2024/11/22

11/22 店日誌

11月22日、金曜日。ビーチボーイズ『ライト・アルバム』に針を落とす。はっきり言ってジャケはイマイチ、ほっとけば聴かないままだったと思うのだけど、これがなかなか悪くない。大きな山場がないまま地味な曲が続いて、コーラスが重なっていく。低空飛行。なんとなく冬っぽさを感じたりして、じわーっと身体に染みこんでくる。B面の「ベイビー・ブルー」から「ゴーイン・サウス」への流れ、今日の天気にぴったりだ。

本作はじめ、中古レコードにいろいろと入荷あり。だいたい1000円以下で、買いづらくはないかな〜と思ってるけど、どうだろう。期待せず軽い気持ちで、見てくれたら嬉しいな。

今日も通常営業。お暇があれば、お出かけください。

2024/11/21

11/21 店日誌

11月21日、木曜日。ここ数日かかりっきりだった『大友良英のJAMJAM日記』を読み終えて、手に取ったのは田村隆一『退屈無想庵』。「退屈隠居をきめこんで猫と一緒に日がなゴロゴロ/そんなボクが日記を書いた! 初公開、詩人のボクの鎌倉日記」と帯にある通り、平成2年12月5日(水)にはじまる日記帖。飄々としながらするどい知性も漂わせる。いい加減なようでいて、言葉に対する観察眼は真似ようがないほどに独特で正確だ。

大晦日、大晦日とあんまり云って貰いたくないのである。こう云う事は、なるべく、そっとして置いて、無闇に騒ぎ立てない方がよろしい。恐ろしく切迫つまった事のように、世人が考えたがるのは、迷信である。或いは為にする輩の手なのである。小生は滅多にその手に乗らないぞと考えている。(内田百閒)

入院中の田村氏がベッドでひもとくのは内田百閒。百閒先生の金銭(借金)論を語りつつ、明治5年から6年にかけての明治政府の強引な太陽暦の採用を紹介する。そのなかにあったのが上記の一節、年末年始のかけ声が迫ってくるのを恐れる自分をスッとさせるものだった。筋のとおった人の言説に触れると、妙に嬉しい。多少無茶であるくらいがちょうどいい。

筑波大学の学生を中心に結成された「つくば現代短歌会」の機関誌『つくば集』第四号に要注目。誌面一新大躍進号! といって大袈裟でない内容と分量。初回分はすぐに売り切れ、週明けに補充済み。オンライン・ストア〈平凡〉でも購入可能。

今日明日は15時開店! 本の買取、査定もご依頼は常時歓迎。お問い合わせはお気軽に。

2024/11/20

11/20 店日誌

11月20日、水曜日。年末、師走、忘年会なんて言葉が耳に入ると気が重たくなる。そんな話はまだ、いい。予定も約束もなくていい。個々人、できるだけのことをやって、日々を過ごしていこう。自分は来月の出張、来年の催事に向けての準備を進めていければいい。突然あらわれる友人がもってくるビール、たま〜にある小さな飲み会、今はそれくらいで充分だ。無茶やればいい、って年でもないもんね。

オレは、いつも、この名づけようもない新しい音楽が生まれてくる瞬間への強い愛情と興味があるのと同時に、ブームが去った後に、何が残るか、いったい、その後どうやって各人がサヴァイヴァルしていくのかのほうに、それ以上の強い興味があるのだ。(…)問題は何を始めるかだけではなく、始めたものに対してどれだけ責任を取れるのかという話でもあるのだ。(大友良英)

今日も『大友良英のJAMJAM日記』を読んでいる。上記の一節を2006年12月末の日記で見つけて、ウームと感じて、立ち止まった。始めること、続けることってのは区別されずに語られがちだけど、しかも前者のほうに多くの関心が向きがちなのだけど、後者にこそ物事の本質が宿るんじゃないかと思う(でも、それだけに執着してると凝り固まっちゃうんだよなあ……。バランス取りがむずかしい)。

引用しながら他者を批判したいわけじゃなく、これから自分が始めようとしていることへの厳しい激励だと受け取った。始めただけで定期開催できず、継続もせずに終えてしまうのは避けたいのだ。

今日が、今年のストーブ初日。去年はいつから使っていたっけなあ。

2024/11/19

11/19 雑記

なんの予定もない休日。柏にでも行こうかなーと家を出る。自転車でゆっくり走ってつくば駅、電車を乗り換えて柏に到着。ディスクユニオンに向かってぶらぶら歩くと、イトーヨーカドーが無くなってる。わかってたけど少しさみしい。ジュンク堂も閉まっちゃったんだよなあ。開店時間ぴったりにユニオン入店。めずらしい音楽がかかってるのが気になってレジ横で確認すると、竹村延和だ。空白が多くて気持ちが落ち着く。たまに入る言葉、歌ではない発声にドキリとする。

レコードをたんまり買うとズシリと重たい。さあて、次はどうしようか。柏駅に戻ってキネ旬シアターの前を通過、小さな商店街を通り抜けると小学校が見えてくる。どこか昭和っぽい風景。角を曲がってすこし歩くと遠目に古本屋が目に入る。店前の均一棚には高齢の先客が何人か。よかった。太平書林が開いている。入口すぐにレコードがぽーんと置いてあったり、本の山があちこちにあったりして、これぞ古本屋! という感じの雑然とした店内。ここはほんとに値付けがやさしい。こりゃ、うちみたいな店はかなうわけがないな……と、落ち込みつつ反省する。もっと買いやすい値段設定にしなければ。

数冊の本を持って会計、やっぱり安い。ビニール袋をぶら下げてまた歩く。駅隣接の百貨店周辺はたくさんの人がいる。年齢層も幅広い。一歩一歩、ゆっくり足を進めるご老人。携帯片手に颯爽と歩く若者。主婦のグループ。高校生たち。ベビーカーを押す若そうなお母さん。流山おおたかの森を経由してつくばに戻ってきたのが14時半頃。今日は天気がいい。

真っ青な空と街路樹の紅葉が相まって、街の色がすごくきれいだ。味わうようにゆっくり歩く。大学内のサザコーヒーに入ってコーヒーを注文。外のテーブル席で待ちながら学生が行き交う通りをながめる。派手な髪の留学生、ジャージを着た運動部員、さりげなくお洒落な人もいる。ぼーっとしたり本を読んだり、思いのままに15分。ああ、たまには店を離れないとダメだな。視野が狭くなってた自分に気がつく。

日誌を書きおえたら外はまっくら。谷川俊太郎さんが亡くなったらしい。

2024/11/18

11/18 店日誌

僕らがやっているのは敵に向かって攻撃するような音楽ではなく、僕らの居場所を自分の手で確保していくような、自分の生き方を自分の方法と判断で決めていくような、切実だけどおおらかなサヴァイヴァルの音楽なのではないだろうか。(大友良英)

11月18日、月曜日。一昨日、昨日に続いて今日も『大友良英のJAMJAM日記』を読んでいる。上記したのは2004年10月某日に記された「香港、中国、そして台湾──ディクソン・ディーの挑戦(その3)」で見つけた一節。「(ソウルにも台湾にも)政府も企業も関係なく、身軽に一人で立ちながらやっていく等身大の音楽の居場所が着実にできてきている」という実感を経ての言葉には、20年後の今もつよく響く力がある。来年初頭に準備しているイベントに向けて背中を押されたようで、ぐっと胸が熱くなった。

開店前に〈S〉に行くと、客は自分ひとりだけ。注文した蕎麦がくるまでの10分ほど、お茶をすすりながら本を読む。じわーっと心が満たされていく。せいろの大盛りにも大満足。会計時にかるく話して店を出た。

今日は通常営業。店はもちろん、オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

2024/11/17

11/17 店日誌

11月17日、日曜日。暇なら本を読んでりゃいい。そう書いたら開店からしばらくずーーーっと暇で、レコ寄席の出店で買った『大友良英のJAMJAM日記』を読んでいた。ニューヨーク、ウィーン、サラエボ、ソウル、つくば(!)、ボストン、ケベック、ナンシー、六本木、新宿、吉祥寺……と、とにかく移動しまくる大友さんに驚かされる。フェスやワークショップ、単独でのライブ、出演形態も色々だ。全体の5分の1くらいまで読んで2002年、今の自分と大友さんは同い年。無理矢理にでも動かねば! 読みつつ幾度も刺激される。

招聘されたニューヨークでの音響、主催者の弱腰、筋の通らない姿勢に怒りを示す。権威的だったり右ならえ的なジャーナリスト、腰巾着のような音楽ライターへの反感。小さくとも意思のある催事、会場への共感。音楽家、表現者との連帯と孤立。感情が入り乱れる日記で、読みはじめたら止まらない。

夢中になって読んでると「チワー」っと佐藤拓人夫妻があらわれて面食らう。「なんでなんで?」と話し始めるとお客さん。その後もまたお客さん。ナツナさんもきて、話しこむ間にも来客あり。なんだかんだで、賑わいのある土曜日だった。

急だけど、今日は11時から17時までの短縮営業! ご都合合えば、ご来店を!

2024/11/16

11/16 店日誌

11月16日、土曜日。昨日は田口史人さんの《レコード寄席》開催のため、18時までの短縮営業。開いてるのは正味3時間。短すぎて忍びない。だったら週末は早く開けて、営業時間を延ばせばいい! 週はじめはそう思っていたのだが、今になると失敗したかも……なんて気持ちも芽生えてくる。11時に開けて人は来るのか? 20時まで飽きずに店にいられるのか? こまごまと考えはじめるとキリがない。とにかくやってみよう。心の中でどりゃー! っと叫んで気合いを入れる。暇なら本を読んでりゃいい。

短縮営業と謳うと、不思議なもので来客が尽きない。レコ寄席楽しみだな〜と落ち着かないテンションで店にいると遠方の方、なじみの方々などが来て、それぞれに物を選んで買っていく。短距離走のような金曜日。となると今日は長距離走か。

レーベル在庫がわずかと聞いた、mmm『Blue/Tanko Bushi,Row Your Boat』が滑り込みで再入荷! 中身のつまった7インチ・シングル、B面収録の「炭鉱節」は満月の夜にぴったり。同時に買い取った『店の名はイズコ』も、オンライン・ストア〈平凡〉で購入可能。

てなわけで、今日明日は11時開店。お暇があればご来店ください。

2024/11/15

11/15 店日誌

11月15日、金曜日。ガラガラと店にドアが開いて、入ってきたのは二人の若者。まっすぐ丁場に向かってきて「ぼくたち、筑波大の現代短歌会のメンバーで……」と話し始めて、すぐに了解。機関紙『つくば集』を持ってきてくれたのだ。当店でも販売した創刊号と第二号、扱わなかった第三号を経ての最新号はこれまで以上の厚みがある。会員の作品や座談、評論などで構成されていて、読みごたえもある。迷わずに買い取ると、彼らもそれぞれ本を買っていく。自然で健やかなやり取りだった。

上記の本はオンライン・ストア〈平凡〉にも追加済み。他にも古本を主にして日々なにかしらが入荷していて、売れていくものもある。気が向いたときに覗いてほしい。

今日はレコード寄席開催のため、18時までの短縮営業。ご来店はお早めに。

2024/11/14

11/14 店日誌

11月14日、木曜日。いよいよ明日は田口史人さんのレコード寄席。最初の2回は当店で開催。その後はずっと隣の〈千年一日珈琲焙煎所〉で開催している。文学者、ムードコーラス、日本のラテン、レコード最後の日、ビートルズ。前々回から急に来場者が増えて、前回はもはやパニック状態。「お茶の間にロック! ~サザン・オール・スターズ異聞」がテーマの明日は一体どうなることか……。一応、予約制で30人限定で開催するので、ご来場希望の方は会場までお問い合わせを! 現状、まだまだ席はあるとのこと。

今日は通常営業! 明日は15時から18時までの短縮営業です。

2024/11/13

11/13 店日誌


11月13日、水曜日。朝イチで針を落としたのは、The Revolutionaries『VITAL DUB:Well Charged』。小さな音で流すのがちょうどいい。つづいて『REMEMBERING COUNT OSSIE ~A RASTA “REGGAE”LEGEND』、和訳すれば『カウント・オジーを憶う』になるだろうか。ラスタのレジェンド、カウント・オジーへのトリビュートだけあって心臓の鼓動に似たナイヤビンギが基盤になったやさしい音楽。どこか暢気な雰囲気が漂っていて、聴いてると気持ちが軽くなる。

どちらも、天久保一丁目〈Good Near Records〉で買ったレコード。店主スエルテくんのお薦めだったり、なんとなくピンときたりで買ってみる。手で触って眺めるだけでも刺激になるけど、やっぱり買ってみなくちゃ分からない。近所にそんな機会をつくれる場があるってのが嬉しいのだ。

今日、明日は通常営業。明後日15日(金)は《レコード寄席》のため、短縮営業。

2024/11/12

11/12 雑記

秋晴れのなか、車を走らせて〈茨城県立歴史館〉に行ってきた。イチョウがきれいに色づいた公園が目的の人がいれば、小学生の団体もいる。いい天気。ロビーのベンチに座って本を読んでいるだけで気持ちがいい。目当ては開館50周年記念展だったのだが、ぐいっと引き込まれたのは常設展。小学生が沢山いるからまずは上に! と学芸員さんに言われて、そのまま2階に上がる。縄文~弥生~奈良~平安~室町~鎌倉と教科書通りの順で展示を見ていくと、だいぶ早い段階で支配者が現れる。貧富の差があっての職業と身分があり、使う人、使われる人の構図は大昔から変わっていない。

それにしても、茨城県という土地にしぼって歴史をさかのぼっていくのは面白い! 馴染みの地名が出てきたり、平将門の存在の大きさに興味がわいたり、足を止めながらじっくり見る。茨城や福島、栃木には反逆の徒が多かったのか……? 中央集権的な動きに反発、抵抗しながら生きた人のこと、大きな歴史の物語からこぼれ落ちた出来事、事件をもっと知りたいなーと思う。

2024/11/11

11/11 店日誌

自分の気持ちに誠実に忠実に生きていくと、物事に対して何の迎合もなく素直に表現すると、パンクになっちゃうんじゃない? ね? だから誠実さ。僕流の誠実さですよね。物とか人とか、言動っていうものを誠実にするためにはどういうふうにしたらいいのか。(平野甲賀)

11月11日、月曜日。上記の一節は、平野甲賀『僕の描き文字』所収の「パンク、パンク、パンク」から。用法の正しさは置いておくとして、ここで甲賀さんの語るパンク感に自分はつよく共感する。つまるところ、パンクは自己の心にいかに率直であるかだと思うから。現状では実践できているとは言えないけど、目標にすることはできる。せめて、少しでも卒直に、誠実に。人、店、役割と向き合っていければいい。

この点でのパンクと言えば、友部正人さんの姿が頭に浮かぶ。先月のライブの打ち上げでも「パンク」という言葉が何度か使われた(ほとんどはユミさんだったかもしれないけど)。友部さんの4年ぶりの新作『銀座線を探して』は11月20日(水)発売。ただいま、ご予約受付中。

今月はオンライン・ストア〈平凡〉の反応がいい。入荷後、時間が経ったものでも、並べ方をかえれば新鮮な姿をまとわせられる。新刊、古本、音源を混ぜて並べて選んでもらう。これもまた楽しい仕事なのである。きまぐれ更新の「平凡日誌」、「読書日記」の感想を聞かせてくれる人がいるのも、ありがたいこと。

今日も通常営業。ちょうどいい湿度で読書日和な気がします。

2024/11/10

11/10 店日誌

11月10日、日曜日。自分にもある。入りづらい店との出会い。いざ、入ってしまって気まずかった思い出。ドアを開ければガラガラと音がして店主が顔を上げる。目があって「ヤベ……」となってもすぐには出られず、店内を一周。頃合いをはかってそろっと店に出るしかない。「アア……あの店なんなんだよ」と、外気に触れてほっとひと息。二度と行かないときもあれば気になってもう一度行って、だんだん慣れていったこともあった。

たとえそれがどんな店でも、その町との親和性は非常に大切で、どんな形ででも、それがないと店は存在意義を問われ、淘汰されるのだということを思わされた。(田口史人)

再入荷を機に再読しはじめた、田口史人『店の名はイズコ』。格言、箴言みたいなことは書かれてないのだけれど、端々で「オレの店は?」と立ち返らざるを得ない。店はそれぞれ好きにやればいい。でも、存在意義はつねに問われている。

「店」はやっぱり面白い。売れても、売れなくても。買えても、買えなくても。

ぱっと見てなんの店だかわからない。その上、店内は歩きづらく、人が溜まっていることもある(しかも、ビール飲んでたりして……)。入りづらい要因をあげればキリがない、ピープル・ブックストア。よくぞ入ってきてくれた。買うものがなくても、しかたない。今はそう思ってる。

今日も通常営業。本の買取、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2024/11/09

11/9 店日誌

11月9日、土曜日。お昼前、知人が教えてくれた〈P〉に行く。入店してすぐ、なるほど! ここはあの人が好きそうだな〜と腑に落ちる。店主と思わしき方とのやり取りは最小限。お互いに誰で、どこからきて、何をしてるのか? と探り合うこともない。メニューを見て注文、出てきたものを食べて、コーヒーを飲む。合間にちょこちょこ本を読んだだけ。帰る間際、遠くで小さく鳴っているのがフィッシュマンズだと気がついた。

数ヶ月ぶりに再生した『WADA MAMBO’S HOME MADE monaural deluxe 2』が、やっぱりカッコいい! さりげないのに特別。さらっと聴けるのに、どこか野蛮な気配も漂う。こんな風に色気を漂わせる音楽はそう多くない。

今日明日、明後日は13時開店! オンライン・ストア〈平凡〉にも入荷あり。

2024/11/08

11/8 店日誌

11月8日、金曜日。午前中、飛行機が低空飛行を繰り返す。屋内にいても爆音が鳴り響く。ゴォォォォォ! ギュォォォォォン! 何度も、すぐ近くを飛んでいく。同じ機体なのか? なんらかの舞台の演習なのか? 見上げてみても判別できない。ただ、本当に低く飛んでいて、目の前を飛んでいったときは「近ェ!」と声を上げずにはいられなかった。アメリカの大統領選の影響なのかね……なんて知人と話しみても、笑いとばすこともできず、無言のまま仕事に戻った。昨日の10時頃、つくば市でのこと。

ミュート・ビートが結成されたのは82年、和暦で言うと昭和57年。日本では第一次中曽根政権が誕生、アメリカはレーガン政権下。ドナルド・フェイゲンが『ナイトフライ』をリリースし、映画では『愛と青春の旅立ち』がヒット…そんな頃だ。(藤川毅)

ミュート・ビートの音源を聴いている。フラワー、ラヴァーズ・ロック、マーチの3作と2枚組のライブ盤。“レコードの日”と銘打たれた施策に合わせて再発(マーチとライブは初アナログ化)されたレコードたち。今朝はフラワー。勢いのあるメトロからハットダンスへの流れにちょっと驚く。バンド(の結成と)が自分(の出年が)と同学年なのだと意識すると、1曲ごとの厚みが増す。

今日も通常営業。書籍には日々、何かしらの入荷あり。

2024/11/07

11/7 店日誌

11月7日、木曜日。栃木県足利市を拠点にするミニコミ『GO ON(轟音)』第7号がすごい勢いで売れている。表紙コラージュも手がけた佐藤一花による巻頭記事「狼信仰集団の謎合せ」で取り上げられた切腹ピストルズの効果なのか、はたまた他の記事の吸引力かはっきりわからないけど、在庫がどんどん減っていく。補充後に即完売、これを2回繰り返して次の入荷はおそらく明日。版元にも在庫がないため届くのはごく少数、オンライン・ストア〈平凡〉に上げられるのは1冊だけになりそうだ。

なんとなく再生してみたETERNAL STRIFE『THE CITY YOU LIVE』がとてもいい! 冬っぽくなった空気に自然と馴染む。ソウルフルなヴォーカル&コーラスが室内をぐっと暖める。改めてお薦めしたい。

今日も通常営業! 些細なことでもお問い合わせはお気軽に! 

2024/11/06

11/6 店日誌

11月6日、水曜日。日曜日の《天久保文化祭》が終わってほっとひと息。9月28日(土)の《『ブリング・ミンヨー・バック!』上映会》にはじまり、10月13日(日)《友部正人ライブ》、10月26日(土)《旧石器時間(ケバブジョンソン・ポットマン)》と久しぶりに参加催事が続いた。主催、共催、出店と関わり方は色々だったけど、それぞれに濃い味があって手ごたえを感じた。外目からは見えづらいところで協力してくれた方々、手と足を動かしてくれたスタッフの皆さん、おつかれさまでした! 

