのだろうけど、今だけのこの感覚がちょっと面白い。それにしても、昨夜はなぜあんなに飲んだのか。どうしてあんなことを言ったのか。小さな反省が重なって嫌になる。ああ、まったく。

オンライン・ストア〈平凡〉の動きが鈍い。先月は過去最高の売り上げで、手をいれる喜びが大きかった。それが今月は! 特別サボっているわけじゃないし、ちょこちょこ新入荷もあるのだけど……反応が少ない! 無理矢理買ってもらうのもおかしいし、変なことは言えないのだけど、先月の動きっぷりからの反動が大きい。

アジアを読む文芸誌『オフショア』第四号、盛岡〈BOOKNERD〉での矢吹純の展示図録『STANDING STILL AND WALKING JUST WAITING』あたりの新刊に加えて、古本や中古音源にも日々動きあり。店にきてもらえば、何かしらを見つけてもらえるはず。

今日も通常営業。明日明後日、明々後日も開けてますので、よろしくどうぞ。

2024/08/22

8/22 店日誌

8月22日、木曜日。昨日より30分はやく目が覚める。草刈りを30分、じわーっと汗をかいたところで切り上げてシャワーを浴びる。「朝いちばんにシャワーを浴びるのがカリフォルニア・スタイル」なんて一節が、北山耕平『自然のレッスン』にあったよなーと思い出す。20代前半のある時期くりかえし読んでいて、身体の奥にどしっと居座っている言葉がいくつかある。合わせて読んでいた、北山編集長時代の『宝島』(「髪を伸ばせ、マリワナを吸え!」)はいまでも好きだ。「宝島共和国国営放送」はいつかしっかり真似てみたい。

仙人掌&S-kaineのレコードを買いにきたサクライさん、いそがしく動きまわる絵描きのナツナさんが居合わせて、最近のイベント事情に関して意見を交わす。安直な楽観論が出ないから信頼できるし、興味深い。現代のカフェには文化的な役割は担えないんだと実感(どちらかが言ったわけでなく、話しているなかでそう感じる)。

小沢昭一『なぜか今宵もああ更けていく』を読みながら、『LONDON IS THE PLACE FOR ME 3』を聴いてみると絶妙なマッチング。哀愁の具合がちょうどいいのか、どちらも自然に受けとめられた。

今日も新刊に入荷予定あり! お暇があれば、ご来店を〜。

2024/08/21

8/21 店日誌

8月21日、水曜日。朝、パチリと目が覚めたのが5時半。そこから草刈りを30分強、1週間サボった草はたくましく伸びていて、手応えがある。汗ダラダラでシャワーを浴びて6時15分。ちょっと休んでラジオ体操を終えて、ようやくひと息。コーヒーを淹れてホットドッグをほおばる。ジャッキー・ミットゥー『マッカ・ファット』は朝にも合う。ユルい空気を醸し出す鍵盤の音、軽やかな裏打ちがひっぱる伴奏が組み合わさって、ストレンジかつファニーなレゲエ・ミュージックになる。

今日のつくば市の最高気温は31度~34度らしい。ちょっとだけ楽になってきた気もするけど、正直いって、もうわからん。レコードはB面にうつってジャッキー・ミットゥーは「パープル・ハート」を演奏中。この曲はベースラインが面白い。

さて、ここからが店日誌(どっちでもいいですよね……)、今日は仙人掌&S-kaine『82-01』(LP)が入荷予定。もしかすると、スペクテイターの最新号も届くかも。オンライン・ストア〈平凡〉にも動きがあるので、ご注目を。

今日明日、明後日は15時開店! 週末はつくばの祭らしいけど、知ったこっちゃない!

