2022/02/28

2/28 雑記

サリー・ポッター監督作『選ばなかったみち』は音の映画だった。玄関ブザー、携帯電話。電車、自動車、救急車。街のざわめき。次々に耳に入ってくる。回想場面では波。風。砂。女性の声。その間をつなぐ劇伴、ギターとベースの音も耳にのこる(エンドクレジットに目を凝らして、ギターの演奏者がフレッド・フリスだと知った)。

正月に観た『ノー・カントリー』での怪演に背筋がこおった、ハビエル・バルデム。やはり、独特の表情だ。どこか沈痛な面持ち。笑うとぐにゃっと歪むけれど、観ていて一度も安心しきれなかった。彼の手と娘役エル・ファニングの顔の大きさはほぼ一緒。声が太い。どうしたって気になる役者だ。

ギリシャ、メキシコ、ニューヨーク。点在するシーンは繋がっているのか、否か。はっきりとは描かれない。目と耳から入ったものが脳内で直結しない。断片的に繋がったり、そのまま放られたり。戸惑わなかったと言えば嘘になる。観ながら、考え事が止まらなかったのは、制作者の狙いなのかと思う。

回想のなかに導きこむ、音のあり方。さまざまな背景を前に立つ、ハビエル・バルデムの存在感が好みだった。誰か、この映画を観た人と話がしたい。

2022/02/27

2/27 店日誌

2月27日、日曜日。家から店まで徒歩で40分弱。考えごとをするにはちょうど良い距離、時間である。車通りの少ない小さな道をえらんで歩く。そうして日々、風景を観察していると、住宅が作られる速度に驚かされる。まず測量。地鎮祭。地面が掘られて、コンクリートが流し込まれる。部材を組み立てあっという間に家が建つ。

このまま草っ原であってほしかった。そう感じた場所も数週間、数ヶ月が経てば、その記憶も消えてしまう。近年、移り住む人が増えていると聞く、つくば市内。これからどうなっていくのだろうか。

今日は11時から19時までの営業です。明日、月曜は定休日。

2022/02/26

『LIVE IN TURTLE ISLAND』(3LP)

TURTLE ISLAND『LIVE IN TURTLE ISLAND』(3LP)が届きました。
愛知県豊田市が世界に誇る大所帯楽団、タートル・アイランドのベスト/ライブ・アルバム。会場に圧倒的な祭りを出現させる彼、彼女たちの演奏をレコードに刻みこんだのはカッティング・エンジニアの武沢茂。ミキシングは内田直之、マスタリングは滝瀬真代。これは、できるかぎり大きな音で体感してほしい。

販売価格は14300円(税込)。重量感のある豪華仕様。特製ブックレット付き。

2/26 店日誌

歩くのは自由への近道です。旅に出ることは仮りにではあっても自由を得るいちばん手近な方法だけれど、特に歩いてする旅は他のどの旅よりも自由であると思います。-小林泰彦(「アウトドアの楽しみ方」)

2月26日、土曜日。あたたかい。これから昼、午後のはやい時間はもっと温度があがるらしい。ならば、今日は身軽なかっこうで歩きたい。数十分、数時間だけの春気分。いざ、本格的に季節が変われば、花粉症だの心配事も出てきてしまう。季節の先どり。これくらいがいちばん嬉しい。

LOVING YOU IS ON MY MIND。朝、レコードをてきとうに聴いていて見つけた曲。THE METERS『REJUVENATION』はファンキー、メロウな波がちょうどよく混ざっていて、すごく好みだ。

11時から19時、のんびり20時くらいまで開けているかも。

2/25 店日誌

2月25日、金曜日。友人が自転車の整備をしてくれた。後輪のチューブを換えて、ブレーキの効き具合を調整する。チェーンに油をさしたのちタイヤに空気をいれて、さあできた。試しに乗ってみてよ! と、言われてこいでみると、驚くほどによく走る。ペダルに入れた力がスムースにタイヤに流れて、気持ちがいい。

店にはいいペースで人が来た。なじみのYちゃんが本を売りにきて、『偶然と想像』は良かったねと話す。その前後には水戸の歌い手・飯田健二さん。〈古着屋may〉の細矢さん。気心の知れる距離感になったと感じる、雑貨店の旦那さん。その他、ちょいと知った顔の方、はじめての方々など。

今日明日、明後日も通常営業。通販などのお問い合わせはお気軽に。

2022/02/24

「夜の海辺の音楽会」

ようこそ、見果てぬサウンドトリップへ。
春の風がざわめく夜、汽船の行き交う港にて。アコーディオン、フルート、カバキーニョ、テープレコーダー、マリンバ、マンドラ、コントラバス… mama!milk “Charade” Quartet が誘います。

「夜の海辺の音楽会」
日時 2022年3月5日(土) 19時開演(20時半終演予定)
料金    4000円(要予約)
出演    mama!milk “charade”Quartet / 生駒祐子,清水恒輔,曽我大穂,BUN Imai
会場    象の鼻テラス(神奈川県横浜市中区海岸1丁目)

2/24 店日誌

2月24日、木曜日。いま、読んでいるのは鶴見俊輔『期待と回想』と大竹聡『ずぶ六の四季』。その前に読んだのは、川崎彰彦『冬晴れ』、涸沢純平『やちまたの人』。小冊子『ぽかん』(この3冊は京都で買った)。この次は山田風太郎『戦中派虫けら日記』、荒川洋治『日記をつける』あたりかな。読まれるのを待っている本はたくさんある。

