取り上げたものがどう論評されてるとかね、どう批判されてる、どう誉められてるとか、どんなふうに評価されてるとか、そういうことを読もうとすると、当てが外れるかもしれない。何をどう楽しんだか。それだけってのは変だけど、それがいちばん大きいですね。(片岡義男)
9月8日、日曜日。坪内祐三『書中日記』を読んでいてアッと思う。高平哲郎のラジオ番組をもとにして編まれた『植草さんについて知っていることを話そう』を読んだ気でいたけれど、巻末の座談会以外は未読だったかも。店にあったのは売ってしまった……が、あそこにはあるはず。ピンときて車を走らせると、やっぱりある! 新治にある小さな図書館(正式名は〈土浦市立図書館 新治地区分館〉)は静かで、きれいな時間が流れていた。本の量もちょうどいい。いい本が、普通にある感じで好ましい。
残されたものを見ていくと、彼の楽しんだ手作業が見えてきて、なかなか面白いですよ。まずとにかく、買って家へ持って帰って、部屋で自分の机の前に座って、そこでやおらひとつずつ手に取って、楽しむわけですよ。
いざ読み出すと、これが面白い。植草甚一という稀代の趣味人をメディアにして、関係者が語っていく。あれには困った、味覚はどうなのか、おしゃれだった、なんて話が主なのだけど、上に引いた片岡義男「植草さんの集大成を作ろうよ」がずば抜けて本質的。植草さんの実像を、敬意と共にまっすぐに表現する(彼は批評家ではない、というあたりが鋭い)。
開店前に天久保一丁目〈gallery Y〉で開催中のsasakure.個展「この夜の隅で」をのぞいてきた。ダイレクトメールやウェブでの画像より実物がよかった(日記のようなメモ帳も見応えあり)。会期は今日19時までとのこと。
今日明日は13時開店。オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。
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