2024/08/20

8/20 雑記

お盆の連休明けの月曜日、こんな日にくる人いるんかなと考えつつ(一昨日がめちゃヒマだったから……)、店で本を読んでいた。序盤はクーラーをつけず、アップルミュージックが繰り出すレゲエ~ダブに合わせてテキトーに身体を揺らしていたら、モドキプロがガリガリくんを買ってきた。しかも梨味。気が効くじゃんか〜とか話していると、水戸〈Coffee Staple〉の吉田くんたちが顔を出す。入れ替わるように人がきて、面白い。NOOLIO『SIDE.C Classics』Vol.7を薦めたら、すぐ買ってくれる。彼らを送り出して、ちょっと落ち着いた頃に太郎くん。差し入れのヤクルトを一気に飲む。ここで、冷房のスイッチオン。

太郎くん話していたら、須田帆布の須田さんが「よっ!」といって顔を出す。元気そうだ。どうだい、やってるかい〜なんて感じで会話がはじまり、話しているとじわじわ力がでてくる気がする。こういう先達がいてくれて嬉しい。さっと選んだ数冊を買って須田さんは颯爽と店を出ていった。

ここのところ、たまに顔を出す男性。いつも静かに店をみて、しっかり本を選んでいく。自己主張がつよくなくて好ましい。服装、髪型なんかでアピールされるより、ただ自然でいる人が素敵だ。彼がそっと選んだ2冊もまた同じく。またよろしくと話して、次の若者。宮部みゆきの新刊を買っていく。3冊300円。それでいいんだ、自分なりにピンときたものを選べばいい。少額でも身銭をきって経験を得てほしい。失敗なんて当たり前だ。

日が暮れてきて、今日もそろそろ終わりかな……って思っていたら野口さんが顔を出す。今年初頭の展示「アクアクの時代」会期中にはよく顔を合わせていたけど、最近はたまに道端で会うくらい。久しぶりにじっくり話を聞く。東京都現代美術館での「ホー・ツェーニン エージェントA」から派生する京都学派、三木清や田辺元のこと、何度か足をはこんだ展示につっかかったままらしい。ふーむ、なんて調子で聞いていると、雷の音がする。こりゃヤバい! あわてて会計を済ますと、〈古着屋may〉の細矢さん。矢吹くんの作品集を買ってくれて、急いで閉店、じゃーまた! と自転車で走りだしたところで雨が降り出す。途中でポンチョをはおって、どうにか家までたどり着く。ホッと安心すると強風、豪雨、大雷。ギリギリ、いいタイミングで帰ってこられた。

8月19日の全記録ではないけれど、だいたいこんな感じで日が過ぎた。

2024/08/19

8/19 店日誌

8月19日、月曜日。1971年のジャマイカと2024年の日本、どちらが暑いのか。もしかすると後者の方が暑いのかもしれないし、しかるべき資料にあたって、それが証明されても驚かない。まあ、そうだよなあ、こんだけ暑いんだから……なんて感慨、10年前には成立しなかった。そりゃ、間違いなくジャマイカの方が暑いでしょ! マヌケな質問はやめてくれ。なーんて調子でまともに耳をかさなかっただろう。それだけ、近年の暑さはきびしい。

定時前に店を閉めて向かったのは、天久保一丁目〈Good Near Records〉。昨日までの連休中、中古レコード10%オフ・セールを開催していると知っていたのだが、タイミングがあわず、足を運べないままだった。スエルテくんが店主になってからまともにレコードを買っていないし、そろそろ、あれを買うべきとき。壁に飾ってあるジャッキー・ミットゥー『マッカ・ファット』が欲しいのだ。ずっと前に持っていた盤を酔いの勢いで手放したまま、買い直せていなかった。

自転車を走らせて店に到着、すぐさま壁をみると、よかった! まだある。飛びつかず、ジャズ~レゲエ~ロックと目をうつらせて、入荷チェック。けっこう良いのが入ってる。欲しいのも何枚か。安めの盤でおさめておくかと一瞬迷うも、ええい! マッカ・ファットを買いにきたんだろう、オマエは! 決意を改めて、盤質の確認ついでに試聴する。A面1曲目「Henry the Great」のイントロだけで、迷いが吹きとぶ。オレはこれを買いにきたのだ。

