2025/04/18

4/18 店日誌

4月18日、金曜日。先週末、なじみのお客さんから買い取った施川ユウキ『鬱ごはん』にハマった。主人公の鬱野たけしは22歳。就職浪人中のフリーター、バイト先はネットカフェ。彼女はおろか友達も極少、たぶん東京と神奈川のはざまあたりのアパートに住んでいる。冷凍食品、チェーン系外食、簡単な自炊が主な食事なのだが鬱野特有の警戒心と完璧主義とが相まって、食後にはだいたい虚しさが残る。それだけの話が延々と、淡々と描かれるのだが、実に味わい深いのだ。

僕は鬱野の毎日を、どこか「若き日の思い出」のように捉えてしまっているフシがある。それは鬱野がひと回り年下だからなのだろうけど、そのせいか彼の失敗談や不運話がそれほど可哀想に思えないのだ。過ぎ去りし日のいち場面として、むしろたっぷりとした詩情を感じている。(施川ユウキ)

鬱野は3巻の途中で30歳になる。無駄な時間を重ねて大人になっていく、その姿がやけに尊く、好ましい。戦略的就活だの、クラファン起業だの、いまどきの発想とは無縁のまま、彼個人のものさしを投げ出さずに暮らしている。作者によれば「鬱野の毎日は冴えない。(…)鬱々としながら、それを含めて人生を楽しんでいる」。うん、こんな漫画があっていい。なんと今日! 最新刊の6巻が発売になるらしい。

最近は新入生なのかな、若いお客さんが増えている。たまたま通りすがって、店の前で立ち止まる、しばらく様子を伺って入ってきたり、こなかったり。数日後に入店、安価な本を買っていく。古本屋として、とても嬉しい。

今日も通常営業! 明後日20日(日)はイベント開催のため、終日休業。

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