『Sb』2–42号

『Sb(Skateboard Journal)』2–42号が届きました。
リニューアルした前号から取り扱いをはじめたスケートボード専門誌。最新号の表題は「本郷真太郎そしてスケートボード絶対領域」。前者、本郷真太郎へのロングインタビューを巻頭に置いた約75ページ、徹底的にスケボー文化を語り尽くす熱血号。そんな中に、わたくし植田へのインタビュー記事も収録! 店のこと、若き日々のことなどについて話した4ページ。前号もすばらしかった連載「WORK!」の第二回に招いてもらえて、とにかく光栄。

ロシアによるウクライナ侵攻がはじまったのちに現地に入り、10代~20代の若者たちの暮らしぶりを撮影してきた児玉浩さんや、フィルムメイカー・TORIOTOKOへのインタビューなど読み応えのある記事が並びます。ダイナミックなフォトページにも要注目。

販売価格は990円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

5/31 店日誌

5月31日、金曜日。ここ数日、クラッシュのファーストを繰り返し聴いている。今の気分にぴったりで何度でも聴ける。好きなのは「White Riot」と「What’s My Name」、「Career Oppotunities」。あと、なんと言っても「Police & Thieves」である。原曲はジュニア・マーヴィンがファルセットで歌うメロウ・レゲエチューン。よくもパンクロック化してカバーしたなあと感心する。発案したのはポール・シムノンかジョー・ストラマー、どちらだと思うのだけれど、どうなのだろう。

円盤のレコブックの最新作『文学者とレコード』、これはなかなか凄い本。坪内祐三さんが読んだらどんな反応をしただろうか。レコードで紐解く文学者(詩人・漫画家含む)って切り口はこれまでになかったのでは。

今日も書籍に入荷あり! 在庫確認、通信販売などのお問い合わせはお気軽に!

2024/05/30

『文学者とレコード』

スターとしての肉声の記録から、未知のメディアの可能性を探るような実験作まで、その振れ幅は、もしかしたら音楽家のレコードよりも圧倒的に広いのではないか、とも思えるのです。

円盤のレコブック『文学者とレコード』が届きました。
うーん、今回もすごい! 当店の大定番シリーズ「円盤のレコブック」最新作のテーマは、文学者。昭和の文学者や詩人、漫画家が吹き込んだ数多くのレコードに針を落とした結果、浮かび上がるのは作家それぞれのレコードメディアへの共感性。ただ歌っただけの人、喋るだけの人がいれば、時間の流れに対してのアクションを起こす人もいた。幅広い表現が刻まれた文学者たちのレコードを解説した約65ページ。読み応えあり。

販売価格は1100円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

5/30 店日誌

5月30日、木曜日。先週末、はじめて店にきた人。同時に3人組の男性がきてしまって(彼らもいいお客さんだった)、ちょっと居づらそう。このまま帰っちゃうかな……と心配したが、なんのこっちゃい店のあちこちを丁寧に見てくれる。1冊の本を選んでの会計時「神戸から引っ越してきました」と話してくれる。神戸の人たち面白いしセンスいいっすよね〜と返したのち、安田謙一さんの『神戸、書いてどうなるのか』も大好きですと言うと「たぶん、それ文庫になりますよ」「え!」「たしか……」なんてやり取りをした。

いざ、調べてみると本当だ! ちくま文庫から6月10日刊行予定とある。しかも、装画は坂本慎太郎。うーむ、やっぱりやるなあ、ちくま文庫。つい最近も洲之内徹のエッセイ集を出していた。あの本の表紙画もとてもいい(洲之内徹『絵のなかの散歩』で紹介されている、海老原喜之助「ポアソニエール」)。

定休日明けの水曜はいつも客足が少ない。昨日もぜんぜん人がこないので、『中原昌也作業日誌 2004-2007』を読みふける。18時過ぎに日が暮れてから知り合いの先生、大学院生が本を買ってくれてホッとした。ちょっと声をかわすだけで気分が変わる。

今日も書籍に入荷あり。オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

2024/05/29

5/29 店日誌

5月29日、水曜日。先週は水曜にドーンと人がきて(おもに友人)、木曜金曜土曜がものすごくヒマだった。しずかな時間には慣れているつもりだったが、数日間のどっちらけ状態はまあまあこたえた。そんな中、自分の親世代かもうちょい上の年齢に見える方が何人かきてくれたのが印象にのこっている。「トマス・マンの『魔の山』はあるかしら?」と聞く人、均一コーナーをさぐったのち山田風太郎の文庫を買っていった人はこれまで店にこなかった。外目にも古本屋然とした雰囲気が増したのだろうか。

開き直って店を開けていた日曜月曜は、人の出入りが多くなった。日曜はともかく一週間の疲れが出てくる月曜の客入りには驚いたし、戸惑った。滞在時間がながく、じっくり本を選ぶ人がいる。その間に目当てのものをサッと買いにくる人もいる。買い物がてら話をする友人もいて、19時頃にはどーんと疲れてしまった(喋ってるのはオレなのだが)。

