2024/10/31

10/31 店日誌

10月31日、木曜日。きりっとしたいい天気。秋晴れだ。店までくるのは徒歩で半袖、軽い気持ちでスタスタ歩く。背広にマフラーをしめた人がいる。パーカーを着た人もいれば自分と同じTシャツ姿の人もいる。この時期は歩くのが気持ちいい。喧しい選挙カーもいなくなり、主に聞こえるのは車の走行音、電話をしている外国語、にぎやかに自転車で並走する大学生の声。意識を向ければもっと色々聞こえているはずだけれど、今思い返して浮かぶのは、こんな音。

寿司屋の配達のバイトをしていた友人を見かけなくなった。彼の家は知っていて、通り過ぎるかぎりでは引越したわけではなさそうだ。週に4回から5回、しょっちゅう道端で顔を合わせていたから、姿を見なくなってちょっと寂しい。

オンライン・ストア〈平凡〉に中古CDを足してみた。細野晴臣とゴンチチ。派手な作品ではないけれど、確かな存在感のある2枚。誰かしらが反応してくれたら嬉しいな。今日も何かしらが入荷するので気が向いたら覗いてほしい。

今日も通常営業! 本の買取、査定のご依頼は常時受付中。お問い合わせはお気軽に。

2024/10/30

10/30 店日誌

10月30日、水曜日。昨夜からの雨がやんで、午後はスカッと晴れて気持ちがいい。半袖短パンで颯爽と走る大学生がうらやましい。いいなあ、できるだけ身軽でいたいなあとは思うけど、そのために着替えるのはめんどくさい(いったん家に帰らなきゃいけないし)。日が暮れるまでの我慢だとあきらめて、今日はこのままの格好で過ごす。夏から秋、秋から冬、季節の変わり目をどうやり過ごすか、年々難しくなっていく。

開店前に顔を出した〈古着屋may〉も秋冬っぽさが増していた。服の厚みが増すのと比例して、店内の密度も高まったような。スウェットやマウンテン・パーカーなど定番モノがたくさんあって目にしているだけで嬉しくなる。そして、何かしらが買いたくなる。

メイでもよく流れているHAPPFAT『FAR 3』やWool&The Pants『Not Fun In The Summertime』は当店で販売中! どちらもオンライン・ストア〈平凡〉でも購入できるので、気になればぜひ試してほしい。レコード、テープ、CDなど色々在庫あり。

今日明日、明後日は15時開店! お暇があれば、ご来店を。

2024/10/29

10/29 雑記

いきなり寒くなった。こうなるとズボン下、上半身の肌着は欠かせない。祖父の形見のようなダウンベストの上からパーカーを着て、ようやく安心。外に出るときはもう一枚上着を重ねてもいいかもしれない。この気温、空気を秋とよぶのか。冬の入り口といった方がしっくりくる。ここ数年、季節の変わり目には戸惑うばかり。

2024/10/28

10/28 店日誌

10月28日、月曜日。一昨日のイベント「旧石器時間」は、そうじて大袈裟でなくて居心地がよかった。感動、高揚があっても個人的なもの。居合わせた人が同じ箇所に着目するのでなく、てんでんばらばらに面白がって、ハアと小さく戸惑ったりしていたように思う。廊下の出店エリアの雰囲気もよかった。さりげなくナツナさんの絵が飾ってあり、本にもポツポツとでもしっかり反応してくれる人がいる。入れ替わるように友人たちが顔を出す(あそこで溜まってワイワイ話すと盛り上がるのも不思議だ)。大したことがない催事。これを続けていくことが重要だ。

場所によってのノリ、盛り上げ方があるからとやかく言うことではないのだが、大きな見せ場をつくるより小さな出来事を集めていく方がオレは好きなんだなーと再認識。みんなで集まって写真を撮ったり、誰かの身体を放るのも、やればいいと思うし必要な局面もあると理解はしているのだが……お約束にはしたくない。

選挙が終わっていちばん気になる、と言うか怖いのは、大阪の選挙区だ。19ある選挙区、当選しているのは日本維新の会の候補者のみ。しかも、ほとんどが圧勝だ。外目からでも、この状況がどうにも恐ろしい。

今日も通常営業! 在庫確認、通信販売など些細なことでもお問い合わせはお気軽に。

2024/10/27

10/27 店日誌

10月27日、日曜日。いやー楽しかった! ポットマン、ケバブジョンソンのライブはもちろん幕間のDJ、出店していた〈棕櫚〉のカレー、缶ビールの冷え具合、どれもがいい感じ。会う人と話して笑って、ヒューヒュー叫んだりして思いっきり楽しんだ。やっぱり手づくりの催事はいい。アイデアを出しあって、意見を交わして、少しずつ形にしていく。そりゃ、いきなり完璧になるわきゃないけど、一つ二つ、三つでもイメージしたものを具現できればいい。オレたちはこうやって街で、文化をつくっていくのだ。

昨夜のイベント「旧石器時間」を企画したナツナ(natunatuna)さんとは、もう15年以上の付き合いになる。ずーーーっと仲良しなんかじゃないし、ケンカのような状態になったこともあるのだが、今やお互い長距離走者。音の鳴る場に関わりつづける当事者だからこそ共有できるものがある。ナツナさんがいなかったら、この街は、もっとずっと味気なかった。共に動くことは今後もきっとある。次はなにができるだろうか。

