2024/11/20

11/20 店日誌

11月20日、水曜日。年末、師走、忘年会なんて言葉が耳に入ると気が重たくなる。そんな話はまだ、いい。予定も約束もなくていい。個々人、できるだけのことをやって、日々を過ごしていこう。自分は来月の出張、来年の催事に向けての準備を進めていければいい。突然あらわれる友人がもってくるビール、たま〜にある小さな飲み会、今はそれくらいで充分だ。無茶やればいい、って年でもないもんね。

オレは、いつも、この名づけようもない新しい音楽が生まれてくる瞬間への強い愛情と興味があるのと同時に、ブームが去った後に、何が残るか、いったい、その後どうやって各人がサヴァイヴァルしていくのかのほうに、それ以上の強い興味があるのだ。(…)問題は何を始めるかだけではなく、始めたものに対してどれだけ責任を取れるのかという話でもあるのだ。(大友良英)

今日も『大友良英のJAMJAM日記』を読んでいる。上記の一節を2006年12月末の日記で見つけて、ウームと感じて、立ち止まった。始めること、続けることってのは区別されずに語られがちだけど、しかも前者のほうに多くの関心が向きがちなのだけど、後者にこそ物事の本質が宿るんじゃないかと思う(でも、それだけに執着してると凝り固まっちゃうんだよなあ……。バランス取りがむずかしい)。

引用しながら他者を批判したいわけじゃなく、これから自分が始めようとしていることへの厳しい激励だと受け取った。始めただけで定期開催できず、継続もせずに終えてしまうのは避けたいのだ。

今日が、今年のストーブ初日。去年はいつから使っていたっけなあ。

2024/11/19

11/19 雑記

なんの予定もない休日。柏にでも行こうかなーと家を出る。自転車でゆっくり走ってつくば駅、電車を乗り換えて柏に到着。ディスクユニオンに向かってぶらぶら歩くと、イトーヨーカドーが無くなってる。わかってたけど少しさみしい。ジュンク堂も閉まっちゃったんだよなあ。開店時間ぴったりにユニオン入店。めずらしい音楽がかかってるのが気になってレジ横で確認すると、竹村延和だ。空白が多くて気持ちが落ち着く。たまに入る言葉、歌ではない発声にドキリとする。

たんまり買ったレコード、CD、古本はズシリと重たい。さあて、次はどうしようか。柏駅に戻ってキネ旬シアターの前を通過、小さな商店街を通り抜けると小学校が見えてくる。どこか昭和っぽい風景。角を曲がってすこし歩くと遠目に古本屋が目に入る。店前の均一棚には高齢の先客が何人か。よかった。太平書林が開いている。入口すぐにレコードがぽーんと置いてあったり、本の山があちこちにあったりして、これぞ古本屋! という感じの雑然とした店内。ここはほんとに値付けがやさしい。こりゃ、うちみたいな店はかなうわけがないな……と、落ち込みつつ反省する。もっと買いやすい値段設定にしなければ。

数冊の本を持って会計、やっぱり安い。ビニール袋をぶら下げてまた歩く。駅隣接の百貨店周辺はたくさんの人がいる。年齢層も幅広い。一歩一歩、ゆっくり足を進めるご老人。携帯片手に颯爽と歩く若者。主婦のグループ。高校生たち。ベビーカーを押す若そうなお母さん。流山おおたかの森を経由してつくばに戻ってきたのが14時半頃。今日は天気がいい。

真っ青な空と街路樹の紅葉が相まって、街の色がすごくきれいだ。味わうようにゆっくり歩く。大学内のサザコーヒーに入ってコーヒーを注文。外のテーブル席で待ちながら学生が行き交う通りをながめる。派手な髪の留学生、ジャージを着た運動部員、さりげなくお洒落な人もいる。ぼーっとしたり本を読んだり、思いのままに15分。ああ、たまには店を離れないとダメだな。視野が狭くなってた自分に気がつく。

日誌を書きおえたら外はまっくら。谷川俊太郎さんが亡くなったらしい。

2024/11/18

11/18 店日誌

僕らがやっているのは敵に向かって攻撃するような音楽ではなく、僕らの居場所を自分の手で確保していくような、自分の生き方を自分の方法と判断で決めていくような、切実だけどおおらかなサヴァイヴァルの音楽なのではないだろうか。(大友良英)

11月18日、月曜日。一昨日、昨日に続いて今日も『大友良英のJAMJAM日記』を読んでいる。上記したのは2004年10月某日に記された「香港、中国、そして台湾──ディクソン・ディーの挑戦(その3)」で見つけた一節。「(ソウルにも台湾にも)政府も企業も関係なく、身軽に一人で立ちながらやっていく等身大の音楽の居場所が着実にできてきている」という実感を経ての言葉には、20年後の今もつよく響く力がある。来年初頭に準備しているイベントに向けて背中を押されたようで、ぐっと胸が熱くなった。