亀城公園近くの多目的スペースでポップアップの古着屋を出しているマスヤマくんの様子を見にいくと、いい感じ。冴えがなくて、人柄がそのまま店になっている。デカデカと貼られたピストルズのポスターがまぶしかった。

今日明日、明後日は15時開店。ご都合に合わせてお出かけください。

2024/05/28

5/28 雑記

朝からどよーんとした空気、雨は降っていないが身体が重い。それでも映画に行こうと準備をすると雨がザーッと降ってくる。もういいや。今日は適当にやり過ごそうと決めて出かけた古本屋で『死んでも何も残さない 中原昌也自伝』を買ってきて読み出すと、これがすごい。とんでもない本がシレッと出ていたもんだと驚かされる(店でも古本で売った記憶がある)。

暴力温泉芸者は、究極の無意味を目指すという、一つの批評の形をやっているつもりだったけれど、だれにも伝わらず、結局、好きなことをやっているだけでしょう、という話になってしまった。とはいえ、あの頃はまだ、世界は自分の知らないものや、意味のわからないもので一杯、という認識が基本にあった。でも、今は、よくわからないうちに、自分の知っている範囲だけしか興味がなく、意味のわからないようなものは、すべてくずで、あってはならないものという世の中。(*1)

つい長々と引用してしまったけれど、紹介したい箇所は他にもたくさんある。この本に関しては読了することに大きな意味はない気がする。散りばめられた言葉から何を拾うか。どの角度で読んでいくか。170ページほどの短かさではあれ、めちゃくちゃ分厚い。

大衆から物語をとりあげないといけないのではないか。もう、エスカレートし続ける欲望にはだれも応えられない。単なる文学や映像の危機という話ではない。文明の危機だ。はっきりいって。(*2)

(*1)第五夜「暴力温泉芸者は高校四年生」 (*2)終章「死んでも何も残さない」

2024/05/27

ピープルブックストア日報 2023年11月1日〜22日

天久保一丁目の印刷工房〈えんすい舎〉謹製、「ピープルブックストア日報」(11/1〜21)が出来ました! ブログに書いている日誌を基にして再構成したもので、イラストとレイアウトは坂尾裕幸くん。レイアウトは前々号も担当したくれた小林佑生くん(えんすい舎店長)。テキスト多めではあれ、イラストもばばーんと大胆につかっていて見応えがあります。

店頭購入はもちろん、メール通販、オンライン・ストア〈平凡〉ご利用の方にもお付けします! 

5/27 店日誌

5月27日、月曜日。朝8時からはじまる映画を観るために〈シネプレックスつくば〉まで自転車を走らせる。7時台のつくば駅前、歩行者専用道は集団登校の小学生たち、自転車に乗る中高生の姿が目立つ。小学校を通りすぎるまで意識的に速度をゆるめて安全第一。急に走り出したりする子供たちに驚きながら、そろりと進む。通勤と思われる同世代くらいの男性がスカ・フレイムスのTシャツを着ていて声をかけたくなるも機を逸する。朝の街は新鮮だ。

予告編を観て気になっていた、ラジ・リ監督作『バティモン5 望まれざる者』のチケットを買うと、他には誰も座ってませんと伝えられる。いつも通りに前寄りの真ん中に席をとる。当たり前だが貸切状態。照明が落ちて、予告編がはじまる。さあ、本編。

……いやあ、参った。できれば目を背けたい社会状況、人間どうしの軋轢が延々と描かれる。人種間、宗教間の大きな問題があれば家庭内のちいさな揉め事もある。観る側も他人事とは切り捨てられない事象だから重苦しい。いい予感がまったくしない。あんなに辛い涙が出たのは久しぶり(いや、はじめてか)。朝からものすごいエネルギーを使ってしまった。

そういえば、つくば市長選もそう遠からずに行われるらしい。あちこちに関心を広げるのは大変だけど、身近な事には目を向けていたい。

今日も通常営業。通信販売や在庫確認など、お問い合わせはお気軽に。

2024/05/26

「インダストリアル・ブロック・エクササイズの実演」

「インダストリアル・ブロック・エクササイズの実演」
日時 2024年6月8日(土)18時開演
料金 無料
出演    Vivian Sui Method(数見亮平+桐月沙樹+齋藤匠+須田貴哉)
会場 横浜美術館休憩スペース(神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1)

5/26 店日誌

5月26日、日曜日。市内のちょっと離れた場所(車で10分ちょい)で開催されている、カレー店〈棕櫚〉の2周年パーティーはきっと盛り上がっているだろう。少しでもお客さんが流れてくれたらいいなーと思っているけど、まあ無理か。ずっと遠くの鹿児島、愛知の蒲郡あたりでも知人が関わる催事が行われている。たぶん、あちこちで人が集まり賑わっている。雨も降りそうもないので、みんな楽しいだろうなあ。

こちとら今日も人がくるのか心配している。入店されても顔を見るだけ、とくべつ声もかけないので驚かれるかもしれないが、好きに本を探してくれればいい。ただ、店内の写真を撮るときは事前に声をかけてほしい。カシャカシャと音が鳴ると、どうしても気になってしまうので。

今日も元気にやってます! オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく!