1971年のジャマイカも、2024年の日本におとらず暑かったのだろう。そうでなければ、こんな音楽が生まれる理由が説明できない。ラウンジ~モンドを経由したようなロック・ステディ。おいおい、あぢ〜なとか言いながら、ジャッキー・ミットゥーも演奏していたんだろう(ここまで書いて、1967年録音の『イン・ロンドン』に針を落とすと、すでにこのスタイルは完成している。暑さは関係ないのか……)。

連休明けの月曜日、どうなのだろう。人は来るのか。とりあえず開けています。

2024/08/18

8/18 店日誌

8月18日、日曜日。朝、針を落としたのはTrey Gruber『Herculean House of Cards』。早逝したミュージシャン、トレイ・グルーバーの未発表音源を収録した2枚組。序盤はラフな雰囲気で録音された曲が多い。なんとなくジョン・レノンを思わせるヴォーカル、メロディで曲がすすむほどぴったりと合ってくる。好きなのはB面2曲目「Dirt」、C面1曲目「Stay in Line」(いや、この面はぜんぶ良いな)。教えてもらって買ったのが数年前の夏だったからか、今でも夏になると聴きたくなる。

休みかも……と言っていた明日は通常営業。来週26日(月)と27日(火)で連休をとろうかと思案中。はやめに決めて、ここかどこかで伝えます。

今日も書籍に入荷あり。まあ、のんびりとやっております。

2024/08/17

8/17 店日誌

8月17日、土曜日。警戒されていたよりも台風7号は大きく荒れず、風雨が強くなったくらいで通り過ぎた。これなら店を開けててもよかったかなーと思わなくもなかったけど、やっぱり休んでよかった。お盆の連休前半の勢い、真夏の日々の疲れが蓄積していたことを実感したから。いくら寝ても、眠い。気を抜くといつにまにか眠っている。たった1日(正確には半日)、店を休んでダラダラと過ごしただけで、だいぶ身体が楽になった。

このLPのA面第一曲も、たとえばハワイの安食堂のジューク・ボックスでふと聞いたなら、ぼくはきっとレコードをさがすはずだ。晴れた日のまっ青な空ときらめく陽、雨の日のけだるいもの悲しさ、そして夜の暗さと波の音を持ち歩きながら。(片岡義男)

朝起きて、女性ブルースコンピを片面聴いたのち、久保田真琴と夕焼け楽団『ハワイ・チャンプルー』に針を落とす。A面第一曲「スティール・ギター・ラグ」のイントロ前の波の音から、もう最高。ジワーッと身体に沁み込んでくる。バンド名、タイトル、ジャケット、ライナーノーツすべてがうまく組み合わさっている。これぞレイドバック・チャンプルー。

うっすらと夏の終わりも見えてきた。(と言っても、9月いっぱいはそれなりに暑いのだろうけど、と言うか、今日もメチャクチャ暑いのだけど)そう書いてみるだけで、気持ちがちょっと楽になる……なんてのは気のせいか。

今日明日は通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。

2024/08/16

8/16 店日誌

8月16日、金曜日。店日誌として書きはじめたけど、ついさっき今日は休むと決めたので、家で寝そべって書いている。となると、これは家日誌かな。読んでる方はどっちでもいいですよね。とりあえず今日は休みで明日、明後日は通常営業。休もうかなーっと思っていた明々後日19日(月)は開けるかもしれません。ぐちゃぐちゃとややこしいですが、明日からまたよろしくお願いします。

店はやってませんが、オンライン・ストア〈平凡〉は営業中。ちょこちょこ古本を足しているので、気が向いたらのぞいてください。今日の注文であれば明日午前中の発送、早ければ明後日到着かと思います。

てなわけで、みなさまも安全第一でお過ごしください。

2024/08/15

8/15 店日誌

8月15日、木曜日。やっと普通の朝がきた。6時前に目が覚めて、寝たり起きたりを繰り返したのち、エイヤッと身体を起こして洗物と体操を済ませてからコーヒーを淹れる。なんとなく頭が重いけど、調子はわるくない。11日(日)、12日(月)、13日(火)の3日間のダメージは大きかった。それだけ楽しかったわけだけど、やはり無理は禁物。普段とは異なる時間の流れ、人の動きに引っ張られると、けっこう身体に負荷がかかる。

