2026/01/26

1/26 店日誌


それもそうですわ。わたしはOctBaSSやGOOD NEAR RECORDSにばかり遊びに行くし、そっちの方に引っ越したらどこに出かけるのだってもっと簡単になりますわ。素敵ですこと。引っ越します。引っ越しました。

1月26日、月曜日。Kossi Caldwellが2025年が振り返る。こしのかんばい、なんとも個性的な人なのだけど、会うとなぜか安心させられたりもして不思議なんだよなァ。彼女の表現、というべきか音楽活動はこれまた言語化が難しくて、いまだに腑に落ちていないってのが本当のところ。まったく嫌なわけじゃないし、興味を持たせてくれる部分もたくさんある。だけど、まだ確かな手ごたえを得られてない。今年は意識的に彼女のつくるものに触れてみようと思ってる。

いやあ、それにしても! 昨夜のDJ PINのプレイには圧倒された。楽しい、面白い、とかじゃないんだ。目の前で生成する変異体音楽を浴びつづけて、声も出せずにいた70分(イエー! とか、ヒュウ! も発声できず)。エレクトリック・マイルスが進化を止めずにいたら、こうなってたんじゃなかろうか……つーか、これをマイルスにみてほしい。そんなことを考えていた。

DJ PINを招いて、パーティーを企画したエスプラくんに拍手を送りたい。なぜ、アイツがここまでこだわったのか、理由がわかった気がした。実験じゃないし、変態でもない。笑みをたたえつつプレイするピンさん、いい雰囲気だった。

さあさあ、これで今月の山は越えたかな。27日(火)・28日(水)は連休です

2026/01/25

1/25 店日誌


外国人著者による日本論から始まり、民俗学的な本、聞き書きの手法で書かれた本へと進み、最後はなぜか爆弾犯の本へ。音楽に例えるならば、民謡からフォークソングを経てアナーコ・パンクに着地という具合か。ちなみに、途中から左の方へ旋回しているのは、10月に映画館で観た、レオナルド・ディカプリオが急進的左翼を演じた映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』の影響ですね。

1月25日、日曜日。青野利光が2025年を振り返る。ご存じ、『スペクテイター』編集長。事務所は当店から車で5分、家から歩いて10分ちょっと、まごうことなきご近所さん。最新号ができたときはもちろん、バックナンバーの注文にも直納品してくれる。誰よりも早く仕上げてくれた原稿もいい按配、飄々としつつ自虐と毒のまざった語り口がなんともいい味。「なんともはや、ユルユルで場当たり的なチョイス」と表する読書MIXを作ってくれたのも嬉しかったなァ。

個人の行動が可視化され、管理が加速する現代において、定住を拒む「漂泊」という生き方は、いかなる意味を放つのか。日本の歴史と民俗を辿り、現代人が失った精神の根源を掘り下げる、あらたな旅への案内。

スペクテイター55号の特集は「にっぽんの漂泊民」。前号「パンクの正体」特集への反応もようやくハッキリとしてきたのだけど……いく人かの読者いわく「さっぱりしない」「どうも違和感があった」「ウーン、これはこれでありなのかねェ」という感じ。そうっすよねえ! それでいい! なんてやり取りをしたのは、きのうのこと。

誰もが同じように楽しめて、喜べるものなんてあるわけがない。ポピュラーなものにだって賛否両論、いろんな声が届くはず。雑誌や音源、小さなイベントだって同じこと。できるだけ他者の意見に耳を傾けて、自分なりに咀嚼できればいい。

今日も通常営業! 本の買取り、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2026/01/24

1/24 店日誌


朝、白い天井。ついさっきまで、どこかにいたような感じがすると思った。まだ胸がどきどきしていて、ぼうっとしていたら、夢の内容を思い出した。悲しい夢は本当のことよりも息が長いと思う。振り返って残っているものはしみじみとあまく、戻っていくわけでも止まったわけでもなく、永遠になったふるさとなんだろう。あたらしいふるさと。

