安井かずみの『空いちばん近い悲しみ』。
ちょうど一週間前。たまたま覗いた古書店でみつけた一冊。
ただ者じゃない佇まい。どうにも気になる眼の力。きっと、ここには嘘はない。
手に取った瞬間にそんな気がして、迷わず購入した。
「自由というモンスターの胃袋の中に放しがいにされている私達は、人類の歴史始まって以来のしあわせ者のはずなのに、
人類の歴史始まって以来の孤独者かもしれない。」
ここにははっきりと影がある。その分、つよい光もある。
高橋靖子の『表参道のアリスより』に似た雰囲気だなと思う。
この時代をするどく、しなやかに生きた女性のエッセイ集はとにかく面白い。
パーティーの喧噪から、孤独の憂鬱まで。書き手がまるごとそのまま入ってる。そんな気がする。
・・・それにしても、昭和の「大和書房」や「新書館」あたりの本が持つ、独特の力は何なのだろう!
「赤いシャツを着ようと、はだしで歩こうと、髪を長くしようと、パイロットになろうと、今夜その恋人と別れようと、自由なのだ。
そんな自由をもっているあなたは、あなた自身を、ほんとうにしあわせ者だと思うでしょうか?」
きっと、ボクらは幸運だ。
近くの図書館に行けば、彼女たちの本がすぐに読める。
インターネットで探してみれば、すぐに数冊、探してくれる。街から街へ、探しにいくのも悪くない。
目的地への辿り着き方はそれぞれでいい。重要なのはそこに着いてから、どうするかだ。
探し物をみつけてから、どうするか。そこはけっこう抜ける場合が多いのだけれど。
とりあえず、ボクは安井かずみの本を探すことにする。
この人の言葉を追いかけ、集めてみようと思う。
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