天井の高い室内にはほとんど調度品といったものはなく、
テーブルの上にたわわに活けられた花があるだけ。 そのガランとしたスペースに
アクセントをつけているのは、 部屋の隅にあるプレイヤーから流れる音楽だけ。
アパートメントの窓からは、街も波止場も、一望できる。
小島さんのかけるウエストコースト派のジャズをききながら、
ぼんやり窓の外を眺めていると、あら不思議!
見えなかったはずのウエストコーストが見えてくるのだ。
風さえ、吹いてくるのだ。
ウエストコーストは、いわば小島さんにとっての“精神の王国” なのであり、
日常の中で慎重に培養され、今や確実に存在する風景なのである。
-本間健彦 (『プレイマップ』72年5月号より)
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