はー! それにしても疲れた! 午前中いっぱい休んで、風呂に入って店にきた。まだボーッとしているけど、店は開けている。椅子に座ってるだけで精一杯ってほどでもないけど、身体は重い。今日はまあ、そういう日かなあ。

今日明日は13時から19時までの営業。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/10/26

10/26 店日誌

10月26日、土曜日。一昨日は売り上げ300円とだけ書いて大事なことを忘れていた。常連のヒロタさんが本を売りにきてくれたのだった。文庫本を主にした一箱には良書ばかり。状態もいい。すぐに査定をして値段を伝えると迷わず了承してくれる。ああ、嬉しい。こういうやり取りができるから古本屋は楽しい。買い取った本に値段をつけると、また別の誰かが買っていく。そうした循環をつくれるから、古本屋の仕事はやめられない。売り上げの数字だけに捉われて感情的になっていると、大事なことを見落としてしまう。これには要注意。しっかりと自戒する。

しょっぱい売り上げ報告のせいか、平日金曜なのに入れ替わりでご来店、しっかり買っていく人が多かった。ありがたいと感じ入ると同時に、数字をつかって人の動きを煽っているようで、ちょびっとだけ複雑な気持ちになる。このブログの影響力など微々たるものなのだけど、書き方には気をつけねば。

朝のラジオ、1曲目はスタンリー・スミス「スウィート・バタフライ」。この曲を聴くと思い出すのは『リラックス』の鎌倉特集、バッファロー・レコーズ、カフェ・ゴーティー。小野郁夫さんの真似をしてゴーティーでグリーンカレーと黒ビールを頼んだりした。あのころの鎌倉はのどかだった。

今日は「旧石器時間」に出店するため、13時から17時までの短縮営業!

2024/10/25

10/25 店日誌

10月25日、金曜日。一昨日は0円、昨日は300円。うちの店の売り上げだ。今のところ笑えているが、今日明日も同じ調子だと落ち込むぞ。だからといって、店に来て本を買ってほしい! と言いたいわけじゃない。展示をしていなければ、インスタグラムのトピックになるような新刊を仕入れてるわけでもなく、社会問題に参画するようなフェアも展開していないのだから、当然かもなと思うところもある。でもさ店って、切れ間なく催事に関わってないといけないの? エモーショナルな意思表示が必須なの? 自分は、当たり前に開けていたいだけなのだ……(まあ、だから暇なのか)。

〈モンパルナス〉と書かれた本はつい買ってしまう。世紀末のパリの盛り場はモンマルトル、一九二〇年代の盛り場はモンパルナスだ。はじめてパリに行った時、飛行機がおくれて、真夜中にモンパルナスに着いた。目がさめるとパリのさわやかな朝であった。(海野弘)

今朝、読みはじめたのは、海野弘『本を旅する』。著者が出会い、影響を受けてきた100冊を紹介する「百冊の本の再訪」がすごくいい。とにかく書き出しがカッコいいのだ。上記したのはジャン=ポール・クレスペル『モンパルナス讃歌』の紹介文で、こう書き継がれる。

それにしてもこの本があつかっている一九〇五〜三〇年は、パリの黄金時代で、世界中からアーティストが集っていた。特別な街、特別な時代なのだ。モンパルナスのいたるところに、彼らの記憶が刻まれている。つまり、モンパルナスという街は一つの本として読めるわけだ。私はここで、街を本のように読み、本を街のように歩くことを学んだのだ。

うーん、カッコいい。ビシッとしているのにさわやかで軽みもある。海野弘の文章は中身もだけど外見がいい。読みながら唸ってしまって言葉が頭に入ってこない。

今日も通常営業! 本の買取、査定の依頼は常時受付中! お問い合わせはお気軽に。

2024/10/24

10/24 店日誌

10月24日、木曜日。雨が降ったりやんだり、涼しいようで蒸し暑い。そんな日の客足はやっぱり鈍い。友人がいるときにきた若者以外、お客さんなし。売り上げはゼロ。なんとなく手に取った、出久根達郎『思い出そっくり』所収の「売上ゼロ」と思いっきり響き合う店内で、いそいそと読む(嬉しい状態ではないのだが……)。「一体、人々はどこに隠れてしまったのか。本を読む人間がいなくなった、どころか、人間そのものが消滅したのではないか。古本屋だけが、黄色い電燈をともして、客待ちをしている」のとまるっきり同じ。

新入荷の本に値を付け、棚に並べていると、すでにあった本に目が止まる。「これ、あったな」とぱらぱらページをめくるうちに思い立って、写真を撮る。まずはインスタグラムのストーリーズに、つづけてオンライン・ストア〈平凡〉にあげてみると、すぐに売れた! 2時間ほどのタイムラグはあったけど、体感的には電光石火。昨日はジェリー・ルービン『DO iT! やっちまえ ─革命のシナリオ─』に助けられた。

てな感じで古本屋の日々はわりかしのんびりなのだが、週末は催事出店がつづく。まずは「旧石器時間」、そのつぎが「天久保文化祭」。前者は呼ばれて出向くわけなのだけど他人事で済ますつもりはなく、関わる以上はいい時間にしたいと思っている。ケバブジョンソンとポットマン、どちらのライブも楽しみなのだ。