1月24日、土曜日。森本友が2025年を振り返る。わりに前から知ってはいるのだけど、なにを考えてるのかよくわからず、しばらく不思議な人(死んだ言葉をつかえば「不思議ちゃん」ってやつ)だなーっと思っていた森本さん。近年ちょっとずつ輪郭が見えてきたような気がしてきて、やり取りしやすくなったかな〜いや、いまだによくわからん! なんて感じでぐらつきながらも楽しく付き合えるようになった。彼女はいま、当店での「ふるさと」フェアに参加している。個展じゃなくて販売促進のための催事だったはずなのだが。

PEOPLE BOOKSTOREで個展開催中の森本友さんのアナザーサイドの展示がが本日より焙煎所で始まっています。詳細は後ほど。(*)

いつのまにか、近所の〈千年一日珈琲焙煎所〉で展示がはじまっていた。個展じゃない催しが勝手に派生した「アナザーサイドの展示」。なんのこっちゃい。でも、それが全然嫌じゃないし、いい感じに盛り上がってくれたらいいなーと思う。

きのう届いた『Spectator』55号の特集は「にっぽんの漂泊民」。まず、丸尾末広による表紙画がビシッと目に入る。肝心の内容は、過去の名特集(「禅」「わび・さび」「日本のヒッピー・ムーヴメント」)を引き継ぐものになっていて、手ごたえあり。

今日もいろいろ入荷予定あり! オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。

2026/01/23

1/23 店日誌

『シビル・ウォー』『サブスタンス』『愛はステロイド』『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』と、残忍もしくは陰気で自意識こじらせたようなやつ、他人への共感能力に決定的な欠如のあるやつが出てくる映画ばっかり観てたように思います。

1月23日、金曜日。キングジョーが2025年を振り返る。いやあ、ジョーさんが参加してくれたのは嬉しかった! 映画を数多く観てる人はそれなりにいるけど、こんな風に言語化して、印象を伝えてくれる人は多くない。どれだけの数を観て、がんばって劇場に通ったかって話じゃなくて、個人的な興味を熱源にしながら静かに映画を観続ける。そんな人がまわりにもちょっとだけいて、彼・彼女の話を聞くのが好きなのだ。

あと大きかったのは、10年近く集めてたタイのレコードでミックスCDを作ったこと。アジア音楽と文化を“タムブン”の精神で伝えるメディア”てんぱりてんぷる”やタイ音楽DJのKO MEGさんによる活動を見て「おれもなんかしたい」と思い立ったことがきっかけでした。

昨年、当店でもたくさんの方が反応してくれた『THE GODFATHER OF THAILAND』。3部作構想だったとは完売してから知ったのだけど、ということは、たぶん今年も何かしらがリリースされるわけだ。そうなりゃ当然仕入れるし、ジョーさんを招いてなにかできたらいいなーとも考える。

午前中、理髪店〈Bespoke〉に行ってきたため、開店が遅くなりました。ちなみに、来週27日(火)・28日(水)は連休です。それ以外の日は通常営業。

てなわけで、今日よろしくお願いします! 新刊の入荷予定あり〜!

2026/01/22

1/22 店日誌


驚いたり悩んだり、違和感、徒労感とか。でもそれも結局のところ、突き詰めれば自分自身のもんだい。このままどんどん自分のあれこれを切り捨てていって、私の中の空洞がもっと広がれば、芸術のちょうどいい容れ物になれるかな。

1月22日、木曜日。河野友花が2025年を振り返る。河野さんのテキストが読みたいからこの「振り返る」シリーズを続けてるといって過言じゃない。だって、こんなこと書ける人、オレは他に知らないんだもの。感情を込めつつ、抑制の効いた言葉選びがされていて、スーッと身体に入ってくる。本、映画、音楽のリストを見るだけでもじゅうぶんに楽しめる。今年は息子の泰然くんも参加してくれたのも嬉しかったなあ! 河野さん、来年以降もよろしくお願いします。

