2010/02/27

“夜明け前”に寄せて

2010年最初の企画は今まで組んだ事の無い仲間と。

長谷川健一さんと出会ったのは東京の小さなレコード屋。
たまたま店の人が好きで流していたのかもしれない。
僕もたまたま時間があまってなんとなくそのレコード屋に行っただけ。 

でもそこで流れていた音は僕の心を一瞬で捕らえた。
いろんな偶然が重なって出会った音。 

それに共感する仲間が集まって「夜明け前」が決まった。
 
  
    -竹広喜郎 WALKING IN THE RHYTHM/つくば音の森 


***  

震える声、沁みる言葉
 
長谷川健一はうたを探している。
 
丁寧に積み重ねられた心像の断片
 
そこから立ちあがる情景は、
 
私たちの安らぐ世界ではない。
 
だからこそ、
 
ひとりであること、
 
私たちはひとりであるということを、
 
しっかりと抱きしめる必要がある。
 
ひとことで言えば
 
彼のうたは明日の幸福論なんだと思う。
 
  -大坪茂人 (千年一日珈琲焙煎所 
 
*** 
 
長谷川健一は詩人だ。 
とにかく言葉と声なのだ。

詩と書いて「うた」と読む。選ばれた言葉がうたっている。
言葉に声が寄添い、音楽になる。それに伴うあらゆる演奏は伴奏でしかない。
そう、これは一つの実験なのだ。言葉と音の新しい組み合わせだ。
  
***
 
選び抜かれた言葉、かすれる歌声。即興性あふれるアレンジ・・・ 
はっきり言ってしまえば、彼の音楽は心地よくないし、聴きやすい音楽でもない。 
だけれど、五感を使って、その「うた」に身を任せたくなる。詰まるところ、一人で聴きたくなるのだ。 
車の中で、真っ暗な部屋で、聴きたくなる。 
 
感情的でもなく淡々と、共感できる歌詞でもなく。 
どこか抽象的な風景を切り取る。 
彼のうたに耳を傾けるあいだ、ぼくらはいつもと違う世界を生きる。 
暗い夜。枯葉に北風。乾いた夏の日。雨上がりの夕方。 
どこにでもあって、どこにもない。知らぬ間に通り過ぎた時間に身を委ねる
  
  -植田浩平 (PEOPLE) 

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