今日からまた、落ち着いた古本屋の日々に戻れるのか……と書きかけて、思う。オレはやっぱりイベントに関わり続けたいんじゃないの? 椅子に座ったままの本屋のオヤジとしての生活に飽きつつあるんじゃないのか? ああだこうだと好き放題言ってるくせに自分がいちばん定まっていないのでは。そう突っ込まれたら何も言えない。

と言うわけで、今週はずっと通常営業。お暇があれば、ご来店を。

2024/11/05

11/5 雑記

ようやっと行けた! 先日の《天久保文化祭》に出演、出店してくれたタマミさんが営むカレーと日本酒の店〈grand〉と友人ウメイくんがはじめた植物店〈TSUYUKUSA〉。どちらにも足を踏み入れなければ分からない魅力があった。なるほど、こうやって工夫してるんだ! とか、うおー、こだわってるなあ! と驚かされたし感心もした。やっぱり店って面白い。前者にはキリン・クラシックラガーの小瓶があったこと、後者では自分でも面倒を見られそうな植物を見つけられたのが嬉しいところ。

その前後でちょこちょこと立ち寄った店も総じて居心地がよかった。最後に河合浩さんの家にも行けて、話ができて(ビールをやりつつ)、1日がまとまった感あり。

2024/11/04

11/4 店日誌

11月4日、月曜日。とりあえず開けてます。

2024/11/03

休業

今日、11月3日(日)は《天久保文化祭》に出店するため、休みます。

2024/11/02

11/2 店日誌

11月2日、土曜日。朝のラジオはジョウニ・ミッチェル特集。6枚組音源の発売に合わせての選曲で100分すべてジョウニの曲に費やされる。未発表のデモ・ヴァージョンがあればライブでのアカペラもあり、寝ながら聴いていても耳が立つ。ボブ・ディラン、チャールズ・ミンガスとの逸話など貴重な話も盛り沢山であっという間に時間が過ぎた。この放送はいわゆる「神回」。聴き逃しサービスを使って聴き直さねば(ピーターさんに合わせてジョウニと書いているけど、やっぱりジョニの方がしっくりくる。ドニー、アリーサには慣れつつあるが……)。

明日はレコードの日、らしい。イベントに乗る気はゼロだが、ミュート・ビートの再発と初アナログ化、小玉和文の映画音楽『集団左遷』は無視できなかった。ミュートの全4枚とサントラ1枚、合計5枚を今日から販売する。これは嬉しいリリースだ。

さあ出かけようかなーってタイミングで雨がザーッとくる。今は12時20分。歩くとなると開店には間に合わない。でも、自転車でずぶ濡れになるのも嫌なんだよなあ。どうしたものか。

とりあえず開店! 今日も通常営業。明日は天久保文化祭に出店します。

2024/11/01

11/1 店日誌

11月1日、金曜日。平日の夕方、若者がひとり入ってくる。運動部に所属しているのが一目でわかる外見、大きなリュックには着替えが入っているのだろうか。そろりそろりと店内を歩いてまわり、たまに立ち止まって本を手に取る。しずかにページをめくる。遠くで意を決した気配を感じると、2冊の本を持ってお会計。ひとつは『文學界』のバックナンバー、もうひとつは……なんだったかな。忘れてしまった。ひとこと、ふたこと話して「またお願いします」と伝えて送り出す。

週に一度のペースで来てくれるようになったご夫婦。いつも何かしらの本を別々に選んで買っていく。ちょうどいい本が入荷してる。内心でそう思っていると、それを手にしてくれる。狙い通りとかではなくスムーズに意思疎通ができている気がして嬉しい。ながく付き合えればいいなあと思う。

友人と話していてハッと思い出したのは、とある男性。月にいちどくらいのペースで来ていて、いつもお洒落に決めていた。かといって何を主張するわけでもなく、サッと本を選んでいく。あの人をもうしばらく見ていない。どこかに転居されたのだろうか。多くを話したわけじゃないのだけど、印象に残ってる。元気にしているだろうか。

一昨日、とつぜん現れたのは、周辺で人気のあるバンドのメンバー。自然に店を見てくれて、話もはずむ。大きな声じゃない。自身ありげなわけでもない。でも、好きなものははっきりしている。そうした振る舞いに触れて力をもらう。ああいう人が、オレは好きだ。その後、ならびの居酒屋に流れて、また話し込む(その人は飲まなかったけど)。

今日は15時、明日は13時開店。明後日は催事出店のため終日休業。

2024/10/31

10/31 店日誌

10月31日、木曜日。きりっとしたいい天気。秋晴れだ。店までくるのは徒歩で半袖、軽い気持ちでスタスタ歩く。背広にマフラーをしめた人がいる。パーカーを着た人もいれば自分と同じTシャツ姿の人もいる。この時期は歩くのが気持ちいい。喧しい選挙カーもいなくなり、主に聞こえるのは車の走行音、電話をしている外国語、にぎやかに自転車で並走する大学生の声。意識を向ければもっと色々聞こえているはずだけれど、今思い返して浮かぶのは、こんな音。

寿司屋の配達のバイトをしていた友人を見かけなくなった。彼の家は知っていて、通り過ぎるかぎりでは引越したわけではなさそうだ。週に4回から5回、しょっちゅう道端で顔を合わせていたから、姿を見なくなってちょっと寂しい。

オンライン・ストア〈平凡〉に中古CDを足してみた。細野晴臣とゴンチチ。派手な作品ではないけれど、確かな存在感のある2枚。誰かしらが反応してくれたら嬉しいな。今日も何かしらが入荷するので気が向いたら覗いてほしい。

今日も通常営業! 本の買取、査定のご依頼は常時受付中。お問い合わせはお気軽に。

2024/10/30

10/30 店日誌

10月30日、水曜日。昨夜からの雨がやんで、午後はスカッと晴れて気持ちがいい。半袖短パンで颯爽と走る大学生がうらやましい。いいなあ、できるだけ身軽でいたいなあとは思うけど、そのために着替えるのはめんどくさい(いったん家に帰らなきゃいけないし)。日が暮れるまでの我慢だとあきらめて、今日はこのままの格好で過ごす。夏から秋、秋から冬、季節の変わり目をどうやり過ごすか、年々難しくなっていく。

開店前に顔を出した〈古着屋may〉も秋冬っぽさが増していた。服の厚みが増すのと比例して、店内の密度も高まったような。スウェットやマウンテン・パーカーなど定番モノがたくさんあって目にしているだけで嬉しくなる。そして、何かしらが買いたくなる。

メイでもよく流れているHAPPFAT『FAR 3』やWool&The Pants『Not Fun In The Summertime』は当店で販売中! どちらもオンライン・ストア〈平凡〉でも購入できるので、気になればぜひ試してほしい。レコード、テープ、CDなど色々在庫あり。

今日明日、明後日は15時開店! お暇があれば、ご来店を。

2024/10/29

10/29 雑記

いきなり寒くなった。こうなるとズボン下、上半身の肌着は欠かせない。祖父の形見のようなダウンベストの上からパーカーを着て、ようやく安心。外に出るときはもう一枚上着を重ねてもいいかもしれない。この気温、空気を秋とよぶのか。冬の入り口といった方がしっくりくる。ここ数年、季節の変わり目には戸惑うばかり。

2024/10/28

10/28 店日誌

10月28日、月曜日。一昨日のイベント「旧石器時間」は、そうじて大袈裟でなくて居心地がよかった。感動、高揚があっても個人的なもの。居合わせた人が同じ箇所に着目するのでなく、てんでんばらばらに面白がって、ハアと小さく戸惑ったりしていたように思う。廊下の出店エリアの雰囲気もよかった。さりげなくナツナさんの絵が飾ってあり、本にもポツポツとでもしっかり反応してくれる人がいる。入れ替わるように友人たちが顔を出す(あそこで溜まってワイワイ話すと盛り上がるのも不思議だ)。大したことがない催事。これを続けていくことが重要だ。

場所によってのノリ、盛り上げ方があるからとやかく言うことではないのだが、大きな見せ場をつくるより小さな出来事を集めていく方がオレは好きなんだなーと再認識。みんなで集まって写真を撮ったり、誰かの身体を放るのも、やればいいと思うし必要な局面もあると理解はしているのだが……お約束にはしたくない。

選挙が終わっていちばん気になる、と言うか怖いのは、大阪の選挙区だ。19ある選挙区、当選しているのは日本維新の会の候補者のみ。しかも、ほとんどが圧勝だ。外目からでも、この状況がどうにも恐ろしい。

今日も通常営業! 在庫確認、通信販売など些細なことでもお問い合わせはお気軽に。

2024/10/27

10/27 店日誌

10月27日、日曜日。いやー楽しかった! ポットマン、ケバブジョンソンのライブはもちろん幕間のDJ、出店していた〈棕櫚〉のカレー、缶ビールの冷え具合、どれもがいい感じ。会う人と話して笑って、ヒューヒュー叫んだりして思いっきり楽しんだ。やっぱり手づくりの催事はいい。アイデアを出しあって、意見を交わして、少しずつ形にしていく。そりゃ、いきなり完璧になるわきゃないけど、一つ二つ、三つでもイメージしたものを具現できればいい。オレたちはこうやって街で、文化をつくっていくのだ。

昨夜のイベント「旧石器時間」を企画したナツナ(natunatuna)さんとは、もう15年以上の付き合いになる。ずーーーっと仲良しなんかじゃないし、ケンカのような状態になったこともあるのだが、今やお互い長距離走者。音の鳴る場に関わりつづける当事者だからこそ共有できるものがある。ナツナさんがいなかったら、この街は、もっとずっと味気なかった。共に動くことは今後もきっとある。次はなにができるだろうか。

はー! それにしても疲れた! 午前中いっぱい休んで、風呂に入って店にきた。まだボーッとしているけど、店は開けている。椅子に座ってるだけで精一杯ってほどでもないけど、身体は重い。今日はまあ、そういう日かなあ。

今日明日は13時から19時までの営業。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/10/26

10/26 店日誌

10月26日、土曜日。一昨日は売り上げ300円とだけ書いて大事なことを忘れていた。常連のヒロタさんが本を売りにきてくれたのだった。文庫本を主にした一箱には良書ばかり。状態もいい。すぐに査定をして値段を伝えると迷わず了承してくれる。ああ、嬉しい。こういうやり取りができるから古本屋は楽しい。買い取った本に値段をつけると、また別の誰かが買っていく。そうした循環をつくれるから、古本屋の仕事はやめられない。売り上げの数字だけに捉われて感情的になっていると、大事なことを見落としてしまう。これには要注意。しっかりと自戒する。

しょっぱい売り上げ報告のせいか、平日金曜なのに入れ替わりでご来店、しっかり買っていく人が多かった。ありがたいと感じ入ると同時に、数字をつかって人の動きを煽っているようで、ちょびっとだけ複雑な気持ちになる。このブログの影響力など微々たるものなのだけど、書き方には気をつけねば。

朝のラジオ、1曲目はスタンリー・スミス「スウィート・バタフライ」。この曲を聴くと思い出すのは『リラックス』の鎌倉特集、バッファロー・レコーズ、カフェ・ゴーティー。小野郁夫さんの真似をしてゴーティーでグリーンカレーと黒ビールを頼んだりした。あのころの鎌倉はのどかだった。

今日は「旧石器時間」に出店するため、13時から17時までの短縮営業!

2024/10/25

10/25 店日誌

10月25日、金曜日。一昨日は0円、昨日は300円。うちの店の売り上げだ。今のところ笑えているが、今日明日も同じ調子だと落ち込むぞ。だからといって、店に来て本を買ってほしい! と言いたいわけじゃない。展示をしていなければ、インスタグラムのトピックになるような新刊を仕入れてるわけでもなく、社会問題に参画するようなフェアも展開していないのだから、当然かもなと思うところもある。でもさ店って、切れ間なく催事に関わってないといけないの? エモーショナルな意思表示が必須なの? 自分は、当たり前に開けていたいだけなのだ……(まあ、だから暇なのか)。

〈モンパルナス〉と書かれた本はつい買ってしまう。世紀末のパリの盛り場はモンマルトル、一九二〇年代の盛り場はモンパルナスだ。はじめてパリに行った時、飛行機がおくれて、真夜中にモンパルナスに着いた。目がさめるとパリのさわやかな朝であった。(海野弘)

今朝、読みはじめたのは、海野弘『本を旅する』。著者が出会い、影響を受けてきた100冊を紹介する「百冊の本の再訪」がすごくいい。とにかく書き出しがカッコいいのだ。上記したのはジャン=ポール・クレスペル『モンパルナス讃歌』の紹介文で、こう書き継がれる。

それにしてもこの本があつかっている一九〇五〜三〇年は、パリの黄金時代で、世界中からアーティストが集っていた。特別な街、特別な時代なのだ。モンパルナスのいたるところに、彼らの記憶が刻まれている。つまり、モンパルナスという街は一つの本として読めるわけだ。私はここで、街を本のように読み、本を街のように歩くことを学んだのだ。

うーん、カッコいい。ビシッとしているのにさわやかで軽みもある。海野弘の文章は中身もだけど外見がいい。読みながら唸ってしまって言葉が頭に入ってこない。

今日も通常営業! 本の買取、査定の依頼は常時受付中! お問い合わせはお気軽に。

2024/10/24

10/24 店日誌

10月24日、木曜日。雨が降ったりやんだり、涼しいようで蒸し暑い。そんな日の客足はやっぱり鈍い。友人がいるときにきた若者以外、お客さんなし。売り上げはゼロ。なんとなく手に取った、出久根達郎『思い出そっくり』所収の「売上ゼロ」と思いっきり響き合う店内で、いそいそと読む(嬉しい状態ではないのだが……)。「一体、人々はどこに隠れてしまったのか。本を読む人間がいなくなった、どころか、人間そのものが消滅したのではないか。古本屋だけが、黄色い電燈をともして、客待ちをしている」のとまるっきり同じ。

新入荷の本に値を付け、棚に並べていると、すでにあった本に目が止まる。「これ、あったな」とぱらぱらページをめくるうちに思い立って、写真を撮る。まずはインスタグラムのストーリーズに、つづけてオンライン・ストア〈平凡〉にあげてみると、すぐに売れた! 2時間ほどのタイムラグはあったけど、体感的には電光石火。昨日はジェリー・ルービン『DO iT! やっちまえ ─革命のシナリオ─』に助けられた。

てな感じで古本屋の日々はわりかしのんびりなのだが、週末は催事出店がつづく。まずは「旧石器時間」、そのつぎが「天久保文化祭」。前者は呼ばれて出向くわけなのだけど他人事で済ますつもりはなく、関わる以上はいい時間にしたいと思っている。ケバブジョンソンとポットマン、どちらのライブも楽しみなのだ。

今日明日は15時開店! 日々、店には動きあり。お暇ならばお出かけを。

2024/10/23

10/23 店日誌

10月23日、水曜日。来週はもう11月。1年もあっという間……と言われればつよく否定はできないのだが、時間の流れは人それぞれ。カレンダーのような道具の上ではいちおうの形を持って示されるけど、実感としては、大きく異なっていると思う。本意でない仕事をしながら好きでもない場所に住んで、毎朝満員電車にギュウギュウ詰めになっている人からすると、ああ、毎日長いよって感じなのだろうか。スマートフォンに時間を吸わせて、無感覚になっているのかもしれない(ここで、そういう人を悪く言いたいわけじゃない)。

自分だって好きでやってる店はあっても、毎日、毎分が充実しているわけじゃない。いやー暇だねって日が続けばそれなりに落ち込む。それでもまあ、やはり本や音楽が好きで、友人たちと催事を企画するのも楽しいのだ。そうしたことに時間と金を使うのは無駄じゃない。つかうだけの意味はある。

繰り返しのお知らせになるけど、改めて! 今週末26日(土)は「旧石器時間」に出店するため、13時から17時までの短縮営業。会場になる〈aNTENA〉にも、それなりの量の本を持っていくつもり。ライブをみがてら廊下のブースを気にしてくれたら嬉しいナ。予約不要のイベントなので、気軽に足を向けてほしい。

今日明日、明後日は15時開店! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/10/22

10/22 雑記

ハリウッドかインディペンデントかという問題じゃなくて、お金のためにアーティスト然としてるような人間が嫌いなんだ。/権威には本当、むしずが走る。だから自分が権威になるのもイヤなんだ。(ジム・ジャームッシュ)

上記のテキストは、古本で仕入れた『CUT』1994年1月号所収のジム・ジャームッシュへの2万字インタビューで見つけたもの(聞き手は佐藤健、宮本敬文による写真もカッコいい)。「ラスト・ボヘミアン・シティ」と題されたニューヨーク特集で、マット・ディロン、ロバート・デ・ニーロ、マーティン・スコセッシ、ウディ・アレンも登場。中島英樹によるアート・ディレクション&デザインも冴えている。……なのだけど、この雑誌はデカすぎて、とにかくページがめくりづらい! テキストすべてを拾うにはかなりの労力を要する。立ち読みはあきらめて、購入した上でがっつり読み込んでほしい。

お金のために、インディペンデント然としたアーティスト気取りの人間も珍しくない現代の状況を、ジム・ジャームッシュはどう感じているのだろう。

2024/10/21

10/21 店日誌

10月21日、月曜日。朝イチで風呂……ではなくて、コーヒーとパンの朝食を済ませたのちレコードを数枚聴く。布団を干してから身支度を整えて、〈Bespoke〉まで自転車を走らせる。大学内をゆっくり抜けて、中央郵便局を経由して10時ぴったりに到着。シャワーで頭を流してもらいつつ、日本人の軽量級ボクサー、ユダヤ人の歴史、旅先で感じたことなどを交えて話す。羽山さんが主に話して、聞き手にまわっているうちカット終了。コーヒーを一杯いただいて、ライ・クーダーの動画を見てるとあっという間に12時だ。

会計を済ませて、いったん帰宅。シャワーを浴びて布団を取り込む。本を数冊リュックに入れて、自転車に乗って店に来た。どうにか定時に開店、途中で買った菓子パンをほおばりながらブログを書いている。

てなわけで、今日からまた通常営業。明日火曜は定休で、水曜から金曜までが15時開店、土曜日曜月曜は13時開店(閉店時間は19時~20時)。今週来週(10月26日・11月3日)はイベント出店もあり。

てなわけで、店は開いてます! お暇なときにご来店ください〜!

2024/10/20

10/20 店日誌

10月20日、日曜日。朝イチで風呂。風がびゅうびゅう吹いているが、迷わず露天風呂に足を向ける。引き戸を開けると空気が冷たい! ひとり「ひゃあ〜」とか言いながら小走りに湯船に行くと、端っこに人がいてびっくり。つい「おわ!」っと声が出て、小声でスミマセン……とつぶやきながら室内に戻る。気を取り直してお湯のなかで身体をひろげる。これも気持ちいいや〜と放心してると、さっきのオジサンが出ていった。いざ、露天風呂に入って気がつく。外の風呂は寒いくらいがちょうどいい。暖まる、冷える、暖まるの循環がつくりやすい。

ロビーで水を一杯。足裏マッサージ機に座ってみると、すごい振動。ふくらはぎから太ももまでブルブル揺らされる。じわーっと足の疲れがとれていく。座りながら、コメント欄で薦めてもらった〈アンティーク フェルメール〉のコラムを読む。なるほど、面白い。

ブログ記事にコメントが付いて、それに気がつき、応答する。このタイム感が新鮮でなんか楽しい。インターネットを触りだした1999年あたりの感覚を思い出す。フジロックの掲示板(その名も「レッツ・ゲット・トゥギャザー・ボード」!)でのやり取りでチケットを譲ってもらったこともあった。ああ、若いときにSNSがなくてよかった……。

今日は13時から18時までの短縮営業。昨日につづいて、店番太郎くんが店にいます。

2024/10/19

10/19 店日誌

10月19日、土曜日。朝イチで風呂、夜明け前。風がつめたいが露天風呂に入るとすぐに暖まる。とおくの建物の明かりがちらほら。たまに車が通りすぎる。湯船の淵にこしかけてぼーっとしてると山の稜線がだんだんはっきりしてくる。真っ暗だった空にも青みが増してきて、時間が流れているのを実感する。風呂に入って空を見上げているだけで気持ちがぐーんと広がってく。とりあえず、ここまできてよかった。

出先で感じたことを書いてみる。

東京から離れても、都会っぽい店にいく。よりそれっぽくなる店構え、品揃え(めちゃグッズが多いのだ!)。店員さんも感じがよい。嫌だな〜と感じさせる点は少ないのだが、なにか物足りない。先客から聞こえてくる会話すら都会的で、逃げ場なし。快適な消費、紙幣/貨幣交換に最適化した場をつくるとああなるのかな。とくだんケチをつける理由はないから、食事を済ませてそっと退く。

こうした店をやってると、小さな出版社のつくる本、雑誌の案内がひっきりなしに届く。いい雰囲気のものも少なくない。でも、それらの多くは一時的なアイテムとして有用なだけかもなーとも思えてくる。並べときゃそれっぽく場が整うわけで。全体がのペーっと平らになっていく。ゆるーく一方向に流れてく時流に拮抗するには古物の扱い方が重要になる。なんとなくだが、ハッキリそう感じた。

誰かにもっと上手に言語化してほしい。この感じ。多くの人が真っ当な商売を志向しているはずので、悪いことは言えない(言う理由も見つからない)。言葉は自分にも返ってくるのだ。

てなわけで、今日明日は店番太郎くんに任せてます。いやあ、暑いっすね。

2024/10/18

休業

今日、10月18日(金)は休みます。

2024/10/17

10/17 店日誌

10月17日、木曜日。一昨日からプリンス・バスターにハマっていて、今もブログを書きながら聴いている。『Big Five』は1972年の作品。いわゆるバスター節のスカチューンではなく、レゲエ寄りのロック・ステディを歌ってる。空気の乾いた午後にぴったりで気持ちがいい。歌詞の内容はわからないのだが、どうなのだろうか。今は「Kinky Griner」という曲で、次は「Leave Your Man」。甘〜いラブソングではなさそうだ。途中、途中でブザー音みたいな異音が入るのが気になる……(Apple Musicだけ?)。

当店の定番! HAPPFATの秋冬ミックス『FAR』vol.3が到着。サウダージ~フォークっぽい導入から徐々にソウル~メロウ・フィーリングが高まっていく展開で、聴いているのがとても楽。南佳孝などの和モノ使いもミックスの聴きどころ。運転中の車内や美容室、古着屋なんかのBGMにも合うと思う。

何度か変更があったけど、明日18日(金)は休業。19日(土)と20日(日)は店番太郎くんに任せての短縮営業(13時~19時/13時~18時)。月曜は通常営業で、火曜は定休。26日(土)は「旧石器時間」に出店! ご都合合えば、どこかしらでお出かけを。

とりあえず、今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を!