9年前の今日、店の天井のペンキを塗った。不器用な自分だが、いちおうの格好はついたことに自信を得て、そのままの勢いで店をつくった(相棒の中村くんと)。その日、30歳になったのだった。

今日、明日は15時開店、20時閉店。ご都合に合わせてご来店ください。

2/24 雑記

Jake Xerxes Fussell。ジェイク・クセレス・ファッセルと読むのだろうか、正しい発音が分からないので、ジェイクさんと呼んでいる。彼を見つけたのは妻である。ある日、Spotifyで耳にしたらしい。すごく良かった。だから、Instagramでメッセージを送ってみたという。「ワタシハ,ニホンジンデ,アナタノ,ウタトオンガクガ,トテモスキデス」という風に。そうしたら、なんとジェイクさんから返事が来た。「優しい言葉をありがとう。いつか日本にいけたらいいのだけど」。

ジェイクさんが今年発表した『Good and Green Again』は音が深い。やさしく耳をさわる声もいい。簡素で素朴な音楽。新しくも古くもない。レコードに針を落とすたび、おだやかな気持ちにしてくれる。しずかな森に入って、新鮮な空気を吸うようなみずみずしさがある。

ボニー・プリンス・ビリーことウィル・オールダムがゲスト参加。だが、何度聴いても、どこにいるのかわからない。

2022/02/23

2/23 店日誌

2月23日、水曜日。祝日。帳場前の段ボール、積み上がった本をようやく片付けた。これで、少しは店内を移動しやすくなったはず。ただ、できるのなら三人以上でのご来店はご遠慮願いたい。大きなリュック、バッグは前向きに背負ってもらうか、店内の椅子に置いた上で歩いてほしい。何かしら困ったことがあれば、声がけはお気軽に。

今日も通販営業! 15時から20時まで開けています。

2022/02/22

『ずぶ六の四季』

飲み始めて四十年にもなろうというのに、昨今、酒がうまくなってきた。以前から酒は好きだったし、うまかったわけだから、今さらナンだと自分でも思うけれど、そうとしか言いようがない。(「はじめに-酒は飲め飲め、飲むならば」)

大竹聡『ずぶ六の四季』が届きました。
はァ、困った。何時だろうと手に取ってしまえば、喉がうずく(「ああ、飲みに行きてえな」)。無茶な飲酒をすすめるわけじゃない。ただ、のみたいならのめばいい。それが確かに書いてある(「酒は飲め飲め、飲むならば」)。それぞれのペースで、目の前の酒、時間を味わおうじゃないか。そんな気持ちにさせてくれる、おおらかな本。

販売価格は1870円(税込)。初回入荷分は著者・大竹聡さんの署名入り。

『アルテリ』十三号

やっぱり一人一人の人生って面白いからね。それに尽きると思うんですよね。-渡辺京二

『アルテリ』十三号が届きました。
毎年2月と8月に定期刊行されている熊本の文芸誌。当店では創刊号から6年、ながく扱わせてもらっています。巻頭におかれた、いしいしんじ「100ものがたり」につづくのは、「アルテリ対談:渡辺京二×池澤夏樹」。91歳と76歳。現代社会にはそう多く見られない尺度、物差しをつかってのやり取りに触れると視野が広がるような気がします。

そのほか、吉本由美、坂口恭平、磯あけみ、浪床敬子、田尻久子といったレギュラー陣、お名前に馴染みのあるゲスト陣を交えた骨太な内容です。なぜ、この雑誌には猫がおおく登場するのか? この疑問にこたえる「アルテリの猫」を巻末に収録。

販売価格は1100円(税込)。四号以降のバックナンバーもそろっています。

2/22 店日誌

シンプルなのにグルーヴィ、メロウなのにタフィ。キザにキメてる癖に儚くて刹那。そんなジャマイカンの生活、性格そのままの音楽。-沖野正明(DRUM&BASS RECORDS)

2月22日、火曜日。なにはともあれ、ロック・ステディ。その一念で強風のなか自転車を走らせ、少し離れたリユース店まで行ったのは、昨日のこと。あたりをつけていた箇所から丹念に目を凝らす。点在するジャズものなどに目移りしながらも慎重に選び、盤の状態も確認して購入したのは2枚のCD。

気まぎれに開けてみた定休日、客数は多くなかった。だけれど、わが兄貴分・小池龍平さんが散髪がてら顔を出してくれる。短時間ではあれ、身のあるやり取りをして力をもらう。その直後に、筑波大学を卒業した2人のNくんも登場。元気そうな顔をみられてよかった。

今日もいつも通りに営業中。在庫確認など、お問い合わせはお気軽に。

2022/02/21

2/21 店日誌

2月21日、月曜日。お一人の方が来ているとき、たまたま友人が来てくれる。自分から挨拶をして話し出す。そうするうち、はじめにいた方はスーッと帰ってしまう。ああ、またやってしまったと反省する。そもそも複数人が滞在しづらい店の構造、つくりになっているのが良くないのだ。

お客さんへの不満を吐露するならば、こちらも工夫を怠っちゃいけない。少しでも足をふみいれやすい状況をつくっておきたい。できるだけ柔らかい心持ちで、本を選んでもらえるようにしたいと思う。