2024/05/25

5/25 店日誌

5月25日、土曜日。開店前に買い物がてら歩いていると、OMSB「大衆」が脳内再生される。「だってそうじゃん」ってところがすげー好きで、いい加減にうたいながら歩いて、店に戻って歌詞カードを確認する。「誰にもなれないし/自分の普通をやる毎日/仲間外れじゃなくて/そこに居なかっただけ。だろ?/素晴らしき人生/いっそもう振り切って/死ぬまで付き合うよ/だってそうじゃん」。普段耳から入る言葉を目で追っていくと新鮮だ。

古いアパートが壊されて更地(土が露出した状態)になって、それらしく地鎮祭が行われる。小さな子がいたりいなかったりする若い夫婦、親とおもわしき人、住宅会社の社員などが参加している。つくば市にいると、そんな風景ばかりが目に入る。

入荷したての問題作、金井タオル『日記発、小説経由、雑誌行き』はかなり変な本である。雑誌と呼ぶのいちばん近い気がするのだが、それもどうもシックリこない。読めば、面白いとは思っている。こういうものを売ってこそ、店は楽しい。

今日明日は13時開店。在庫確認、通信販売などのお問い合わせはお気軽に。

2024/05/24

5/24 営業中

(平日の金曜日。古本屋の店主は営業中に大あくび)

ーどうしたの? ずいぶん眠そうじゃん。
いや、ここんとこ店がヒマでさ。
ーまあ、そういうときもあるよね。
うん、慣れてはいるつもりなんだけどさ。まあ、どうにも。
ーなんかよその本屋はTシャツつくってたりするみたいだよ。
そうね、ああいうのが受けてるみたいだね。上手くやるよなあ。
ーキミもやってみりゃいいじゃない。
うーーーーん。まあねえ。でも、俺にはあんなふうにはできないなあ。
ーじゃ、しょうがない。あくびしながらやるしかない。
ま、そうなるね。
ーそれにしても、段ボールの量がすごいね。買取り?
そう。最近、本の買取りが多くてさ。ありがたいんだけれど。
ー人が来なくちゃ買われないもんね。
そうそう! ね。まったくどうしたものか。
ーインスタグラムとか使ってうまく紹介したらいい。
ね、そう思うんだけど、けっこう難しいのよ。
ーと、いうと?
うーん、按配というか。写真と文章のバランスがさ、うまく取れないんだ。
ーできれば上手く見せたいもんね。
ね。かと言って上手い人の真似してもつまらないし。
ーそもそも、それだけの知識と技術もないし。
そうなんだよ。勢いだけだと、うるさくなるしさ。困るよ。
いいね! がほしい。フォロワーを増やしたい! って思う?
うん。思ってる。
ーそうか(笑)。意外にそこは素直だな。
まあ、そうでしょ。一応ゲームに参加してるわけだし。
ーじゃあ、Tシャツつくっちゃえばいい。トートでも、本でもさ。
うーーーん。だからさ、それはまた別の話でしょ。やりたかったらやってるよ。
ーじゃまあ、しばらくはあくびの日々か。
まあ、そうなるかあ……。しかし、いい天気だねえ。
ーあ、寿司屋さんは配達で忙しそうだ。
アイツ、友達でよく来るんだよ。暇つぶしに。

(信号がかわって、ブーンとバイクが走りだす)

『メイク・サム・トリップス!』vol.2

『メイク・サム・トリップス!』vol.2が届きました。
代田橋駅前にある小さな書店〈バックパックブックス〉が発行する旅の文集。ZINEとか冊子とも言えるのだけど、この感じは文集と呼びたい懐かしさ。店主のユウトとお客さんたち、隣の店の人も出てくるしプロの編集者へのインタビューも入ってる。それぞれの旅についての言葉は飾らず、まっすぐで好感が持てる。

販売価格は1000円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

5/24 店日誌

5月24日、金曜日。知人、友人からの催事案内の知らせがいくつか届く。明後日26日(日)には〈棕櫚〉の開店2周年を祝うパーティーがある。〈シリシリ器〉など数店舗の出店と、ポットマンと山口晋似郎のライブ、幾人かのDJなどのパフォーマンスもあり(たぶん、棕櫚のカレーも食べられるはず)。来月8日(土)、9日(日)にも友人が関わる企画があるのだが、それらに関しては、また改めて。

夕方すぎに集まったのは〈wear crab〉のアキくんと新田、エスプラくんにエポンくん、ソニックさん。サクライさんとカキヌマちゃんも来た。ヒップホップ界隈の話題、最近行ったライブの感想などで盛り上がる。アキくんと一緒にイベントをやろう! と盛り上がったのが自分としては大きな収穫。久々になにかやれそうな気がしている。