2024/10/16

10/16 店日誌

山川方夫の作品は短篇が多いこともあって静かな印象のものが多い。日のかげりのなかでは劇的な出来事も起るがそれは再び日が射し込むと同時に薄っすらと消えていく。ひとはかげりを意識しながらもそれに耐えて静かに生きていく。(川本三郎)

10月16日、木曜日。山川方夫『夏の葬列』を読んでしずかな衝撃を受ける。ショート・ショートといわれる10ページほどの短篇と70~80ページくらいの話が入った文庫本。まず読んだのは山崎行太郎の「解説──陽気な絶望者」、その後で頭から順に読んでいった。冒頭3篇「夏の葬列」「待っている女」「お守り」でぐっと掴まれ、速度をかえつつ一気に読み終える。再度の「解説」、川本三郎「鑑賞」を通過すると、ああ何とも。言葉にしがたい芳醇な体験をした気分になる。最後に付された「年譜」も充実していて、無駄のない構成に関心しながら本を手放した。

彼より、アタマの回転が早い人、リコウな人、話の面白い人は、まだいるだろう。しかし、彼のように暖かい心と柔軟な理解力をもち、都会的神経と野暮なまでの生真面目さを両立させた親しい友人に出会うことは、私の生涯に、もう、あるまい。(小林信彦)

思い出して、小林信彦『東京のロビンソン・クルーソー』所収の「山川方夫のこと」を読み返す。少なくとも2度は読んでいるはずなのだが、まったく印象が異なる。こんなことが書かれていたのか……と驚き、山川方夫の別作品にも触れたくなった。

今週の営業予定に変更あり! 今日明日は通常営業、明後日18日(金)は休業。19日(土)は13時から19時まで、20日(日)は13時から18時まで営業します。21日(月)は通常営業、22日(火)は定休日です。

というわけで、今週もどうぞよろしく! 在庫確認、通信販などのお問い合わせはお気軽に。

2024/10/15

10/15 雑記

一昨日の残像がまだ残ってる。友部正人の歌う姿、響く声をはっきり思い出せる。あの声を聞いて振り返る、一月一日午前一時(高橋さん)、夕日は昇る。友部さんの背中を見ながら聞いたのは、銀座線を探して。歌声は深みがあってよく響く。ハーモニカを吹くと表情がぐっと若くなる。

ワインをよく飲む友部さん、サワーを飲み飲み話すユミさん、打ち上げでお二人を交えてを話しているときの感触も忘れられない。いいお話をたくさん聞かせてもらった(ベロベロに酔ったタカシくんも面白かったぜ……!)。

2024/10/14

10/14 店日誌

10月14日、月曜日。いい天気! でも、ここまでくると、いい天気過ぎる。あまりな行楽日和でちっぽけな古本屋にくる人は少ない。すげー少ないんだよ! 店番太郎くんに頼んだ昨日の売り上げは、なんと××××円。3連休の中日にあって渋〜い金額。こりゃ参ったな……と、嘆いても、まあ仕方ない。人の動きには慣れているつもりだ。山があれば谷もあって、右肩上がりの営業なんかできっこなくて、上がり下がりを繰り返してきた。少なくても人が来て、本を買っていってくれるから、こうして店を続けていられる。淡々とやるほかない。

ご近所〈つくば食堂 花〉での友部正人さんのライブは4年ぶり。 前回は新型コロナウイルス騒動の真っ只中だったから、よく覚えている。途中で換気の時間をつくったり、マスク着用、手指の消毒を気にしたりでけっこう大変だった。昨夜、久しぶりのライブは完全生音公演。友部さんの地声だけで90分。店内に響く声、ハーモニカの音にぐっと心が惹きつけられた。あの場に立ち会えたことに感謝、感謝。

今日も書籍、音源に入荷あり。店前に出している均一価格(100円~300円~500円)のコーナーにもコツコツ手をいれているので、ご注目を。オッ! と手が出る本を見つけてくれたら、とても嬉しい。

今日も通常営業! 明日火曜は定休日。18日(金)19日(土)20日(日)は休業。

2024/10/13

10/13 店日誌

10月13日、日曜日。稲葉真弓『半島へ』を読み終えて、驚く。9割型まで著者の生活エッセイだと思い混んでいたのだが、小説だった。完結直前「奈々子、これでいいかな。あなたの“生き急ぎ”とは違う速度を、私は見つけたいの。東京のスピードとは違う、私にふさわしい速度をね」という黙想、語り手自身の自己確認に触れて、この人は著者・稲葉真弓じゃない別の誰かなのかも……と、遅まきながら着想した。木村朗子による解説で、小説を読んでいたことを知らされた。

なんとなく買ってみて、読みはじめたら、想像以上にとおくに飛ばされた。意識されないまま、ずっととおいところに。すごいなー。本を読んでいてこんな風に驚かされたのは、はじめてだ。

朝、てきとうに流していたラジオの選曲に反応する。佐野元春だとすぐに気がつく。曲自体の質感が今日の気分にぴったり。何て曲だろうと耳を向けていたら、佐野元春&Coyote Bandの「或る秋の日」。歌詞というより発声が、メロディというより曲のもつ雰囲気が、乾いた空気に溶け込んだ。

今日も通常営業。13時から19時まで、店番太郎くんが店にいます。

2024/10/12

10/12 店日誌

10月12日、土曜日。目が覚めてすぐ障子と窓を開けると、ほどよく乾いた空気が部屋に入る。空は真っ青。いやーいい天気! 秋晴れってすばらしい! インスタントコーヒーを淹れて、ウィークエンド・サンシャインを流しながら本を読む。今日も稲葉真弓『半島へ』。読むうち心がしずかになっていく。印刷された文字を追いかけるのに負荷が少ない。自分自身の先のことにぼんやり想いを馳せつつ、ゆっくりページをめくる。

ゴンチチへとバトンタッチして15分、なんとなく気が向いてレコードに針を落とす。レヴォリューショナリーズのダブ。ゆるやかで太い。今日の気分にぴったりだ。寝転んで、ぼーっとするのにいい気候。こんな風に過ごせる時間がもうちょっと増えればいいのになー。

『ブリング・ミンヨー・バック!』を撮った森脇さんが、エミール・クストリッツァの『スーパー8』を意識したと話していたのを思いだして、嬉しくなる。公開時に観たっきりであいまいな記憶なのだけれど、クストリッツァのジャージの着こなしが超カッコよくて真似したくなったのと、ジョー・ストラマーとの共演シーンがすごく良くて、ぶるぶるっと身体が震えたのは覚えてる。

本当にこわいのは、一匹狼の人です。どこかにひそみ、いつ現われ、なにをやるかわからない人はこわい。(…)それにくらべると、なにかにつけて徒党を組む連中は、まったくこわくない。(中原弓彦)

本棚にあるのが目にはいった坪内祐三『雑読系』を読んでいて、どきり。『ハヤカワズ・ミステリ・マガジン』1966年12月号に掲載された中原弓彦/小林信彦へのインタビューの一節が鋭い。しかも聞き手が大伴昌司なのである。……つい、孫引き。

今日もドアは開けっぱなし! 13時から20時まで開けてます。

2024/10/11

10/11 店日誌

なんて奇妙ななりゆきだろうと、私は歩きながら思う。いつの間にか、東京と半島が反転している。ここが主で東京は従へと転落しつつあるのだ。そんなことはついぞなかったことだ。私がこれまで生活のために闘ってきた場所は東京であり、あの都市以外はなにもなかったはずだ。それがどうだ。ろくに仕事もせずにうろつき回っているこの半島が、いまは生き延びる幻想につながる場所になるなんて。(稲葉真弓)

10月11日、金曜日。数日前に立ち寄った新刊書店でみつけたのが、稲葉真弓『半島へ』(講談社文芸文庫)。別の本を探して目を走らせていた文庫コーナーで青い表紙が浮き上がって見えて手に取って、これを買おうと決めた。本屋をはじめてすぐ、吾妻で焼き芋屋を営んでいたナカハチさんがくれたのが『少し湿った場所』。稲葉真弓の絶筆となったエッセイ集。人間味がありテキストから溢れでる何かに引きつけられた。いっぺんに好きになった。

店の出入り口を開けたままにしていると、いつの間にか人がいる。そーっと入ったのか、静かに棚に見入る人。きょろきょろ店内を観察する人。それぞれの反応をちらりと観察しながら、本に目を落とす。何冊か本を選んで会計しにくる気配を感じると、身体の芯あたりの熱がぐっと高まる。

ここ最近、常連になった男女の2人組。たまたま来た、絵描きのナツナさんとわーっとなにかを話してる。ここが知り合いだったのかーとかなんとなく考えながら、本を読む。昨日は野中花『昭和・奇人、変人、面白人 酒の肴100人たち』を読んでいた。愉快な話がおおくて著者の語りに引き込まれるうち読み終えていた。

今日はなんていい天気! ロックステディ日和でとても嬉しい。

2024/10/10

10/10 店日誌

10月10日、木曜日。いつのまにか体育の日じゃなくなってる! そんなの今さら騒いでも意味がないのはわかってるけど、ちょっと驚いた。しれっと14日(月)に移行していて今週もまた3連休。先月の2週つづいた3連休から正直もういいよ……なんて心持ち。月毎に連休があって疲れるよ〜って人も少なからずいるんだろう。でも、今月も連休があって嬉しいな〜って人の方が圧倒的に多いんだろうな。とか何とかボヤいても、仕方ない。やれることを、やるしかない。

先週は中古CD、今週は中古レコードの入荷が多い。ジャズものを中心に1000円以下で値付けしているので、ピンときたならお手元に。サブスクリプション、CD、カセットで聴くのとは異なる質感があるはず(いつも書いてるけど、どれで聴くのも楽しいのが前提)。

ここのところ、またオンライン・ストア〈平凡〉の動きが少なくなった。目玉になる新刊、新譜がないのが理由かな〜と思ったり、古本を組み合わせた見せ方がイマイチなのかな〜と考えてみたり。どうなのだろうか。思うことがあれば教えてほしい。

今日明日は15時開店! 本の買取、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2024/10/09

10/9 店日誌

10月9日、水曜日。昨夜からの雨はいっこうに止まず、急に強くなったり風を伴ったりで対応がむずかしい。こんな日はどんな装備で自転車に乗るのがいちばんいいか。まず、靴下と靴ははけない。15分も走ればどちらもびしょ濡れ。一日中不快な状態で過ごすのは避けたいから、短パンとビーサンで行くしかない。リュックに靴下と靴、替えのズボンを入れて、上半身は長袖を着用した上でポンチョを羽織る。それにしても急に寒いよ! ズボン下を履きたいくらいなのに、足むき出しで外に出るのは抵抗がある。(8:00)

果たして、上記の格好で店にたどり着く。道中は意識してゆっくり、ゆっくり、焦らず走る。たまにすれ違う車も心なしかスピードを落としてくれる(かまわずバシャーッ! と走り抜ける車には×××を)。雨でなくても自転車では焦らない、飛ばさない。人を無理矢理抜かさない。もちろんイヤフォンも使わない(そもそも持ってない)。無事にたどり着くことを最優先する。ああ、それにしても冷たい雨だ。(9:30)

さあ、そろそろ開店。雨も止んできたような。温度差が激しすぎて身体がついていかないけど、店は開けられる。めちゃ元気とは言えなくても、人は迎えられる。入荷したての本やレコードに値段をつけつつ、のんびりやろう。お暇があれば、ご来店を。(14:00)

今週はどの日も通常営業。来週18日(金)19日(土)20日(日)は休業です。

2024/10/08

10/8 雑記

朝から雨、ちょっと肌寒く、身体も重たい。観ようとしていた映画は早々にあきらめて、家でだらだらと本を読む。手元にあるのは坪内祐三『文庫本福袋』。以前にも読んでる気がするのだが、かまわず、ぐいぐい読んでいく。雨がやんだのを見て庭の草を刈る。没頭するうちにまた降ってくる。まあ、ここまでというところで家に上がってシャワーを浴びて、考える。今日はどうしようかな。どこかに行くか、行かざるか。

けっきょく柏まで足を伸ばして、たくさんの本やレコード、CDに触って、けっこうな数を買ってきた。山川方夫、永井荷風、杉浦日向子、川本三郎、武田花。稲葉真弓の新刊も買った。滞在時間は3時間。駆け抜けるように買い物をした。

夕方前に帰ってきて、シャワーを浴びて、ビールを一杯。スコット・ジョプリンのレコードを聴いている。

2024/10/07

10/7 店日誌

10月7日、月曜日。午前中、久しぶりで庭の草を刈る。真夏こそちょいちょい手を入れていたのだけれど、秋っぽくなった途端まったくやる気がなくなった。まる1ヶ月放置していたら、ネコジャラシみたいな植物の背丈がけっこう伸びている。そろそろ? いや、まだまだと数日逡巡していたが、やるなら今日だ! さあ、やるぞ! と30分超集中したら汗だく。途中途中でクモの巣にも引っかかる。もう限界! ってところまでやり切って、室内に駆け込みシャワーを浴びる(また、でっかいクモの巣に引っかかる……)。まだまだ終わりそうにないけど、ゆっくり進めていけばいい。

何枚かレコードに針を落としたのち、Apple MusicでMUTE BEAT『MARCH』を聴いてみる。11月3日にアナログ盤になる作品で、通算4作目となるスタジオ・アルバム。ジャケットがなんとなく重くて、これは別にいいかなーと思っていたのが大間違い! 重要なアルバムだ。『FLOWER』『LOVER’S ROCK』『LIVE』とあわせてオーダー。当店でも11月3日(日)から販売する。

しばらく手を入れていなかった中古CDコーナーに追加多数。トム・ウェイツ、シッカー・ザン・ウォーターOST、ミュースターズ、アルフレッド・ビーチサンダル、フリッパーズ・ギター、スライ・アンド・ファミリーストーンなどなど、色々あり。どれも500円~800円くらいの値付けなので買いやすいはず。

今日も通常営業! 冴えない天気が続いてるけど、まあ元気にやってます。

2024/10/06

10/6 店日誌

10月6日、日曜日。いやあ、昨日はヒマだった。開店直後に数組がぱらぱらっと来て、その後にカップルが何組か、女性二人組、あとは誰も来なかったかな。でも、ひとりで来て静かに本を選んでいく人もいて救われた。いい本、選びますね。よかったらまた来てください。そんな気持ちで会計をして、送り出す。大竹聡『酔人伝』を読みつつビールを飲んでいた閉店間際、水戸からの一行が来て、助けられた。オンライン・ストア〈平凡〉の売上と合わせて、ギリギリセーフ。

開店前、雨がやんだ隙をみて自転車で走りだす。まずはつくば中央郵便局、オーダーのあったレコードと本を発送。帰り道に〈千年一日珈琲焙煎所〉に寄って、樋口達也個展「JUGATSU」を見る。作品に共通したトーンがあるからか、スッと目に入ってくる。洒落てるのは確かなのだけど、それで済ますのはもったいない。

絵を見るのと買うのとでは、大きく違う。/美術館で何億円もする名画を見るよりも、たとえ一万円でも自分でいいと思った絵を自分の金で出して買ったほうが、絵というものの本質に近づくことができる。少なくとも、私はそう考えている。(福田和也)

ちょうど読んでいた、福田和也『放蕩の果て 自叙伝的批評集』所収の「絵画と言葉」の一節が浮き上がる。なるほど、樋口さんの絵も買って、手元に置くと見え方が変わるのかもしれない。値段もけっして高くない。ビビッときたものを買ってみてもいい。

今日も昨日と同じ状態がつづくとドヨーンとしてくるのだが、どうなるだろうか。気をつかって来てもらうのもアレだし、店にはこんなことはよくあるわけで、騒がずに待つしかない。読むべき本ならたくさんある。

今日明日の営業は、13時から19時まで。些細なことでもお問い合わせはお気軽に。

2024/10/05

10/5 店日誌

10月5日、土曜日。朝、ピーター・バラカンのラジオを流していると、ポール・マッカートニー、ニッキー・ホプキンス、ルー・リードの名前が出てきて耳を引かれる。ハービー・フラワーズというベーシストの話から「ウォーク・オン・ザ・ワイルドサイド」が流れ出して、この曲を知ったときを思い出す。大学生の頃、ロバート・ハリスがラジオの深夜番組を持っていて、落ち着いた語りが好きでよく聴いていた。あるとき流れたのが件の曲。はんぶん寝ながら、これは誰の曲なのかな……と思ったのをよく覚えている(その後、何かの拍子で曲を把握した)。

2000年代初頭のフジロック、野村訓市ひきいるトリップスター・クルーがロンドンバスで乗りつけていたときも、デカい音で流れていた。横浜日ノ出町で〈ムムムカリー〉を営むヨウヘイくんが野外パーティーでのDJで選曲していて、さすがセンスがいいなあと感心した。ルー・リード、2004年のライブでは演奏されず。シブいライブだったのに、当時の自分はぼけーっと眺めるだけだった。

それにしても、今日のピーターさんの選曲はとてもよかった。曇り空の午前中にぴったり。コーヒーをのみながらぼーっとしていて、満たされた。話と音楽がうまく絡みあって、自然と身体に染み渡った。なんとなんと、ボビー・チャールズ、マデリン・ペルーまで……。

夏葉社の復刊2作、いくつかの出版社からの定番作、スモールプレスの人気作など、新刊本の仕入れに改めて力を入れている。もちろん古本にも日々入荷があるので、お見逃しなく。

今日明日、明後日は13時開店。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/10/04

10/4 店日誌

10月4日、金曜日。普段より30分はやく家を出ると、道中の眺めが変わる。出勤、通学、送迎の重なる時間帯で車が多い。自転車で横断歩道にさしかかると、今日はすぐに車が止まった。軽く会釈をして道をゆく。ありがとう、どうぞどうぞ。無言の会話をしたようで心が軽くなる。筑波大学に入ると、ちょっと怖い。職員らしき人が乗る車は自転車、歩行者に遠慮なく駐車場に入ってくるから。チキショー危ねえよ! とごちながら、ゆっくり走っていく。学内は学生さんがいっぱい! 国籍も多様。いろんな言葉が飛び交っている。そろりと遠慮がちに走り抜けて、店に到着。

着いて早々、お隣の〈千年一日珈琲焙煎所CAFE〉での展示を見る。いまは、ささきりょうた個展「おーい」を開催中。案内DMから受けるイメージとはまったく異なるいい展示。少なくとも、オレは好きだ。値段設定が良心的なのも好ましい。ぱっと目に入った2点を買おうとすると雨に濡れた土田店長が出勤してきた。

本の雑誌社からの新刊を数冊補充! 坪内祐三『日記から 50人、50のその時』、『本の雑誌の坪内祐三』、Q.B.B.『古本屋台 2』、草森紳一『記憶のちぎれ雲』。この他、STAND! BOOKSからは橋本倫史『観光地ぶらり』とスズキナオ『家から5分の旅館に泊まる』が到着。ピカピカの新刊ではないけれど、どれも当店の定番作。ぜひ、手にしてほしい。

今日も書籍、音源に入荷あり! 在庫確認、本の買取/査定のことなどお問い合わせはお気軽に。

2024/10/03

10/3 店日誌

10月3日、木曜日。朝からの雨のせいか、昨日より湿度は低い。こんな日はジャッキー・ミットゥー。マッカ・ファットからイン・ロンドンをだらーっと聴いていく。ロックステディの心地よさ、ラフさとタフさが入り混ざったレゲエミュージックの真髄を感じるも、これは一体何だろう。モンドと言うと語弊がある気がするし、エキゾとするのもはばかられる。天然由来のおかしみ、独特さ、可愛げがふくまれたインスト・レゲエ。どうにもまどろっこしいのだが、そんな風に言語化するほかない。

古い店や映画館などがなくなる時、駆込みでその場所に足を運ぶ人が私は嫌いだ。はしたないと思う。(坪内祐三)

図書館で借りてきた、坪内祐三『新・旧 銀座八丁 東と西』を読んでいて、上記の一節にぶつかる。定番の坪内節なのだが、自分はこうした感覚、ある種の意地の張り方に共感する(憧れてるだけかもしれないけど)。閉じようとする店や場が多数の人から標的にされて、グワーっと食いつかれ、骨までしゃぶられる。店だけじゃなくて人にも同じように食いつく風潮、とても苦手だ。できれば目にも入れたくない。

(念のため追記。ここに書いたことは〈SUNNY BOY BOOKS〉の閉店とはまったく関係なし。これを書いたあとにニュースを知った。当店とまるっきり同学年の書店がなくなるのはけっこう寂しい。)

誤解されてるかもしれないけど、店にいて嬉しい出来事もけっこうある。ここ最近は、なじみの人だけじゃなくあらたに見つけてくれる人もいて、対応していてじわっと喜びに包まれる。なんだかんだあっても、店を開けるのが好きなのだ。

今日明日は15時開店。土曜日曜、月曜は13時から開けてます。

2024/10/02

10/2 店日誌

所詮金なんて価値があると見せかけて、実は相当インチキな代物。例えばお店に置いてある商品ひとつとっても、陳列の仕方、商品名のつけ方、ライトの当て方で、同じものでも値段がいくらでも変わる。要するに全部インチキなのだ。(松本哉)

10月2日、水曜日。松本哉『世界マヌケ反乱の手引書(増補版) 』はゲラゲラ笑わせて、ズバズバと物事の本質に触れていくからゾクゾクさせられる。上記の一節は第1章「予想外のことが始まる!」の末尾にサラリと書かれていてびっくりした。こんなこと書いちゃって大丈夫! とか思っちゃうのは自分がビビり性だからか。本当のこと過ぎる。なにもすごくない! って言いながら、どーんと大胆にアクションする松本哉はすごい人。でも、すごいすごいと言って済ましてちゃいけない。読み手も動き出さなくては、この本が書かれた意味がない。

今の時代、小さい謎のスペースを無数に作っていく方がいいと思う。潰れても潰れてもどんどん新しいバカセンターができて、全国津々浦々、いったいどこにどんな場所があるかわからなくなるぐらい増えたら最高に面白いし、実はそれが一番強い。

ここにはつよく共感する。小規模でも自立したイベントが増えたらいい! ってのに似た見解で、より小さく、早く思考できれば、面白いことができると思う。大きな出来事の意味を理解した上で、小さなアクションの重要性を認識できれば、何かが変わる気にもなる。とにかく実践あるのみのだ。

11月3日(日)に開催する「天久保文化祭」は短くとも5年先のイメージを持って、企画している。(昨年がゼロ回目として)初回となる今年は、まず音楽を中心に。来年以降、少しずつ幅を広げて、より日常に近い催しにしていくつもり。絵や写真の展示、映画の上映があってもいいし、トークイベントを交ぜてもいい。巨大化させるのではなく、小さな出来事を集めていく。

今週は通常営業! 店には日々動きがあるので、お暇ならばご来店を!