今日は13時から19時まで開けています。明日以降も通販営業。

2022/02/20

TESUNORI TAWARAYA EXHIBITION
“UNKNOWN SPECIES ” IN KYOTO

TESUNORI TAWARAYA EXHIBITION
“UNKNOWN SPECIES ” IN KYOTO
会期 2022年2月25日(金)−3月6日(日) 13:00–19:00 
会場 とぅえるぶ/Hand Saw Press Kyoto(京都市左京区浄土寺馬場町71 2F,1F)

2/20 店日誌

2月20日、日曜日。アルトン・エリス。彼のレコードは低音がやわらかい。だから、朝夜を問わずに聴きやすい。ボブ・アンディ『Song Book』(超・名盤!)のあとに針を落として、そう気がついた。低音の強さ、太さがけっこう違う。手元にある2枚のレコード『Mr.Soul of Jamaica』、『Sings Rock and Soul』どちらもアルトンの声を活かす音のバランスになっている。

ボブ・アンディの盤はレゲエ前夜の低音とでも言うべきか、ラフ&タフなサウンドを鳴らしている。甘美なロック・ステディではなく素朴なルーツ・レゲエと説明すると分かりやすいだろうか。ああ、やっぱりジャマイカ音楽って面白いなあ。

雨の日曜日。ご都合に合わせてご来店あれ。

2022/02/19

『PORTA DE MOLA』

HAPPFAT『PORTA DE MOLA』(CD-R)が届きました。
先月末に入荷した『FAR』や過去作がいまも好評のDJ、HAPPFATによる最新作はブラジル音楽のみで編み上げた約68分のスムース&メロウ・ミックス。ギターの音色がやさしい序盤から鍵盤が響き、プリミティブなリズムを混ぜていく中盤、はなやかなヴォーカル曲がムードをつくる後半……と、なめらかな展開。季節をこえて楽しめる作品です。

販売価格は1200円(税込)。味のあるイラストはご本人の筆によるもの。

『dee’s magazine』別冊

『dee’s magazine』別冊が届きました。
当店でvol.2,vol.3,vol.4を配布してきたフリーペーパー『dee’s magazine』が「Magazine isn’t dead.」からの依頼にこたえる形で制作した特別号。テーマを「あなたの雑誌遍歴を聞かせてください」として、年齢、居住地、職業もバラバラな25名+αのアンケートへの回答と簡単なプロフィール、いくつかの図版とで構成しています。

販売価格は440円(税込)。特製ステッカーも付いています。

「GoodNears」

「GoodNears」
日時 2月27日(日) 16時開演/24時終演
料金 2500円(1ドリンク込み)
出演:ANDDY TOY STORE,MCワタナベ,SPRA×BUSHMIND,Eastern.P, ,東金B¥PASS,THE PARK BOYZ,MADARAH,BUSHMIND,DJサモハンキンポー,TOMO,SONIC,etcetc…
会場 Club OctBaSS/DISCOS(茨城県つくば市天久保1−5−4)

2/19 店日誌

2月19日、土曜日。定休日以外はほぼ営業、連休はそう多くとらずにきた当店にあって突発的な連休があった今週。久しぶりの開店となった昨日は人が来てくれるか心配だった。まあ、暇だろうなと思いながら店に来て、準備をととのえてから、いつもより早く店を開けた。

やはり客数は多くなかった。ただ、しっかり足を運んでくれた人たちがいて、その中の何人かは自分なりにものを選んでいった。しみじみと嬉しかった。

今日、明日は11時開店。19時までのんびり開けてます。

2022/02/18

『やまなみ』


毎回やまなみ工房に来るといつのまにか、なんだかすっきりと洗われたような気持ちになる。目の前の人とただ笑い、制作に集中している姿を見て自分も一緒に無心になり、自分のなかの宇宙を再確認する。–川内倫子

川内倫子『やまなみ』が届きました。
滋賀県甲賀市にある障害者福祉施設〈やまなみ工房〉の日常を、写真家・川内倫子が3年にわたって撮影した写真をまとめた一冊。工房の風景、個人での製作、友人や仲間と過ごす時間……と、写されるものそれぞれに余白があり、見る人、読む時によって受け取る印象はことなるでしょう。そばに置いて、繰り返し紐解いてほしい写真集。

販売価格は5500円(税込)。カバーデザインは2種類、初回入荷分はサイン入り。

星野郁馬 個展「或る人」

星野郁馬 個展「或る人」
会期 2022年3月12日(土)−4月17日(日) 11:00–19:00 ※火・水定休 
会場 千年一日珈琲焙煎所(茨城県つくば市天久保3–13–3高野テナント105)

2/18 店日誌

2月18日、金曜日。アルトン・エリス。レゲエ以前、ロック・ステディ期の代表的シンガー。二十代でジャマイカ音楽に興味を持ち始めた頃、当然のように名前を知って、レコードも数枚購入していた。ただ、その頃はいまいちピンとこなくて、同時期のシンガーではケン・ブースの方が声が太くて好きだった。わかりやすくソウルを感じていたのだろう。

それが今、アルトン・エリスに夢中である。夜だろうと朝だろうと、スーッと馴染む。もちろん太陽のさす時間帯、陽がかげりはじめる夕刻にもピッタリだ。色気を含んだ声質、軽やかなリディム、コーラスも絶妙だ(初期ウェイラーズを思わせる)。やはり、ジャマイカ音楽は奥がふかい。聴くほどにくせになる。

