カウリスマキ生活、10日目にしてデビュー作『罪と罰』にたどり着く。全体にトーンが暗く、笑えるシーンは皆無に近い(職場の友人役、マッティ・ペロンパーのキャラクター造形がややユーモラス)。大古典である原作を未読のため、物語がどう再構成されているかは、掴めないまま。ラヒカイネンによる殺人の動機は確かなようであやふや。唯一の目撃者、エヴァの行動、選択にも明確な理由は見えず。捜査にあたるベテラン刑事にのみ、善悪の線引きが委ねられていると感じた。
1983年制作の本作でも、音楽の用い方は特別。バンドの演奏シーンをはじめ、感情の動きと連動する選曲は見事というほかない。ここから『カラマリ・ユニオン』(1985)、『パラダイスの夕暮れ』(1986)がつづくと思うと、不思議だ。アキ・カウリスマキはどんな人間なのか。よくわからなくなる。
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