2021/08/31

『骨折映画館〈死闘編〉〈平成頂上作戦〉』

高い評価を下すより、「いい物語だった」としばしその世界の余韻にひたることの方が絶対に重要だと私は考えます。–田口フミヒト

『骨折映画館 〈死闘編〉〈平成頂上作戦〉』が届きました。
高円寺で〈円盤(現・黒猫)〉を営んでいた田口史人(フミヒト)さんがある日のライブで骨折、しばらくの活動期間を経て約一ヶ月の完全休養期間に試みた「風呂→映画→接骨院→映画→昼寝→風呂→映画&映画」の日々で観た映画の感想を小林ヤスタカさんに投げ、それに対する返答とで構成される〈骨折映画館〉とその続編の〈死闘編〉。さらに平成映画を鑑賞し、今野オサムさんとのやり取りを収録した〈平成頂上作戦〉の三部構成。読みごたえ、あります。

販売価格は2200円(税込)。三村京子さんの絵が載った、特製ポストカード付き。

8/31 店日誌

追い求めていたものは「有名な店」ではなく「面白い店」だったはずだ。

8月31日、火曜日。先週何となく手に取った、堀部篤史『90年代のこと 僕の修行時代』(夏葉社)に感じ入った。そのうち多くは共感、もう少しは驚嘆–その冷徹な筆致に–だ。同じ書店主として仰ぎみる存在ではあれ、そういった目線を好まない堀部さんのたたずまい方、〈誠光社〉にかいま見える確かな意思に触れると、自分も「これでいいのだ」と安心してしまう。

昔は良かったなどと言うつもりはないが、もうこれ以上はいらないとは強く思う。これ以上美味いビールも、(略)さらに画素数の高いカメラ付きスマートフォンも、(略)土地や時間に縛られない新しい働き方も、(略)より多くの「いいね」もフォロワーも、これまでになかった新しい本屋もいらない。

以上の吐露のあとにつづく、「せめて〜」とはじまる文章にこそ、堀部さんの意思を感じる。ただ、この本『90年代のこと』は版元品切れ。当店にも入荷予定はなし。〈誠光社〉のオンライン・ストアで購入可能。気になったのなら是非読んでみてほしい。

明日から9月。いくつか臨時休業日があるので、追ってお知らせします。

2021/08/30

8/30 雑記

今日、買ったレコード。折坂悠太『たむけ』には「鳥」という曲が入っている。北浦和にあった酒場〈クークーバード〉へのおもいを歌にしたものだと、ずいぶん前にナツナさんが教えてくれた。いまは〈居酒屋ちどり〉として営業している北浦和のちいさな店。いろんな人が出入りしてライブをやったり映画を観たり、フリーマーケットなんかも催していたと聞く(ちなみに今、現在も同じようなことが行われている)。

「鳥」はもちろん、『たむけ』は全体の空気感、曲の配置、言葉選びが絶妙なので繰り返して3回聴いた。しみじみと良い。味わい深い。

本当にね、クークーバード始めて、あの店に立ってる時にシラフだったこと、ほとんどないですよ。/ 俺らはただ、飲んでただけ、店を開けてただけ(笑)。面白い人がどんどん来てくれたから良かった。

そう言えば、と思い、オオクマシュウさんがつくったZINE『TAPE–ECHO』vol.1を読み返す。クークーバードを営んでいたコーヘー君夫妻への聞き書きで構成したこの本、とにかく面白い。読むと、ついビールを開けてしまう。単に、いい人、いい場所みたいな言葉ではくくりきれない、店の面白味を感じさせてくれる。マーケティングなんかじゃ計り得ない場の力。ある年齢、環境、状況でないと起きなかったであろう様々なこと。それに対して、てきとうな見解を述べる店主。しっかりと下調べをした上で、その記憶に輪郭を与えていく聞き手。硬すぎず、柔らかすぎず、ちょうど良い按配でのやり取りがこころよい。

販売・配布はせず、オオクマさんと繋がりのある店に置いて、その場で読んでもらうことを前提に制作された店頭設置型ZINE『TAPE–ECHO』vol.1。当店にもありますので、興味があればお声がけください。

2021/08/29

『BEACON』vol.1

『BEACON』vol.1が届きました。
狼煙や灯台のように書き手と読者をつなぐ、生存報告誌。静岡、大阪、土浦、ブカレスト、ジュネーブ等々から集まった文章、写真、漫画を誌面に並べる興味深い試みです。テーマもスタンスもバラバラのようでいて、通底するものがあるようにも思える25ページ。書き手はほぼ90年代以降に生まれた人たち。ああ、こうして自分の関知し得ないところで新しい場や媒体が生まれるんだな。店をやっていると、こういう出会いがあるから面白い。

販売価格は500円(税込)。冒頭置かれた「夜八時過ぎの東京」からグッとつかまれた。

8/29 店日誌

8月29日、日曜日。やはり店を開けるのって面白い。昨日の閉店間際、生存報告誌『BEACON』vol.1を直接納品しに来てくれたのは、同誌に寄稿している上田由至さんと秦良介さん。初めて会ったお二人だけれど、自然と話せた。隣町の土浦にこんな人たちがいるのか! と驚いた。自分よりもずっと若い人の考えること、試していることの断片を知れるのは、こうして場を持っているから。店ってのは、社会との接点なんだよなあと再確認した。

今日は13時から19時まで開けています。通販等のお問い合わせは、お気軽に。

2021/08/28

Today’s YouTube #393

https://twitter.com/sokabekeiichi/status/1431076997401247746

『トラべシア』vol.6–完売しました!−

まるごと1冊つかって、とくに知名度もなにもない一般人を徹底的に特集してみたい。そのひとがどこで生まれ、どうやって育ち、どんなふうに暮らし、いまなにを考えているのかを、本人とまわりのひとたちとで解き明かしてみたい。うまくいけば、というか、普通にやれば、そのひとが生きてきた時代や文化や風俗も見えてくるに違いない。–鈴木並木(「ミドル・エイジ・ライオット」)

『トラべシア』vol.6が届きました。
創刊号から販売している「普通に読める日本語の雑誌」の最新号の特集は「いしあいひでひこのやさしい人生」。埼玉県在住の一般人・いしあいひでひこさん(1963年生まれ)でまるまる一冊、構成しています。まず間違いなく、他の雑誌や媒体では取り上げない方ではありますが、飾り気のなさゆえかものごとの本質にせまる記事が多いように感じます。ここでしか読めないものばかり。

販売価格は700円(税込)。鼎談「女も男も生きやすい社会をつくるには」がすごく、面白かった。