さあ、久しぶりの営業日! 書籍、音源ともに入荷あり。

京都 出張記⑤

2月17日。京都滞在、最終日。13時過ぎの新幹線まで時間はある。幾人かの知人、友人に薦められていた映画『偶然と想像』を観ることにする。会場は〈京都みなみ会館〉。ホテルで調べてざっくり手書きの地図は用意した。たぶん、スムースにたどり着ける。……が、その見込みが甘かった! なにせ生来の方向音痴。スマートフォンも持っていない。どの方向に行けばいいのか、まったくわかっていないのだ。

9時に出発してまず、ホテルからの方向を見誤る。途中で気がつき、交番で道をきいて修正する。とりあえず大通りを歩いていく。情緒のない道をたくさんの車がゆくなか、歩く。歩く。京都駅と記された路線バスのあとをついて行く。西本願寺が見えてきて、おどろく。立派だ。やがて、東寺、九条方面をさす標識を見つけて手ごたえを得る。きっと、時間までにたどり着ける。

ただ、東寺を通りすぎても、それらしき建物が見つからない。文字通りに右往左往する。汗がにじむ。道ゆく人に聞いて、方向を改めるも位置がつかめない。上映開始は10時10分。この時点で9時55分すぎ。目に入った交番にとびこみ、場所をきく。歩いて10分くらいと教えてもらう。ここで一瞬あきらめるも、いや、行けるのでは! と力を振り絞って歩きだす。

ようやく〈京都みなみ会館〉を見つけて、チケット売り場に着いたのは10時8分ころ。即チケットを購入して、ギリギリセーフ。予告編がはじまる前にどうにか座席に落ち着いた。

3本の短編からなる作品を終えて(感じるところの多い作品だった)、12時20分ころ。外に出ると、また雪が舞っている。近くにあったブックオフに立ち寄るも、深入りはせずに京都駅に向かう。するりと着いて一安心。食べ物などをちょこちょこと買って、ホームで生ビールをぐいっとのむ。あとは帰るだけ。ここで、急に力が抜けてくる。

空席の多い新幹線でダラーっとして寝る。東京駅で高速バスに乗り換えて、つくばに戻る。

2022/02/17

京都 出張記④

14時半のラストオーダーギリギリで駆け込んだ〈山食音〉。ハアハア息を切らせて、小田さんに挨拶をすると「あ、どーも!」と自然に受け入れてくれる。先客の方もいい雰囲気。席に落ち着いて、少し話をしてランチを頼む。この日のメニューは「台湾風素食プレート(だったような)」。これが、しみじみと美味しい。食べているうちに気持ちが落ち着いてくる。

食後にコーヒーをいただきながら話をする。編集者でありレーベルオーナー、リソグラフ工房〈Hand Saw Press〉、料理店〈なぎ食堂〉の主宰者でもある、尊敬する先達……なのだけど、お話しぶりは自然体そのもの。飾らない言葉選びで、今、自分の大きな関心ごとである90年代の音楽シーン(主にインディー)に関する話を聞かせてくれる。そうか、そうだったのか! と、何度膝を打ったことだろう。いわゆる業界裏話ではない、骨のある逸話の数々を聞かせてもらう。そうして時計を見ると、16時半。あっという間に2時間経っていた。

その後、〈Hand Saw Press Kyoto〉の工房を覗かせてもらうべく、再度自転車にまたがると、ふわっとやわらかく雪が舞いだした。味わいのある夕刻、今やなれた道をもどって浄土寺周辺に。軽く工房を覗かせてもらったあと、丸太町に向かって自転車をこぐ。鴨川沿いで自転車を降りて、歩く。サックスやトランペット、ジャンベといった楽器を演奏する人、犬の散歩をしたり、その場でたたずむ人がいる。きれいだなあと感じ入る。

人や車の多い街中から〈誠光社〉のある小さな通りにはいると、安心する。宝くんに自転車を返して、お隣の〈アイタルガボン〉でジンジャーエール。展示開催の挨拶をして、これまた近所の〈さくら湯〉に行く。熱めの湯船につかってあたたまる。あせって出て、ビシャビシャな状態を宝くんに笑われる(拭くものが手ぬぐいしかなかった……)。そうして、缶ビール。しみじみと美味しい。しずかな店内をゆっくりと味わう。

19時半を過ぎて、店を出てホテルへ向かう。歩いてまた30分。途中で軽食を買って、早めに就寝。今日もまたいい日だった。

京都 出張記③

2月16日。朝、めざめは爽快。朝食をとり風呂につかる。9時過ぎに〈誠光社〉に向かって歩き出す。ホテルは四条(この周辺、好きじゃない……)、目指すは丸太町。ざっくり方向づけて足をすすめる。途中で少し迷うも、京都御所がみえてくる。ここまでくれば、大丈夫。途中で和太鼓らしきものたたく人。通勤途中や散歩の人たちとおおくすれ違う。いろんな人がいる。目につく大人が多いな、と思う。個人が個人のままでいる。

開店時間の10時ぴったりに到着。お出かけまえの堀部さんにアルバイトの宝くんを紹介してもらう。知的であかるい気のいい青年。すぐに打ち解ける。しばしゆっくり店を見て、編集工房ノアの本を一冊購入。その後すぐにCaffine Houseこと門谷風花さんが来てくれる。〈誠光社〉では矢吹展のあと、門谷さんの展示がおこなわれる。これは、いい流れだし、挑戦的。せっかくならば当店でも何かできないかとメールをしていた。