今日明日は15時開店! 日々、店には動きあり。お暇ならばお出かけを。

2024/10/23

10/23 店日誌

10月23日、水曜日。来週はもう11月。1年もあっという間……と言われればつよく否定はできないのだが、時間の流れは人それぞれ。カレンダーのような道具の上ではいちおうの形を持って示されるけど、実感としては、大きく異なっていると思う。本意でない仕事をしながら好きでもない場所に住んで、毎朝満員電車にギュウギュウ詰めになっている人からすると、ああ、毎日長いよって感じなのだろうか。スマートフォンに時間を吸わせて、無感覚になっているのかもしれない(ここで、そういう人を悪く言いたいわけじゃない)。

自分だって好きでやってる店はあっても、毎日、毎分が充実しているわけじゃない。いやー暇だねって日が続けばそれなりに落ち込む。それでもまあ、やはり本や音楽が好きで、友人たちと催事を企画するのも楽しいのだ。そうしたことに時間と金を使うのは無駄じゃない。つかうだけの意味はある。

繰り返しのお知らせになるけど、改めて! 今週末26日(土)は「旧石器時間」に出店するため、13時から17時までの短縮営業。会場になる〈aNTENA〉にも、それなりの量の本を持っていくつもり。ライブをみがてら廊下のブースを気にしてくれたら嬉しいナ。予約不要のイベントなので、気軽に足を向けてほしい。

今日明日、明後日は15時開店! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/10/22

10/22 雑記

ハリウッドかインディペンデントかという問題じゃなくて、お金のためにアーティスト然としてるような人間が嫌いなんだ。/権威には本当、むしずが走る。だから自分が権威になるのもイヤなんだ。(ジム・ジャームッシュ)

上記のテキストは、古本で仕入れた『CUT』1994年1月号所収のジム・ジャームッシュへの2万字インタビューで見つけたもの(聞き手は佐藤健、宮本敬文による写真もカッコいい)。「ラスト・ボヘミアン・シティ」と題されたニューヨーク特集で、マット・ディロン、ロバート・デ・ニーロ、マーティン・スコセッシ、ウディ・アレンも登場。中島英樹によるアート・ディレクション&デザインも冴えている。……なのだけど、この雑誌はデカすぎて、とにかくページがめくりづらい! テキストすべてを拾うにはかなりの労力を要する。立ち読みはあきらめて、購入した上でがっつり読み込んでほしい。

お金のために、インディペンデント然としたアーティスト気取りの人間も珍しくない現代の状況を、ジム・ジャームッシュはどう感じているのだろう。

2024/10/21

10/21 店日誌

10月21日、月曜日。朝イチで風呂……ではなくて、コーヒーとパンの朝食を済ませたのちレコードを数枚聴く。布団を干してから身支度を整えて、〈Bespoke〉まで自転車を走らせる。大学内をゆっくり抜けて、中央郵便局を経由して10時ぴったりに到着。シャワーで頭を流してもらいつつ、日本人の軽量級ボクサー、ユダヤ人の歴史、旅先で感じたことなどを交えて話す。羽山さんが主に話して、聞き手にまわっているうちカット終了。コーヒーを一杯いただいて、ライ・クーダーの動画を見てるとあっという間に12時だ。

会計を済ませて、いったん帰宅。シャワーを浴びて布団を取り込む。本を数冊リュックに入れて、自転車に乗って店に来た。どうにか定時に開店、途中で買った菓子パンをほおばりながらブログを書いている。

てなわけで、今日からまた通常営業。明日火曜は定休で、水曜から金曜までが15時開店、土曜日曜月曜は13時開店(閉店時間は19時~20時)。今週来週(10月26日・11月3日)はイベント出店もあり。

てなわけで、店は開いてます! お暇なときにご来店ください〜!

2024/10/20

10/20 店日誌

10月20日、日曜日。朝イチで風呂。風がびゅうびゅう吹いているが、迷わず露天風呂に足を向ける。引き戸を開けると空気が冷たい! ひとり「ひゃあ〜」とか言いながら小走りに湯船に行くと、端っこに人がいてびっくり。つい「おわ!」っと声が出て、小声でスミマセン……とつぶやきながら室内に戻る。気を取り直してお湯のなかで身体をひろげる。これも気持ちいいや〜と放心してると、さっきのオジサンが出ていった。いざ、露天風呂に入って気がつく。外の風呂は寒いくらいがちょうどいい。暖まる、冷える、暖まるの循環がつくりやすい。

ロビーで水を一杯。足裏マッサージ機に座ってみると、すごい振動。ふくらはぎから太ももまでブルブル揺らされる。じわーっと足の疲れがとれていく。座りながら、コメント欄で薦めてもらった〈アンティーク フェルメール〉のコラムを読む。なるほど、面白い。

ブログ記事にコメントが付いて、それに気がつき、応答する。このタイム感が新鮮でなんか楽しい。インターネットを触りだした1999年あたりの感覚を思い出す。フジロックの掲示板(その名も「レッツ・ゲット・トゥギャザー・ボード」!)でのやり取りでチケットを譲ってもらったこともあった。ああ、若いときにSNSがなくてよかった……。

今日は13時から18時までの短縮営業。昨日につづいて、店番太郎くんが店にいます。

2024/10/19

10/19 店日誌

10月19日、土曜日。朝イチで風呂、夜明け前。風がつめたいが露天風呂に入るとすぐに暖まる。とおくの建物の明かりがちらほら。たまに車が通りすぎる。湯船の淵にこしかけてぼーっとしてると山の稜線がだんだんはっきりしてくる。真っ暗だった空にも青みが増してきて、時間が流れているのを実感する。風呂に入って空を見上げているだけで気持ちがぐーんと広がってく。とりあえず、ここまできてよかった。