オンライン・ストア〈平凡〉に動きが出てきた。コツコツ古本を足しているのと、ミニコミやミックスCDなど自主制作物などでにぎやかだ。今日も今日で、代田橋〈バックパックブックス〉発の冊子が入荷する予定。

今日は15時、明日明後日は13時開店! お暇があれば、お出かけを。

2024/05/23

5/23 店日誌

5月23日、木曜日。先月から見当たらなかった小さな箒が見つかった。ゴミ箱の横のちいさな隙間に挟まっていた。別のものを探していて、たまたま見つけた。店内で紛失したものは大体こうやって見つかる。無くすというより見失う、どこかに置いたことを忘れてしまう。そんな感じだから、特定のものに入れ込みすぎず、放っておく習慣がついている。たぶん、どっかに置いたまま。きっとそのうちでてくるよ。そうやって無くしものと付き合っている。

ずいぶん前に買っていたレコードに針を落とすと、ホウなかなか良いじゃんと感心する。こんなのあったの忘れてた。って頃に出会い直すといいことがある。ただ、こうしたことを操ろうとするといいことはないのだけれど。

今日も書籍、音源に入荷あり。お暇があれば、ご来店を。

2024/05/22

『日記発、小説経由、雑誌行き』

金井タオル『日記発、小説経由、雑誌行き』が届きました。
昨年11月の3冊同時刊行から約半年ぶりに届いた『つくづく』の最新作! テーマは日記本、というかそうした本に対するモヤモヤ、わだかまり。著者の金井さんが「前からやろうと思っていた、本にするための日記をつけようと思った」のは2023年11月14日。それから12月31日までの約1ヶ月半の期間に書かれた日記を走らせながらプロボケ雑談、ドラマ批評やエッセイなどを挟みこんだビッチリと文字がつまった210ページ。

寄稿(参加)しているのは登場順に太田靖久、小沼理、宮田文久、年吉聡太、青野利光、ラムさんと濱田さんといった面々。こんな雑誌、他に知らないよ! すごいよ金井さん!

販売価格は1650円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

『Wrapp Instrumental』(CD-R)

今の時期から梅雨にかけた夏の前、待ち遠しかったり、外に出ない時間だったり、詩が無い方が良い時間だったり。インストゥルメンタル縛りでDJ MIXをつくりました。

HAPPFAT『Wrapp Instrumental』が届きました。
“Scenes without singing(歌わない情景)”という副題をもつインスト・ミックス。例えるならば風にゆれる風鈴、ただよってくる蚊取線香の煙みたいなさりげなさ。冷房でギンギンに冷やすのとは別のかたちの清涼感。梅雨のあとのながい夏、秋の入り口くらいまで、そばにあれば重宝することになるのでは。簡素なパッケージもちょうどいいと思います。

販売価格は1000円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも購入可能。

5/22 店日誌

5月22日、水曜日。昨日は定休日。自転車で行ける映画館にいったあと、とんかつ屋、実験植物園と思いつくまま移動した。ずいぶん久しぶりに行ってみると入場料が高くなってる(前は150円くらいだったような)。前にきたときは広場で寝っ転がってビールを飲んだだけ。端までずっと歩いてみると、けっこうな広さ。かなりの数の植物がある。案内の看板もたくさんあって、丁寧に読むのは早々にあきらめて気分にまかせてぶらぶらする。温室に入らずとも十分に満足。近所にこんな場所があるって恵まれてるな。

近所のスーパーで買い物を済ませたあと、ちいさな公園でビールを一杯。散歩中の犬が寄ってきて、ちょっと嬉しい。さいきん店によく来るトウマとココロはこの辺に住んでいるらしい。そのうちバッタリ会うかもしれない。

今日明日、明後日は15時開店。お暇があれば、ご来店を。

2024/05/21

5/21 雑記

午前10時の映画祭でヴィム・ヴェンダース監督作品『ベルリン・天使の詩』を観た。大きなイメージは抽象的ながら描写一つ一つは具象的。写真集をひもとくような感覚を何度か得る。後半、カラーに転換してからのシーンのいくつかでは目を見開いた。刑事コロンボのオジさんがいい役回りで、彼が出てくると話に味が増す。正直、もっと短くてもいいんじゃないかと思ったが(途中かなり眠かった……)、残った印象はわるくない。予備知識ゼロで観たのが良かった気がする。

次は『パリ・テキサス』を観る。くだんの作品を観る前にこれらを観ておくべきだったのか、どうか。いまさらそんなことを言ってもしょうがないのだが。

2024/05/20

5/20 店日誌

5月20日、月曜日。昨晩からの雨のおかげで近所の公園に湖ができていた。端っこにある貯水池が溢れて広場全体に水が広がってできる状態で、たまに見られると気分がいい。あちこちを魚が泳いで鳥もくる、普段とはちがう生態系を垣間見れる。少し歩けば田植えが終わった田んぼが広がる。うーん、ここはアジアだな。いまさら何を……とツッコミが入りそうな感慨をおもわずつぶやく。梅雨がくるまではあちこちを歩きまわりたい。