2024/10/01

10/1 雑記

閉店準備をしてさあ帰ろうか、と思ったところで隣からギターの音が聴こえてくる。まあまあの大きさで鳴ってるからBGMじゃなさそうだ……と覗いてみると、ポットマンこと土田店長が演奏していた。けっこうカッコいい。これまでよりスケールが大きくなった感のある演奏で、手元の鍵盤でつむぐ音もハマってる。時間にして2~3分、ほんのちょびっと聴いただけなのだが、コイツはやっぱり面白いなーと嬉しくなった。一昨日の晩に観たエポン&エスプラもそうだったけど、身近な人に刺激を受けることが増えている。

繰り返しになるけど、沢山の人を一気に集めることだけが正解じゃない。少人数でも、意志を持って主催すれば、なんらかの意味を見出す人がいる。ライブに限らず、展示や上映会、トークイベントの数がもっともっと増えたらいいのだ。SNSでのフォロワー数やいいね準じた「素敵」の烙印が付いたものだけじゃなく、各人が面白がって場づくりをしていったら、もっといい。そのための土壌づくりをしていきたい。

いま、自分にできるのは、日々店を開けること。そして、さまざまな状況に反応することである。

2024/09/30

9/30 店日誌

9月30日、月曜日。昨夜出かけた〈Club OctBaSS/Bar DISCOS〉で観た、Eastern.P&SPRAのライブがとてもよかった! 身近な友人たちにバシッとした姿を見せられると刺激を受ける。ワルっぽい素振りをするわけでなく、エモーショナルに聴き手に迫るわけでもなく、普通にカッコいい音楽を聴かせてくれた。ああした場があって、人がいるのは特別なことだと再確認。その後のANDDY TOY STORE、BUSHMINDのパフォーマンスにも痺れた。ストリート・カルチャーの真髄に触れられた気がする。

見知った顔ばかりのフロアではあれ、あの場はじゅうぶんに成立していた。そりゃもっと多くの人が来て、彼らの音楽に触れてくれたら嬉しいのだけれど、無理に連れてこられても困ってしまうだろう。少人数で成り立つ場がもっともっと増えたらいいのかな。みんながどんな風に考えているのか気になるな。

Em Recordsから届いたClan Caiman『pica-pau』The Same『Sync Or Swim』がとてもいい。どちらも大手のお店ではあまり見かけない種類の音源。気になれば、ぜひ聴いてみてほしい。レコード、カセット、CD、サブスクリプション、なんでもござれ。音楽を聴くのは面白い。

今日も通常営業。本の買取に関することなど、お問い合わせはお気軽に。

2024/09/29

9/29 店日誌

9月29日、日曜日。いやーーーー、終わった! 映画『ブリング・ミンヨー・バック!』上映会を何事もなく遂行できて、安心したし手応えもある。開催準備から告知期間、当日まで平熱で、大袈裟に煽ることもなく進行できたのは大きなこと。細かい点まで気を配って、参加者のストレスも小さくできたと思う。もちろん完璧じゃない。それでも、目指すべき方向を定めて、まっすぐに向かっていけたのが喜ばしいのだ。特定のコミュニティ(関係性の定まった人たち)に頼らず集客できたのも、よかった。

数年ぶりの主催企画が民謡クルセイダーズの映画上映ってのもいい巡り合わせだった。監督の森脇さんとにいなさん、フレディ塚本さんと田中克海さん、二木信さんと場をともにできて良かった。会場の土田くん、城島さん、手伝いの新田にも助けられた。小規模の催事ではあれ、色々と試せて、結果を得られるとやっぱり嬉しい。

この後も、10月13日(日)「友部正人 生音公演」、26日(土)「旧石器時間:ケバブジョンソン&pottmann」と近隣の催事に関わっていく。11月3日(日)には天久保一丁目のブロックパーティー「天久保文化祭」も控えている。まだまだ、やるべきことがたくさんある。誰に押しつけられたわけでなく、命令されたのでもない、自主企画。そういうものがバンバン生まれる状況をつくっていきたい。

てなわけで、今日明日は通常営業! 13時から19時まで開けてます。

2024/09/28

9/28 店日誌

読書といえば、頭のみを使うと思っている人が多い。それは、誤解で、手を使うのである。本をもつのにも、手が必要である。頁をめくるにも、手の指がなければ、かなわない。読書とは、手の運動なのである。(草森紳一)

9月28日、土曜日。東京で迎えた朝、お気に入りのドトール・コーヒーで読みはじめた草森紳一『本の読み方 墓場の書斎に閉じこもる』が面白くて、ページをめくる手を止められない。地下鉄、高速バスと乗り継いでかえってくる間も姿勢をかえて、読み耽る。草森氏の著書にしては珍しく分量の少ないエッセイが並んでいるから、すこぶる読みやすい。上記に引用したのは冒頭に置かれた「ウグイスの死」の序盤部分。

6時過ぎにつくば発、首都高の渋滞にずっぽりハマって、8時半ころ東京駅着。お茶の水駅付近以外は馴染みのない文京区を歩き回り、歴史館を見学して変わったカレーを食べてから、メインイベントのコンサートに出かけるも、眠くて眠くて途中退出(休憩まではがんばったのだが、グイッとビールをあおりたくなってしまった)。ああ、それにしても歩き回った! 昨日はめちゃ疲れたよ……。

そんなこんなで、店に着いたら上映会だ。今日は『ブリング・ミンヨー・バック!』上映会のため、13時から16時までの短縮営業。おかげさまで満員御礼。駐車場の余裕なく、追加の席もつくれないため当日受付はなし。どうぞよろしく。

今日は短縮営業、明日明後日はは通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉も稼働中!

2024/09/27

休業

今日、9月27日(金)は休みます。

2024/09/26

9/26 店日誌

9月26日、木曜日。コンビニに行くついでに〈古着屋may〉を覗いてみると誰もいない! 店主のホソヤさんの姿もなく、がらんとした店内でHAPPFATのミックステープががんがん響く。数分後、もしかしてどっかに隠れてる? と思って店内をぐるっと回るも同じこと(そりゃそうだ)。人の店に自分しかいない状況はなかなか体験できないな〜と面白がりはじめたところで、ガラッとドアが開いてホソヤさんが帰ってきて、安心する。直近の連休で古賀までラーメンを食べに行ったと話してくれた。

伊豆長岡に住む93歳の祖母がつくった栞を店頭で配布中! なにか本を買ってくれた人はもちろん、そうでない方にも渡すので、ご希望であれば声をかけてほしい。和風かつ古典的(クラシック)な雰囲気で、けっこう手のかかった力作。ばあちゃんの作ったものを自分の店で配れてなんか嬉しい。

は〜! しかし、自分はなにを大事にして、どれを優先するのかをしっかり見極めなきゃいけない。小さな出来事ほどごまかさずに向き合いたい。どこにでもある教訓のようだが、改めてそれを実感している。

今日は通常営業! 明日金曜は休業、明後日土曜は上映会のため短縮営業です。

2024/09/25

9/25 店日誌

9月25日、水曜日。どこかで見かけて気になっていた、マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール監督作品『パリのちいさなオーケストラ』をなんとなく観て、たまげた。なんて豊かに音楽をえがくのだろう! クラシックの世界のこと──その歴史はもちろん、現状も──をなんにも知らない自分なのだが、端々のシーンで涙がこぼれた。音楽が好きでよかった! とつよく感じて、心に火が灯った気がした。感動した、じゃなくて、共感して泣けてしまった。ほとんど話題になってないようなのだが、気になったら観にいってほしい。クラシックに明るくなくても、楽しめるのは約束する。

レコード棚に目を運んで、手に取ったのはエリオット・スミス『ローマ・キャンドル』(ローマン・キャンドルとは読まない……?)。暑い日にはまったく聴く気にならないどころか目にも入っていなかった。すこし肌寒い朝にぴったり。耳にかかる負荷が少ないから、繰り返し聴ける。ジャケットから得るイメージ通りの音楽だと思う。

いま読んでいるのは、西村賢太『雨滴は続く』の文庫本。「貫多の一人勝手な岡惚れの反復運動は、結句はどこまでも無意味な独り合点、独り相撲の虚しき徒労の時間」が延々550ページ弱、延々と続く。魔力的な吸引力があり、手を止められず、ぐいぐい読んでしまう。

今日明日は通常営業。明後日27(金)は休業、翌28日(土)は短縮営業です。

2024/09/24

9/24 雑記

昨日の店日誌として書きなぐったのが、下記の文章。相変わらずの中年イヤイヤ期にいる自分が露呈したように感じて、自転車で走ったことに書き換えたのだが、これも記録かと思い直して、転載する。

                                  

クリエイター気取りの人種がどうも苦手だ。終始ニコニコしていて今様の服装に身を包み、下手すりゃ握手(コラボ)、隙ありゃ自撮り(インスタグラム)、集合写真を好む人たち。家族で集まりバーベキュー、キャンプ、ロック・フェスティバル。陰気な人間にはとても立ち入れない清潔な関係、空間なのだが、中身があるのかは怪しいところ。みんながやってるから……という発想だけのようにも見える。それがダメとは言わないが、オレは関われない。

イヤだキライだと無闇に書くなとおしえてくれる人もいるが、どうにもガマンならない。閉店する店に殺到、予約、行列、記念写真。そんなのおかしいよなーと思うのだ。オシャレな人がシブい酒場に行きたがるのに近い、イヤ〜な感じがある(それは話が違う気も……)。

                                  

このあとに「朝イチで針を落としたのは~」と続けて書いていた。今朝は、The Revolutionaries『VITAL DUB:Well Charged』。天久保一丁目〈Good Near Records〉店主・スエルテくんにお勧めされて、試聴するとベリースムース! とろけるようなメロウ・ダブに魅了されて、即購入。帰宅後に検索すると「つれづレゲエ日記」がヒットして、本作がレヴォリューショナリーズの作品だと判明した(普通にしてたら、 VITAL DUB名義の作品だとしか思えない。裏面には“DUB ME BABY”と書いてもあるし)。

ま、こんな感じで日々過ごしているわけです。

2024/09/23

9/23 店日誌

9月23日、月曜日。家から筑波大学まで自転車で走ると気持ちがいい。空が青くて空気がさわやか。ゆうちょ銀行のATMに寄って、いい気分で歩きだす。芸術専攻学部があるあたりで、上階の教室から混声合唱が聞こえてくる。おそろいのヘルメットで自転車に乗っているカップルがいたり、留学生が連れ立って歩いてたりして、休日っぽくのんびりだ。サーッと通り過ぎた人が着ていたTシャツのバックプリントがカッコよかった。

そのままつくば駅付近まで歩いていくと、エキスポセンター周辺は家族連れが多い。みんな楽しげで、写真を撮ったり走りまわったり。もうちょい行くと、屋台が連なっていて、なんとかビール祭って催事の準備中(丹波さんもいた)。カルチャーベースを自称する店舗でローリー・アンダーソンのLPを買って、店に帰ってきた。

朝イチで針を落としたのは、エマーソン北村『COVERS 2023』。片面3曲ずつ合計6曲のオルガン・ソロがはいったレコード。空気が乾いてくると聴きたくなる。寒い季節に流すと、ぎゅーっと、じゅわーっと身体を暖めてくれる。ヴォーカルはなくてもソウルは込められる。エマーソン北村さんの演奏には厚みがある。

さあ、三連休も今日で終わり! みんな、どんな風に過ごしてるんだろうか。

2024/09/22

9/22 店日誌

9月22日、日曜日。いきなり涼しくなってしまった。シャワーを浴びたのち、自然とジーパンを履いたのだが、何ヶ月ぶりだろうか。7月から8月いっぱい、9月の後半に差し掛かる頃まで半袖短パンで過ごしたことはあったのか。今日は雨。湿度も高めで梅雨のようだ。こんな日にお客さんはくるのかなーとか、考えるけど、とりあえずは開けるこった。そうしなけりゃ、なんにもはじまらないのだ。

巷で話題か定かじゃないけど、Wool&The Pants『Not Fun In The Summertime』がものすごい。当店では連休明けの24日(火)から販売開始(……でも、この日は定休日)。オンライン・ストア〈平凡〉でも予約を受け付けているので、ご注目を。

開催まで1週間をきった『ブリング・ミンヨー・バック』上映会! 昨夜上映テストを済ませて、気持ちがスッキリ。気になれば、ぜひご予約を。映画はもちろん、監督、バンドメンバーを交えてのトークもなかなか貴重だと思う。自分自身、聞いてみたいことがある。

今日明日は13時から19時までの営業。書籍には日々、入荷あり。

2024/09/21

9/21 店日誌

9月21日、土曜日。隣のカフェ店長はコロナに感染、あるときのパーティーで一緒に遊んでいた自分はどうなのか。少なくとも熱はない。ただ、秋花粉の影響なのか身体はだるい。どうも調子がおかしいな〜と感じるので、酒は飲まないでいる(昨日はちょっとだけ飲んだけど)。季節の変わり目? ご冗談を! 毎日こんなに暑いのに! ……でも、朝晩の風はすずしくて、花粉の影響もでているわけで、夏は過ぎつつあるのも事実なんだよなあ。

目が覚めて、ぼーっとしたままラジオをつけてると、秋の虫の鳴き声を模写しながら話している人が出ていて面白い。落語家さんとか芸事にたずさわる人なんだろうなーと思って聴いてたら、イラストレーターの南伸坊さんだった。

そのまま、ピーター・バラカン、ゴンチチへと番組が流れていくのをさして意識を向けないまま、聴いていた。途中途中で、いいな〜と感じる曲があったのだが、誰の何だったのかはわからない。ポップ・グループが選曲されてたのは、さすがにオヤッと思ったのだが(テーマは「きわだつ音楽」)。

今日からまた三連休。なんだかんで涼しいようで、冷房つけずにやってます。

2024/09/20

9/20 店日誌

9月20日、金曜日。コーヒーを淹れたのち、アップル・ミュージックで聴いたのはポール・マッカートニー『カオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バックヤード』。ちょっとわびしいジャケット写真がとてもいい。この音源に触れると、友人Tくんを思い出す。彼と出かけたディスク・ユニオン、めいめいに棚を見てから合流。自分は3~4枚のレコードを持っていて、合計金額は5000円を越えていた。「今日はヤバいな……」なんてコソコソ言ったら、彼の手元にはくだんのレコードだけ。たしか7000円以上。「ずっと欲しかったから」と話すTくんを見て、カッコいいなーと思ったのだった。

高いものを買うのがいい、とか、安いのがダメとか言いたいわけじゃない。いまいちうまく理屈をつけられないのだけれど、いい買い物するなーと感心した。店にいて、たまーにそういうお客さんがいると、とても嬉しい。いい買い方するねえ! と声のひとつもかけたくなる。うわっとか言いながらあっちこっちを触ったあげく……ってのがいちばん虚しい(いや、哀しい)。

小林信彦『東京のドン・キホーテ』を読んでたら『東京のロビンソン・クルーソー』も読みたくなる。手にしてみると、未読の箇所ばかりで驚いてしまう。持ってるだけで満足していたのかもしれない。詳しくはオンライン・ストア内の「読書日記」で。

今日も通常営業。なんと、明日からまた! 三連休なんだってさ。

2024/09/19

9/19 店日誌

9月19日、木曜日。朝は風があっていくぶんか涼しい。思い立って針を落とした、ボブ・ディラン『ニュー・モーニング』はやっぱり最高! 日本盤ライナーノートは中村とうよう、小倉エージの2本立てで、歌詞の訳者はもちろん片桐ユズル。レコード会社、制作陣の本気を感じる。B面4曲目「ザ・マン・イン・ミー」は大好きな映画『ビッグ・リボウスキ』のサントラ冒頭を飾っているからか、聴くたびに劇中のことをやんわりと思い出す。

暑い日が続いて、歩くことがままならず、フラストレーションが溜まってる。だから今日は歩く。汗をかきかき足を運ぶのだ。考えながら歩く、これからのこと、これまでのこと、ごちゃまぜにして何が浮かび上がってくるのか、歩いてみなけりゃわからない。

以前からお知らせしてきた映画『ブリング・ミンヨー・バック』上映会を来週28日(土)に開催する。民謡クルセイダーズは今週末、隣町土浦の野外フェスに出演するらしい(21日(土)のトリと聞いている)。興味があれば出かけてみては。

今日明日は15時開店。店頭はもちろん、オンライン・ストア〈平凡〉にも入荷あり。

2024/09/18

9/18 店日誌

9月18日、水曜日。もしかしたらやってるかな〜って店は開いておらず、まさかやってないだろうという店が開いていた。街にはこういうことがあるから面白い。たまたま通りがかった〈ブックセンターキャンパス〉が営業しているのを見つけて、そのまま引き込まれて、棚を見入る。ピンときた数冊を迷わずに買う。しばらく溜めていた古本欲がパーンとはじけた。実際読めるかどうかは二の次だ。

金というものの唯一の欠点は、使うとなくなってしまうということである。これは実際、困ったものであって、使うとなくなるからというので使わずにいれば、なんのために金を持っているのかわからない。(吉田健一)

ぱらっとめくって目に入った上記の一節(「金銭について」)が気に入って、吉田健一『おたのしみ弁当』を手に取った。帯によれば「新たに発掘された四八篇」のエッセイを収録。軽妙な語り口で、気安く読める。特に前半部分はどれもこれも面白い。特殊な家柄であったとしても、この人はやっぱり魅力的だ。

前作『A  View』以来、2年ぶりの新作となるCompuma『horizons』は20日(金)発売。ご予約、取置き(期限を設定の上で)も受け付けるので、お問い合わせはお気軽に。「自身のルーツとなる、熊本・江津湖のほとりや、各地の様々な場所を散策時に、その景色や環境にインスピレーションを得て制作された」作品とのこと。

今週は通常営業。来週27日(金)は休業、28日(土)は上映会で変則営業です。

2024/09/17

9/17 雑記

中途半端な「書き手」気取りを持つよりも、面白い「読み手」もしくは「聴き手」でありたい。そもそも、生業が古本屋なわけで書く側にまわる機会はほとんどない(皆無といって大袈裟でない)が、未知の本や音源に遭遇する頻度はたかい。そうしたものと出会ったとき、どう反応できるかが自分の腕の見せ所だと思っている。

既存の言葉、他者の思想を剽窃してわがもの顔で製品化したり、自分の書き記したものを印刷して製本化したりってことが横行し過ぎている。具体的に誰がどうこう書くつもりはないのだけれど、自分はもっと本を読んで、物事を知りたい。興味もてる対象があったなら時間をかけて、迫っていきたい。マヤカシに振り回されるのはいいかげんウンザリなのだ。自戒を込めずに、書いておく。

2024/09/16

9/16 店日誌

9月16日、月曜日。訳あって家から店まで歩いてきた。そりゃ暑い! だけど風がびゅーっと吹いていて、気持ちがいい。筑波大学に入っていつもとは違う道を通ってみると、建物のあいだを風が抜ける。こんなベンチがあったのか、とか、いつもの壁も違って見えるなーとぼんやり考えながら足を運ぶ。途中でゆうちょ銀行のATMに寄って、40分くらいで到着。扇風機をつけて、段ボールを広げて横になる。10分ちょっと寝てだいぶスッキリ。どうにか今日も店をやれそうだ。

つけっぱなしのラジオで、1974年特集の番組がはじまる。昨日の日誌で50年前かーと思っていたところなので不思議な気分。スペクテイターが最新号で特集したのは1976年、坪内祐三が転換の年と規定したのは1972年。その頃の日本には、どんな空気が流れていたのだろう。

忘れかけていたけど、今日も祝日。三連休の最終日。店にくるまでの道中で小さな子供と散歩をしている女性とすれ違って、こんにちわーと声をかけあう。街の雰囲気もなんとなくのんびりだ。

今日も通常営業。本の買取、査定に関することなど、お問い合わせはお気軽に。

2024/09/15

9/15 店日誌

現実に下町というものはあり、下町風俗というものも断片的には残っているが、そこはうす汚れ、みみっちい打算に支配されている場所であり、コラージュ的幻想による〈下町〉とは似ても似つかぬことを人は知るべきである。(小林信彦)(*1)

9月15日、日曜日。小林信彦『東京のドン・キホーテ』を読み出してすぐ、言葉を失う。鋭すぎる。冒頭の「黒豹昭和十一年」「私の見たメーデー事件」「ヨコハマ・グラフィティ」「消滅した町のこと」「小説に現れた東京弁」の5つに著者の都市感が凝縮されている。昼飲み、せんべろ、角打ち……なんて言葉が消費されまくっている現代にあって、〈下町〉は〈テーマパーク〉とほぼ同義だと言っていい(ちょっと前に歩いた野毛でそう感じた。週末の昼間だからしかたないかもしれないけど)。

下町は──といっても私の生まれた町のことだが、一九四五年三月十日をもって地上から亡くなったのである。いうまでもなく、東京大空襲による。(*2)

地方の人は地方に帰ってくれた方がありがたい。文化人も地方に帰って、おのおのの故郷に〈文化〉のタネをまくとよろしい。(*2)

こんな風に書かれてしまったら、郊外出身の自分には何も言えない。でも、まさしくその通り。一応の故郷めいた土地で〈文化〉のタネをまくようなつもりで、日々店を開けているわけである。上記の文章がものされたのは1974年。って、おいおい50年前だよ! 半世紀前にこんなこと書いてたのか……。

とりあえず今日も『東京のドン・キホーテ』を読みながら、店にいる。自転車のパンクなどあり、夜のイベントにどうやって、いつ行くかは未定なのだけれど、18時までは確実に開けていいるので、お暇ならばご来店を。

本の買取、査定のご依頼は常時大歓迎。些細なことでもお問い合わせはお気軽に。

(*1)「小説に現れた東京弁」 (*2)「消滅した町のこと」

2024/09/14

9/14 店日誌

9月14日、土曜日。アーサー・ライマンが好きだ。家で『Call of the Midnight Sun』のレコードを聴き、店にいる今はサブスクリプションで同じアルバムを流している。この人のことあんまり知らないなーっと気づいて調べてみると「アーサー・ハント・ライマンはハワイのジャズ・ヴィブラフォンおよびマリンバ奏者でした」(Wikipedia)とある。なるほど、ハワイの人なのか。だから暑い日に聴くと気持ちいいのかもしれない。ダラーっとして彼のつくった音楽に身を任せていると、とても楽だ。

今日から世間は三連休。まったく暑くてどうしようもないけれど、みんなどこかに出かけるのだろうか。人気のラーメン屋に並ぶ人たちは、どうやって猛烈な湿度をしのぐのだろうか。ちっこい扇風機みたいのじゃ、涼しさは得られないだろう。店が行列用に空調服でも配ったりもするのかな。ご苦労さまと言うほかない。

坪内祐三の日記を読み終え、次は西村賢太を読んでいくつもりなのだが、すぐには気分がかえられない。先週、図書館で借りてきた小林信彦『日本橋で生まれて』読み出すと、これがまあ! スルスルと読めて、コクもある。自分にとって、理想的な書物といっていい。