出先で感じたことを書いてみる。

東京から離れても、都会っぽい店にいく。よりそれっぽくなる店構え、品揃え(めちゃグッズが多いのだ!)。店員さんも感じがよい。嫌だな〜と感じさせる点は少ないのだが、なにか物足りない。先客から聞こえてくる会話すら都会的で、逃げ場なし。快適な消費、紙幣/貨幣交換に最適化した場をつくるとああなるのかな。とくだんケチをつける理由はないから、食事を済ませてそっと退く。

こうした店をやってると、小さな出版社のつくる本、雑誌の案内がひっきりなしに届く。いい雰囲気のものも少なくない。でも、それらの多くは一時的なアイテムとして有用なだけかもなーとも思えてくる。並べときゃそれっぽく場が整うわけで。全体がのペーっと平らになっていく。ゆるーく一方向に流れてく時流に拮抗するには古物の扱い方が重要になる。なんとなくだが、ハッキリそう感じた。

誰かにもっと上手に言語化してほしい。この感じ。多くの人が真っ当な商売を志向しているはずので、悪いことは言えない(言う理由も見つからない)。言葉は自分にも返ってくるのだ。

てなわけで、今日明日は店番太郎くんに任せてます。いやあ、暑いっすね。

2024/10/18

休業

今日、10月18日(金)は休みます。

2024/10/17

10/17 店日誌

10月17日、木曜日。一昨日からプリンス・バスターにハマっていて、今もブログを書きながら聴いている。『Big Five』は1972年の作品。いわゆるバスター節のスカチューンではなく、レゲエ寄りのロック・ステディを歌ってる。空気の乾いた午後にぴったりで気持ちがいい。歌詞の内容はわからないのだが、どうなのだろうか。今は「Kinky Griner」という曲で、次は「Leave Your Man」。甘〜いラブソングではなさそうだ。途中、途中でブザー音みたいな異音が入るのが気になる……(Apple Musicだけ?)。

当店の定番! HAPPFATの秋冬ミックス『FAR』vol.3が到着。サウダージ~フォークっぽい導入から徐々にソウル~メロウ・フィーリングが高まっていく展開で、聴いているのがとても楽。南佳孝などの和モノ使いもミックスの聴きどころ。運転中の車内や美容室、古着屋なんかのBGMにも合うと思う。

何度か変更があったけど、明日18日(金)は休業。19日(土)と20日(日)は店番太郎くんに任せての短縮営業(13時~19時/13時~18時)。月曜は通常営業で、火曜は定休。26日(土)は「旧石器時間」に出店! ご都合合えば、どこかしらでお出かけを。

とりあえず、今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を!

2024/10/16

10/16 店日誌

山川方夫の作品は短篇が多いこともあって静かな印象のものが多い。日のかげりのなかでは劇的な出来事も起るがそれは再び日が射し込むと同時に薄っすらと消えていく。ひとはかげりを意識しながらもそれに耐えて静かに生きていく。(川本三郎)

10月16日、木曜日。山川方夫『夏の葬列』を読んでしずかな衝撃を受ける。ショート・ショートといわれる10ページほどの短篇と70~80ページくらいの話が入った文庫本。まず読んだのは山崎行太郎の「解説──陽気な絶望者」、その後で頭から順に読んでいった。冒頭3篇「夏の葬列」「待っている女」「お守り」でぐっと掴まれ、速度をかえつつ一気に読み終える。再度の「解説」、川本三郎「鑑賞」を通過すると、ああ何とも。言葉にしがたい芳醇な体験をした気分になる。最後に付された「年譜」も充実していて、無駄のない構成に関心しながら本を手放した。

彼より、アタマの回転が早い人、リコウな人、話の面白い人は、まだいるだろう。しかし、彼のように暖かい心と柔軟な理解力をもち、都会的神経と野暮なまでの生真面目さを両立させた親しい友人に出会うことは、私の生涯に、もう、あるまい。(小林信彦)

思い出して、小林信彦『東京のロビンソン・クルーソー』所収の「山川方夫のこと」を読み返す。少なくとも2度は読んでいるはずなのだが、まったく印象が異なる。こんなことが書かれていたのか……と驚き、山川方夫の別作品にも触れたくなった。

今週の営業予定に変更あり! 今日明日は通常営業、明後日18日(金)は休業。19日(土)は13時から19時まで、20日(日)は13時から18時まで営業します。21日(月)は通常営業、22日(火)は定休日です。

というわけで、今週もどうぞよろしく! 在庫確認、通信販などのお問い合わせはお気軽に。

2024/10/15

10/15 雑記

一昨日の残像がまだ残ってる。友部正人の歌う姿、響く声をはっきり思い出せる。あの声を聞いて振り返る、一月一日午前一時(高橋さん)、夕日は昇る。友部さんの背中を見ながら聞いたのは、銀座線を探して。歌声は深みがあってよく響く。ハーモニカを吹くと表情がぐっと若くなる。

ワインをよく飲む友部さん、サワーを飲み飲み話すユミさん、打ち上げでお二人を交えてを話しているときの感触も忘れられない。いいお話をたくさん聞かせてもらった(ベロベロに酔ったタカシくんも面白かったぜ……!)。