近所の喫茶店〈モンブラン〉(いい店!)で30分ほど話して、またもどる。なんと、 誠光社の前にはタバタさん。つくばで知り合った知人で数年前から京都で暮らしていると聞いていた。わざわざ来てくれるとは。そのまま立ち話。門谷さんとはここでお別れ。宝くんが自転車を貸してくれることになり、さあ出発。なんとなく方向づけて、銀閣寺方面に向かう。自転車を漕ぎだすと、大袈裟でなく羽が生えたような気分。すいすい進み、あっという間に出町柳、百万遍、京大のエリアに入り、京都だなあと実感する。

そのまま自転車をこぐうち、古書店〈善行堂〉みつける。開店直後の店におじゃまして、本を買う。店主の山本善行さんに展示案内を渡す。山本さんの書きものが好きなので、お話ができて嬉しい。お互いがんばろう! と勇気づけられ、ホホホ座方面への道ゆきを教えてもらう。今日は〈ホホホ座 浄土寺店〉併設のリソグラフ工房〈Hand Saw Press Kyoto〉の小田さんと落ち合う約束をしている。案内どおりに進んですぐに到着。まず、ホホホ座の店内を見る。ほしかった本を見つけて購入。小田さんはまだ来ていない。

なんとなく外に出ると、さっきまでなかった小さな看板。〈とぅえるぶ〉と書いてある。気になったので階段をあがって入ってみると、なんとまあ、面白い品揃え。パンクな気配が濃厚な個人出版物を中心にレコード、テープなどの音源がぎゅっと詰まっている(ここにはtactsatoを連れていきたい)。おもわぬ出会いに高揚しながらステッカーなどを買って、お店の方と話す。今月末から開催予定の展示のポスターがカッコいい! リソグラフ印刷の良さがつまっている。

さて、おかしい。約束の14時になっても小田さんが来ない。気になってメールを確認してみると、自分の勘違いが発覚! 小田さんがランチ出店をしている〈山食音〉に向かって、あわてて走り出す。方々を走りまわってようやく近づく……も、決定打に欠ける。あちゃあと思ったところで目に入った〈フランク菜ッパ〉。まよわずとび込み道を聞く。出てきてくれたのは雑誌でお顔を見たことのある店主の方。とてもやさしく対応してくれ、場所を教えてくれる。感謝して走り出す。

書き出すと、長い。出会った人たちは、やさしい。続きはまたのちほど。

2022/02/16

京都 出張記②

2月15日。重たい身体をどうにか起こして、街へ出る。飲食する余裕もなく丸太町の書店〈誠光社〉へ向かう。ホテルから歩いて20分ちょっと。街並、景色をながめて足をすすめていると、距離を感じることなくすすんでいける。11時頃に到着。ちょうど矢吹くんが送ってくれた作品、原画が届いたところ。店主・堀部さんに軽く挨拶、持ってきた荷物を預かってもらう。

さて、これからどうするか。まったくのノープラン。スマートフォンもないので、詳しい場所の検索もできない。だから、とりあえず歩く。京都市役所の近くまできて〈100000t アローントコ〉を見つける。嬉しい。開店前だったので、またあとで来ることにする。

その後はもう、いきあたりばったり。叡山電車に乗って一乗寺まで行ってみたり(目当ての〈荻書房〉はおやすみ)、出町柳周辺をぶらついたり(居酒屋〈村屋〉をみつける)。バスに乗るのはなんとなく気が引けて、そこらじゅうを歩きまわる。午後になるとけっこう疲れる。えいやっと足をはこんで〈100000t〉。レコードを一枚買う。

いったんホテルに戻り大浴場に。16時の一番風呂ではあるけれど、ヌルい。でもまあ、手足をのばして湯に浸かれば気分はかわる。さっぱりしたあと少し休んでまた街に出る。18時から〈誠光社〉で展示設営をするためだ。市営地下鉄に乗って、四条から丸太町。のまずくわずで歩いた午後よりも、この頃には余裕が出てくる。かるくジュースをのみ、パンを食べる。日暮れの京都、鴨川沿いはきもちがいい。

さて、設営! 堀部さんと話しながら手を動かす。たまに微調整をしつつも作業は順調にすすんで19時過ぎには設営完了。おつかれさま! という感じで店を出て、向かうは〈赤垣屋〉。前回京都に来たときに知った、名酒場。引き戸を開けるとカウンターに通される。お隣の方々の会話、目の前のカウンター内の動き、やり取りをぼんやりと見聞きしながら数杯のむ。おでん、しめさば、つけもの。どれも美味い。じんわりと温かなものに包まれた感覚をおぼえる。

いい心地で駅まで歩いて、地下鉄に乗りホテルに帰る。堀部さんの展示告知を確認して、矢吹くんともメールのやり取りをする。京都まで来てよかった。こうして展示ができることを、今になって嬉しく思う。