今日明日、明後日は13時開店。明日は18時までの短縮営業です。

2024/09/13

9/13 店日誌

9月13日、金曜日。今週にはいって、店が静かだ。その分、というわけじゃないとは思うのだが、オンライン・ストア〈平凡〉に動きがある。顔を知らないままの常連さんに気にかけてもらって、本を買われる。購入にいたらずとも、ちょこちょこと平凡を覗きに来る人が何人かいると思うだけで、少し気持ちが軽くなる。つくばにある実店舗では出会えない人がいて、動かない本もある。便利さだけでなく、確かに助けられている。みなさん、いつもありがとうございます。

いま読んでいる『昼夜日記』で坪内祐三の日記は7冊目。明らかに怒りっぽくなっていて、記憶を飛ばすことが多くなっている。亡くなった後で読んでもハラハラするのに、これをリアルタイムで追いかけていたら……。好き嫌いがここまでハッキリしている人とは今、なかなか出会えない。だから、自分は本を読むのか。どうなのか。

暇があるとインターネット(主にSNS)を見てしまって、重い気分になってしまう。そんな声をたまに耳にする。そんなときこそ、読書じゃないか。現実とは異なる時間に逃げこむのも大事だ。ほっとけば、キツい話ばかりが聞こえてくるわけだし。技術というと大袈裟だけど習慣さえ身につけば、本は読める。いい加減でもいいのだから。

9月25日(水)発売! Wool&The Pants『Not Fun in the Summertime』を当店でも販売します。待ちに待ったセカンド・アルバムは自主レーベルからのリリースで全9曲。いつかまた、つくばでも彼らのライブを開催したいなー。

今日は15時、明日明後日と明々後日は13時開店。ああ、またも三連休なのか。

2024/09/12

9/12 店日誌

ウガンダのタイコの合奏。エンテンガと呼ばれるタイコのサイズの違うもの15個のアンサンブルなっており、2オクターヴにわたるペンタトニック・スケールに正確に調律されている。タイコはバチで叩き、皮だけでなく胴も打つ。

9月12日、木曜日。朝なんとなく針を落としたのは、中村とうよう・監修『アフリカの音楽のルーツを訪ねて〈2〉アフリカ伝統音楽の楽器と合唱』。B面8曲目の“キュマ”がはじまると外の鳥の鳴き声が激しくなる。曲が変わって静かになったような気がしたので、繰り返して聴いてみると、特別なにも起きない。レコードの音に鳥が反応したのかも、という見立てはまちがいだったが、最初に鳴らしたときの状況はなかなかのものだった。

鳥たちにとってその囀りが完全無欠であることと等価な、人類にとって完全無欠な合唱の姿をここに見る。(山城祥二)

ライナーノーツをひっくり返すと、芸能山城組の組頭・山城祥二の檄文も載っている。「人類に似たもう人類でない生きものたちが、人類の歌に似たそうでない音列を、策謀の限りを尽くして血まなこでつむぎ競っているこの地獄に、あえて長居は無用というものだ」と締められるテキストの意味をつかめた気がしない。

入荷後すぐに完売したCHIYORI・YAMAAN・MARIAPEPINOS『OMEDETOU PARABIÉN EP』は今日、再入荷する予定。今週末15日(日)開催のリリースパーティーはきっと、つくば周辺ではこれまでになかった趣の催しになる。どんな状況が生まれるのかは足を運ばなければ、わからない。

今日も書籍、音源に入荷あり。お暇であれば、ご来店を。

2024/09/11

9/11 店日誌

9月11日、水曜日。目が覚めて5時5分。庭の草刈りはせず、本を読む。途中ですこしうたた寝をして気がつくと5時50分過ぎ。ラジオの気象情報を聞きながら、雑務を済ましてラジオ体操。暑い日がつづくけど身体の調子は悪くない。なんとなく目に入って針を落としたレコードは、KELLY HARRELL & The Virginia String Band『ST』(Self TitleってよりNo Titleっぽい)。今年4月に開催されていた展示の会場〈Coffee Ontario〉で矢吹くんから買ったもので、中身(1920年代のカントリー・ミュージック)もいいが、外見もいい。簡素だけれど工夫があって、地味ではない。

いま、読んでいるのは坪内祐三『続 酒中日記』。最新刊『日記から 50人、50のその時』を読み返したのをきっかけに同著者の日記シリーズの再読はじめたのは今月頭。6冊目まできて2011年3月11日(金)の記述にぶつかる。1998年からはじまる日記を追いかけるのは、なかなか大変だけれど、得るものも大きい。本の中では赤瀬川原平、松山俊太郎、小沢信男、中川六平なんて方々が存命で、その振舞いに触れられるのも貴重だ。

昨日の雑記に書いたM野さんからの買取を含め、古本の入荷多数。文庫と雑誌が中心だけれど、比較的安価で状態のいいものが多い。どんどん店に並べていくので、お暇があればご来店を。

今日明日、明後日は15時開店。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/09/10

9/10 雑記

店の前に赤い車が停まる。あ、これはと思うと同時にM野さんが買い取りの本を持って顔を出す。買い物かごいっぱいの雑誌と漫画、文庫本がたんまり入った紙袋がふたつ。食関連のポパイ、ブルータスをはじめとして、ジャズ、私小説や日記を特集した文芸誌にまざってあいみょん特集のギンザ、平野太呂さんが編集する『off the hook』などもある。うーん、シブい! と喜びながら査定をして、金額を伝えるとまよわず快諾。すぐに支払う。

趣味嗜好ってのは年齢に左右されるけど、瑞々しい感性は意識すれば保てるのかも。健全なミーハー感覚も大事だと感じる。大事なのは、渋みと軽みのバランスなのかな。M野さん、いつもありがとうございます。

(本といっしょに売ってくれたのは2枚のCD。ア・トライブ・コールド・クエストとナイトメアズ・オン・ワックス。ジャズとダブが好きだと話すM野さんとは波長が合うのも当然か……と納得させられた。)

2024/09/09

9/9 店日誌

9月9日、月曜日。お湯をたらして21秒。いーち、にー、さーんとゆっくり数える。にじゅういちで一拍置いて、お湯を注いでいく。豊田道倫「永遠の21秒」(都築響一・編『Neverland Diner』所収)を読んでから、コーヒーを淹れるときに意識して豆を蒸らすようになった。かつて学芸大学駅ちかくにあった喫茶店のマスターがこだわった秒数で、紙フィルターではなくネルを使うのが望ましいと話していたらしい。その店、もといマスターを描写した短文の味わいは深煎りコーヒーのようだった。豊田道倫さんの文章はとてもいい。

夜になって集った若者たち。水戸、市原、つくばの数人と軽く酒を飲んで、天久保を歩いた。牛久出身のやつはやたらに声がでかい。突然歌い出したり、近距離で電話をかけてきたり、とにかくエネルギーが有り余っている。ものすごい吸引力の台風野郎なのである。

朝、空気が乾いていると感じて店まで歩いてみる。先月までの灼熱状態ではないといえ、30分も歩くと汗がボタボタ落ちてくる。重たい荷物を持ってどうにか郵便局にたどり着き、発送をたのむと想定外の送料になる。ガーンと落ち込みはしないが、軽率なミスを目の当たりにして、言葉を失う。送料設定はむずかしい。

今日も通常営業。在庫確認、通信販売などのお問い合わせはお気軽に。

2024/09/08

9/8 店日誌

取り上げたものがどう論評されてるとかね、どう批判されてる、どう誉められてるとか、どんなふうに評価されてるとか、そういうことを読もうとすると、当てが外れるかもしれない。何をどう楽しんだか。それだけってのは変だけど、それがいちばん大きいですね。(片岡義男)

9月8日、日曜日。坪内祐三『書中日記』を読んでいてアッと思う。高平哲郎のラジオ番組をもとにして編まれた『植草さんについて知っていることを話そう』を読んだ気でいたけれど、巻末の座談会以外は未読だったかも。店にあったのは売ってしまった……が、あそこにはあるはず。ピンときて車を走らせると、やっぱりある! 新治にある小さな図書館(正式名は〈土浦市立図書館 新治地区分館〉)は静かで、きれいな時間が流れていた。本の量もちょうどいい。いい本が、普通にある感じで好ましい。

残されたものを見ていくと、彼の楽しんだ手作業が見えてきて、なかなか面白いですよ。まずとにかく、買って家へ持って帰って、部屋で自分の机の前に座って、そこでやおらひとつずつ手に取って、楽しむわけですよ。

いざ読み出すと、これが面白い。植草甚一という稀代の趣味人をメディアにして、関係者が語っていく。あれには困った、味覚はどうなのか、おしゃれだった、なんて話が主なのだけど、上に引いた片岡義男「植草さんの集大成を作ろうよ」がずば抜けて本質的。植草さんの実像を、敬意と共にまっすぐに表現する(彼は批評家ではない、というあたりが鋭い)。

開店前に天久保一丁目〈gallery Y〉で開催中のsasakure.個展「この夜の隅で」をのぞいてきた。ダイレクトメールやウェブでの画像より実物がよかった(日記のようなメモ帳も見応えあり)。会期は今日19時までとのこと。

今日明日は13時開店。オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。

2024/09/07

9/7 店日誌

9月7日、土曜日。先日行ったばかりの〈S〉に行き、とろろせいろの大盛りを頼む。すり下ろした自然薯のねばりを何と表現するべきか。固形ではないのだが、大きな塊のまま堂々とねばねばしている(コンビニやスーパーで売ってるとろろそばとはまったく別物だ)。どうやって食べるべきかを逡巡しながら、一口含んでそばを啜ってみたり、つゆにちょっとだけ落としてみたりと試してみたが、正解は得られなかった。まあ、とにかく美味かった。

10人ほどのランナーの集団があちこちで目に入る。蛍光色の服に身を包んで、サングラス、キャップ姿の人たち。今日はものすげーーーーー暑いのに、みんなよく走るよなあ。すごいなあ。でも、なんで今日に限ってあちこちで集まってるんだろうか。

イイジマさんは開店初期からの常連さん。昨日は遅めに時間に来てくれて、GUDTINGS『SWEETER THAN YOUR LOVER』CHIYORI・YAMAAN・MARIAPEPINOSOMEDETOU PARABIÉN EP、オクラ印の7インチ2枚をあわせて買っていく。しみじみとありがたい。

今日明日、明後日は13時開店! 本の買取は常時大歓迎、お問い合わせもお気軽に。

2024/09/06

9/6 店日誌

9月6日、金曜日。目が覚めると5時8分。15分過ぎから草刈りを始めて30分ちょい。NHKラジオ第一でニュースがはじまる頃に洗い物などを済ませて、本を読み出すと眠くなる。ラジオ体操のテーマ曲で目が覚めて、身体を動かす。ジミー・クリフ主演映画『ハーダー・ゼイ・カム』のサントラ盤に針を落とすと、B面。スリッカーズとデスモンド・デッカーの素朴な歌声に心がなごむ。レゲエ、ジャマイカ音楽が好きだなあ……と感じいる。

トゥーツ&メイタルズの「プレッシャー・ドロップ」が流れだすと、思い出すのはミッシェル・ガン・エレファント。もうずっと前、お台場に音楽番組の収録を観にいったとき、アンコール(ラストの曲だったかも)で演奏されたのは「ジェニー」。途中でチバユウスケがプレッシャー・ドロップを歌っていて、クラッシュ〜ミッシェル〜メイタルズの線が浮かび上がった。やはりあの人の存在は大きい。

所有している『ハーダー・ゼイ・カム』のレコードには〈MOJO MUSIC〉のラベル(5.5ドル)が貼ってある。ボストン滞在時によく出かけたフェンウェイ・パークに行く前に買ったような気がするのだが、どうだったか。2005年だったはず。

 CHIYORI・YAMAAN・MARIAPEPINOS『OMEDETOU PARABIÉN EP昨日が発売日。隣町に住むチヨリ×ヤマーン夫妻とサンティアゴ在住のマリアの共演盤は洗練されていて、ちょっとおかしい。聴くたびに面白いなーと思わせる。15日(日)のリリースパーティーも、すごく楽しみ。

今後しばらくは通常営業。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/09/05

9/5 店日誌

9月5日、木曜日。夕方前に突然あらわれたのは雑誌『つくづく』編集人の金井タオル。わ、なんで! とか驚いてると〈シリシリ器〉の新田もビールを持ってくる。わわ! なんで、なんで! と驚くこともなく、そのまま3人で飲みはじめる。店前に椅子を出すと風がきもちいい。虫の鳴き声がサラウンドのように響く。甲本ヒロトの下半身とロックンロールの関係性について意見を交わしながら、ぐびぐび飲む。ほろよいで〈わかたろう〉に流れて、わーわー話していたら、いつの間にか金井さんが路上でつぶれている……。

電話でつくば駅前のホテルを予約、タクシーを読んで金井さんを送り出し、さあ俺も帰るかってときに自転車のパンクに気がつく。あーーーー、今かよ! あーーーー、嫌だよ! と嘆いても歩くしかない。自転車を押して、たまに乗車して30分強。帰宅したころにはヘトヘトだった(その後、わかばさんからのメールで〈わかたろう〉での無銭飲食が発覚する)。

ブログを読んでるよ! とか、あの人も読んでるらしいよ、なんて声をよく聞くようになった。ありがたい、嬉しい。え! まじすか! と絶句することもある(SNSでの反応を気にするより楽なのだけど)。今後ともお付き合いよろしくお願いします。

今日明日は15時開店! なんだかんだあるけど、元気にやってます。

2024/09/04

9/4 店日誌

9月4日、水曜日。ぱちりと目が覚めると5時半ちょっと前。そこから30分庭の草をきってシャワーを浴びる。パラリンピックのニュースなどを聴きながら、雑事を済ますと6時半。ラジオ体操を終えて、レコードに針を落とす。アルトン・エリス『シングス・ロック・アンド・ソウル』。アルトンの歌声とバッキングの演奏とのバランスが良くて何度聴いても瑞々しい。このレコードを買って、手放さなかった若い自分を褒めたい。実家に放置したままだったのを見つけたのは3、4年前。

SNSで見かけた、川勝徳重『痩せ我慢の説』を探して書店をハシゴするも見当たらず、店員さんに聞くも扱いなし。そのまま店内を回遊していると、河村祐介・監修『DUB入門 ルーツからニューウェイブ、テクノ、ベース・ミュージックへ』を見つける。カルチャー・ベースを自称する店はクオカードが使えたので、迷わずに購入。常設の中古レコードはそうじて値段が高くて、閉口する(1枚だけ、めっけもんあり)。

たしかにダブはトリップ・サウンドだ。しかしそこにはかならずスペースがある。(…)ダブには空間がある。……そうだな、その空間に飛び込みさえすれば誰だって自分を忘れることができるんだ。(アンドリュー・ウェザオール)

『DUB入門』を手にしてまず目を通したのは、野田努によるアンドリュー・ウェザオールへのインタビュー。上記の箇所につよく共感する。ウェザオールが話す「スペース」、「空間」はマイルス・デイヴィスの音楽にも通づるものがある。マイルスがもしダブと遭遇していたら……と考えるだけでゾクゾクするぞ。

今日明日、明後日は15時開店。些細なことでもお問い合わせはお気軽に。

2024/09/03

9/3 雑記

庭の草を切っているとポツリ、ポツリと雨が降ってくる。気にせずそのまま没頭していたのだけど、数分後にはザーッとくる。キリのいいところで引き上げシャワーを浴びて、レコードに針を落とす。カールトン・アンド・ザ・シューズ『ディス・ハート・オブ・マイン』。2022年の再発盤。このレコードと出会ったのは新宿のディスク・ユニオン。なんとなく店内を回遊していて、帰りがけに壁にズラッと貼られているのを見つけて驚いた。なんと再発とは! オーバーヒートからだし、値段もわりあい良心的。いったん宿に帰って、出直して購入(残っててよかった……)。

メロウなレゲエ、屈指の名盤。その惹句に偽りなしの内容なのだけど、実はいまだにしっかり受け止められた気がしない。「ギブ・ミー・リトル・モア」の存在感ゆえか全体の輪郭が見えづらい。間違いなくいいアルバムなのだけど、妙な体感。聴いているうちに曲が溶けだして全体ににゅる〜として消えていくようで、なかなかしっかり掴ませてくれない。だからレゲエは面白いと言っていいのか、どうなのか。

雨降りだけど、ひとつだけ出かけたいところがある。今日行かないと、次に行けるかわからない。

2024/09/02

9/2 店日誌

9月2日、月曜日。店をはじめてから10年以上の習慣になっていたことを見直し、とある場所に行かなくなった。まる2ヶ月は経っただろうか、大した期間ではないのだが、自分にとっては大きなことだ。日々の行動に制限をかけてみて初めて見えるものがある、なーんて大袈裟な発見は全くない。ただ、やめてみた。それだけの話。でも、そろそろ行ってみようかなあと思わないわけでもない(読んで心配する人もいるかもしれないけど、マジで些細な話です)。

家から店まで徒歩でだいたい40分。そりゃもちろん暑いのだけれど、台風の余波なのか、風がびゅーっと吹いていて気持ちがいい。空は青く、雲はでっかい。夏だなーと感じながら歩いていると、脳内でザ・ハイロウズ「ハスキー(欲望という名の戦車)」が再生される。ロマンチックな理由で〜なんてそらんじながら機嫌よく歩いてきた。

開店前に近所の蕎麦屋〈S〉行く。長いこと贔屓にしている店なのだけど、タイミングが合わず、この夏はほとんど来られなかった。せいろの大盛りが来るまでの10分ちょい、静かな店内で本を読んでいて心がじーんと暖められる。蕎麦にも大満足。会計を済ませて「また来ます」と声をかけて店を出た。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ!

2024/09/01

9/1 店日誌

9月1日、日曜日。午前中、近所のスーパーに向かって歩いていると、道端でポットマンこと土田くんとすれ違う。数日前にもゴミを捨てているところで行きあった。近所に住んでいるからなあ……と結論づけようと思ったが、ちがう、なぜか土田くんとは路上でしょっちゅう遭遇してきた。彼がまだ大学生だった頃、ガールフレンドらしき女性と歩いているところに何度かすれ違っている(照れくさくてオレが爆笑したこともあった)。数年前には原付が壊れて止まっているところにも居合わせた。縁があるということか。

坪内祐三『日記から 50人の50の「その時」』再読したからか、『三茶日記』にはじまる日記ものを読みたくなる。著者自身がつける註の気取りに引っ掛かり、しばらく読めなかったのだが、今なら読める。佐久間文子『ツボちゃんの話 夫・坪内祐三』を副読本にすると書かれた出来事に厚みが出ると気づいたのも大きい。

JUN YABUKI『STANDING STILL AND WLKING JUST WAITING』(タイトル長いし、サイズがデカい……)を手に取る人がけっこう多い。過去に作品集を出したわけだし、展示も繰り返し開催したからか矢吹くんファンがいるのも驚かないが、やっぱり嬉しい。

と、まあこんな感じでいつも通りに開けてます。お暇ならばご来店を。

2024/08/31

8/31 店日誌

冬の日はいつか暮れ、立籠める夕靄につつまれて、田原町の角に立っている高い仁丹の広告も、向側の猪料理の看板も、ネオンサインの赤い光がにじんだように薄らぎ、街灯の火影は立木の間に円くぼんやりとしている。(永井荷風)

8月31日、土曜日。目が覚めてすぐに読んだ、永井荷風「おもかげ」(林哲夫・編『喫茶店文学傑作選 苦く、甘く、熱く』所収)に引き込まれた。新吉原揚屋町の門前、竜泉寺町の牛飯屋の屋台から出てきた辻自動車(タクシーの旧名)の運転手二人が立ち話をはじめる……。

今だにぞめき歩く素見客(ひやかし)が途絶えないと見えて、それを呼び止める妓夫と女郎の声が、此処から彼方へと池の蛙のように湧起ってはまた静まる。折から手風琴(アコオジョン)とギタアとを伴奏(つれびき)にした門附の流行唄が、河岸店の間から聞えだした。

豊といわれた運転手が語り出す。「為さん。全く、おれの話をきいてくれるなァ、君くらいなもんだ」ときりだし、はじまるのは早逝した妻おのぶのこと、その妻によく似た顔の踊り子露子との出会い。小さく哀しい逸話が淡々と、情感をこめながら語られる。季節の移ろい(回想)、時間の流れ(現在)の描写をはさみつつ、朝を迎えて話は終わる。

二人の運転手は立って拍子木を鳴し歩く女郎屋の窓の方を眺めた。窓の火影は街の上の灯火と同じく、まだ夜のままの色をしているが、東雲の微光は東の空のはずれから一瞬ごとにひろがって来て、セメント造の家の壁や硝子窓ペンキ塗の看板なぞに反映して、白く塗られたものの色が、逸早く見え初める。

いやあ、なんとも。20ページの短篇になんとゆたかな色があることか。永井荷風の小説を読むのは2、3度目なのだけれど、ここまでグッときたのは初めてだ。自分の筆が立たなすぎてまったく説明が追いつかないので、気になった人はぜひ『喫茶店文学傑作選』にあたってみてほしい。いまなら新刊書店の中公文庫の棚に置かれているはず。

今日も通常営業。お出かけの際は無理なく、お気をつけて。

2024/08/30

8/30 店日誌

8月30日、金曜日。虫の声に触発されたのか、ゲロゲリゲゲゲが聴きたくなった。このバンド(ユニット?)のことはよく知らないのだけど、仄聞するに激烈なノイズを鳴らすらしい。たまたま自分が持っているレコードは『 > (decrescendo)』で、この作品はハピドラムというスティールパンに似た音色の楽器が独奏されるだけ。風が吹き虫が鳴く、たまに車も通り過ぎるなか録音された、とても静かなアルバムである。

夜明け前、月が出ていて夜はまだ明けないだろうと演奏していましたが、演奏を終えると夜は完全に明けていました。これも意図的ではありませんが、まさに夜明け前から夜が明ける絶妙な時間です。ハピドラム以外がいわゆる主人公の曲ですが、まさかそんな貴重な時間が演奏の主人公になってくれる事までは予想をしていませんでした。(山ノ内純太郎)

裏面記載のテキストによれば、この演奏が録音されたのは、2019年9月18日(5年前なら、もう秋めいていたのかもしれない)。時間の流れがそのまま刻まれたレコードに針を落とすと、聴いている部屋の時間がぐにゃ〜り、ゆがみ出すような感覚がある。それも、いたって自然で、まともな作用だと受け止められる。