急に雨がザーッときて雷がくると、まもなく目の前の筑波大にドカンと落ちる。ドシーン! と地響きが伝わって、店のガラスもビリビリ震える。こりゃあすげえ……と慄いていると、ガラッとドアが開く。こんなときに人が来るのか! と小さく驚くも、間違ってきたの? って感じでノーマネーでフィニッシュ(ヒソヒソ話して何も買わずに帰っていった)。

そのまま数時間、甲子園の実況中継を以外はシーンとしたまま。甲子園終了後にはじまった山口百恵、谷村新司特集の選曲に耳を傾ける。共通して流れたのは「いい日旅立ち」。いい曲だなあと感じ入る。昨日唯一のお客さんに本を売って、時計をみると19時半。さっさと閉めて家に帰った。

だいぶ身体も整って、今日は晴れ! でも、明日明後日は大荒れみたいだ。くると言ってた同業の先輩家族も無理っぽい。そりゃそうだ、車の運転だって怖いもの。安全第一。

普通にやれれば、今日明日は15時開店。何時まで営業するかは天気次第です。

2024/08/14

8/14 店日誌

8月14日、水曜日。お盆の連休という感じでのんびり、だらり。静かだけれどちょこちょこと人が来る。張り切って営業! なんてノリでもないので、これくらいの客入りがちょうどいいのかなーと思っている。数年ぶりに会う京都の友人、どこか遠方から来たと思わしき方、ある時期ほどは会わなくなった常連Oくん、ダニエルさん。夕方以降は最後に書いたふたりとダラダラと呑んで、話していた。いろんな音楽を教えてもらった。

てなわけで、今日も開けています。まあ、力まずにやっております。

2024/08/13

8/13 店日誌

8月13日、火曜日。レッチリことレッド・ホット・チリ・ペッパーズがパリ五輪の閉会式でライブ! いわば4年後のロサンゼルス大会の顔役になったわけだが、微妙な違和感をおぼえている。彼らが世界有数のビッグバンドで、オリンピックの看板となるだけの存在なのは承知している。だけどなー何なんだろうなあ、この感じ。嫌ではないし相変わらずだなーと目にして嬉しい気持ちはあるのだけど、なぜか、ちょっとだけ寂しくなった(アンソニーのシャツ捲りパフォーマンスにはウケました)。

YouTubeのおすすめ動画に上がっていたノエル・ギャラガーのインタビュー和訳をみて、笑った。好きなのは「キース・リチャーズと遭遇」「ルーニーの妻から、ギターにサインをお願い」。いや、なにがってわけではないのだが、面白いんだ。

一昨日はオクトベース、昨日はフロッグと天久保一丁目に出かけて、沢山の人と会った。10年以上ぶりに話す人、ここで会うとは! と驚きあった人、くったくなく話ができて楽しかった。どちらでも質のいい音に触れられて、刺激をもらった。

今日はお盆の臨時営業。まあ、のんびりやってるので、お暇があればお出かけを。

2024/08/12

8/12 店日誌

8月12日、月曜日。午前中、たまった缶と段ボールを捨てにスーパーに行くと、いつもより人が多い。帰りがけに寄ったドラッグストアではレジでおじいさんが長々と話してる。世間はお盆の連休なんだなあ。サクレとゴクリ(グレープフルーツ ピンク&ホワイトが好きなのだ)を買って帰って、店に着いて一気食い。頭がキーン! 胃袋ヒヤリ! 思わず唸る。身体が動き出したようで、そのままホットドッグも食べきる。ふうう、今日もどうにかやれそうだ。

ラジオで甲子園の中継を聴いていると、解説者がいつも同じ人のように聴こえるのはオレだけか。なんとなく穏やかで丁寧な語り口。大学や社会人野球の監督を経験しているナントカさん。今は富山商と東海大相模が試合中。

熊本の文芸誌『アルテリ』十八号が到着。NOOLIO『SIDE.C Classics』Vol.7『ARRROUND 100 TON RIDDIM MIX』(手ぬぐい+ミックス+ステッカー)はそろって再入荷。その他、古本もたくさん買い取っている。