2022/02/15

京都 出張記①

2月14日。東京駅を出発した新幹線はびゅんびゅん飛ばして、あっという間に京都着。早すぎる。身体がついていかない。改札を出て目の前にある近鉄に乗り換えて、奈良に向かう。急行とはいえ、ちょうど良い速度感。ようやくひと心地。ゆっくりと本を読んでいるうちに到着。こんかいひとつめの目的地〈音楽と珈琲〉に向かう。自家焙煎のコーヒーがめちゃ美味い、喫茶店。新設される本棚に本をおさめるために来た。

当然、というか15時前の店内はにぎわっている。挨拶だけしてとおりを歩く。古本屋を3件まわる。そのうち一軒は、なんと2月20日閉店とのことで店内全品30%オフ。しっかりと買わせてもらう。お会計のときに店主の方? と少し話す。すこぶる感じがよい。本が好き、という気配がよく伝わる。

両手がおもたくなったっころ、居酒屋〈蔵〉でかるく一杯。ここは、いい時間がながれている。ちょうど良い気持ちで〈音楽と珈琲〉にもどって本の整理。コーヒー豆を買って、京都に向かう。

降りたった京都の街の都会っぷりに目がまわる。どうにかホテルに辿り着く。その後すぐ、たまたま近くに来ていたマーシーこと野田昌志さんと落ち合う。すこし歩いて店に入る。……その後。どうにかホテルに帰り、気がつけばベッドの上。楽しみにしていた朝食、大浴場にも間に合わず。むなしくアイパッドの画面をたたいている。

2022/02/14

2/14 雑記

いつもの時間に起きて、外を見る。雪の気配はなし。ラジオ体操をしてから、コーヒーとトーストの朝食をとり、体温をはかる。この一週間、平熱。体調も異常なし。準備ができたら出発だ。

2022/02/13

2/15,16,17 店舗休業

2月15日(火)、16日(水)、17日(木)の三日間は休業します(14日(月)は定休日)。18日(金)の13時か15時から営業再開。詳細は前日までにはしっかりとお知らせします。今月、それ以外の日は基本的に通常通りに開けるつもりです。

2/13 店日誌

2月13日、日曜日。パブリック・イメージ・リミテッド、ブラック・サバス、カニエ・ウエストに加えて、イギリス60年代後期のバンド(どれも初耳)の音源数枚を持ってきてくれたのは大学生Wくん。来店は二度目だけれど、どうにも気になる男である。その後、隣でコーヒーをのんでいったようだった。

筑波大を卒業して就職、いまは東京に暮らすKくん。自分が彼くらいの年齢だった頃から付き合ってくれている友人。その他、水戸から来てくれた知人。話はしなくても、心地よいやり取りができた人もおおくいた。ああ、本屋もわるくない。

今日は11時開店、19時閉店。ご都合に合わせてご来店ください。

2022/02/12

2/12 店日誌

2月12日、土曜日。店の本を落としてあやまらない人。あちこち、どれこれ触りまくって、それ以上の何のうごきも見せない人。開店直後にこうしたことが続くと「ハーーーーーッ」とため息をつきたくなる。それでも、入れ替わるように来た人が、ゆっくりと棚を見て、たしかに本を選んでいく。少しでも温度のあるやり取りができると、今日も開けてよかった。そう思える。

リュックや大きめのバッグを背負ってご来店される方にお願い。それらのカバンは前向きに背負い直してほしい。もしくは店内の椅子に置いてから、動いてほしい。窮屈な店内ゆえ、そうしないと他の方も動きづらくなってしまうので。

今日、明日は11時開店。通販等のお問い合わせはお気軽に。

2022/02/11

2/11 店日誌

2月11日、金曜日。たまに顔を出してくれる方、初老の男性。この人と話すのが、なんとも嬉しい。昨日も本を2冊選んだ後に「この本を書いた○○○さんに(名前を失念してしまった)、学生時代に習っていたんだ」と話してくれた。くわえて「この店は面白いね」とも。すなおによろこび、受けとめた。

数週間前に来た方、はじめて見る顔。独特の雰囲気。やや怪しげだけれど、はっきりと話すその人に「棚の力が足りない」と言われた。すなおに納得させられた。嬉しかったとは言えないけれど、突くべきところをつかれたな、と感じた。あの人、また来てくれるだろうか。

今日から世間は三連休。当店は通常通りに営業します。

2/10 店日誌

2月10日、木曜日。朝、起きてすぐ外をみる。小雨が降っている。ラジオの天気予報、気象情報では関東平野部でも積雪の可能性ありと繰り返し話している。正月明けのおもわぬ積雪が響いているからか、とにかく油断させないことに注力しているようだ。さあ、この後の天気はどうなるのだろう。

今日、明日はいつも通りに開けるつもり。ご都合に合わせてご来店ください。

2022/02/09

『Nuovo Repertorio Editoriale Italian post-moderno library 2 1984–1989』

幡ヶ谷Forestlimitでのリスニング・パーティーidealaを中心に活躍するDJであり、世界各地のディガーたちからも一目置かれるtatsuhiko sakamotoによる人気イタリアン電子ライブラリーMIX第2弾が登場。

『Nuovo Repertorio Editoriale Italian post-moderno library 2』が届きました。
イタリアの公共放送のライブラリー/資料用BGMとして制作された音源、18曲で構成したコンピレーション。1984年から89年までの期間でつくられた曲はそれぞれに独特の浮遊感があり、軽やかな音粒を耳に運んでくれます。ニューエイジ、アンビエント、テクノポップに関心があるのなら、試してみる価値があると言えるでしょう(こちらで試聴可)。

