2024/10/13

10/13 店日誌

10月13日、日曜日。稲葉真弓『半島へ』を読み終えて、驚く。9割型まで著者の生活エッセイだと思い混んでいたのだが、小説だった。完結直前「奈々子、これでいいかな。あなたの“生き急ぎ”とは違う速度を、私は見つけたいの。東京のスピードとは違う、私にふさわしい速度をね」という黙想、語り手自身の自己確認に触れて、この人は著者・稲葉真弓じゃない別の誰かなのかも……と、遅まきながら着想した。木村朗子による解説に触れて、小説を読んでいたことを知らされた。

なんとなく買ってみて、読みはじめたら、想像以上にとおくに飛ばされた。意識されないまま、ずっととおいところに。すごいなー。本を読んでいてこんな風に驚かされたのは、はじめてだ。

朝、てきとうに流していたラジオの選曲に反応する。佐野元春だとすぐに気がつく。曲自体の質感が今日の気分にぴったり。何て曲だろうと耳を向けていたら、佐野元春&Coyote Bandの「或る秋の日」。歌詞というより発声が、メロディというより曲のもつ雰囲気が、乾いた空気に溶け込んだ。

今日も通常営業。13時から19時まで、店番太郎くんが店にいます。

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