今日も書籍に入荷あり。オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

2024/08/11

8/11 店日誌

8月11日、日曜日。ひさびさに顔を出したのは、ハードコア・バンド「TRUE FIGHT」のヴォーカリスト、ヤジマくん。40何箇所をまわるツアーの真っ只中とのことで、今日は西荻、明日は甲府でライブがあるらしい(間違ってたら、ゴメン)。会うたびにまっすぐ熱くパンクシーンの現状、展望について語ってくれる。スケートボードやハードコア/パンクを軽々しく、オモチャのように扱う人が多いなか、彼のような当事者の声に触れると背筋がのびる。遠からず、何かをいっしょにできたらいいね! そう声をかけあって、気持ちよく送り出す。

その後はまるで数珠つなぎ。ヤジマくんとの会話にもでたTURNSTILEの来日公演、鹿島アントラーズの現状などを別のお客さん、ヲリヲリ器の新田と話す。

交通機関が発達し過ぎたこの街は、その交通機関の地図によってこちらの道筋と行動を縛る。(…)レールを無視して好きなように歩けば自由が得られて電車代も浮く。この混み入った街ならではの自由だ。自由を奪う街から自由を奪い返したければ、シノゴノ言わずに歩けばいい。(吉田篤弘)

吉田篤弘『木挽町月光夜咄』はぐねぐねとうねる変わった本だった。歩行と思考、執筆と生活が並行しているエッセイ集。よく知られた著者の珍しくもない本なのだけど、読み応えは、どうにも奇妙。読むほど、吉田篤弘に興味が増していった。

さあさあ、今日は何を読もうかな。どんな本が届くかな。できるだけ静かに過ごしたい。

2024/08/10

8/10 店日誌

8月10日、土曜日。ラジオから、レーナード・スキナード「スウィート・ホーム・アラバマ」が流れてきて、思う。この曲の肝は音の質感だろう。ペナペナで厚みのない、乾いた旋律。ドラム、ベースが合わさってくるまえのギターだけの音がいちばんカッコいい。だとか色々考えつつも、サマースペシャルから早々に離脱して、ジャンゴ・ラインハルトのレコードに針を落とした。風があって、いがいにも涼しい午前中、本を読みながらダラダラと聴いていた。

タイニーデスク・コンサートでのフィッシュの演奏がすばらしくて、何度も視聴している。このバンドの魅力は音の響き。伸びやかで軽やか。言葉に置き換えるよりも前に心がぐーっと広がっていくようで気持ちも軽くなる。一度、生で彼らの音を浴びてみたい。

実家のご近所さんから送られてきた買取の本、3箱を開けて驚いたのは、ちょうど興味を持っていた著者に関する本がいくつか入っていたから。尾崎翠『第七官界彷徨』だとか、森茉莉や×××など、狙いすましたような本のチョイス。文芸誌『海』や『en taxi』が混ざっていたのも嬉しい。うーん、シブい! とか言いながら査定を済ませた。

地震、台風、猛暑。これらが組み合わさってくるなんて、考えたこともなかった。午前中に出かけたスーパでは水の買い占めなどなく、いつも通りで安心した。混乱を避けられるよう工夫ができたらいいなあ。

今日明日、明後日、明々後日も13時開店。気が向いたら、ご来店を。

2024/08/09

8/9 店日誌

8月9日、金曜日。ああ、最高。フレディー・マクレガー『ビッグ・シップ』に針を落とすと懐のふかいルーツ・レゲエが流れ出す。なにか新しいとか、珍しいわけじゃなく、正統派のワンドロップ。フレディーを支えるバンドはルーツ・ラディクス(Wikipediaによると鍵盤はグラディーらしいが、本作はどうなのだろうか)。聴くうちに「馥郁たる」という言葉を使いたくなり調べてみると「香りがよいさま。よい香りが漂っている様子」とある。なるほど、ぴったりの意味である。