開店前に〈S〉に行くと、客は自分ひとりだけ。注文した蕎麦がくるまでの10分ほど、お茶をすすりながら本を読む。じわーっと心が満たされていく。せいろの大盛りにも大満足。会計時にかるく話して店を出た。

今日は通常営業。店はもちろん、オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

2024/11/17

11/17 店日誌

11月17日、日曜日。暇なら本を読んでりゃいい。そう書いたら開店からしばらくずーーーっと暇で、レコ寄席の出店で買った『大友良英のJAMJAM日記』を読んでいた。ニューヨーク、ウィーン、サラエボ、ソウル、つくば(!)、ボストン、ケベック、ナンシー、六本木、新宿、吉祥寺……と、とにかく移動しまくる大友さんに驚かされる。フェスやワークショップ、単独でのライブ、出演形態も色々だ。全体の5分の1くらいまで読んで2002年、今の自分と大友さんは同い年。無理矢理にでも動かねば! 読みつつ幾度も刺激される。

招聘されたニューヨークでの音響、主催者の弱腰、筋の通らない姿勢に怒りを示す。権威的だったり右ならえ的なジャーナリスト、腰巾着のような音楽ライターへの反感。小さくとも意思のある催事、会場への共感。音楽家、表現者との連帯と孤立。感情が入り乱れる日記で、読みはじめたら止まらない。

夢中になって読んでると「チワー」っと佐藤拓人夫妻があらわれて面食らう。「なんでなんで?」と話し始めるとお客さん。その後もまたお客さん。ナツナさんもきて、話しこむ間にも来客あり。なんだかんだで、賑わいのある土曜日だった。

急だけど、今日は11時から17時までの短縮営業! ご都合合えば、ご来店を!

2024/11/16

11/16 店日誌

11月16日、土曜日。昨日は田口史人さんの《レコード寄席》開催のため、18時までの短縮営業。開いてるのは正味3時間。短すぎて忍びない。だったら週末は早く開けて、営業時間を延ばせばいい! 週はじめはそう思っていたのだが、今になると失敗したかも……なんて気持ちも芽生えてくる。11時に開けて人は来るのか? 20時まで飽きずに店にいられるのか? こまごまと考えはじめるとキリがない。とにかくやってみよう。心の中でどりゃー! っと叫んで気合いを入れる。暇なら本を読んでりゃいい。

短縮営業と謳うと、不思議なもので来客が尽きない。レコ寄席楽しみだな〜と落ち着かないテンションで店にいると遠方の方、なじみの方々などが来て、それぞれに物を選んで買っていく。短距離走のような金曜日。となると今日は長距離走か。

レーベル在庫がわずかと聞いた、mmm『Blue/Tanko Bushi,Row Your Boat』が滑り込みで再入荷! 中身のつまった7インチ・シングル、B面収録の「炭鉱節」は満月の夜にぴったり。同時に買い取った『店の名はイズコ』も、オンライン・ストア〈平凡〉で購入可能。

てなわけで、今日明日は11時開店。お暇があればご来店ください。

2024/11/15

11/15 店日誌

11月15日、金曜日。ガラガラと店にドアが開いて、入ってきたのは二人の若者。まっすぐ丁場に向かってきて「ぼくたち、筑波大の現代短歌会のメンバーで……」と話し始めて、すぐに了解。機関紙『つくば集』を持ってきてくれたのだ。当店でも販売した創刊号と第二号、扱わなかった第三号を経ての最新号はこれまで以上の厚みがある。会員の作品や座談、評論などで構成されていて、読みごたえもある。迷わずに買い取ると、彼らもそれぞれ本を買っていく。自然で健やかなやり取りだった。

上記の本はオンライン・ストア〈平凡〉にも追加済み。他にも古本を主にして日々なにかしらが入荷していて、売れていくものもある。気が向いたときに覗いてほしい。

今日はレコード寄席開催のため、18時までの短縮営業。ご来店はお早めに。

2024/11/14

11/14 店日誌

11月14日、木曜日。いよいよ明日は田口史人さんのレコード寄席。最初の2回は当店で開催。その後はずっと隣の〈千年一日珈琲焙煎所〉で開催している。文学者、ムードコーラス、日本のラテン、レコード最後の日、ビートルズ。前々回から急に来場者が増えて、前回はもはやパニック状態。「お茶の間にロック! ~サザン・オール・スターズ異聞」がテーマの明日は一体どうなることか……。一応、予約制で30人限定で開催するので、ご来場希望の方は会場までお問い合わせを! 現状、まだまだ席はあるとのこと。

今日は通常営業! 明日は15時から18時までの短縮営業です。