それにしても雨が強い! ときにザーッっとくると、まわりの音がかき消される。そんな中で読んだのは、川崎大助『教養としてのパンク・ロック』。ちょっと前に届いた『DEBACLE PATH』別冊2で取り上げられていて、気になった。読んでみると、これが面白い! 昨日の午後から夜までに、あらかた読んでしまった。新書で約1300円は高いようだが、単行本でこの内容だと、たぶん2200円になる。形態と価格のバランス取りで格闘している人もいると知った。

とりあえず今日も通常営業。さーて、お客さんは来るのかな……。

2024/08/29

8/29 店日誌

8月29日、木曜日。Weather Report『Weather Report ‘81』のB面がとてもいい! ベースが主導するゆったりしたテンポにいろんな楽器が乗ってくる“DARA FACTOR ONE”から“PIPELINE”の流れが楽しい(ファンクでもレゲエでもない……妙な音像)。正直、フュージョンはいまだに苦手で、どう聴いていいのかよくわからない。でも、ウェザーリポートはアルバムよっては好きなのだ。事情通には怒られそうだが、変なバンドだなーと思って聴いている。できれば、音がドドドッと詰め込まれていない曲がいい。

ながいこと得意でなかった、ジャコ・パストリアスのベース・プレイ。ここに入ってる“SPEECHLESS”はいい。全体にメロウなのだけど、途中に入るヴォコーダーの音がやや不穏。どんなセンスでこうなるんだろうか。

近所のローソンにレターパックライトを買いにいくと、売り切れていた。午後には入ってますかね? と聞くと、今日は難しいですねえとのこと。こればかりは仕方ない。あまり好きでない別のコンビニに行くことにする(と思ったけど、確実な郵便局に行く)。

今日明日も通常営業。台風の具合、どうなのだろうか。

2024/08/28

8/28 店日誌

8月28日、水曜日。夏の終わりっぽい風が吹いていた朝、『沖縄 正調沖縄民謡のすべて』に針を落とす。“安里屋(あさどや)ユンタ”、“すぅーしすぅーさー”、“村興し”、“浜育ち”、“とばらーま”、“鷲の鳥節”、“守礼の島”といった曲が順番に流れる。どこか遠くに行きたいなあ……なんて感慨にとらわれて、ブログを見返すと2年前の今ごろは山梨に行っていたと思い出す。いくつかの出張を除いて、あのとき以来、何泊かの遠出はしていないのだ。過剰なストレスは感じていないが、店を開けることにこだわり過ぎているのかも。

先週末に届いたHAPPFAT『Mitime tape series 11~夏の背中~』を流していると、気持ちがいい。じわーっと身体をあたためる、ヌルめの温泉に似た作用がある。リラックスしていい音を浴びたい方には、これをすすめる。ダウンロード・コード付きのカセットテープ。

こちらは超限定入荷! SINSUKE FUJIEDA GROUP『PERSPECTIVE/FLYING STEPS』(7インチ)も今日から販売開始。オンライン・ストア〈平凡〉にあげるかどうか、迷っているところ。店にあるのはあと2枚。オクラ印のヒデさんから預かった手製アナログ・シングル。

今日明日は15時開店! 明後日はちょっと早く開けられるかも……。

2024/08/27

8/27 雑記

先週末から、UA『ハルトライブ』を繰り返し聴いている。アップルミュージックの解説によれば「2010年2月3日、新宿ピットインでの公開レコーディング・ライブ。わずか100人の観客の前で録音された13の歌は、まるで野生の生き物のように本能的な生命力に満ちている」。なるほど、たしかに野生的。手練れのプレーヤーが集ったバンドが生むグルーヴは原始的。ここぞのときに入ってくる女性コーラスも動物が鳴いているようで、スケールを広げる。

あらたに解釈された「プライベート サーファー」から「情熱」への流れは絶品。シブ〜く抑制を効かせた前者から一転、解放されたような後者は文句なしのカッコよさ! バンドの大波を乗りこなすように歌うUAがたくましい。サビ部分のラップ気味な言葉の落とし方にも痺れてしまう。

今日はまず柏、そのあと北千住にいく。先輩たちに会ってくるのだ。

2024/08/26

8/26 店日誌

8月26日、月曜日。午前中、理髪店〈Bespoke〉まで自転車を走らせて散髪。サッパリした頭で帰宅、シャワーを浴びて、扇風機にあたりながらカップ麺を一気に食べる。ラジオからは「昼のいこい」。この番組の醸し出す雰囲気、おっとりした空気が好きだ。日ごとのテーマにそった選曲もシブい(今日の1曲目は園まり「なんでもないわ」)。聴取者からの便りに季節感があるのも、とてもいい。

独自の姿勢をつらぬくパンク・マガジン『DEBACLE PATH』、約4年ぶりとなる刊行は『ハードコア・パンクの歌詞を読む』につづく別冊号。数日前の日誌にも書いたけど、パンク本座談会「「現場」からの『パンクの系譜学』批判を中心に」が面白い。この他、マルクス・ルンドストロム「スウェーデンでアナキズムとパンクが出会ったとき」などを収録。

暑さもだんだん和らいできたような……。届きたてのHAPPFAT『Mitime tape series 11~夏の背中~』のテーマは、終わりゆく夏。夕方の風のようなムードのミックステープ。やさしく身体をなでるような質感で、気持ちがいい。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ。

2024/08/25

8/25 店日誌

8月25日、日曜日。大きな祭にぶうぶう言うのはナンセンス。読んでいてイヤになったよーって声こそなかったけど、自分で読み直して呆れてしまった。思いつきの行数稼ぎとはいえ、もう少しうまく、気の利いたことを書くべきだよなあ……。なんて思い直したのは今日の朝。まつりつくばに出かける人はどうぞ楽しんで! そうでない人も、いい時間を過ごしてほしい。各自が工夫して気持ちよく過ごせば、いい日曜日になるだろう。自分は店で、作業をしつつ、お客さんを待つことにする。

近所に住んでいるソニックさん、大阪からきたカワブチさんがたまたま居合わせる。難波ベアーズ、新世界ブリッジ、山本精一などいくつかのキーワードをもとに話に花が咲く。最新号を納品にきたスペクテイター編集部の青野さんもまじえての会話はめちゃくちゃ濃かった(ソニックさんの最新号への反応もヴィヴィッドだった!)。

いくつかの新刊にくわえて、古本には日々入荷あり。音源では、HAPPFATの新作ミックステープがそろそろ届きそう。だいたいのものはオンライン・ストア〈平凡〉でも購入できるので、チェックしてほしい。

今日明日は13時から19時までの通常営業。お暇があれば、お出かけください。

2024/08/24

8/24 店日誌

8月24日、土曜日。つくば駅周辺で、毎年恒例の大規模な祭がはじまったらしい。こうなるとヒマなんだよな〜、まあ作業もできるしいいのだけれど、どうにかならんものかなあ。じゃあ参加すればいいじゃん! と言われても困る。沢山の人があつまる催しには関わりたくないのである。だから、こんな店をやってるわけだ。ここで話はふりだしに戻る。そもそも古本屋なんだぜ。静かでいいじゃないか。この商売、祭ごとには向いてないのだ。

皮膚感覚や現場経験は、パンクにとってすごい重要なんだってことを明らかにしておかないとね。アカデミアではロジックや法と理性が優先されて、経験なんて軽視されるのかもしれないけど。(黒杉研而)

ひと足さきに読んでいる、『DEBACLE PATH』別冊2が面白い(発売は26日(月))。「ハードコア・パンクの読書」と題された特集の巻頭に置かれているのは、「現場からの『パンクの系譜学』批判を中心に」という座談会。示唆に富む内容で、一気に読んだ。議題の本より、川﨑大助『教養としてのパンク・ロック』を読んでみたくなった。

元気にしてるかなーと思っていた、開店当初からの常連Hさんが顔を出してくれて嬉しい。いつも通りに『アルテリ』ともう1冊買っていく。こうしたお客さんがいるから、なんだかんだあっても、やっていける。日報を楽しみにしてると伝えてくれた方もいて、ちいさく驚いた。

今日も書籍に入荷あり! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ〜!

2024/08/23

8/23 店日誌

8月23日、金曜日。今朝は起きられず、草刈りも体操もできないまま、だらだら過ごす。暑いには暑いけど風がぬけてちょっと涼しい。隣の家の工事が進んで、古い家屋が壊された。これまで見えなかった風景がいくつかあって新鮮。すぐ慣れて、なんとも思わなくなるのだろうけど、今だけのこの感覚がちょっと面白い。それにしても、昨夜はなぜあんなに飲んだのか。どうしてあんなことを言ったのか。小さな反省が重なって嫌になる。ああ、まったく。

オンライン・ストア〈平凡〉の動きが鈍い。先月は過去最高の売り上げで、手をいれる喜びが大きかった。それが今月は! 特別サボっているわけじゃないし、ちょこちょこ新入荷もあるのだけど……反応が少ない! 無理矢理買ってもらうのもおかしいし、変なことは言えないのだけど、先月の動きっぷりからの反動が大きい。

アジアを読む文芸誌『オフショア』第四号、盛岡〈BOOKNERD〉での矢吹純の展示図録『STANDING STILL AND WALKING JUST WAITING』あたりの新刊に加えて、古本や中古音源にも日々動きあり。店にきてもらえば、何かしらを見つけてもらえるはず。

今日も通常営業。明日明後日、明々後日も開けてますので、よろしくどうぞ。

2024/08/22

8/22 店日誌

8月22日、木曜日。昨日より30分はやく目が覚める。草刈りを30分、じわーっと汗をかいたところで切り上げてシャワーを浴びる。「朝いちばんにシャワーを浴びるのがカリフォルニア・スタイル」なんて一節が、北山耕平『自然のレッスン』にあったよなーと思い出す。20代前半のある時期くりかえし読んでいて、身体の奥にどしっと居座っている言葉がいくつかある。合わせて読んでいた、北山編集長時代の『宝島』(「髪を伸ばせ、マリワナを吸え!」)はいまでも好きだ。「宝島共和国国営放送」はいつかしっかり真似てみたい。

仙人掌&S-kaineのレコードを買いにきたサクライさん、いそがしく動きまわる絵描きのナツナさんが居合わせて、最近のイベント事情に関して意見を交わす。安直な楽観論が出ないから信頼できるし、興味深い。現代のカフェには文化的な役割は担えないんだと実感(どちらかが言ったわけでなく、話しているなかでそう感じる)。

小沢昭一『なぜか今宵もああ更けていく』を読みながら、『LONDON IS THE PLACE FOR ME 3』を聴いてみると絶妙なマッチング。哀愁の具合がちょうどいいのか、どちらも自然に受けとめられた。

今日も新刊に入荷予定あり! お暇があれば、ご来店を〜。

2024/08/21

8/21 店日誌

8月21日、水曜日。朝、パチリと目が覚めたのが5時半。そこから草刈りを30分強、1週間サボった草はたくましく伸びていて、手応えがある。汗ダラダラでシャワーを浴びて6時15分。ちょっと休んでラジオ体操を終えて、ようやくひと息。コーヒーを淹れてホットドッグをほおばる。ジャッキー・ミットゥー『マッカ・ファット』は朝にも合う。ユルい空気を醸し出す鍵盤の音、軽やかな裏打ちがひっぱる伴奏が組み合わさって、ストレンジかつファニーなレゲエ・ミュージックになる。

今日のつくば市の最高気温は31度~34度らしい。ちょっとだけ楽になってきた気もするけど、正直いって、もうわからん。レコードはB面にうつってジャッキー・ミットゥーは「パープル・ハート」を演奏中。この曲はベースラインが面白い。

さて、ここからが店日誌(どっちでもいいですよね……)、今日は仙人掌&S-kaine『82-01』(LP)が入荷予定。もしかすると、スペクテイターの最新号も届くかも。オンライン・ストア〈平凡〉にも動きがあるので、ご注目を。

今日明日、明後日は15時開店! 週末はつくばの祭らしいけど、知ったこっちゃない!

2024/08/20

8/20 雑記

お盆の連休明けの月曜日、こんな日にくる人いるんかなと考えつつ(一昨日がめちゃヒマだったから……)、店で本を読んでいた。序盤はクーラーをつけず、アップルミュージックが繰り出すレゲエ~ダブに合わせてテキトーに身体を揺らしていたら、モドキプロがガリガリくんを買ってきた。しかも梨味。気が効くじゃんか〜とか話していると、水戸〈Coffee Staple〉の吉田くんたちが顔を出す。入れ替わるように人がきて、面白い。NOOLIO『SIDE.C Classics』Vol.7を薦めたら、すぐ買ってくれる。彼らを送り出して、ちょっと落ち着いた頃に太郎くん。差し入れのヤクルトを一気に飲む。ここで、冷房のスイッチオン。

太郎くん話していたら、須田帆布の須田さんが「よっ!」といって顔を出す。元気そうだ。どうだい、やってるかい〜なんて感じで会話がはじまり、話しているとじわじわ力がでてくる気がする。こういう先達がいてくれて嬉しい。さっと選んだ数冊を買って須田さんは颯爽と店を出ていった。

ここのところ、たまに顔を出す男性。いつも静かに店をみて、しっかり本を選んでいく。自己主張がつよくなくて好ましい。服装、髪型なんかでアピールされるより、ただ自然でいる人が素敵だ。彼がそっと選んだ2冊もまた同じく。またよろしくと話して、次の若者。宮部みゆきの新刊を買っていく。3冊300円。それでいいんだ、自分なりにピンときたものを選べばいい。少額でも身銭をきって経験を得てほしい。失敗なんて当たり前だ。

日が暮れてきて、今日もそろそろ終わりかな……って思っていたら野口さんが顔を出す。今年初頭の展示「アクアクの時代」会期中にはよく顔を合わせていたけど、最近はたまに道端で会うくらい。久しぶりにじっくり話を聞く。東京都現代美術館での「ホー・ツェーニン エージェントA」から派生する京都学派、三木清や田辺元のこと、何度か足をはこんだ展示につっかかったままらしい。ふーむ、なんて調子で聞いていると、雷の音がする。こりゃヤバい! あわてて会計を済ますと、〈古着屋may〉の細矢さん。矢吹くんの作品集を買ってくれて、急いで閉店、じゃーまた! と自転車で走りだしたところで雨が降り出す。途中でポンチョをはおって、どうにか家までたどり着く。ホッと安心すると強風、豪雨、大雷。ギリギリ、いいタイミングで帰ってこられた。

8月19日の全記録ではないけれど、だいたいこんな感じで日が過ぎた。

2024/08/19

8/19 店日誌

8月19日、月曜日。1971年のジャマイカと2024年の日本、どちらが暑いのか。もしかすると後者の方が暑いのかもしれないし、しかるべき資料にあたって、それが証明されても驚かない。まあ、そうだよなあ、こんだけ暑いんだから……なんて感慨、10年前には成立しなかった。そりゃ、間違いなくジャマイカの方が暑いでしょ! マヌケな質問はやめてくれ。なーんて調子でまともに耳をかさなかっただろう。それだけ、近年の暑さはきびしい。

定時前に店を閉めて向かったのは、天久保一丁目〈Good Near Records〉。昨日までの連休中、中古レコード10%オフ・セールを開催していると知っていたのだが、タイミングがあわず、足を運べないままだった。スエルテくんが店主になってからまともにレコードを買っていないし、そろそろ、あれを買うべきとき。壁に飾ってあるジャッキー・ミットゥー『マッカ・ファット』が欲しいのだ。ずっと前に持っていた盤を酔いの勢いで手放したまま、買い直せていなかった。

自転車を走らせて店に到着、すぐさま壁をみると、よかった! まだある。飛びつかず、ジャズ~レゲエ~ロックと目をうつらせて、入荷チェック。けっこう良いのが入ってる。欲しいのも何枚か。安めの盤でおさめておくかと一瞬迷うも、ええい! マッカ・ファットを買いにきたんだろう、オマエは! 決意を改めて、盤質の確認ついでに試聴する。A面1曲目「Henry the Great」のイントロだけで、迷いが吹きとぶ。オレはこれを買いにきたのだ。

1971年のジャマイカも、2024年の日本におとらず暑かったのだろう。そうでなければ、こんな音楽が生まれる理由が説明できない。ラウンジ~モンドを経由したようなロック・ステディ。おいおい、あぢ〜なとか言いながら、ジャッキー・ミットゥーも演奏していたんだろう(ここまで書いて、1967年録音の『イン・ロンドン』に針を落とすと、すでにこのスタイルは完成している。暑さは関係ないのか……)。

連休明けの月曜日、どうなのだろう。人は来るのか。とりあえず開けています。

2024/08/18

8/18 店日誌

8月18日、日曜日。朝、針を落としたのはTrey Gruber『Herculean House of Cards』。早逝したミュージシャン、トレイ・グルーバーの未発表音源を収録した2枚組。序盤はラフな雰囲気で録音された曲が多い。なんとなくジョン・レノンを思わせるヴォーカル、メロディで曲がすすむほどぴったりと合ってくる。好きなのはB面2曲目「Dirt」、C面1曲目「Stay in Line」(いや、この面はぜんぶ良いな)。教えてもらって買ったのが数年前の夏だったからか、今でも夏になると聴きたくなる。

休みかも……と言っていた明日は通常営業。来週26日(月)と27日(火)で連休をとろうかと思案中。はやめに決めて、ここかどこかで伝えます。

今日も書籍に入荷あり。まあ、のんびりとやっております。

2024/08/17

8/17 店日誌

8月17日、土曜日。警戒されていたよりも台風7号は大きく荒れず、風雨が強くなったくらいで通り過ぎた。これなら店を開けててもよかったかなーと思わなくもなかったけど、やっぱり休んでよかった。お盆の連休前半の勢い、真夏の日々の疲れが蓄積していたことを実感したから。いくら寝ても、眠い。気を抜くといつにまにか眠っている。たった1日(正確には半日)、店を休んでダラダラと過ごしただけで、だいぶ身体が楽になった。

このLPのA面第一曲も、たとえばハワイの安食堂のジューク・ボックスでふと聞いたなら、ぼくはきっとレコードをさがすはずだ。晴れた日のまっ青な空ときらめく陽、雨の日のけだるいもの悲しさ、そして夜の暗さと波の音を持ち歩きながら。(片岡義男)

朝起きて、女性ブルースコンピを片面聴いたのち、久保田真琴と夕焼け楽団『ハワイ・チャンプルー』に針を落とす。A面第一曲「スティール・ギター・ラグ」のイントロ前の波の音から、もう最高。ジワーッと身体に沁み込んでくる。バンド名、タイトル、ジャケット、ライナーノーツすべてがうまく組み合わさっている。これぞレイドバック・チャンプルー。

うっすらと夏の終わりも見えてきた。(と言っても、9月いっぱいはそれなりに暑いのだろうけど、と言うか、今日もメチャクチャ暑いのだけど)そう書いてみるだけで、気持ちがちょっと楽になる……なんてのは気のせいか。

今日明日は通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。

2024/08/16

8/16 店日誌

8月16日、金曜日。店日誌として書きはじめたけど、ついさっき今日は休むと決めたので、家で寝そべって書いている。となると、これは家日誌かな。読んでる方はどっちでもいいですよね。とりあえず今日は休みで明日、明後日は通常営業。休もうかなーっと思っていた明々後日19日(月)は開けるかもしれません。ぐちゃぐちゃとややこしいですが、明日からまたよろしくお願いします。

店はやってませんが、オンライン・ストア〈平凡〉は営業中。ちょこちょこ古本を足しているので、気が向いたらのぞいてください。今日の注文であれば明日午前中の発送、早ければ明後日到着かと思います。

てなわけで、みなさまも安全第一でお過ごしください。

2024/08/15

8/15 店日誌

8月15日、木曜日。やっと普通の朝がきた。6時前に目が覚めて、寝たり起きたりを繰り返したのち、エイヤッと身体を起こして洗物と体操を済ませてからコーヒーを淹れる。なんとなく頭が重いけど、調子はわるくない。11日(日)、12日(月)、13日(火)の3日間のダメージは大きかった。それだけ楽しかったわけだけど、やはり無理は禁物。普段とは異なる時間の流れ、人の動きに引っ張られると、けっこう身体に負荷がかかる。

急に雨がザーッときて雷がくると、まもなく目の前の筑波大にドカンと落ちる。ドシーン! と地響きが伝わって、店のガラスもビリビリ震える。こりゃあすげえ……と慄いていると、ガラッとドアが開く。こんなときに人が来るのか! と小さく驚くも、間違ってきたの? って感じでノーマネーでフィニッシュ(ヒソヒソ話して何も買わずに帰っていった)。

そのまま数時間、甲子園の実況中継を以外はシーンとしたまま。甲子園終了後にはじまった山口百恵、谷村新司特集の選曲に耳を傾ける。共通して流れたのは「いい日旅立ち」。いい曲だなあと感じ入る。昨日唯一のお客さんに本を売って、時計をみると19時半。さっさと閉めて家に帰った。

だいぶ身体も整って、今日は晴れ! でも、明日明後日は大荒れみたいだ。くると言ってた同業の先輩家族も無理っぽい。そりゃそうだ、車の運転だって怖いもの。安全第一。

普通にやれれば、今日明日は15時開店。何時まで営業するかは天気次第です。

2024/08/14

8/14 店日誌

8月14日、水曜日。お盆の連休という感じでのんびり、だらり。静かだけれどちょこちょこと人が来る。張り切って営業! なんてノリでもないので、これくらいの客入りがちょうどいいのかなーと思っている。数年ぶりに会う京都の友人、どこか遠方から来たと思わしき方、ある時期ほどは会わなくなった常連Oくん、ダニエルさん。夕方以降は最後に書いたふたりとダラダラと呑んで、話していた。いろんな音楽を教えてもらった。

てなわけで、今日も開けています。まあ、力まずにやっております。

2024/08/13

8/13 店日誌

8月13日、火曜日。レッチリことレッド・ホット・チリ・ペッパーズがパリ五輪の閉会式でライブ! いわば4年後のロサンゼルス大会の顔役になったわけだが、微妙な違和感をおぼえている。彼らが世界有数のビッグバンドで、オリンピックの看板となるだけの存在なのは承知している。だけどなー何なんだろうなあ、この感じ。嫌ではないし相変わらずだなーと目にして嬉しい気持ちはあるのだけど、なぜか、ちょっとだけ寂しくなった(アンソニーのシャツ捲りパフォーマンスにはウケました)。

YouTubeのおすすめ動画に上がっていたノエル・ギャラガーのインタビュー和訳をみて、笑った。好きなのは「キース・リチャーズと遭遇」「ルーニーの妻から、ギターにサインをお願い」。いや、なにがってわけではないのだが、面白いんだ。