ピープルでは、わたしのつくる雑誌の即売会をやらせてもらい、やはりピープルまわりの愉快な仲間たちが開催するイベントにも呼んでもらいました。そのほか、様々なイベントで商品について喋りまくりました。当たり前なんですが、ちゃんと説明すると売れるんですね。

つづいて、金井タオルが2025年を振り返る。受け取ったときに、この短さ! 淡白さ! 最高だなーと感じたのをよく覚えてる。泣いたり泣かせたり、心震わせなくていい。こういう人がいてくれないと、20人に頼んでる意味がない。テキスト・ウィズアウト・ソウル。ぱっと見、魂のこもってない文章だけど、金井さんって人がここにいる。

この時代、何かしらの危機感を抱かずにいるほうが難しい。ニュースに耳を傾ければ嫌なことばかり。SNSは余計な動画を延々と垂れ流す。だけど、危機感が高まり過ぎてエモーショナルになっていくのも危険だと思う。やたらにソウルフルな言説にも要注意。できるかぎり平静を保って、穏やかに暮らしていきたい(にしても、また選挙なんだもんなァ……)。

今日は通常営業! 明日23日(金)は13時〜19時の短縮営業です。

2026/01/21

1/21 店日誌


古本屋しかない時代だった。新本屋には売ろうにも商品がないのだ。戦争で版元が潰滅したので、新刊書が出ないのである。その空白を古本屋が一手に引き受けた。(種村季弘)

1月21日、水曜日。種村季弘『書国探検記』の冒頭に置かれた「シークレット・ラビリンス」は戦後まもなくの書店状況から語り出され、実感的な古本屋讃歌へと展開していく。種村氏いわく───「古本屋の書棚の蔭では何が起こるかわからない。能率的な本探しのための配置はない、とばかりも言い切れないが、整理しようにも整理のつかない本がある。すぐお隣に並んでいても、時代が二ケタ三ケタとんでいるのが珍しくない」。こんなお客さんがいるならば、とっ散らかった古本屋も悪くないと思えてくる。

ひとりの人間が長年買い集めてきた本を買い取ることは、その人の人生と向き合うことでもある。同年代の人生に向き合うことは、自分の人生とも照らし合わせることになる。

代々木上原駅のすぐそばにある古書店〈ロス・パペロテス〉店主、野崎雅彦が2025年が振り返る。 渋谷で用事があるときは大抵代々木上原駅で下車、20分ほどかけてちんたら歩いていくのがちょうど良い。必然的に野崎さんのお店に顔を出すことが増えて、去年はたくさんお話を聞かせてもらった(何冊かの探求書との出会いもあった……!)。数少ない同業の先輩。聞きたいことはいくらでもある。

今週は23日(金)のみ13時開店、その他の日は通常通りの営業予定。古本はもちろん、新刊書や新譜にも動きが多くなりそうなので、ご注目を。オンライン・ストア〈平凡〉やインスタグラムとも連動して紹介していきます。

店内暖かくして営業中。本の買取、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2026/01/20

1/20 雑記

滋賀県彦根市〈山の湯〉に向けて古本を一箱発送したのち、久しぶりで〈かつ善〉へ。口開けで入店すると、最後まで他の来店はなく、テレビの音を聴きながらゆっくり食した。市内のとんかつ屋ではここがいちばんちょうど良い。

そのあと、夕方前に買い物に出た以外はほとんどコタツの中にいた。種村季弘『人生居候日記』はダシの味が染みこんだ煮物みたいな本。「不景気でも、不景気でなくても、しみじみ不景気に飲みたがる人がいる。そういう人が、小出しに、かつ濃密にしみじみと、片隅のお店を猫みたいに膝にのせて撫でている」と閉じられる「片隅の飲み屋」がとてもいい。ああ、飲み屋に行きてェなあ。