開店前のカフェに並ぶ人たちを横目に歩き(むむ……といった気持ちに)、店の近くの交差点に立つ。上階で親子がなにかをしている模様が目に入る。お絵かき教室か何かしてるのかなーと考えながら店にきた。

店にくる方は柏レイソルのベテランサポーター、近隣で店をいとなむ先輩は鹿島アントラーズを応援している。今節の柏は後半アディショナルタイムのゴールで劇的勝利、鹿島も強敵神戸に勝っていた。また話が盛り上がるぞ。

今日も書籍、音源に入荷あり。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/05/19

『些末事研究』第九号

貯金も何もないようなときに結婚したから。もうそれだから、とにかく「家賃払えないから一緒に住もうか」からのスタートだから。そこから考えると、生活に困ってる同士で結婚しても何とかなる……こともある。(荻原魚雷)

『些末事研究』第九号が届きました。
ぽつぽつと静かに編まれるリトルマガジン、最新号の特集は「結婚とは何だろうか」。6名の寄稿と1つのコミックに加えて本誌の目玉といる座談を収録した80ページ。荻原魚雷×蓑田沙希×にしもとさほみ×福田賢治による座談会はなんと40ページ弱、めちゃくちゃ長い! 大きな展開なく進むのだけれど、荻原魚雷さんの「活字には一回もしていない」話が聞けたり色々と面白い。自費出版の小冊子だからこそつくれる記事だと思います。

販売価格は700円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

5/19 店日誌

5月19日、日曜日。レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、はじめて彼らのライブを見たのは2000年の1月13日、パシフィコ横浜が会場だった(検索して日付がわかった)。出てきたらジョンが坊主だ! 長髪だと思い込んでいたからビックリした。チャドのキックの音が太い。フリーのベースがビシバシ鳴ってる。アンソニーはいるだけでカッコいい。高校3年だった自分にはめくるめく世界に感じられた。無理矢理に誘った兄も楽しそうに観ていて、妙に嬉しかったのを覚えている。

興奮して帰ってきて、牛久駅を出るときには切符を無くしていたのだが、駅員さんはやさしく通してくれた。スマートフォンはおろかつくばエクスプレスもなかった頃の話である。あのとき、行ってよかったと思う。

ライブペインティング。その言葉では言い尽くせない深みと孤独、抒情を感じた。ナツナさんと芦田ちえみさんの共演は小説のページをめくっているような味わいがあった。はじめて行った〈Our Space Laboratory〉の雰囲気もよかったなあ。また、遊びに行きたい。

今日明日は13開店! オンライン・ストア〈平凡〉も営業中。

2024/05/18

『デモ行こう』

さまざまな切り口、さまざまな文体でデモについて語りかける文章たちが、あなたの日常に抵抗のための光を少しでも与えてくれることを願っています。

路上の抵抗誌編集部・編『デモ行こう』が届きました。
入荷以来、好評がつづくミニコミ『路上の抵抗誌』の編集部によるZINEのテーマはずばり「デモ」。デモ行進、スタンディングデモ、ピクニック型のデモ、占拠デモ、シットイン、ダイイン、ツイッターデモに加えて本読みデモも。18人の書き手それぞれのデモンストレーションに対する姿勢と思想が綴られた小冊子です。ズシっとしたもの、軽やかで短いものなど、テキストの種類もいろいろ。「デモ行こう/私たち全員が、自由になるまでは……」の2曲を収録したCD-R付き。

販売価格は700円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

5/18 店日誌

5月18日、土曜日。朝、ラジオから流れてきたザ・フーの曲を聴いていて、ヘヴィな演奏っぷりに驚いた。オレの耳ではレッド・ツェッペリンと区別がつかない。基になるブルースを激しく、思いっきりぶん回してバンド全体がノってくるとハード・ロックになっていた。そんな感じで音楽は、ロック・ミュージックは進化していったのだろうか。ジャマイカにおけるスカ~ロックステディ~レゲエの変遷に関する数々の逸話みたいに、意外といい加減なのかもしれない。

徒歩圏内でもある天久保1丁目にある〈Bar Discos〉の通常営業が再開した。開店以来、開けたり閉めたりを繰り返してきたが、今度こそはながくしっかり続けてほしい。その上に、パーティーやイベントをひらくための気風が出てくる。ロックステディなんかをのんびり聴ける機会を作れたらいい。

今日も買取依頼の本が数箱届く。いよいよ店内に置ける場所がなくなってきた。とっ散らかった店内が、より混雑する。歩きにくさも倍増すると思われる。できれば複数人での来店は避けてほしい。

