収集家はデータ屋ではない。収集家は夢想家なのだ。猟盤家は苦労家だ。苦労家だから間接的な物語では信用しないのだ。直に触れぬものを信じるまでの道程はデコボコだ。デコとボコなきところに生命はない。デコボコの道にあって想像力を駆使すると、あら不思議、ブツ、確信は実は身近にあったりすでに家にあったり目の前に放っておかれていたりするものだ。(湯浅学)*1
大筋として何て事ない話なんだが、戸川さんの語りかける様に綴られる何て事ないようでピリッと時に一瞬辛い文章は実にクセモノで、その何て事なさにどうやら中毒性があるようだ。(根本敬)*2
『やられた!』の解説として添えられた根本敬版『猟盤?日記』で、戸川文体のはらむ中毒性の一端が言語化されていて、納得。全てが説明されているわけじゃないのだけれど、ある種の魔力についての解説に成功している。自身の店〈ちんき堂〉を開いてからは猟盤行為はほぼゼロになり、戸川節にも変化があるのだが、じゅうぶんに味がある。
本はもちろんレコードや置き物、ポスターなどの古物にもっとたくさん触れたいなーっと思うのなら業者市に出入りせねばならないのだが、どうしたものか……。
今日も通常営業! 明後日18日(火)と明々後日19日(水)は連休です。
*1「だから戸川昌士は存在せねばならない」(『進め!』巻末解説)
*2「猟盤?日記」(『やられた!』巻末解説)

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