販売価格は1650円(税込)。同シリーズ、前作も在庫しています。 

2/9 店日誌

2月9日、水曜日。ブログとツイッターとで紹介した『九龍城探訪』はすぐに買い手がみつかり、現状は在庫なし。ここ最近、ちょこちょこ入荷告知をしている古本を探しにきてくれる人が増えていて、ありがたい。すべてを読めるわけではないけれど、今後もできるだけ丁寧に目を通して、紹介していこうと思っている。

売れてゆく本があれば、買い取る本もあり。昨日、良書をたくさん持ってきてくれたのは馴染みのMさん。思えば、うちの店の棚に力がつき始めたのは、この方が本を売ってくれるようになってから。たしかに支えてもらっている。

明日はどれくらい雪がふるのだろうか。いずれにせよ、店は開けるつもりです。

2022/02/08

『季刊 黒猫』冬号(2022)

『季刊 黒猫』冬号(2022)が届きました。
長野県伊那市の〈黒猫〉で編まれる雑多な紙束、二度目の冬号の表紙画は漫画家・大橋裕之によるもの。今回、自分がまず手にとったのは、福田教雄「スウィート・ドリームスのヒビ」、安田謙一「六甲おろち」、小田晶房「Quizine」。安田謙一さんが「一刻も早く、スペクテイター誌が総特集をすべき存在」だとする人物が誰なのか、直にお確かめください。

販売価格は1100円(税込)。今号にも中古レコード、7インチ盤がランダムに封入されています。

2/8 店日誌

軍艦島は何も語らない。今は沈黙の廃墟である。人が語り継ぐことで、初めて命を吹き込まれる。–黒沢永紀(『軍艦島入門』所収「産業遺産、軍艦島」より)

2月8日、火曜日。黒沢永紀『軍艦島入門』、グレッグ・ジラード/イアン・ランボット(尾原美保・訳)『九龍城探訪 魔窟で暮らす人々』などの古本、粒揃いの中古音源を棚にならべた。積まれたままだった本をあらたな場所に置きなおした。今日もまた、店はあたらしい。足をはこんで何かしらを見つけてほしい。

今日もいつも通りに営業中。通販など、お問い合わせはお気軽に。

2022/02/07

2/7 雑記

めざめのいい朝、ラジオ体操をしてコーヒーを淹れる。簡単な朝食をとって体温をはかる。平熱。京都出張(2/15–17)にむけて体調を気にしながら事前の発送準備、必要な連絡など慎重にすすめていく。今週はとおくに出かけず、家と店、いつもの場所で静かに過ごしたい。

……と、書いたのを読んで、思う。さし障りのない、つまらぬ日記である。

2022/02/06

2/6 店日誌

2月6日、日曜日。小沢健二のテキスト(「ブギーバックをカバーしませんか?」という呼びかけ)を何となく読んでいて、10歳頃だった自分の記憶がよみがえった。通っていた、スイミングスクールへの道中、母親の運転する車の中。だいたいいつも、流れているのはTokoyo FM。後部座席で寝転んでいた耳に「よくなくなくなくない?」というフレーズが飛び込んできて、思わず笑った。変わった歌だね、とか話したような気もする。

これ、あの人にも読んでほしいな。ぼんやりそう考えていたら、ご当人が現れて、驚いた。店にいると、こういうことがけっこうある。

好天の日曜日! 書籍、音源に入荷あり!

2022/02/05

工藤正市 写真展「青森 1950–1962」

工藤正市 写真展「青森 1950–1962」
会期 2022年2月10日(木)−3月6日(日) 11:00–19:00 ※火・水定休 
会場 千年一日珈琲焙煎所(茨城県つくば市天久保3–13–3高野テナント105)

工藤正市(くどう・しょういち)
1929年、青森市生まれ。1946年、青森県立青森工業学校卒業。同年、東奥日報社入社。印刷部を経て、写真部に所属。1951年ごろより雑誌『CAMERA』『アサヒカメラ』『日本カメラ』等に投稿をはじめ、以降、多くの写真作品がコンテストの入選・特選に選ばれる。若き日の東松照明氏、奈良原一高氏らと、カメラ雑誌の誌上座談会にも参加。1956年ごろからコンテストへの応募をやめ、以降、新聞社の仕事に専念するようになる。1988年、東奥日報社取締役弘前支社長兼編集部長を経て、同社を退職。2014年、逝去。享年84歳。2021年、写真集『青森 1950-1962 工藤正市写真集』(みすず書房)刊行。

2/5 店日誌

さまざまな方が写る写真が並びます。一人ひとりは一見、脈絡なく見えるかもしれません。それぞれの方に共通するのは、「ほにゃら」との繋がりがあるということです。–柴田大輔(「『ほにゃら』について」)

2月5日、土曜日。当店隣の〈千年一日珈琲焙煎所 CAFE〉で開催中の柴田大輔 写真展「ほにゃら」の会期は明後日、7日(月)まで。今日明日は終日、最終日は夕方以降、柴田さんが在廊予定。今回の展示はもちろん、過去の南米滞在(ニカラグア、コロンビアなど)にまつわる話を聞くのも面白い。ぜひ会ってみてほしい。