今日は13時から19時までの短縮営業。明日、明後日は通常営業です。

2024/05/17

買い取った本、いろいろ。














先月から本の買取りがぐーーーんと増えている! 売るより買う方が多くなっていて、困ってはいないけど正直ちょっと大変だ。オンライン・ストア〈平凡〉に毎日あげていても、なかなか追いつかない。これから、このブログにも写真を載せたり紹介していくつもり。ピンときたなら、メールでお問い合わせを。在庫と価格の確認後に送料を確定。合計金額を指定の口座に振り込んでもらう流れで、通販も可能。

なんだかんだ書いているけど、本の買取は常時大歓迎。お問い合わせはお気軽に。

5/17 店日誌

5月17日、金曜日。渋谷のアフリカ料理店〈ロス・バルバドス〉のことを書いたら、2人の方がメールをくれた。カツ丼屋の行列には驚くよね……という前置きがあり、あの小さなお店への共感が伝わってきて、とても嬉しい。上階にある〈食べる大統領〉を教えてくれたり、店主ダイスケさんたちが関わる催事について捕捉してくれたりと、ブログに書いたことで話がふくらんだ。もう1人、こちらから訪店を伝えた人からも厚みのあるメッセージが返ってきた。

みんな、人間なんだよなあ。特別な意味を持たせたいわけじゃないのに、自然と手が動いた。他者への無関心、損得に関する情報への異常なまでの執着にあふれた状況を目にすると、なにかがおかしい気がする。

オンライン・ストア〈平凡〉内で読書日記をつけている。ほぼ毎日を目標にコツコツ書いているのだけど、目的を見失いつつある。書くために読んでないか、オレ。適当な走り書きなんじゃないか、コレ。疑念はつのる。現状では真価は問えない。楽をする技術を身につけないと続けられないこともある。

日々、本の買取多数! ヒイヒイいいながら喜んでいます。

5/16 店日誌

5月16日、木曜日。開けたままのドアの前に立っていたのは、最長常連のオガワくん。去年まで火曜の夕方に現れるMr.チューズデイとして知られていたのだが、当店の定休日変更にともなって店にくる回数がぐんと減った。それが、水曜に現れるとは。一週間のペースが変わって、しばらくどうしてた? と言葉を交わす。それほどの変化もなく相変わらずのままなのだが、それはそれで安心した。車の調子がわるいらしいけど。

正月に観た『PERFECT DAYS』の話題をお客さんから振られることが未だにあって困っている。好きでしょ? という空気で話されるから余計に辛い。あの映画に関しては語り尽くした感があるので、思い出したくもないのが正直なところ。好きな映画のことだったらいつまでも話していたいと思うのだけど、よりによって……。

ジャマイカ音楽、おもにレゲエ関連の中古CDがいくつか入荷。レコードやカセットもいいけど、CDもいい。うちの店にくるお客さんたちはみんな普通に買っていく。今、あえてCDがいいなんていう言説にはまったく乗れないし、そんなことを言いたがる人には近づきたくない。

今日明日は15時開店。明後日18日(土)はちょっとだけ早く閉める予定です。

2024/05/15

5/15 店日誌

5月15日、水曜日。インスタグラムを通して知り合った方がいとなむ渋谷のアフリカ料理店〈エル・バルバドス〉に行ってきた。代々木上原駅で地下鉄を降車、人ごみを避けながら近づいていくと目的地の前のは長蛇の列。それも外国人観光客ばかり。こりゃ参った。そういうお店なのか……とションボリしてあきらめかけるも、気を取り直してテナントに入っていくと、これは違う。隣接するカツ丼屋らしき店の行列だ。裏手に出ると人はいない、なんならしずかで味のある一画なのだった(それも〈trefle〉のまん前だった)。

開店時間を待って入店、こんちわーっと入っていくと「どうも! いらっしゃい!」と店主ダイスケさんが迎えてくれる。ランチとビールを注文しながら実はボク……と挨拶すると「あーそうですか!」とまた大きくハッキリした声で対応してくれ、色々と話してくれる。小さな店だけどエネルギーがつまってる。流れる音楽もリズム豊かでカッコいい。ペロッと食べて、話をしてから店を出た。

渋谷って街に馴染みの気分がなくなってから、はや数年。それでも意識して道を選んで、店と人に相対すればいい気分にもなれる。訳知り顔で街を語るのはやめた方がいいなと反省。ああした一画、個性のある店々が少しでもながく残ってほしい。

今日も書籍、音源に入荷あり! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を!

