2013/03/31

あの日の記憶

photo:maki muneyoshi

パレエドの残照。
先々週の日曜日、神郡での穏やかな時間を思い出しています。
記録ではなく記憶。ぼんやりとしていて形はない。けれど、ある日の色合いと空気、雰囲気をふわっと思い出せるようなもの。
語らずとも滲み出す、音と香り。ボクはそういうものが好きなのです。

そして、「無言歌」という詩歌を見つけました。
いまの気持ちにぴったり合います。

撮影は友人の牧君。本当にありがとう。

***

   朝の光のなかを、正午の影のなかを、月の光のなかを
   旋律のように、妖精たちが走ってゆく。

   姿のないものが、心の中を通りぬける。
   不意に、空気がきれいになる。遠くまで何もかもがはっきりと感じられる。

   どこにも、微塵も、あいまいさがない。
   音楽は無垢なもの、素早いもの、明確なものでありうつくしい論理だ。

    長田弘「無言歌」より一部抜粋

2013/03/29

2013/03/27

君は石である


「石とは英語でSTONEのことである。これはしかし、いまやぼくたちの生活形態を指し示す言葉でもある。
   転がりゆく石のごとく、絶えず変化しつづけ、しかもその変化そのものには、急激で、変化そのものを押しつぶし、
   ひとつの体制をつくりあげてしまうような断絶はなく、連続している。
   ある人は、この状態を、不連続の連続と呼ぶ—————ぼくたちは、これを、石と呼ぶ。」
  『宝島』(1975年 12月号 「特集・君は石である」)より

この挿絵がトンデモナく、最高だと思うのはボクだけだろうか?

“時代が変る瞬間 / Like a rolling stone.”

2013/03/26

『Spectator』最新号! -引き続き販売しております。



昨年から販売中の『Spectator』最新号。
ゆっくり、じわじわ売れています。未読のかたは是非どうぞ。
次号のお知らせも近いうちにできそうです。

***

お待たせしました。
少し前からなのですが、『Spectator』最新号をPEOPLEでも販売中。
今回の特集は“OUTSIDE JOURNAL”。山登り、街歩き、森暮らし、外遊びのいろいろが詰まっています。
外で遊ぶ、暮らす、考えることの歴史。いま、実践している人たち。
まあ、歩きながら考えようか、なんて気分になる話ばかりです。

歩くこと。ひとりで過ごす時間。
自分の内側をみつめるひととき。外の空気に触れながら、みずからを再点検。
そんな行為の大切さにも触れているような気がします。

「野外遊びだけじゃなく、広い意味でアウトサイドをテーマにした内容にできたらと思ってる。
今までの自分のテリトリーだったインサイドから飛び出してみたら楽しいかもよ? というメッセージもこめて。」(*1)

とにかく、外に出てみましょう。
この一冊を携えて。

(*1) 『Spectator』26号 / "TALK IN THE PARK"より 

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スペクテイター26号

2012 OUTSIDE SPECIAL ISSUE

特集:OUTSIDE JOURNAL 2012・山とサブカルチャー

「OUTSIDE(=アウトサイド)」は「外側」や「野外」を意味するコトバ。
バックパッキング・ムーヴメントの歴史から最先端のアウトドア・カルチャーのシーンを巡るレポートまで、都心や部屋の「外側」で起きている出来事や文化に注目したアニュアル特集号。読めばアウトドアライフが、もっと楽しくなる。そんな一冊です!

■ A HISTORY OF THE PACKPACKING & COUNTER CULTURE
「対抗文化視点によるバックパッキング・ムーヴメント年表」

『禅ヒッピー』から『BE-PAL』まで。古今東西の印刷物を通じて辿るアウトドア・カルチャーの歴史

■ MOUNTAIN LIFE REPORT「いま、山で生活するということ」

自分に嘘をつかずに自由に生きるには? 長野県の山麓に移住した同世代の暮らしを巡るレポート
取材・文/NUMA

■ MEET THE PUBLISHER「山のメディアのつくりかた」

自身でメディアを立ち上げ、山の文化を発信し続けているインディペンデントな発行人(パブリッシャー)へのインタビュー
若菜晃子『murren』編集・発行人
ニール・ハートマン『Car DANCHI』発行人
取材・構成/青野利光

■ LET’S MYOG「自作アウトドア・ウェア&ギアの世界」

アウトドアの道具は自らの手で作る!
最先端バックパッキング・ムーヴメント、MYOG(=MAKE YOUR OWN GEAR)の全貌
取材・文/三田正明

■ NATURE & ECOLOGY Part One「ノグソのすすめ 地球に「愛」のお返しを」

肩書き=糞土師(ふんどし)。ノグソが生態系に与える効能についての研究を重ねている
伊沢正名さん(『くう・ねる・のぐそ』著者)インタビュー
取材・構成/赤田祐一

■ NATURE & ECOLOGY Part Two「山を食べる 採集生活という生き方」

京都・大文字山の近くに暮らしながら食べられる山菜・キノコの採集をテーマに表現活動を続ける
安田陽介(『大文字山を食べる』著者)さんとの対話
取材・構成/赤田祐一

■BACK IN THE DAYS「ヤスヒコさんに会いにいく 小林泰彦インタビュー」

アウトドアについて語るならヤスヒコさん抜きには始まらない。数々のアウトドア文化誕生の
場面に立ち会ってきた元祖アウトドアズ・マンとの貴重な対話
取材・構成/青野利光