先行してお知らせ! 9月28日(土)に当店隣の〈千年一日珈琲焙煎所 CAFE〉にて、森脇由二監督作品『ブリング・ミンヨー・バック!』の上映会を開催する。ごぞんじ、民謡クルセイダーズのドキュメンタリー。監督とバンドメンバーも参加するアフタートークも行うので(話しながら歌ったり?)、楽しみにしていてほしい。

10月にはご近所〈つくば食堂 花〉と天久保一丁目〈aNTENA〉でのライブに参加予定(前者は制作、後者は出店)。そのあと、11月3日(日)には久々にがっつり関わるイベントを開催! 魅力のある催事がつづく秋の入口。どうぞよろしく。

今日も書籍、音源に入荷あり! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を!

2024/08/08

8/8 店日誌

 「好き嫌い」だけで押し通しているのに、そこらの社会時評より数段面白く説得力がある。そこが凄い。それから何よりも、文章の間から書いている当人の精神の躍動感やら解放感やらがひしひしと伝わって来る。文章の向こうに、モリ・マリという妙なイキモノが思うぞんぶんにはね回っているのが、見えて来る。そこが面白い。(中野翠)

8月8日、木曜日。ああ、面白い! 中野翠『アメーバのように。私の本棚』につよく共感して畏れ入る。こんなにも正直で、鋭く、まったく難しくない言葉を連ねる中野翠さんはカッコいい。「好き嫌い、つまりは〈感性〉というものだけで何か書けるものかどうか、どれだけのものが書けるか」という実践を経て得た実感が綴られたこの本に勇気づけられる。右見て左見て、もう一度、右見てから発せられる、つまらない意見ばかりが耳に入るからだろうか。

なにしろ長谷川四郎といや、知的風来坊の権化で、いろんなことを知ってるばかりか、ロルカを訳したり、ブレヒトを訳したり、その他なんでも気に入っちゃえば翻訳しちゃうという、いうなれば翻訳の怪物で、「いやあ、きみ、スペイン語が分ったら、ロルカなんか訳せんヨ。アッハッハッハ」と豪快に笑い飛ばすヒトだった。(青山南)

常連のYさんが持ってきてくれた買取の2袋が素晴らしくて、よろこんだ。なんとなく手に取った青山南の本に「長谷川四郎の教え」というページを見つけたり、常盤新平、吉田篤弘、堀江敏幸の本が入っていたり。お盆の連休に向けて、文句なしの仕入れをさせてもらった(最初にかいた中野翠の本もおなじくだ)。

来週8月13日(火)は定休日だけれど営業する(13時から19時まで)。連休の動きに大きな期待はせず、まあやることもないから店を開けるかという感じ。気張らずにやれたらいい。

今日明日は15時から20時まで、開けてます。お暇があればご来店を。

2024/08/07

8/7 店日誌

8月7日、水曜日。画像のないブログに慣れてきて、この状態でないと書けないこと、出せない雰囲気があるのでは……と気がついた。インスタグラムみたいにメンションができないから、話題にしている人に届く可能性はかなり低い(だからといって、好き放題に書こうとは思わない)から、書くにも工夫が必要だ。多くの人に読んでもらうための技術がない分、サボらないのを前提として、あらたな語り口をつくれたらなあと思っている。

長谷川四郎『シベリヤ物語』を読んでいて、眠くなったのが21時。目が覚めて草刈りと体操を終えて、コーヒーを淹れたのが7時ころ。編者・堀江敏幸の解説を読み終えて、8時すぎ。時間の流れってのは不思議だ。はやかったり、おそかったりが混ざりあって過ぎていく。

オンライン・ストア〈平凡〉にあげる古本への反応があると嬉しい。新刊や新譜はもちろんだけど、時代を越えて提案できる古本があってこその面白味がある。キャッシュレス決済を主にする便利な場ではあれ、含み(時間的なタメ──溜め? 貯め?──)のある場として活かしていきたい。