一昨日はオクトベース、昨日はフロッグと天久保一丁目に出かけて、沢山の人と会った。10年以上ぶりに話す人、ここで会うとは! と驚きあった人、くったくなく話ができて楽しかった。どちらでも質のいい音に触れられて、刺激をもらった。

今日はお盆の臨時営業。まあ、のんびりやってるので、お暇があればお出かけを。

2024/08/12

8/12 店日誌

8月12日、月曜日。午前中、たまった缶と段ボールを捨てにスーパーに行くと、いつもより人が多い。帰りがけに寄ったドラッグストアではレジでおじいさんが長々と話してる。世間はお盆の連休なんだなあ。サクレとゴクリ(グレープフルーツ ピンク&ホワイトが好きなのだ)を買って帰って、店に着いて一気食い。頭がキーン! 胃袋ヒヤリ! 思わず唸る。身体が動き出したようで、そのままホットドッグも食べきる。ふうう、今日もどうにかやれそうだ。

ラジオで甲子園の中継を聴いていると、解説者がいつも同じ人のように聴こえるのはオレだけか。なんとなく穏やかで丁寧な語り口。大学や社会人野球の監督を経験しているナントカさん。今は富山商と東海大相模が試合中。

熊本の文芸誌『アルテリ』十八号が到着。NOOLIO『SIDE.C Classics』Vol.7『ARRROUND 100 TON RIDDIM MIX』(手ぬぐい+ミックス+ステッカー)はそろって再入荷。その他、古本もたくさん買い取っている。

今日も書籍に入荷あり。オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

2024/08/11

8/11 店日誌

8月11日、日曜日。ひさびさに顔を出したのは、ハードコア・バンド「TRUE FIGHT」のヴォーカリスト、ヤジマくん。40何箇所をまわるツアーの真っ只中とのことで、今日は西荻、明日は甲府でライブがあるらしい(間違ってたら、ゴメン)。会うたびにまっすぐ熱くパンクシーンの現状、展望について語ってくれる。スケートボードやハードコア/パンクを軽々しく、オモチャのように扱う人が多いなか、彼のような当事者の声に触れると背筋がのびる。遠からず、何かをいっしょにできたらいいね! そう声をかけあって、気持ちよく送り出す。

その後はまるで数珠つなぎ。ヤジマくんとの会話にもでたTURNSTILEの来日公演、鹿島アントラーズの現状などを別のお客さん、ヲリヲリ器の新田と話す。

交通機関が発達し過ぎたこの街は、その交通機関の地図によってこちらの道筋と行動を縛る。(…)レールを無視して好きなように歩けば自由が得られて電車代も浮く。この混み入った街ならではの自由だ。自由を奪う街から自由を奪い返したければ、シノゴノ言わずに歩けばいい。(吉田篤弘)

吉田篤弘『木挽町月光夜咄』はぐねぐねとうねる変わった本だった。歩行と思考、執筆と生活が並行しているエッセイ集。よく知られた著者の珍しくもない本なのだけど、読み応えは、どうにも奇妙。読むほど、吉田篤弘に興味が増していった。

さあさあ、今日は何を読もうかな。どんな本が届くかな。できるだけ静かに過ごしたい。

2024/08/10

8/10 店日誌

8月10日、土曜日。ラジオから、レーナード・スキナード「スウィート・ホーム・アラバマ」が流れてきて、思う。この曲の肝は音の質感だろう。ペナペナで厚みのない、乾いた旋律。ドラム、ベースが合わさってくるまえのギターだけの音がいちばんカッコいい。だとか色々考えつつも、サマースペシャルから早々に離脱して、ジャンゴ・ラインハルトのレコードに針を落とした。風があって、いがいにも涼しい午前中、本を読みながらダラダラと聴いていた。

タイニーデスク・コンサートでのフィッシュの演奏がすばらしくて、何度も視聴している。このバンドの魅力は音の響き。伸びやかで軽やか。言葉に置き換えるよりも前に心がぐーっと広がっていくようで気持ちも軽くなる。一度、生で彼らの音を浴びてみたい。

実家のご近所さんから送られてきた買取の本、3箱を開けて驚いたのは、ちょうど興味を持っていた著者に関する本がいくつか入っていたから。尾崎翠『第七官界彷徨』だとか、森茉莉や×××など、狙いすましたような本のチョイス。文芸誌『海』や『en taxi』が混ざっていたのも嬉しい。うーん、シブい! とか言いながら査定を済ませた。

地震、台風、猛暑。これらが組み合わさってくるなんて、考えたこともなかった。午前中に出かけたスーパでは水の買い占めなどなく、いつも通りで安心した。混乱を避けられるよう工夫ができたらいいなあ。

今日明日、明後日、明々後日も13時開店。気が向いたら、ご来店を。

2024/08/09

8/9 店日誌

8月9日、金曜日。ああ、最高。フレディー・マクレガー『ビッグ・シップ』に針を落とすと懐のふかいルーツ・レゲエが流れ出す。なにか新しいとか、珍しいわけじゃなく、正統派のワンドロップ。フレディーを支えるバンドはルーツ・ラディクス(Wikipediaによると鍵盤はグラディーらしいが、本作はどうなのだろうか)。聴くうちに「馥郁たる」という言葉を使いたくなり調べてみると「香りがよいさま。よい香りが漂っている様子」とある。なるほど、ぴったりの意味である。

先行してお知らせ! 9月28日(土)に当店隣の〈千年一日珈琲焙煎所 CAFE〉にて、森脇由二監督作品『ブリング・ミンヨー・バック!』の上映会を開催する。ごぞんじ、民謡クルセイダーズのドキュメンタリー。監督とバンドメンバーも参加するアフタートークも行うので(話しながら歌ったり?)、楽しみにしていてほしい。

10月にはご近所〈つくば食堂 花〉と天久保一丁目〈aNTENA〉でのライブに参加予定(前者は制作、後者は出店)。そのあと、11月3日(日)には久々にがっつり関わるイベントを開催! 魅力のある催事がつづく秋の入口。どうぞよろしく。

今日も書籍、音源に入荷あり! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を!

2024/08/08

8/8 店日誌

 「好き嫌い」だけで押し通しているのに、そこらの社会時評より数段面白く説得力がある。そこが凄い。それから何よりも、文章の間から書いている当人の精神の躍動感やら解放感やらがひしひしと伝わって来る。文章の向こうに、モリ・マリという妙なイキモノが思うぞんぶんにはね回っているのが、見えて来る。そこが面白い。(中野翠)

8月8日、木曜日。ああ、面白い! 中野翠『アメーバのように。私の本棚』につよく共感して畏れ入る。こんなにも正直で、鋭く、まったく難しくない言葉を連ねる中野翠さんはカッコいい。「好き嫌い、つまりは〈感性〉というものだけで何か書けるものかどうか、どれだけのものが書けるか」という実践を経て得た実感が綴られたこの本に勇気づけられる。右見て左見て、もう一度、右見てから発せられる、つまらない意見ばかりが耳に入るからだろうか。

なにしろ長谷川四郎といや、知的風来坊の権化で、いろんなことを知ってるばかりか、ロルカを訳したり、ブレヒトを訳したり、その他なんでも気に入っちゃえば翻訳しちゃうという、いうなれば翻訳の怪物で、「いやあ、きみ、スペイン語が分ったら、ロルカなんか訳せんヨ。アッハッハッハ」と豪快に笑い飛ばすヒトだった。(青山南)

常連のYさんが持ってきてくれた買取の2袋が素晴らしくて、よろこんだ。なんとなく手に取った青山南の本に「長谷川四郎の教え」というページを見つけたり、常盤新平、吉田篤弘、堀江敏幸の本が入っていたり。お盆の連休に向けて、文句なしの仕入れをさせてもらった(最初にかいた中野翠の本もおなじくだ)。

来週8月13日(火)は定休日だけれど営業する(13時から19時まで)。連休の動きに大きな期待はせず、まあやることもないから店を開けるかという感じ。気張らずにやれたらいい。

今日明日は15時から20時まで、開けてます。お暇があればご来店を。

2024/08/07

8/7 店日誌

8月7日、水曜日。画像のないブログに慣れてきて、この状態でないと書けないこと、出せない雰囲気があるのでは……と気がついた。インスタグラムみたいにメンションができないから、話題にしている人に届く可能性はかなり低い(だからといって、好き放題に書こうとは思わない)から、書くにも工夫が必要だ。多くの人に読んでもらうための技術がない分、サボらないのを前提として、あらたな語り口をつくれたらなあと思っている。

長谷川四郎『シベリヤ物語』を読んでいて、眠くなったのが21時。目が覚めて草刈りと体操を終えて、コーヒーを淹れたのが7時ころ。編者・堀江敏幸の解説を読み終えて、8時すぎ。時間の流れってのは不思議だ。はやかったり、おそかったりが混ざりあって過ぎていく。

オンライン・ストア〈平凡〉にあげる古本への反応があると嬉しい。新刊や新譜はもちろんだけど、時代を越えて提案できる古本があってこその面白味がある。キャッシュレス決済を主にする便利な場ではあれ、含み(時間的なタメ──溜め? 貯め?──)のある場として活かしていきたい。

今日明日、明後日は15時開店。お盆にともなう連休中も通常通りの営業予定。

2024/08/06

8/6 雑記

午前中、自転車を取りに店まで歩く。さいわいにも曇り気味で日光は直射しない。久々にじっくり歩けるぞ! と勇んでいくと、ものの10分ほどで汗がびっしょり。湿度が高い。道中の電気工事の現場も大変そうだ。あちーあちーと呟きつつ、手ぬぐいで汗をぬぐいながら、足を進める。どうにかたどり着いた大学内の郵便ポストに本を投函。ふうふう言って、もう10分ほど歩いて店に到着。めちゃくちゃ暑い。Tシャツは汗でびっちゃり。扇風機にあたると少しラクだけど、しばらくは呼吸が落ち着かず。

こりゃ、今日は映画は無理だとあきらめ、支払を済ませて大学にある書店で文庫を吟味。ブローティガンがあるかな……という期待はもろくもかなわず、未読の古典をいくつか手に取る。ぱらりとめくってピンときたのは、長谷川四郎/堀江敏幸(編)『シベリヤ物語 長谷川四郎傑作選』。ページから静けさが伝わった気がしたからか、これこそ今日読むべき本だと確信した。買おうか迷った数冊も遠からず、読めればいい。

ベッシー・スミス、ジョー・ザヴィヌル、ルー・ロウルズ、ウォルト・ディッカーソン&サン・ラのレコードを順に聴きながら、本を読み、昼寝をした。

2024/08/05

8/5 店日誌

8月5日、月曜日。日中はまだまだ暑い。昼飯は? 冷たい麺しか食えないよ! って感じで、家にいても本を拾い読むかスケボーの動画(五輪でないやつ)を見るか、ダラダラしたまま。さっさと出かけて店を開けるかーと思わなくもないけど、まあすぐには人は来ないだろうし、冷房代もかさむしなーと考えると積極的に動けない。ひさびさに手に取った、磯部涼『ヒーローはいつだって君をがっかりさせる』に入ってる「イルドーザー闘争記 1995-2002」がめちゃくちゃに刺激的。この本は夏にぴったりだ。

ILDZっていうと、仕事が遅かった、ってみんな言うんだけど、本当は早かったんだよ。早すぎて、みんなに遅く伝わってたっていうか。(…)ここであえて、ILDZは、東京最速のデザイン・グループだったっていうことを強調しておきたい。(井口弘史)

なんで、また読み出しのか? 突然、店に来てくれたんだ。うちでもカセットテープを売らせてもらった、ハードコア・パンク・バンドのヴォーカルだった、あの人が! ぱっと見の雰囲気と振舞いがぴったり合っていて、自然体。買ってくれたレコード、本もビシッとしながら遊びもあって、嬉しかった。遠まきに憧れていた人に会えたりするから、店は楽しい。

やるからには、頭のネジが吹っ飛ぶぐらいの楽しいことをしないと、って思いながら、日々、ライヴをやったり、ツアーに行ったり、ファンジンをつくったり、Tシャツをつくったりしているの。(森本雑感)

だらだら書いていると、汗がダラダラ。家の冷房はすべて壊れているから、扇風機にあたりながら。これは「家日誌」か、はたまた「雑記」か。いやいや、やっぱり「店日誌」。とか、なんとか、こんな感じの毎日だ。

決まりきったようなことを書くのに、飽きてきた。今日も通常営業〜。

2024/08/04

8/4 店日誌

8月4日、日曜日。朝晩の空気がきもちいい。夕方、店の前に椅子をだしてビールをのんでいると、やさしく風が通りぬける。一緒にいる友人に「この通りはいい風が吹くんだよねえ」と言うと、だいたい同意してくれる。ビアフェスやロック・フェスティバルに行かずとも、外で気持ちよくのめるってことを知ってるだけで、だいぶ楽しい。誰かしらに準備を整えてもらわなければ遊べない、踊れないってのがいちばん悲しい。小さくてもいいから、自分たちなりに楽しむ術は身につけておきたい。

派手じゃなくていい、お洒落じゃなくてもいい。できるだけ気楽に振る舞えて、そっちょくに言葉を交わせたらいいのである。友達が買ってきてくれるビールがあれば十分だ(うまいレモンサワーがあったら、なお嬉しいけど)。

そうそう! 「ピープルブックストア日報」の最新号が完成している。通算11号目で、昨年末に出張した「仕立て屋のサーカス・長崎 波佐見公演」と、その後の体調不良の記録。店頭かオンライン・ストアで何かしらを買ってくれた人への特典物。

今日明日は13時開店! お暇があれば、ご来店を!

2024/08/03

8/3 店日誌


8月3日、土曜日。朝のラジオはジルベルト・ジル特集。時期や作品によって楽曲の雰囲気がおおきく異なるから面白い。サイケデリックがあればレゲエもある、スタンダードなサンバやボサノヴァをやってるときもある。それでも、声に華があって艶やかだからか、聴いていてストレスが少ない。瑞々しく軽やかな曲が多く、根が明るい人なのかなーという印象をうけたのだが、どうなのだろうか。ケペル木村さんの選曲と語り口も好ましかった。

ラジオを聴きながら、読んでいたのは『中島らもの特選明るい悩み相談室 その3(ニッポンの未来編)』。質問、回答、挿絵のバランスがうまくとれていて、ページをめくるのに力がいらない。ダラダラ読むのにうってつけ。

昨日は数年ぶりに現れたTさんのペースに持っていかれ、自分もその気になって話しまくって、時間が過ぎた。その間に来たお客さんたちも理解があって、助かった。勝手に話している我々、好きに店をみて本を選ぶ人たち、自然に共存できていた。

今日明日、明後日は13時開店。少しだけ暑さがやわらいだ気が……しますよね。

2024/08/02

8/2 店日誌

8月2日、金曜日。「オンライン・ストアで売り切れてたから、慌てました」と、お客さんから言われてハッとした。そうか、説明不足だった。いまや当店をささえる大きな要素になっている〈平凡〉だけれど、在庫は完全に連動させているわけではなく、品切のものでも店に残っていることがけっこうある。欲しいけど、どうかな……と不安があるときはメールで問い合わせてくれれば、在庫の有無を伝えられるし場合によっては取置きもできる(できないときも、当然ある)。

9月、10月、11月と関わる催事の準備がはじまっている。まずは9月28日(土)の上映会。当店隣の〈千年一日珈琲焙煎所 CAFE〉でおこなう、久しぶりの映画の催し。監督、出演者を招いてのトークも予定しているので、告知を楽しみにしていてほしい。

ファッション雑誌などで目にすることが多かった山本海人さんが亡くなっていたのを知る。彼のつくった店に行ったことがなければ、手がけた服を着たこともないのだけれど、同い年ということもあり衝撃を受けた。

今日も通常営業! 些細なことでも、お問い合わせはお気軽に。

2024/08/01

8/1 店日誌

8月1日、木曜日。ここ数日、夕立ちを観察するのが面白い。雲行きがあやしいな〜と感じて数分から十数分、ほぼ間違いなくザザーッとくる。無防備な大学生たちはずぶ濡れで自転車を走らせる。通りががりの車が大きな水飛沫をあげる。ジメジメの空気が吹っ飛ばされて、少しだけ涼しくなる。雷が鳴れば大学の敷地を直撃して、地響きとともに店のガラスがビリビリ震える。呑気なことを言っている場合でもないのだが、このエネルギーを何かに活かせないものかと考えてしまう。

7月と8月、子どものころは夏休みの真っ最中。ラジオ体操に行って、家の居間でアイスを食べながら観るアニメの再放送、面白いわけでもないのだが、テレビの前を離れられなかった。あの時間の流れ方は、もう戻ってこないんだよなあ。

そう言えば、本編上映前の予告編で「踊る大捜査線」シリーズの続編が流れたのだけれど、20年前くらいの映像がひんぱんに挟み込まれて混乱した。ヤナギバトシロウが主役らしく、彼の演じた人物の記憶、かつての役職で得た感触が大きな要素になっているようだった。高校の夏休みに再放送していたドラマシリーズには、勉強を忘れて夢中になった。

今日明日は15時開店! 在庫確認、通信販売などのお問い合わせはお気軽に。

2024/07/31

7/31 店日誌

7月31日、水曜日。28日付の記事に「やっぱり写真があった方がいい」とコメントをくれた方がいた。こちらの勝手な呼びかけに応えてくれて、まず嬉しい。内容を読んで、やっぱりそうですよねーと思って、考えた。その上でいろいろ試してみたけれど、やはり写真は貼れないまま。なかなかもどかしいのではあるが、ひとつだけ約束する。以前の状態に復旧するまで(もちろん復旧後も)このブログは書き続ける。しばらく間を置いて、覗いてみたら戻ってる! なんてことがあったらいいなあと思っている。

ツイッター(エックスという呼称に馴染めない……)をログアウト、改めてログインすると背景が黒くなって現代っぽい色合いになってしまった。なんとなく余裕のない雰囲気でどうも好きになれない。あれもこれも、どんどん変わっていく。

なんだかんだとやることの多かった7月。あっという間に日が過ぎていったような気がするけれど、それなりに充実していた。遠方にでかける機会はつくれなかったのは仕方ない。今は、つくば市内での天久保地区での活動に注力するとき。

今日明日、明後日は15時開店! 友人の手製冊子など、いろいろなものが届くはず。

2024/07/30

7/30 雑記

先週とおなじ調子で〈シネプレックス つくば〉まで自転車を走らせて、アラン・パーカー監督作品『フェーム』を観る。午前10時の映画祭だし悪くはないだろうと、ほとんど何も知らないまま上映開始。若い男性の独り語りから一転、ガンガン場面が切り替わって、芸術表現の専門学校の入試場面なのだと気がつく。食堂ではじまるジャム・セッションでのブルーノのピアノ! 実にシブかった(アイツの親父もかなりシブい)。

古典的な青春群像劇とも言える内容なのだけど、何人かの俳優の表情が実際にグッとしまっていくのは見所のひとつ。全員集合的な大団円では涙がこぼれる。なぜか、ああしたシーンにグッとくる習性がある(『ビッグ・フィッシュ』、『スクール・オブ・ロック』とか)。冷静に観ればいくらでも突っ込める映画なのだろうが、自分はけっこう楽しめた。

家に帰ってシャワーを浴びて、キンキンに冷えたビールを一杯。今日はこれで十分だ。

2024/07/29

7/29 店日誌

7月29日、月曜日。いやー暑い、暑すぎる! 以上! で終わらせたいけど、そうはいかない。猛烈な真夏日にあっていいことは洗濯物があっという間に乾くこと。汗をかいたあとに飲む麦茶がすげーーー美味いこと。ほかに、何かあるだろうか。干した布団は熱さられて、パキパキだ。何度着替えてシャワーを浴びても、心地よさは持続しない。ああ、この暑さ。どうやっていなせばいいのだろうか。

今日も書籍、音源に入荷あり。オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

2024/07/28

7/28 店日誌

7月28日、日曜日。オリンピックもフジロックもない場所にいきたいなーと思うのなら、ネットの世界を覗かなければいい。SNSを開いてしまえば、遠い場所での出来事に日常が浸食される。それが嫌なら、本を読めばいい。もしくは、作業に没頭する。棚の本を入れ替えて、面に出しているものを取り替えて、積まれっぱなしの雑誌を表に出してみたり。小さな店内ではあれ、意外にゆたかで、幅の広い世界を含んでいる。

写真が貼れなくなって、時間が過ぎていく。ぱっと見の面白さは減っているのは間違いないが、読んでいる方はどうなのだろう。こっちの方がいい! なんて方はいるのだろうか。もし、いたら教えてほしい。

いま、好きな書き手ばだれか? と問われたら、こう答える。梶谷いこ、スズキナオ、河野友花。小林信彦、坪内祐三、川崎彰彦は殿堂入り(殿山泰司、洲之内徹、種村季弘は……と言いはじめるとキリがない)。

今日明日は13時開店。気が向いたら、遊びにきてください。

2024/07/27

7/27 店日誌

7月27日、土曜日。若い人に嫌がられるような振る舞いはしたくない。そう考えている40代は多いんじゃないだろうか。少なくとも自分はそうで、余計なことを言いたくないから不用意には近づかないのだが、久しぶりにやってしまった。某フェスの中継が流れている場で、演奏中のバンドにまったくカッコ良さを感じない旨をしつこく、繰り返し主張してしまった。さっさとその場から立ち去ればいいものを……。ああ、反省。

こう書いていて、無理する必要なんてないんだけどなーとも思う。そもそも感覚が違うのである。欲張ってカッコつけるから、おかしなことになる。オレも、歳をとったんだな。

それにしても、フェスの配信はやっかいである。開催してることすら知らないまま、終わってくれたらいいのだけれど、そうもいかない。なんだかんだで気にしていることを自覚するのもアホらしい。この時期は、どうにも悩ましい。

今日明日は13時開店! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を!