2024/10/14

10/14 店日誌

10月14日、月曜日。いい天気! でも、ここまでくると、いい天気過ぎる。あまりな行楽日和でちっぽけな古本屋にくる人は少ない。すげー少ないんだよ! 店番太郎くんに頼んだ昨日の売り上げは、なんと××××円。3連休の中日にあって渋〜い金額。こりゃ参ったな……と、嘆いても、まあ仕方ない。人の動きには慣れているつもりだ。山があれば谷もあって、右肩上がりの営業なんかできっこなくて、上がり下がりを繰り返してきた。少なくても人が来て、本を買っていってくれるから、こうして店を続けていられる。淡々とやるほかない。

ご近所〈つくば食堂 花〉での友部正人さんのライブは4年ぶり。 前回は新型コロナウイルス騒動の真っ只中だったから、よく覚えている。途中で換気の時間をつくったり、マスク着用、手指の消毒を気にしたりでけっこう大変だった。昨夜、久しぶりのライブは完全生音公演。友部さんの地声だけで90分。店内に響く声、ハーモニカの音にぐっと心が惹きつけられた。あの場に立ち会えたことに感謝、感謝。

今日も書籍、音源に入荷あり。店前に出している均一価格(100円~300円~500円)のコーナーにもコツコツ手をいれているので、ご注目を。オッ! と手が出る本を見つけてくれたら、とても嬉しい。

今日も通常営業! 明日火曜は定休日。18日(金)19日(土)20日(日)は休業。

2024/10/13

10/13 店日誌

10月13日、日曜日。稲葉真弓『半島へ』を読み終えて、驚く。9割型まで著者の生活エッセイだと思い混んでいたのだが、小説だった。完結直前「奈々子、これでいいかな。あなたの“生き急ぎ”とは違う速度を、私は見つけたいの。東京のスピードとは違う、私にふさわしい速度をね」という黙想、語り手自身の自己確認に触れて、この人は著者・稲葉真弓じゃない別の誰かなのかも……と、遅まきながら着想した。木村朗子による解説で、小説を読んでいたことを知らされた。

なんとなく買ってみて、読みはじめたら、想像以上にとおくに飛ばされた。意識されないまま、ずっととおいところに。すごいなー。本を読んでいてこんな風に驚かされたのは、はじめてだ。

朝、てきとうに流していたラジオの選曲に反応する。佐野元春だとすぐに気がつく。曲自体の質感が今日の気分にぴったり。何て曲だろうと耳を向けていたら、佐野元春&Coyote Bandの「或る秋の日」。歌詞というより発声が、メロディというより曲のもつ雰囲気が、乾いた空気に溶け込んだ。

今日も通常営業。13時から19時まで、店番太郎くんが店にいます。

2024/10/12

10/12 店日誌

10月12日、土曜日。目が覚めてすぐ障子と窓を開けると、ほどよく乾いた空気が部屋に入る。空は真っ青。いやーいい天気! 秋晴れってすばらしい! インスタントコーヒーを淹れて、ウィークエンド・サンシャインを流しながら本を読む。今日も稲葉真弓『半島へ』。読むうち心がしずかになっていく。印刷された文字を追いかけるのに負荷が少ない。自分自身の先のことにぼんやり想いを馳せつつ、ゆっくりページをめくる。

ゴンチチへとバトンタッチして15分、なんとなく気が向いてレコードに針を落とす。レヴォリューショナリーズのダブ。ゆるやかで太い。今日の気分にぴったりだ。寝転んで、ぼーっとするのにいい気候。こんな風に過ごせる時間がもうちょっと増えればいいのになー。

『ブリング・ミンヨー・バック!』を撮った森脇さんが、エミール・クストリッツァの『スーパー8』を意識したと話していたのを思いだして、嬉しくなる。公開時に観たっきりであいまいな記憶なのだけれど、クストリッツァのジャージの着こなしが超カッコよくて真似したくなったのと、ジョー・ストラマーとの共演シーンがすごく良くて、ぶるぶるっと身体が震えたのは覚えてる。

本当にこわいのは、一匹狼の人です。どこかにひそみ、いつ現われ、なにをやるかわからない人はこわい。(…)それにくらべると、なにかにつけて徒党を組む連中は、まったくこわくない。(中原弓彦)

本棚にあるのが目にはいった坪内祐三『雑読系』を読んでいて、どきり。『ハヤカワズ・ミステリ・マガジン』1966年12月号に掲載された中原弓彦/小林信彦へのインタビューの一節が鋭い。しかも聞き手が大伴昌司なのである。……つい、孫引き。

今日もドアは開けっぱなし! 13時から20時まで開けてます。

2024/10/11

10/11 店日誌

なんて奇妙ななりゆきだろうと、私は歩きながら思う。いつの間にか、東京と半島が反転している。ここが主で東京は従へと転落しつつあるのだ。そんなことはついぞなかったことだ。私がこれまで生活のために闘ってきた場所は東京であり、あの都市以外はなにもなかったはずだ。それがどうだ。ろくに仕事もせずにうろつき回っているこの半島が、いまは生き延びる幻想につながる場所になるなんて。(稲葉真弓)

10月11日、金曜日。数日前に立ち寄った新刊書店でみつけたのが、稲葉真弓『半島へ』(講談社文芸文庫)。別の本を探して目を走らせていた文庫コーナーで青い表紙が浮き上がって見えて手に取って、これを買おうと決めた。本屋をはじめてすぐ、吾妻で焼き芋屋を営んでいたナカハチさんがくれたのが『少し湿った場所』。稲葉真弓の絶筆となったエッセイ集。人間味がありテキストから溢れでる何かに引きつけられた。いっぺんに好きになった。