今日明日、明後日は15時開店。お盆にともなう連休中も通常通りの営業予定。

2024/08/06

8/6 雑記

午前中、自転車を取りに店まで歩く。さいわいにも曇り気味で日光は直射しない。久々にじっくり歩けるぞ! と勇んでいくと、ものの10分ほどで汗がびっしょり。湿度が高い。道中の電気工事の現場も大変そうだ。あちーあちーと呟きつつ、手ぬぐいで汗をぬぐいながら、足を進める。どうにかたどり着いた大学内の郵便ポストに本を投函。ふうふう言って、もう10分ほど歩いて店に到着。めちゃくちゃ暑い。Tシャツは汗でびっちゃり。扇風機にあたると少しラクだけど、しばらくは呼吸が落ち着かず。

こりゃ、今日は映画は無理だとあきらめ、支払を済ませて大学にある書店で文庫を吟味。ブローティガンがあるかな……という期待はもろくもかなわず、未読の古典をいくつか手に取る。ぱらりとめくってピンときたのは、長谷川四郎/堀江敏幸(編)『シベリヤ物語 長谷川四郎傑作選』。ページから静けさが伝わった気がしたからか、これこそ今日読むべき本だと確信した。買おうか迷った数冊も遠からず、読めればいい。

ベッシー・スミス、ジョー・ザヴィヌル、ルー・ロウルズ、ウォルト・ディッカーソン&サン・ラのレコードを順に聴きながら、本を読み、昼寝をした。

2024/08/05

8/5 店日誌

8月5日、月曜日。日中はまだまだ暑い。昼飯は? 冷たい麺しか食えないよ! って感じで、家にいても本を拾い読むかスケボーの動画(五輪でないやつ)を見るか、ダラダラしたまま。さっさと出かけて店を開けるかーと思わなくもないけど、まあすぐには人は来ないだろうし、冷房代もかさむしなーと考えると積極的に動けない。ひさびさに手に取った、磯部涼『ヒーローはいつだって君をがっかりさせる』に入ってる「イルドーザー闘争記 1995-2002」がめちゃくちゃに刺激的。この本は夏にぴったりだ。

ILDZっていうと、仕事が遅かった、ってみんな言うんだけど、本当は早かったんだよ。早すぎて、みんなに遅く伝わってたっていうか。(…)ここであえて、ILDZは、東京最速のデザイン・グループだったっていうことを強調しておきたい。(井口弘史)

なんで、また読み出しのか? 突然、店に来てくれたんだ。うちでもカセットテープを売らせてもらった、ハードコア・パンク・バンドのヴォーカルだった、あの人が! ぱっと見の雰囲気と振舞いがぴったり合っていて、自然体。買ってくれたレコード、本もビシッとしながら遊びもあって、嬉しかった。遠まきに憧れていた人に会えたりするから、店は楽しい。

やるからには、頭のネジが吹っ飛ぶぐらいの楽しいことをしないと、って思いながら、日々、ライヴをやったり、ツアーに行ったり、ファンジンをつくったり、Tシャツをつくったりしているの。(森本雑感)

だらだら書いていると、汗がダラダラ。家の冷房はすべて壊れているから、扇風機にあたりながら。これは「家日誌」か、はたまた「雑記」か。いやいや、やっぱり「店日誌」。とか、なんとか、こんな感じの毎日だ。

決まりきったようなことを書くのに、飽きてきた。今日も通常営業〜。

2024/08/04

8/4 店日誌

8月4日、日曜日。朝晩の空気がきもちいい。夕方、店の前に椅子をだしてビールをのんでいると、やさしく風が通りぬける。一緒にいる友人に「この通りはいい風が吹くんだよねえ」と言うと、だいたい同意してくれる。ビアフェスやロック・フェスティバルに行かずとも、外で気持ちよくのめるってことを知ってるだけで、だいぶ楽しい。誰かしらに準備を整えてもらわなければ遊べない、踊れないってのがいちばん悲しい。小さくてもいいから、自分たちなりに楽しむ術は身につけておきたい。

派手じゃなくていい、お洒落じゃなくてもいい。できるだけ気楽に振る舞えて、そっちょくに言葉を交わせたらいいのである。友達が買ってきてくれるビールがあれば十分だ(うまいレモンサワーがあったら、なお嬉しいけど)。

そうそう! 「ピープルブックストア日報」の最新号が完成している。通算11号目で、昨年末に出張した「仕立て屋のサーカス・長崎 波佐見公演」と、その後の体調不良の記録。店頭かオンライン・ストアで何かしらを買ってくれた人への特典物。

今日明日は13時開店! お暇があれば、ご来店を!

