2020/12/09

icchieさんとの対話

毎年恒例、YOSSY LITTLE NOISE WEAVER(以下YLNW)、冬のつくば公演が次の日曜日、13日に迫ってきました。春から始まった新型コロナウイルス感染拡大と相まって中止されることが増えたライブ、イベント。演奏の場を失ったミュージシャンはこの間、何を考え、どう過ごしているのだろう? と、個人的に気になっていたことをYLNWのicchie(trumpet,vocal,etc)さんに聞いてみました。

最下(別枠)の記事、icchieさんが最近、気に入って聴いている音楽家、楽曲のリストもオマケで付けておきます。読み手の方がここから新たなお気に入りを見つけてくれたら嬉しいです。

やり取りはメールで。11月27日にご返信を頂きました。

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-今年2020年の春以降、コロナウイルス感染拡大に伴い、人前での演奏、ライブの機会が激減しています。この状況になって気がついたことはありますか?

僕の場合、音楽が生活の多くを占めてはいますが、一番大事なのは心のこと、人との関わりと生活、そこから音楽ができてくるんだなと思いました。

まず最初に外出しにくくなってから思い出したのは東日本大震災の時のことですね。あの頃は東京の調布に住んでいましたが、停電して、放射能のいろいろな情報、噂が沢山入ってきて、不安になり、電気を使うライブもレコーディングも出来なくて、自宅で悶々とした日々を過ごしました。で、必然的に自分の考え方などリセットする事になって、それ以来電気に頼りすぎないライブのあり方もYOSSYと考えてきました。

僕たちは様々な立場の人に聞いてもらう音楽をしているので、いろんな立場に立って想像して、良いと思えるものを考える。そういう事に自然に時間を使うようになっています。


-以前より、ご自宅で過ごされることが増えたと思います。そういう時間はどう過ごしていらっしゃるんでしょう?

結構楽器の練習をしていました。普段、ライブ、ツアー、レコーディングと次々とやらないといけない日々が続いていたので、時間があったらやりたいと思っていた課題とか練習メニューとかが沢山溜まっていて、今でもやり続けていますが、そんな時間が持てたのはとても有意義でした。普段のペースではなかなか難しい、じっくりと音に向き合う時間が持てました。

僕の周りの音楽家でもそう言う意見は多いです。あとは、作曲、レコーディング、アナライズ(音楽の分析)、料理、畑仕事、散歩、読書など、やりたかったけどじっくりできていなかった事が結構できました。

あと、ZOOMでオンラインレッスンを始めました。トランペットは独学の時間が長く、自分はとても苦労したので、そう言う事で得た経験や知識、乗り越え方のヒント、僕が見つけ出したアイディアを伝えたい気持ちになったからです。又、オンラインでも良いので人と繋がって、コミュニケーションを取りたいという気持ちも大きかったです。

オンラインレッスンって、最初はお互い慣れなくて硬いのですが、レッスンで音楽に集中していく中で、距離や不便さの壁が気にならなくなる瞬間があって、そういうのを感じるとすごく楽しい気持ちになります。

もちろん対面のレッスンも良いのですが、オンラインならではの良さ、面白さも発見できました。今後も続けていこうと思っています。


-音楽を聴くことは増えましたか? 

実は、コロナの少し前に音楽を聴く時間がとても減っていた時間がありました。自分の音楽やYOUTUBEでのライブなどの動画を見る時間がかなり増えていて、ゆっくり耳だけで音楽を聴く機会が減っていたのです。コロナ禍で急にじっくりと音に集中できる時間が増えて、音楽を純粋に楽しむ時間がとても増えたのは凄く良かったです。

で、ここまでライブなどがなくなると、自分の感動したものに素直に向き合う事になり、本当に好きと思えるものにフォーカスが合ってきたように思えます。これは思いがけなく大切な宝物を見つけたような感覚で、とても嬉しいことです。


-ウェブショップでのミックスCDの販売など、最近のお二人の小さな制作物が素敵です(イッチーさんの絵も!)。きっと楽しんで作ってるんだろうなあと察しています。作り始めて変わったことはありますか?

前から絵は描きたくて、ちょっとづつ絵の具とか買ったりしてたんですが、これはチャンスだと思って描き始めました。描く為の場所があるわけではないので、リビングを片付けて場所を作って、紙を敷いて、ダーっと描いていって、乾くまで待って。ミックスCDや7inchにセットでつけたポスターなど、コロナの中で手作業の温かみや人のリアルな痕跡、複製でないものを届けたい気持ちがを反映させています。

僕の場合、今は練習は減らせなくて1日のうちに占める時間は大きいので、単純な練習している時とかに頭に浮かんできたエネルギーを溜め込んでおいて、合間に一気に描きました。

今は何も考えず偶然何が起きるのかを自分でも観察しながら描くのが面白いです。自分の無意識のものをもっと引き出したいなと思って。あと立体にも興味があるので、今後チャンスを見つけてやりたいと思います。ここは木の枝や石、捨てられたものなど面白そうな素材がたくさんあって、何か作ってみたいんです。


-ありがとうございます! 逗子(12/5)、つくば(12/13)でのライブは久しぶりの機会です。今、思うことはありますか?

今年はあまりライブ出来ず、色々工夫して楽しむようにしてはいますが、僕はやっぱりライブが好きだし、生演奏をお客さんと共有するあの空間では、替えがきかないすごい事が起きていたんだなと再確認しました。

久しぶりにつくばの皆さんと一緒にライブという空間を楽しめる事をとても楽しみにしています!出来る限りの対策、気配りをしつつ、安心して音に没頭して楽しめるようにしたいと思います。

-楽しみにしています!

(聞き手:PEOPLE BOOKSTORE 植田)


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