店の出入り口を開けたままにしていると、いつの間にか人がいる。そーっと入ったのか、静かに棚に見入る人。きょろきょろ店内を観察する人。それぞれの反応をちらりと観察しながら、本に目を落とす。何冊か本を選んで会計しにくる気配を感じると、身体の芯あたりの熱がぐっと高まる。

ここ最近、常連になった男女の2人組。たまたま来た、絵描きのナツナさんとわーっとなにかを話してる。ここが知り合いだったのかーとかなんとなく考えながら、本を読む。昨日は野中花『昭和・奇人、変人、面白人 酒の肴100人たち』を読んでいた。愉快な話がおおくて著者の語りに引き込まれるうち読み終えていた。

今日はなんていい天気! ロックステディ日和でとても嬉しい。

2024/10/10

10/10 店日誌

10月10日、木曜日。いつのまにか体育の日じゃなくなってる! そんなの今さら騒いでも意味がないのはわかってるけど、ちょっと驚いた。しれっと14日(月)に移行していて今週もまた3連休。先月の2週つづいた3連休から正直もういいよ……なんて心持ち。月毎に連休があって疲れるよ〜って人も少なからずいるんだろう。でも、今月も連休があって嬉しいな〜って人の方が圧倒的に多いんだろうな。とか何とかボヤいても、仕方ない。やれることを、やるしかない。

先週は中古CD、今週は中古レコードの入荷が多い。ジャズものを中心に1000円以下で値付けしているので、ピンときたならお手元に。サブスクリプション、CD、カセットで聴くのとは異なる質感があるはず(いつも書いてるけど、どれで聴くのも楽しいのが前提)。

ここのところ、またオンライン・ストア〈平凡〉の動きが少なくなった。目玉になる新刊、新譜がないのが理由かな〜と思ったり、古本を組み合わせた見せ方がイマイチなのかな〜と考えてみたり。どうなのだろうか。思うことがあれば教えてほしい。

今日明日は15時開店! 本の買取、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2024/10/09

10/9 店日誌

10月9日、水曜日。昨夜からの雨はいっこうに止まず、急に強くなったり風を伴ったりで対応がむずかしい。こんな日はどんな装備で自転車に乗るのがいちばんいいか。まず、靴下と靴ははけない。15分も走ればどちらもびしょ濡れ。一日中不快な状態で過ごすのは避けたいから、短パンとビーサンで行くしかない。リュックに靴下と靴、替えのズボンを入れて、上半身は長袖を着用した上でポンチョを羽織る。それにしても急に寒いよ! ズボン下を履きたいくらいなのに、足むき出しで外に出るのは抵抗がある。(8:00)

果たして、上記の格好で店にたどり着く。道中は意識してゆっくり、ゆっくり、焦らず走る。たまにすれ違う車も心なしかスピードを落としてくれる(かまわずバシャーッ! と走り抜ける車には×××を)。雨でなくても自転車では焦らない、飛ばさない。人を無理矢理抜かさない。もちろんイヤフォンも使わない(そもそも持ってない)。無事にたどり着くことを最優先する。ああ、それにしても冷たい雨だ。(9:30)

さあ、そろそろ開店。雨も止んできたような。温度差が激しすぎて身体がついていかないけど、店は開けられる。めちゃ元気とは言えなくても、人は迎えられる。入荷したての本やレコードに値段をつけつつ、のんびりやろう。お暇があれば、ご来店を。(14:00)

今週はどの日も通常営業。来週18日(金)19日(土)20日(日)は休業です。

2024/10/08

10/8 雑記

朝から雨、ちょっと肌寒く、身体も重たい。観ようとしていた映画は早々にあきらめて、家でだらだらと本を読む。手元にあるのは坪内祐三『文庫本福袋』。以前にも読んでる気がするのだが、かまわず、ぐいぐい読んでいく。雨がやんだのを見て庭の草を刈る。没頭するうちにまた降ってくる。まあ、ここまでというところで家に上がってシャワーを浴びて、考える。今日はどうしようかな。どこかに行くか、行かざるか。

けっきょく柏まで足を伸ばして、たくさんの本やレコード、CDに触って、けっこうな数を買ってきた。山川方夫、永井荷風、杉浦日向子、川本三郎、武田花。稲葉真弓の新刊も買った。滞在時間は3時間。駆け抜けるように買い物をした。

夕方前に帰ってきて、シャワーを浴びて、ビールを一杯。スコット・ジョプリンのレコードを聴いている。

2024/10/07

10/7 店日誌

10月7日、月曜日。午前中、久しぶりで庭の草を刈る。真夏こそちょいちょい手を入れていたのだけれど、秋っぽくなった途端まったくやる気がなくなった。まる1ヶ月放置していたら、ネコジャラシみたいな植物の背丈がけっこう伸びている。そろそろ? いや、まだまだと数日逡巡していたが、やるなら今日だ! さあ、やるぞ! と30分超集中したら汗だく。途中途中でクモの巣にも引っかかる。もう限界! ってところまでやり切って、室内に駆け込みシャワーを浴びる(また、でっかいクモの巣に引っかかる……)。まだまだ終わりそうにないけど、ゆっくり進めていけばいい。

何枚かレコードに針を落としたのち、Apple MusicでMUTE BEAT『MARCH』を聴いてみる。11月3日にアナログ盤になる作品で、通算4作目となるスタジオ・アルバム。ジャケットがなんとなく重くて、これは別にいいかなーと思っていたのが大間違い! 重要なアルバムだ。『FLOWER』『LOVER’S ROCK』『LIVE』とあわせてオーダー。当店でも11月3日(日)から販売する。