■ OUTDOOR WRITING「Fear of Falling」

アウトドア&アドベンチャー文学界の巨匠が綴ったアウトサイドなエッセイ傑作選。ヨセミテの
クライミング体験とアドレナリンをめぐる話
文/ティム・ケイヒル
写真/渋谷ゆり

■ OUR FAVOURITE SHOP「スカイハイ・マウンテン・ワークス店主・北野拓也インタビュー」

神戸・六甲山の麓にオープンした店を拠点に、独自のカルチャーを発信している
アウトドア・ギア&ウェア・ショップ訪問記
取材・構成/三田正明

2013/03/24

そこに線があった。


ただいま「PEOPLE」の本屋開店に向けての準備中。
お譲り頂いたり、仕入れてきたり、ものすごく沢山の本と出会っている。驚くような本もある。哀しくなったり笑えるものもある。
そのなかでも「ああ!」と思わされるのが線引き本。前に読んだ方が引いた線、勉強の跡がくっきりと残っているもの。
それを見つけた瞬間、ガクッときてその本をどこかに隠したくなる。むむむ、と唸ってみるしかない。
どうして買う前に確認しなかったのか。と自分を責め立てる。後悔の嵐。

だったのだけれど。
最近は一息いれて、その痕跡を楽しむような余裕が出てきた。
一体この人はなにを面白がったのだろう。どんな目的でこの本を読んだのだろう。はたまた年かさは? 性別は? なんて想像するのもけっこう楽しい。
それで酒場でのネタを一本でも仕込めれば、まあ悪くないな。そんな風にも思えてきた。

そんな調子でパラパラとしていたら、また見つけた。
新藤兼人氏による『シナリオの構成』。抑制の効いた、装幀と内容。力のみなぎる一冊だ。
そこにバシッと線があった。ありがたいことにエンピツだ。そして熱がある! 格好良いなあと思うところに引いてある。
そのいくつかを抜いてみる。以下の太字がその部分。

*「とに角、シナリオは足で書くものである。素晴らしい天才もきびしい現実を想像で描きだすわけにはいかない。」

*「いろいろな生活が、いろいろな地方から、いろいろな角度でとりあげられねばならない。」

*「映画の勝負はラスト・シーンできまる。映画は本を読むようにくり返しひろげては進むものではない。
   画面からうったえかけるその時々の感情で終りに近づいて行く
   ラスト・シート(本文ママ)で勝負をつけそこなったら、感銘はひどく薄いものになってくる
   はっきりしたいラスト・シーンができていれば、そこから前へ人物の性格も感情も構成も逆算して行けて映画は明快なものになってくる。」

*「しかし、珍しさばかりではドラマは起らない。それは磨かれた古さに支えられねばならない。

いやはや、どうだろうか。とことん情熱的なのである。
引かれた線を追っていくうちにぐいぐいこの本に引き込まれる。とてつもない力を持った言葉が散らばっている。
ものすごい。この本はすごい本だぞと一人、手に汗を滲ませる。すっかりボクは興奮してしまった。
これ以外にもたくさんの線引き、具体的なメモ書きがある。前の持ち主はきっと映画の勉強をしていたのだろう。
もしかしたら学校の教科書だったのかもしれない。

ああ、ものすごいものと出会ってしまった。
せっかくなのでこの線は消さないでおこうかと思う。

2013/03/23

ゲンイチロウのぬりえ


どっさりと届いた本の山。その中に入っていた、気になる包み。
包まれてたのは『ゲンイチロウのぬりえ』という大判の作品。いや、これはまさしく塗るための本。ペイント・ブックだ。
写真を見て頂ければ分かるように、すこぶるご機嫌な色と絵、大体な図版である。
さらに「ぬりかた」として記された前書きがすこぶる元気だ。気持ちが良い。
そっくりそのまま引用してみる。

「ぬりかた」

カオはハダ色、歯は白、舌はピンクなんてふうに銀行の定期預金みたいなスリルのない色のぬりかたをしてはいけません。
もっともっとバクチ性の強い色のぬりかたをしてほしいのです。
たとえば、カオはブルーで歯は五色豆のように色とりどりのがあって、舌はねずみと赤のだんだらもよう。
右の耳は黄色で左の耳は黒の水玉、親指は金色、薬指は青、小指はシルバーの地に赤のポチポチなんてふうな色をぬってほしいのです。
そして、できあがったらどこか目立つところにドーンとはってよその人を不安にさせてたのしんでください。
みなさんのご健闘をおいのりします。

ゲンイチロウ

ねえ。愉快でしょう。
色が足りてない、という自覚があるボクにはこれがズバリと刺さった。
とても有り難いことに未使用の状態で数冊をお譲り頂けた。せっかくなのでみんなでぬってみようかな。
PEOPLEのお店での最初の企画にしてしまおうか。そんな風にも思っている。

※いったいゲンイチロウ氏とは何者かと調べてみると「柳生弦一郎」さんという絵本作家とのこと。
    画像をみてみたら「あっ!」と思う作品がズラリ。