2024/05/14

連休

5月13日(月)、14日(火)は休みます。

2024/05/13

5/13 雑記

しずかな時間を乗りこなしてこそ、各人の場所に力がつくのでは……と書いた昨日は本当にしずかで時間を持て余した。お陰で溜まった本の査定を終えて、暇にまかせて本も読めた。わるいことばかりじゃない。でも、いいこととも言い切れない。

選別より買取が主な仕事になっていると書いた途端に買取が増えた。もちろん、このブログが理由でないのはわかっているが、最近は本の質、量ともに桁がちがう。これまでに得た知識、勘を最大限につかって立ち向かっている。気になるものを調べてみると、とてつもない値段が付いていたり、その逆もたまにある。しかし、検索で得られる情報だけで値付けしていると、心身ともに弱ってくる。いま、大事なのは、バランスの取り方だ。

好き放題に書いていると、大小問わず、何かしらの反応を受けざるを得ない。そんなつもりじゃなかったのになーと思うこともある。でも、書く。続ける。そうしないと意味がない。

2024/05/12

5/12 店日誌

5月12日、日曜日。朝イチで予約していた〈Bespoke〉に向かう道中、中央公園と駅前の広場にカラフルなタープや簡易テントが蝟集している状態が目に入る。またマーケットか! 年がら年じゅうよくやるなーっとごちながら迂回して、賑わいを避けて走る。わあっと人が行き交う催事だけで商売が成り立つとしたら、店の意味って何だろう。しずかな時間を乗りこなしてこそ、各人の場所に力がつく気がするのだが。

数年に一度、とつぜんやってくる女性がいる。毎度、良書がビチビチにつまった段ボールを数箱たずさえて現れる。文学、山岳、民俗学、映画、写真、音楽と本のジャンルを書き始めるとキリがない。昨日も精一杯の値付けをして、すべてを買い取った。

水戸方面からくるイワキさん夫婦と音楽や書店、本の話をするのがとても楽しい。今いちばんカッコいいと思うバンド、ゆらゆら帝国について熱弁してしまった。いつか酒でも飲めたらいいのだけど。

明日、明後日(13日、14日)は連休。今日は通常営業です。

2024/05/11

5/11 店日誌

5月11日、土曜日。朝、店にきてポットマンこと隣の店長と戯れたのち、歩いてスーパーに向かう。田んぼに水がはいって気持ちがいい。通り道の公園に差し掛かると、かすかに音楽が聴こえてくる。ん、ストーンズだっけ? とか思いながら歩を進めると、オアシスだ。ドント・ルック・バック・イン・アンガーを若者がギター一本で熱唱している。ちょうどサビにぶつかって、so sally can waitのところで自分も両手をあげる。彼の顔は確認できなかったが、声に力が増した気がした。

いったん店にもどって、自転車に乗り換えて〈ブックセンターキャンパス〉に。さわやかな並木道を走りぬけて店に到着。目当ての本に数冊を加えて買ってきた。きっと今日はいい日になるぞ。

土曜日曜は11時開店! お暇があれば、ご来店ください。

2024/05/10

5/10 店日誌

5月10日、金曜日。某所から届いた買取の本、二箱を開けると写真、美術、漫画を中心にした濃いものが入っている。漫画誌『ガロ』に掲載された作品群のぶっとい存在感、おもわず目を背けたくなる強さがある。その他、数ヶ月前に買い取ったまま積んでしまっていた『日経回廊』10号揃いなどを掘り出して、インスタグラムで紹介した(写真は8号)。95~96年頃の『Switch』も見どころが多く状態がいい。

連休にはいって停滞していた、オンライン・ストア〈平凡〉に手を入れている。要注目は、入荷したてのDJサモハンキンポー『Imaginary Island』、円盤のレコブック増刊『日本のポータブル・レコード・プレイヤー展 図録』など。気が向いたときに覗いてほしい。

今日は15時、明日明後日は13時開店。週明け13日(月)と14日(火)は連休です。

2024/05/09

『Imaginary Island』(CD)

新旧の電子音響作品やアシッドダブ、スピリチュアル/アンビエント・ジャズを用いて、そんな様々な風景、映像を喚起させるドリーミー・アンビエント・ジャズ・ダブMIXの傑作が誕生。

DJサモハンキンポー『Imaginary Island』が届きました。
エキゾ・トロピカル・サイケデリック・パーティー「Noche Tropical」の同名レーベル第2弾リリースは、AIWABEATZと共にパーティー/レーベルを主宰するDJサモハンキンポーによるミックスCD。上記引用とここまでの説明でおおよその内容は把握してもらえそうですが、実際に鳴らしてみると想像以上のグニャ〜リ&フワ〜リとした音像で宙を浮く気分。盟友ともいえるWool&the Pantsや自身も籍をおく民謡デリバリーサービスの楽曲も登場します。

販売価格は1320円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

5/9 店日誌

5月9日、木曜日。開店後すぐに現れたのは、巷をにぎわずワイズ・ガイズ(Wise Guys)。ここ2週間ほどの顛末とその間にめばえた感情などを聞く。細かいことは書かないが、考え方と動き方の変わり目なのは間違いない。小さくともやれることをやればいい。自分に言えるのはそれだけなので、大半の時間は彼らの話に耳を向けていた。今後、どうやって交われるのかを時間をかけて探っていきたい。