しばらく手を入れていなかった中古CDコーナーに追加多数。トム・ウェイツ、シッカー・ザン・ウォーターOST、ミュースターズ、アルフレッド・ビーチサンダル、フリッパーズ・ギター、スライ・アンド・ファミリーストーンなどなど、色々あり。どれも500円~800円くらいの値付けなので買いやすいはず。

今日も通常営業! 冴えない天気が続いてるけど、まあ元気にやってます。

2024/10/06

10/6 店日誌

10月6日、日曜日。いやあ、昨日はヒマだった。開店直後に数組がぱらぱらっと来て、その後にカップルが何組か、女性二人組、あとは誰も来なかったかな。でも、ひとりで来て静かに本を選んでいく人もいて救われた。いい本、選びますね。よかったらまた来てください。そんな気持ちで会計をして、送り出す。大竹聡『酔人伝』を読みつつビールを飲んでいた閉店間際、水戸からの一行が来て、助けられた。オンライン・ストア〈平凡〉の売上と合わせて、ギリギリセーフ。

開店前、雨がやんだ隙をみて自転車で走りだす。まずはつくば中央郵便局、オーダーのあったレコードと本を発送。帰り道に〈千年一日珈琲焙煎所〉に寄って、樋口達也個展「JUGATSU」を見る。作品に共通したトーンがあるからか、スッと目に入ってくる。洒落てるのは確かなのだけど、それで済ますのはもったいない。

絵を見るのと買うのとでは、大きく違う。/美術館で何億円もする名画を見るよりも、たとえ一万円でも自分でいいと思った絵を自分の金で出して買ったほうが、絵というものの本質に近づくことができる。少なくとも、私はそう考えている。(福田和也)

ちょうど読んでいた、福田和也『放蕩の果て 自叙伝的批評集』所収の「絵画と言葉」の一節が浮き上がる。なるほど、樋口さんの絵も買って、手元に置くと見え方が変わるのかもしれない。値段もけっして高くない。ビビッときたものを買ってみてもいい。

今日も昨日と同じ状態がつづくとドヨーンとしてくるのだが、どうなるだろうか。気をつかって来てもらうのもアレだし、店にはこんなことはよくあるわけで、騒がずに待つしかない。読むべき本ならたくさんある。

今日明日の営業は、13時から19時まで。些細なことでもお問い合わせはお気軽に。

2024/10/05

10/5 店日誌

10月5日、土曜日。朝、ピーター・バラカンのラジオを流していると、ポール・マッカートニー、ニッキー・ホプキンス、ルー・リードの名前が出てきて耳を引かれる。ハービー・フラワーズというベーシストの話から「ウォーク・オン・ザ・ワイルドサイド」が流れ出して、この曲を知ったときを思い出す。大学生の頃、ロバート・ハリスがラジオの深夜番組を持っていて、落ち着いた語りが好きでよく聴いていた。あるとき流れたのが件の曲。はんぶん寝ながら、これは誰の曲なのかな……と思ったのをよく覚えている(その後、何かの拍子で曲を把握した)。

2000年代初頭のフジロック、野村訓市ひきいるトリップスター・クルーがロンドンバスで乗りつけていたときも、デカい音で流れていた。横浜日ノ出町で〈ムムムカリー〉を営むヨウヘイくんが野外パーティーでのDJで選曲していて、さすがセンスがいいなあと感心した。ルー・リード、2004年のライブでは演奏されず。シブいライブだったのに、当時の自分はぼけーっと眺めるだけだった。

それにしても、今日のピーターさんの選曲はとてもよかった。曇り空の午前中にぴったり。コーヒーをのみながらぼーっとしていて、満たされた。話と音楽がうまく絡みあって、自然と身体に染み渡った。なんとなんと、ボビー・チャールズ、マデリン・ペルーまで……。

夏葉社の復刊2作、いくつかの出版社からの定番作、スモールプレスの人気作など、新刊本の仕入れに改めて力を入れている。もちろん古本にも日々入荷があるので、お見逃しなく。

今日明日、明後日は13時開店。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/10/04

10/4 店日誌

10月4日、金曜日。普段より30分はやく家を出ると、道中の眺めが変わる。出勤、通学、送迎の重なる時間帯で車が多い。自転車で横断歩道にさしかかると、今日はすぐに車が止まった。軽く会釈をして道をゆく。ありがとう、どうぞどうぞ。無言の会話をしたようで心が軽くなる。筑波大学に入ると、ちょっと怖い。職員らしき人が乗る車は自転車、歩行者に遠慮なく駐車場に入ってくるから。チキショー危ねえよ! とごちながら、ゆっくり走っていく。学内は学生さんがいっぱい! 国籍も多様。いろんな言葉が飛び交っている。そろりと遠慮がちに走り抜けて、店に到着。

着いて早々、お隣の〈千年一日珈琲焙煎所CAFE〉での展示を見る。いまは、ささきりょうた個展「おーい」を開催中。案内DMから受けるイメージとはまったく異なるいい展示。少なくとも、オレは好きだ。値段設定が良心的なのも好ましい。ぱっと目に入った2点を買おうとすると雨に濡れた土田店長が出勤してきた。

