12月26日、木曜日。年中行事にはほぼ無縁の当店だけれど、昨日はなぜか出入りが多く、ジャズ録音日調査委員会『日めくりジャズ 365』を買っていく人がちらほら(残り1部)。My Loads Are Lightの靴下は完売。古本、中古レコードをみていく人がいて、なにも買わずに出ていく人もいる。ビールを持ってきたのは別々の友人。何ひとつままならないから、店にいるのは面白い。年末だろうと粛々と営業するのみ。
ぼくは悲しい結末の暗い映画を撮ろうとしてきたが、一方で心から笑えるというわけではなくとも、日々の生活のドラマを見せるような映画を撮りたいと思っていた。一方はモノクロ、他方はカラーで。(アキ・カウリスマキ)
カウリスマキ生活、12日目。劇場で観た唯一の作品『過去のない男』でゼロ地点に立つ。そうだ、冒頭はこんなだった。こういう人もいたか。あれ、まったく忘れてる。序盤の暴漢以外は基本的には穏やかなトーン。やむにやまれぬ銀行強盗、受け渡し後の銃声。モシャモシャ喋る弁護士、朗々と歌うのは救世軍の女性上司。やさしい銀行職員は『浮き雲』のレストラン支配人だ。知った顔も混ざるのが嬉しい反面、マッティ・ペロンパーの不在も大きい(あるシーンで、壁に写真がかかってた)。
今はほんのわずかな希望ももうないので、ハッピーエンドを見たい人がいてもそれはいい。しかしぼくとしては、人生は我々を幸福にしてはくれないのだから、悲しい結末のほうがいいと思っている。
『過去のない男』が公開されてから22年。世界の現状をカウリスマキはどう捉えているのか、それを知るには最新作を観るべきなのだが……。
今日明日は15時開店! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。
0 件のコメント:
コメントを投稿