今日、明日は11時開店、19時閉店。書籍、音源に入荷あり。

2022/02/04

『武田百合子『富士日記』の4426日』②

もはや存在していない武田山荘の、手洗い場のタイル1枚がどんなデザインだったのか、それを百合子の残した文章をひたすら読み込むことで、隅々まで正しく想像してみたかった。–ミズモトアキラ(「リード・トゥ・ノーホエア〜あとがきにかえて #2」)

武田百合子の中公文庫版『富士日記』上・中・下の全三巻は、(略)レコードのように何度も何度も、しかも何曲目からでも楽しめてしまう特別な本だ。−安田謙一(「犬が映画見た」/『ピントがボケる音』より)

ミズモトアキラ『武田百合子『富士日記』の4426日』②が届きました。
書き手のスピードに極力寄り添って日記を読み解く、前代未聞の行為のドキュメント。『富士日記』の著者・武田百合子(一家)の4426日を「あきれるほど丁寧に」読み解く試み。その渦中にある書き手・ミズモトアキラ自身の雑記、他作品の解説などの脱線と本線が入り混ざって、重層的な時間がながれています。

販売価格は1650円(税込)。重版された①も同時に入荷しています。

2/4 店日誌

2月4日、金曜日。朝、自転車で5分ほどの距離にある天久保二丁目の〈ベッカライ・ブロートツァイト〉常設の本棚の入替、追加に行く。この場での販売も今年で7、8年目。本のあり方、ゆく末に逡巡してしまい、満足に手を入れられない時期もあった。それでも、最低でも週一回、棚の整理をしていると、手応えを感じることがある。続けていて、よかったと思う。

もう知っている方も多いだろうけど、いちおう書いておく。このお店〈ベッカライ・ブロートツァイト〉はパン屋である。日曜と月曜休み。それ以外の日は9時から14時前後まで開いている(パンがなくなり次第、閉店)。

今日も通常営業。通販などのお問い合わせはお気軽に。

2022/02/03

『完全営養と玄米食』

二木謙三『完全営養と玄米食』が届きました。
明治6年(1873年)生まれの細菌学・免疫学者である二木謙三が昭和7年に著したものを復刻刊行(90年ぶり!)。長寿にして93年、明治・大正・昭和を生きた二木が説いた、玄米食による健康法。土曜社らしく小さめの範型で、手に取りやすく軽い冊子です。

販売価格は1099円(税込)。本書以外にも土曜社刊行の書籍、いろいろあります。

2/3 店日誌

2月3日、木曜日。水曜にしては来店の多かった昨日、久々に会う友人の子供(小学5年生)に驚かされた。いま、なんに興味があるの? と、かるく聞いてみたら「パラドックス!」と応えられて面食らった。それはすげえ。俺もそれには興味があるよ。それどころか、この世はパラドックスだらけだぜ。なんて話をしながら笑わせてもらった。

日光、小山と栃木県から足を運んでくれた方々もいた。どちらも数年前から縁が深くなりつつある。機会を見つけて、こちらからも出かけていきたい。

今日、明日は15時開店、20時閉店。ご都合に合わせてご来店ください。

2022/02/02

「バルバドスはなぜ共和制を選んだのか?」

バルバドスが選んだ共和制とは何だろうか。それは手放しで礼賛できるものなのだろうか。できればこのようなところまで考えてみたい。

戦時下の現在を考える講座「バルバドスはなぜ共和制を選んだのか?」
日時 2022年2月6日(日) 14時〜16時
お話 太田昌国(評論家・編集者)※その後、討論
料金 500円
会場 吾妻交流センター大会議室(茨城県つくば市吾妻1丁目10−1 つくばセンタービル 4階)

『すきまから』(LP)

聞いてびっくり。これ今の録音? 若者? と疑いたくなる70年代日本のフォーク、ロックそのものの音、そして金延幸子や初期の吉田美奈子を彷彿させる歌声、そのテープに驚いて作ったCDがこれでした。–田口史人(『ホワイトハウス –オズディスクの全作品 1993–2004–』より)

フリーボ『すきまから』(LP)が届きました。
1996年6月に発売された作品が25年以上を経て、アナログ化。今回のリリースではじめて耳にした印象を自分なりに言葉にすれば、「アメリカン・ロック」。もう少し詳しく言えば、アメリカのルーツ・ミュージックに根ざして演奏される骨太のブルース・ロック。キーワードにされる「フォーキー」という響きより、ぐっと力強い音だと感じます。B面2曲目「猫」(いい曲!)以降、フォークの雰囲気が増すような。

販売価格は4180円(税込)。封入のブックレット所収のインタビュー、レーベルオーナーの作品解説、時代背景のテキストも読みごたえあり。

2/2 店日誌

2月2日、水曜日。店はしずか。風は冷たい。通りをゆく人も多くない。ストーブなしではいられないから、ただ、店にいるだけで灯油はへっていく。著名な元作家、政治家が亡くなったことも知らないまま、本を読んでいた。18時以降、立て続けにやって来た友人、知人たちから話を聞かされた。

今日も書籍、音源に入荷あり。通販等のお問い合わせはお気軽に。

2022/02/01

2/1 店日誌

2月1日、火曜日。去年の同日、なにをしていたかを確認する。定休日の月曜日。午前中、益子の住む友人を訪ねていった。帰宅後に灯油を買いに行き、量をあやまって購入した。あの時はバタバタした。いつも通り、なんてことのない一日だったということだ。

通販、在庫確認など、お問い合わせはお気軽に。どちらもメールで受付中。