本の雑誌社からの新刊を数冊補充! 坪内祐三『日記から 50人、50のその時』、『本の雑誌の坪内祐三』、Q.B.B.『古本屋台 2』、草森紳一『記憶のちぎれ雲』。この他、STAND! BOOKSからは橋本倫史『観光地ぶらり』とスズキナオ『家から5分の旅館に泊まる』が到着。ピカピカの新刊ではないけれど、どれも当店の定番作。ぜひ、手にしてほしい。

今日も書籍、音源に入荷あり! 在庫確認、本の買取/査定のことなどお問い合わせはお気軽に。

2024/10/03

10/3 店日誌

10月3日、木曜日。朝からの雨のせいか、昨日より湿度は低い。こんな日はジャッキー・ミットゥー。マッカ・ファットからイン・ロンドンをだらーっと聴いていく。ロックステディの心地よさ、ラフさとタフさが入り混ざったレゲエミュージックの真髄を感じるも、これは一体何だろう。モンドと言うと語弊がある気がするし、エキゾとするのもはばかられる。天然由来のおかしみ、独特さ、可愛げがふくまれたインスト・レゲエ。どうにもまどろっこしいのだが、そんな風に言語化するほかない。

古い店や映画館などがなくなる時、駆込みでその場所に足を運ぶ人が私は嫌いだ。はしたないと思う。(坪内祐三)

図書館で借りてきた、坪内祐三『新・旧 銀座八丁 東と西』を読んでいて、上記の一節にぶつかる。定番の坪内節なのだが、自分はこうした感覚、ある種の意地の張り方に共感する(憧れてるだけかもしれないけど)。閉じようとする店や場が多数の人から標的にされて、グワーっと食いつかれ、骨までしゃぶられる。店だけじゃなくて人にも同じように食いつく風潮、とても苦手だ。できれば目にも入れたくない。

(念のため追記。ここに書いたことは〈SUNNY BOY BOOKS〉の閉店とはまったく関係なし。これを書いたあとにニュースを知った。当店とまるっきり同学年の書店がなくなるのはけっこう寂しい。)

誤解されてるかもしれないけど、店にいて嬉しい出来事もけっこうある。ここ最近は、なじみの人だけじゃなくあらたに見つけてくれる人もいて、対応していてじわっと喜びに包まれる。なんだかんだあっても、店を開けるのが好きなのだ。

今日明日は15時開店。土曜日曜、月曜は13時から開けてます。

2024/10/02

10/2 店日誌

所詮金なんて価値があると見せかけて、実は相当インチキな代物。例えばお店に置いてある商品ひとつとっても、陳列の仕方、商品名のつけ方、ライトの当て方で、同じものでも値段がいくらでも変わる。要するに全部インチキなのだ。(松本哉)

10月2日、水曜日。松本哉『世界マヌケ反乱の手引書(増補版) 』はゲラゲラ笑わせて、ズバズバと物事の本質に触れていくからゾクゾクさせられる。上記の一節は第1章「予想外のことが始まる!」の末尾にサラリと書かれていてびっくりした。こんなこと書いちゃって大丈夫! とか思っちゃうのは自分がビビり性だからか。本当のこと過ぎる。なにもすごくない! って言いながら、どーんと大胆にアクションする松本哉はすごい人。でも、すごいすごいと言って済ましてちゃいけない。読み手も動き出さなくては、この本が書かれた意味がない。

今の時代、小さい謎のスペースを無数に作っていく方がいいと思う。潰れても潰れてもどんどん新しいバカセンターができて、全国津々浦々、いったいどこにどんな場所があるかわからなくなるぐらい増えたら最高に面白いし、実はそれが一番強い。

ここにはつよく共感する。小規模でも自立したイベントが増えたらいい! ってのに似た見解で、より小さく、早く思考できれば、面白いことができると思う。大きな出来事の意味を理解した上で、小さなアクションの重要性を認識できれば、何かが変わる気にもなる。とにかく実践あるのみのだ。

11月3日(日)に開催する「天久保文化祭」は短くとも5年先のイメージを持って、企画している。(昨年がゼロ回目として)初回となる今年は、まず音楽を中心に。来年以降、少しずつ幅を広げて、より日常に近い催しにしていくつもり。絵や写真の展示、映画の上映があってもいいし、トークイベントを交ぜてもいい。巨大化させるのではなく、小さな出来事を集めていく。

今週は通常営業! 店には日々動きがあるので、お暇ならばご来店を!

2024/10/01

10/1 雑記

閉店準備をしてさあ帰ろうか、と思ったところで隣からギターの音が聴こえてくる。まあまあの大きさで鳴ってるからBGMじゃなさそうだ……と覗いてみると、ポットマンこと土田店長が演奏していた。けっこうカッコいい。これまでよりスケールが大きくなった感のある演奏で、手元の鍵盤でつむぐ音もハマってる。時間にして2~3分、ほんのちょびっと聴いただけなのだが、コイツはやっぱり面白いなーと嬉しくなった。一昨日の晩に観たエポン&エスプラもそうだったけど、身近な人に刺激を受けることが増えている。

繰り返しになるけど、沢山の人を一気に集めることだけが正解じゃない。少人数でも、意志を持って主催すれば、なんらかの意味を見出す人がいる。ライブに限らず、展示や上映会、トークイベントの数がもっともっと増えたらいいのだ。SNSでのフォロワー数やいいね準じた「素敵」の烙印が付いたものだけじゃなく、各人が面白がって場づくりをしていったら、もっといい。そのための土壌づくりをしていきたい。

いま、自分にできるのは、日々店を開けること。そして、さまざまな状況に反応することである。