10月25日、金曜日。一昨日は0円、昨日は300円。うちの店の売り上げだ。今のところ笑えているが、今日明日も同じ調子だと落ち込むぞ。だからといって、店に来て本を買ってほしい! と言いたいわけじゃない。展示をしていなければ、インスタグラムのトピックになるような新刊を仕入れてるわけでもなく、社会問題に参画するようなフェアも展開していないのだから、当然かもなと思うところもある。でもさ店って、切れ間なく催事に関わってないといけないの? エモーショナルな意思表示が必須なの? 自分は、当たり前に開けていたいだけなのだ……(まあ、だから暇なのか)。
〈モンパルナス〉と書かれた本はつい買ってしまう。世紀末のパリの盛り場はモンマルトル、一九二〇年代の盛り場はモンパルナスだ。はじめてパリに行った時、飛行機がおくれて、真夜中にモンパルナスに着いた。目がさめるとパリのさわやかな朝であった。(海野弘)
今朝、読みはじめたのは、海野弘『本を旅する』。著者が出会い、影響を受けてきた100冊を紹介する「百冊の本の再訪」がすごくいい。とにかく書き出しがカッコいいのだ。上記したのはジャン=ポール・クレスペル『モンパルナス讃歌』の紹介文で、こう書き継がれる。
それにしてもこの本があつかっている一九〇五〜三〇年は、パリの黄金時代で、世界中からアーティストが集っていた。特別な街、特別な時代なのだ。モンパルナスのいたるところに、彼らの記憶が刻まれている。つまり、モンパルナスという街は一つの本として読めるわけだ。私はここで、街を本のように読み、本を街のように歩くことを学んだのだ。
うーん、カッコいい。ビシッとしているのにさわやかで軽みもある。海野弘の文章は中身もだけど外見がいい。読みながら唸ってしまって言葉が頭に入ってこない。
今日も通常営業! 本の買取、査定の依頼は常時受付中! お問い合わせはお気軽に。
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