2024/07/26

7/26 店日誌

7月26日、金曜日。今朝のはやい時間も涼しかった。本を読んでから、草を刈って汗ばんでくると6時前。だんだんと湿度が上がってきて、太陽が出ると温度も高くなる。ラジオの天気予報はいつも同じ。九州から関東に熱中症警戒アラート。室内では我慢せずに冷房をつかって、不要な外出を控えてほしいと注意喚起。山形、秋田あたりの東北地方は豪雨の被害が大きいらしい。つねに、どこかが災害に見舞われている。

9月、10月、11月と身近な場所での催事の準備がはじまっている。この2~3年抑えてきた催事との関わりなのだが、いくつかのきっかけが重なって、主体的に関わるものが増えてきた。告知はまだ先だけれど、まずは上映会。次に小さなライブ、パーティーがある。

いま、読んでいるのは川崎彰彦『ぼくの早稲田時代』、その前はスズキナオ『家から5分の旅館に泊まる』。店が忙しいと、作業に追われて何もできない。では、じっくり本が読めているこの数日は……ご想像にお任せする。

今日も通常営業! 店内空調は、だいたい26度に設定してます。

2024/07/25

7/25 店日誌

7月25日、木曜日。毎日暑いのだけれど、日によっては風があったり、雨が降ったりでまったく同じ条件ではない。いくらかマシだなーと思う日がたまにある。開店前に雨がザーッと降った昨日はちょっとだけ過ごしやすかった。夜には冷たい空気が入ってきて、冷房と扇風機なしで入眠。途中で1回目が覚めたけど、6時前の空気はヒヤッとしていて気持ちがよかった。口をひらけば暑い暑い、暑いとなってしまうから、数十分でも気持ちよく過ごせると得した気になる。

届きたての新刊、スズキナオ『家から5分の旅館に泊まる』GAZETTE4『ひとり』は、どちらも平易な文体で奥深いことを語っている。夏の読書にぴったりだと思うので、ぜひ手にとってみてほしい。店頭はもちろん、平凡からでも購入可能。

今日も書籍、音源に入荷あり! 買取依頼や在庫確認などのお問い合わせは、お気軽に。

2024/07/24

7/24 店日誌

7月24日、水曜日。ブログに写真を載せられなくなって、1週間。見た目はだいぶ地味になったし、商品紹介もできず、YouTubeも貼れずで編集する楽しみが減ってしまった。それでも、見にくる人の数はそんなに変わらない。時期がきて不具合が解消されても、先週からの日誌はこのまま画像なしのままにしておくつもり。続けてればこんなときもあるよね〜っと思えればいい。

映画のことを不用意に書きたくないし、話したくない。人がまだ観ていないものに「よかった」「だめだった」と伝えてしまうのは不作法だと認識している。軽い言葉でも人によっては圧をかけることになってしまう。そうなると、正月に観た映画に関しては……不作法極まりなかった。

オンライン・ストア〈平凡〉で、iGa-C『DANCEHALLDAZE』への反応が急に増えた。現状、店頭・平凡ともに少しだけ在庫あり。品切れても、再入荷もできるはず。引き続き、ご注目を。

今日は新刊にいくつか入荷予定あり。お暇があれば、ご来店を。

2024/07/23

7/23 雑記

予告編でなんとなく気になった映画を、特別な理由を設けずに、時前情報をできるだけ排して観る。休日の火曜日か週末の午前中、劇場と上映時間の都合さえ合えばいいわけだから、楽といえば楽。今日は〈シネプレックス つくば〉でトッド・ヘインズ監督作品『メイ・ディセンバー ゆれる真実』を観てきた。実際の出来事(メイ・ディセンバー事件)を基にしてつくられた映画なのだが、まず音楽の使い方が好きじゃない。敢えて、の選択だとしても途中で笑えてくるほど滑稽だった。

……はて、滑稽。そう書いて、あれは俳優の面の皮を剥ぐための作品だったのかなーと思いつく。骨と肉と臓器からなる人間、美しい容姿を持った女優、彼女・彼らの外見の要素をひん剥いてみると、なにが見つけられるのか。そんな問いをベースにしてつくられた映画なのかもしれない。けっきょく、そこには何もなかったというのが自分の印象。もし、なにかが見つけられたとしたなら、何なのだろうか。

2024/07/22

7/22 店日誌

7月22日、月曜日。午前中、たまった空き缶と段ボールを捨てにスーパーまで歩いていく。いやあ、日差しがきつい。とにかく暑い。ボタボタ汗をたらしながら、歩く。信号待ちで日陰に入って、休む。ゴミを捨てて、昼食とビール(サッポロクラシック!)、ミネラルウォーターを買う。向かいのドラッグストアでジュースを買って一気飲み。フウフウいって、また歩く。大学内の書店で注文していた本を買って店に着く。身体が火照って、汗びっしょり。マジで危険な暑さである。

今日も書籍、音源に入荷あり! オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

2024/07/21

7/21 店日誌

7月21日、日曜日。しずかな午後、ひとりできた若い男性。彼はまず、中古レコードの箱をガサゴソと触りだし、丹念に盤を見ていく。ひとしきり見たのち新譜の棚に移動して、ためつすがめつ手に取って、また戻す。その後は本。気になる本を引き出して、読む。戻したら、また別の本。飽きずにそれを繰り返す。ゆうに1時間は経ったころに会計したのは真空パックされた『DAWN』(中が見られない)とパンクの7インチ。前者は外見が気になったから買うという。後者もまた、知らないバンドだけれど気になったらしい。

へー! キミ、面白いね。いい買い物に立ち会えて、オレは嬉しい。そう言葉にはできなかったが、上気したままステッカーなどのオマケといっしょに袋に入れて、送り出す。開店から数時間、誰もこなかったのだが、そこからだんだんと人がやってきた。昨日の天使は彼だったのかもしれない。

インスタグラムとツイッターにも書いているけど、ここのところ本の買い取りが増えていて、けっこう珍しい本も混ざっている。写真をみてオヤッと思うものがあれば、ぜひ手に取ってみてほしい。

今日は11時から16時までの変則営業。お時間あえば、ご来店を。

2024/07/20

7/20 店日誌

7月20日、土曜日。先週までの涼しさは、天の施しだったのか。動けば暑いが、歩けないこともない。雨が舞って風がちょっと冷たくなるとホッとする。日陰ならば快適とも言える日もあった。それが、今! まったく暑くてしょうがない。15分も歩けば汗でビショビショ、その間も日差しが肌をジリジリと焦げつける。ここまで温度が上がると冷房をつけざるを得ない。これじゃあ、外気が冷えるきっかけなど、あり得るわけがない。

入荷したての『DAWN』の表紙は3種。どれかに人気が集中するのかなーと思っていたけど、買う人によって求めるものが異なるから面白い。店頭ではYOKO SUQUAD Ver.がよく手に取られている。チャーハン/カントリー田村/テンテンコによるコンピレーション『ぽんぽこ山 Sampler 2』への反応も多くて、嬉しい。店頭在庫はあとちょっと。

古本の買取依頼が止まらない。写真や音楽関連、古い雑誌などなど、買い取ったものは玉石混交。なにもかもが想定通りにはすすまず参るが、古本屋ってそんなもの。片岡千歳『古本屋 タンポポのあけくれ』に似たようなことが書いてあった気がする。

今日は通常営業、明日は11時から16時までの変則営業です。

2024/07/19

7/19 店日誌

7月19日、金曜日。ム〜! ブログに写真をあげるのはあきらめる。ブロガーの仕様が変わるか、オレがあらたな端末を手に入れるか、変化がないままならば、このまま文字だけで日誌を書いていく。ま、それならそれでいいじゃんか。店に来てくれれば、何かはあるよ! もしくは〈平凡〉をちょこちょこチェックして! そう言って、つのるモヤモヤをうっちゃる。

夕方前、馴染みのイケダさんが買取の本とビールを持って現れる。査定、支払、購入の流れがスムーズで気持ちがいい。今回もまた、買い取った以上の金額をつかってくれる。別件で頼んでいたデイパックを持ってきてくれて、迷わず購入。欲しかった色、大きさでめちゃくちゃ嬉しい。

トウマとココロの高校生2人組、リョウちゃん、ポットマン、ヤスコさんが居合わせて、イケちゃんともどもワイワイ話す。ああ、昭和は遠くなりにけり。昨日もまたにぎやかに時間が過ぎた。

今日も書籍、音源に入荷あり! お暇ならばご来店を〜!

2024/07/18

7/18 店日誌

7月18日、木曜日。やっぱブログに写真を上げられない! ブロガーの不具合ではなく、自分の使っているアイパッドに原因があるよう気がする。日誌はこのまま書いていくけど、入荷商品の紹介はツイッターとインスタグラムを使っていく。オンライン・ストア〈平凡〉と店の動きは連動しているので、ぜひチェックしてほしい。むーーー、しかし。なんなのだろうか、この不具合。小さなストレスがたまっていく。

昨日は買取依頼が3件。友人のフォトグラファー、三好祐介くんが粒揃いの本を持ってきてくれて(写真関連など)、当店の守り神とも言える装丁家夫妻からも段ボールが送られてきた(CDも入ってる)。夕方すぎには初見の方が本を持ってやってきた。

新刊では『DAWN』N°3、新譜ではEastern.P『Where to go』に注目を。そのほかにも、店には日々何かしらの動きあり。気になるものがあれば、足を運んでほしい。

今日明日は15時開店! 在庫確認や通信販売など、お問い合わせはお気軽に。

2024/07/17

7/17 店日誌

7月17日、水曜日。買取の依頼が増えている。不思議なものでワーッと増えたらパタっと収まる。落ち着いたころにまたワッと山がくるから油断ができない。古本屋としてはありがたいことなので、油断という言葉をつかうのは適切ではないのだが、支払いの準備ができていないときはちょびっと焦る。同時に新刊、新譜などが届くときもあって、そのときは大袈裟でなく息がきれそうになる。

日中に外を歩くと暑い暑い! アスファルトの照り返しがキツい。先週は涼しくて楽だったけど、今週はまた暑さがぶり返すらしい。うーん、オレはあの灼熱にもう一度立ち向かえるのか……自信がない。

誰か! bloggerのサービスに詳しい方がいたら、教えてほしい。数日前から記事に画像(写真)をスムーズに上げられなくなってしまった。一昨日までは何度も試して、時間をかけて、どうにかなってきた。が、今日は何度試しても、ダメ。

今日明日、明後日は15時開店。お暇があれば、お出かけください。

2024/07/16

7/16 雑記

押山清高監督作品『ルックバック』を観るため、〈イーアスつくば〉まで自転車を走らせる。9時半前に到着。巨大ショッピングモールの従業員と思わしき人々が建物に吸い込まれていく。ちょっと間を置いて入館、映画館を目指すと券売機の前に行列ができている。こりゃ場違いかもなあと腰がひけかけるも、ぐっと堪えてチケットを購入。サッサと席を目指す。まず、驚いたのは劇場の大きさ。こんなにデカかったかな。本編前の地元企業のCMが多い、長い、煩わしい。その後の予告編もアニメばかりでイヤになる。

本編に関して、特別言うことはないのだけれど、58分を短いとは感じなかった。むしろ、あの尺にまとめたことに感心した。劇中で、思い出した人が何人か。オレも頑張ろうと思いながら自転車に乗って帰ってきた。

2024/07/15

7/15 店日誌

7月15日、月曜日。調子の上がらないまま開店。しばらくぼーっと座っているだけ数時間、見事に誰もこない。チャーハンさん、ククナッケさんがきて話をはじめたところから、口火をきったように来店がつづく。まずひとり、次にひとりと会計済ませると、また別の人が入ってくる。まるで順番待ち。それでも元気よく対応していると風が通るような気がして、気持ちがいい(こうやってればいいのか……といまさら気がつく)。

一昨日の晩、シリシリ器とモドキプロが店で遭遇。それなりに楽しく過ごしたからか、モドキが早速店に行ってきたと報告してくれる。お目当ての耳も買えて、ごきげんに話すさまを見てよかったなあとしみじみ感じる。連休2日目もいい感じに過ぎていった。

雨が降ったりやんだり。急につよくなることもあるから、自転車に乗るときは気をつかう。大方の人は車移動で大きな影響はないだろうが、お出かけの際はお気をつけて。

今日も通常営業! 明日、火曜は定休日です。

2024/07/14

『PONPOKOYAMA Sampler 2』(CD-R)

ぽんぽこ山『PONPOKOYAMA Sampler 2』が届きました。
幡ヶ谷〈forestlimit〉で月イチ開催されている、“たぬきのお祭り”をイメージした選曲でDJをする「ぽんぽこ山」のサンプラー音源、第二弾! これがめちゃくちゃ面白い! レギュラーメンバーのテンテンコ・カントリー田村・チャーハンの3者が選んだ15曲はフリージャズ、ベトナム伝統音楽、ジャンクなロックやパンク、エレクトロ・ミュージック、ニューウェーブ……と、ジャンルの壁を越えまくり。それでも、不思議な統一感があって、すいすい聴ける。これが、ぽんぽこ山のマジックなのか。

販売価格は700円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

『DEAL』24号

フリーペーパー『DEAL』24号が届きました。
旧名『Lj』時代から野外フェスティバル/アウトドア・カルチャーを主に情報発信、催事紹介などに取り組む紙媒体、最新号の特集は「マツリをつなぐ」。今年、12年ぶりに開催される「いのちの祭」を主題に、日本のヒッピー~カウンター・カルチャーの当事者となった先達へのインタビュー、祭の運営をになう若者世代の姿勢にも触れられる丁寧な構成。巨大産業と化した野外フェスティバルの根源にあったものを知り、見直す機会としてもうってつけ。

今号も、つくば市松代の編集部から直納品! 今日から店頭で配布しています。

7/14 店日誌

7月14日、日曜日。ある人は本を売りにきて、ある人は本、レコード、CDを買っていく。また別の人たちがゆっくり棚を見て、本を買っていく。なぜか、昨日はいつも以上にすこやかにやり取りができた。来店のペースがちょうどよかったからか、流していた音楽で気分がよくなったからか。会計後にお礼を伝えるのが、自然だったし、気持ちよかった。

開店前に聞いていたのど自慢は滋賀県甲賀市が会場、忍者ノリの出場者がチラホラいるなか、焼鳥屋をいとなむ男性がうたった「サボテンの花」がとてもよかった。いい声だったが、残念ながら不合格。オレが審査員なら特別賞はあの人だ。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/07/13

7/13 店日誌

7月13日、土曜日。ずいぶん前に買い取っていた『フランシス・ベーコン展』の図録の紹介文をしたためて、オンライン・ストア〈平凡〉にアップ。こまごまとした作業を終えて、本を読む。坪内祐三『文藝綺譚』のページをめくっていて「ベーコンの永代橋」という文字列が目に入ってオヤっと思う。読み進めると、たしかにフランシス・ベーコンに関する話で、草森紳一がいかにしてベーコンを見つけて、震撼したのかが綴られていた。これまで特別な興味を持ってこなかった画家の名前を繰り返し目にして、妙な気分になる。昨日の夕方のことである。

今日明日、明後日は13時開店。お時間あれば、お出かけください。

2024/07/12

7/12 店日誌


7月12日、金曜日。朝、「トム・ヴァーレインのソロ・アルバムが配信開始」というニュースを見かけて、すぐに聴いてみる。2006年リリースの『Around』がとてもいい。“The O of Adore”の一音目、ギターの響きに耳を奪われる。すぐに思い出したのが、テレヴィジョンが出演していた2003年の朝霧JAM。バンドがステージに上がりギターが鳴った瞬間「いい音だな……」と感じて眠ってしまったのだが、それがとても気持ちよかった(ズンドコうるさい音で目が覚めたら、ケミカルブラザーズがDJしてた)。

映画『悪は存在しない』を意味や知識で解釈されると、どうも萎える。自分はただ画面を見ているだけで楽しめた。それが特別、と言いたいわけじゃなくて、ぽーんと放っておいてもいいじゃんと思う。無理に言葉にしなくたっていいこともある。

雨が降ってだいぶ涼しい。先週からの暑さに比べると、身体が楽で、本を読むにもちょうどいい。野外イベントでの雨は嫌だけど、暑すぎるのも大変だ。みんな、どんなふうにやり過ごすのだろうか。

明日からの3連休も通常営業。お暇があれば、お出かけを。

2024/07/11

7/11 店日誌

7月11日、木曜日。開幕以来、YouTubeでの3分ダイジェストをみつけて観戦してきたヨーロッパ選手権の決勝はスペイン対イングランドに決まった。応援していたオランダの敗退は残念だったが、ここまできたらイングランドに心をよせる。普段ろくすっぽ海外サッカーなんて観てないくせに、ここぞとばかりに注目するのはダサいと承知しているけど、開き直る。みんな! ユーロ、メチャ面白いよ! コパ・アメリカはもちろん、天皇杯やJリーグには目が届かない。

おととい入荷した、梶谷いこ『細部に宿る』に共感した。ていねいな生活、なんて雑なくくりには収めきれない切実な暮らしの記録。とっ散らかっていても、投げ出さない。梶谷さんの姿勢がカッコいいと思う(詳しくは読書日記で)。同時に届いた『あったらいいなはなくてもへいき』を読むのが楽しみ。

雨がパラついて、ちょっと涼しくなったかな。今日も通常営業です。

2024/07/10

『MELT 5』

HAPPFAT『MELT 5』が届きました。
こちらも夏の定番ミックス! 香川県高松市を拠点にして日本各地で精力的に活動をしているDJ、HAPPFATのサマー・ミックス『MELT』の最新作。これまで以上にメロウ&ソウルフル、エキゾチックな気配が漂っていて、暑さ疲れで気だるい身体をマッサージしてくれます。こんな感じの選曲のビアガーデンがあったらトロントロンに溶けちゃいそうな……高温多湿の気候にぴったりの1枚。ジャケット写真は台湾のChen Yu Lingが撮影したもの。

販売価格は1700円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

7/10 店日誌

7月10日、水曜日。自転車で走っていて、自分は反乱と紊乱の要素を持つ人が好きなのかもと思った。具体的な候補者をあげての指示表明や、いたずらに秩序を掻き乱したらいいわけでなく(都知事選は無関係ってこと)、もっと生活に近いところの選択で、その気(け)を感じさせてくれる人物に出会うとなにかが反応する。誰もがいい、えらい、おいしいと言うものに追従せず、自分なりに好ましいものを探すとか、徒党を組まずにおかしなことを計画していたり。そんな行動を知れると嬉しくなる。

ここで、誰かを褒めようとも貶そうとも思っていない。どんな人を面白いなーと感じていて、その逆はどうかなーと、ぼんやりと考えてみただけのこと。「はんらん」と「びんらん」の言葉の響きに、少し興奮したのかもしれない。

暑い暑い! と言っていてもどうにもならないのだけど、放っておけば口をつく。路上の照り返しがキツくて歩く気もそがれる。うーん、それでも歩かないとつまらない。うーーーん、それにしても暑すぎるよなあ。

今日も書籍、音源に入荷あり! オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

7/9 雑記

朝、起きてまず庭の草刈り。暑くなる前に30分ほど集中する。ひと息ついて、ラジオ体操で身体を動かしたのちコーヒーを淹れる。ほぼ毎朝のルーティンを済まして、朝食。うたた寝。9時頃に目が覚めて、今朝までにオンライン・ストアで売れたものを発送しにいく。スーパーと100円ショップをまわって、家に戻ると眠くなる。暑さの疲れなのか、なんとなく身体が重い。

11時過ぎに昼食を済ませて、自転車に乗って映画を観に行く。いつもの〈シネプレックス つくば〉、シアター7のB7の席を取る(3作続けて同じ席!)。会計時に新札を出すと「わ!」と驚かれて、ちょっと楽しい気分。観たのは、アレクサンダー・ペイン監督作品『ホールドオーバーズ』。劇中の端々でいいなあ、好きだなあとニンマリしつつ堪能する。今日もまた、帰路の風景に味わいを感じた。

16時に帰宅。シャワーを浴びて、ビールを飲みつつ、この雑記を書いている。いやあ、定休日って本当にいいものですね。

2024/07/08

『あったらいいなはなくてもへいき』

梶谷いこ『あったらいいなはなくてもへいき』が届きました。
幼少期に母が繰り返し口にしたという「あったらいいなはなくてもへいき」を表題にした、物と時間、記憶に関する短文をまとめたエッセイ集。「私は物持ちがいい。しかも、異様にいい」という言葉に偽りなく、8つの物(丸襟の白いブラウス、道後温泉の湯かご、アルミの片手鍋など)について語られる文章の長さがちょうどいい。横長の判型と写真の置き方のバランスも絶妙で、読んでいくのにストレスが少ない。サラリとした語り口だから、過ぎていった時間の重みだけが強調されない。すてきな本だと思います。

販売価格は1760円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

『細部に宿る』

家の台所の、実家から持ってきた傷だらけのステンレスボウルが恋しかった。包丁の刃の痕が刻まれ、縁が黒ずんだまな板が、コンロの火に焼かれて底が煤色になった鍋が恋しかった。日々の生活の、しょうもない、どちらかと言えば煩わしいような、些細なことが恋しかった。(「細部に宿る」)

梶谷いこ『細部に宿る』が届きました。
2022年8月に新型コロナ・ウイルスに感染し自宅療養を経て京都府指定の療養施設で過ごした10日間で得た感慨、自身の気質を客観視して、生活の「細部」について書こうと思いたつ「細部に宿る」。そこから「ナムル」「茶碗蒸し」「餅」「モーニング」などをテーマに文章を書き下ろし、ホームページに書いてきたものに加筆修正を加えた「当用雑記」を付け足した約150ページの文庫本。重たくないけど軽くもない、梶谷さんの言葉選びを存分に味わえる1冊です。

販売価格は1650円(税込)。刊行元は、自前の出版レーベル「ケイアイ文庫」。

『ヒッピーの教科書』

この本は、ヒッピーがはじめた数々の試みが、たんに60年代のわがままな若者たちの新奇な風俗現象などで説明されるものではなく、「人類の彼岸をさがしもとめる試行錯誤であり、サンフランシスコ・ヘイト=アシュベリー街区は若者世代の実験場であった」という大きな視点に立ってみることで、ヒッピーとはなにかをマンガ形式でさぐってみたものです。

スペクテイター編集部(編)『ヒッピーの教科書』が届きました。
2019年に刊行された『Spectator』の同名特集に収録されたマンガ記事「ヒッピーの歴史」(原作:赤田祐一/作画:関根美有)に加えて、用語解説と人物名鑑、ブックガイド、ヒッピーカルチャーを通して描いたサンフランシスコのマップなどで構成された約110ページ。5年前の雑誌本体よりもぐっとガイド本としての強度が増した、上製本。ピースマークってそもそも、何なの? って問いかけは今こそけっこう重要じゃないでしょうか。

販売価格は1980円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。