2024/08/03

8/3 店日誌


8月3日、土曜日。朝のラジオはジルベルト・ジル特集。時期や作品によって楽曲の雰囲気がおおきく異なるから面白い。サイケデリックがあればレゲエもある、スタンダードなサンバやボサノヴァをやってるときもある。それでも、声に華があって艶やかだからか、聴いていてストレスが少ない。瑞々しく軽やかな曲が多く、根が明るい人なのかなーという印象をうけたのだが、どうなのだろうか。ケペル木村さんの選曲と語り口も好ましかった。

ラジオを聴きながら、読んでいたのは『中島らもの特選明るい悩み相談室 その3(ニッポンの未来編)』。質問、回答、挿絵のバランスがうまくとれていて、ページをめくるのに力がいらない。ダラダラ読むのにうってつけ。

昨日は数年ぶりに現れたTさんのペースに持っていかれ、自分もその気になって話しまくって、時間が過ぎた。その間に来たお客さんたちも理解があって、助かった。勝手に話している我々、好きに店をみて本を選ぶ人たち、自然に共存できていた。

今日明日、明後日は13時開店。少しだけ暑さがやわらいだ気が……しますよね。

2024/08/02

8/2 店日誌

8月2日、金曜日。「オンライン・ストアで売り切れてたから、慌てました」と、お客さんから言われてハッとした。そうか、説明不足だった。いまや当店をささえる大きな要素になっている〈平凡〉だけれど、在庫は完全に連動させているわけではなく、品切のものでも店に残っていることがけっこうある。欲しいけど、どうかな……と不安があるときはメールで問い合わせてくれれば、在庫の有無を伝えられるし場合によっては取置きもできる(できないときも、当然ある)。

9月、10月、11月と関わる催事の準備がはじまっている。まずは9月28日(土)の上映会。当店隣の〈千年一日珈琲焙煎所 CAFE〉でおこなう、久しぶりの映画の催し。監督、出演者を招いてのトークも予定しているので、告知を楽しみにしていてほしい。

ファッション雑誌などで目にすることが多かった山本海人さんが亡くなっていたのを知る。彼のつくった店に行ったことがなければ、手がけた服を着たこともないのだけれど、同い年ということもあり衝撃を受けた。

今日も通常営業! 些細なことでも、お問い合わせはお気軽に。

2024/08/01

8/1 店日誌

8月1日、木曜日。ここ数日、夕立ちを観察するのが面白い。雲行きがあやしいな〜と感じて数分から十数分、ほぼ間違いなくザザーッとくる。無防備な大学生たちはずぶ濡れで自転車を走らせる。通りががりの車が大きな水飛沫をあげる。ジメジメの空気が吹っ飛ばされて、少しだけ涼しくなる。雷が鳴れば大学の敷地を直撃して、地響きとともに店のガラスがビリビリ震える。呑気なことを言っている場合でもないのだが、このエネルギーを何かに活かせないものかと考えてしまう。

7月と8月、子どものころは夏休みの真っ最中。ラジオ体操に行って、家の居間でアイスを食べながら観るアニメの再放送、面白いわけでもないのだが、テレビの前を離れられなかった。あの時間の流れ方は、もう戻ってこないんだよなあ。

そう言えば、本編上映前の予告編で「踊る大捜査線」シリーズの続編が流れたのだけれど、20年前くらいの映像がひんぱんに挟み込まれて混乱した。ヤナギバトシロウが主役らしく、彼の演じた人物の記憶、かつての役職で得た感触が大きな要素になっているようだった。高校の夏休みに再放送していたドラマシリーズには、勉強を忘れて夢中になった。

今日明日は15時開店! 在庫確認、通信販売などのお問い合わせはお気軽に。