その後、来店はゼロ。雨だし寒いし気持ちは上がらないから閉めちゃおうかなーってときに〈古着屋may〉の細矢さんが現れてホッとした。山形のお土産をいただく。

ふと思う。お客さんが欲しい本、話題の本を扱う気にならない自分は幼稚なのではないか。書店としての機能を果たすのなら、私情は混じえず本と金銭を交換すればいいだけだ。実際、それをやれている店もある。うーん。でも、そうなってくると、オレがやっている意味とは……(と、ここではじめに戻る)。

今日も書籍と音源に入荷あり。ご都合が合えば、ご来店を。

2024/05/08

『日本のポータブル・レコード・プレイヤー展 図録』

日本音楽史を裏で支えた独自の文化、ポータブル・レコード・プレイヤーを150台以上掲載解説した一冊。プラスチック製のキッチュで可愛いプレイヤーたちを、その時代背景やこぼれ話と共にお楽しみください。

『日本のポータブル・レコード・プレイヤー展 図録』が届きました。
ただいま、滋賀県彦根市〈山の湯〉で開催中(5月14日(火)まで)! 円盤のレコブックシリーズ初の横長仕様で展示図録でもある特別版。おそらく、ここまで幅広い種類を集めた人は他にいないんじゃないかと思われる日本のポータブル・レコード・プレイヤーの写真と解説を収録した手製冊子はフルカラー、せっかくなので、この展示をつくば市でも開催したいなーと思わせるだけの力があります。現物を見てみたいと感じるのは自分だけじゃないはず。

販売価格は1100円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

5/8 店日誌

5月8日、水曜日。今日は、評論家・坪内祐三の生まれた日。なぜ覚えているかというと、日付にちなんで五八(吾八かも)命名されかけたという逸話があるから。坪内五八だったら物書きにはならず別の人生を歩んでいたかもしれない。それだけ、名前には力がある。店名ではシリシリ器、バンド名ではゆらゆら帝国。最近出会ったネーミングで見事だなあと思ったのはこの二つ(と言うか、前者は後者の影響を受けているのか……と、いま察した)。

ゴールデンウィークなんて関係ねえ! って調子でやってたつもりでも、それなりにエネルギーを使っていたようで昨日は21時前に寝てしまって、6時頃まで目が覚めなかった。たっぷり眠れて元気いっぱい。と言いたいが、どんよりした空と重たい空気に、ややげんなり。まあ、無理せずやるべ。

今週もいくつか本の買取がある予定。遠方からの買取、査定を希望する方はまずメールでお問い合わせください。おおよその数を把握した上で、着払いで受け付けます。

今日明日、明後日は15時開店。来週13日(月)と14日(火)は連休です。

2024/05/07

5/7 雑記

先週末に見つけた、ゆらゆら帝国『美しい』はシングル盤。表題曲と「なんとなく夢を」、「なさけない&はずかしい」、「船」の4曲が入って22分32秒。これくらいのヴォリュームがちょうどいい。歌詞を読みながらじっくり聴く、なんとなく流してみる、楽器の鳴り方に耳を傾ける。少なくとも3種類の聴き方があって、それぞれにそれなりの労力がいる。

“純粋なクソがいい  おしゃれなクソにジェラシー  クソに魂込めた  リボンを結んでみた  同じか?  みんな同じか?” (「美しい」)

「美しい」のなかでコケにされている感情、生き方をかつての自分は肯定できた。今もなお、否定はしきれない。それでも、この曲の持つ厚みを感知できるようになっただけ、マシだと思いたい。作者になんの関係ない話なのだが。

2024/05/06

5/6 店日誌

“貧しいってお金がないってことじゃない。彼は自分がどういう人かわからなくて、何をやったらいいかわからなくて、いつも指示を待っているような状態。(…)彼は探すものすら持っていない。それがわたしにとっての貧しいってことなの。なにをどうしていいかわからない、向かっていく対象を持っていないことを貧しいって解釈してる。”–北村道子(「探すものすら持っていないことの貧しさ」)

5月6日、月曜日。北村道子『衣装術』を読んで、ビリビリ痺れた。北村さんの言葉が身体に響く。インタビュー(対話)をモノローグ(独白)の形式に置き換えて収録したのがばっちりハマってる。いわゆる名言集ではなく、詩集のようなイメージを含んでいるから、やすやすとは消費させない。単語の意味以上の深みがあって、読み手の思考をうながす作用がある。凄い、という言葉だけで片付けちゃいけない内容だと思う。

なにをやったらいいかわからない。いつも指示待ち。それを貧しさだとするなら、いまの社会はなんとも貧しい! 食うには困らず、捨てるほどの服を持っていても、どこか空疎。実体のある言葉をもたず、右から左に流していくだけ。と、嘆いてるだけじゃダメだよな。面白い本とか映画はたくさんあるし、魅力的な人もいるのだから。

本を買って、その後すぐに本を売りにくる。そんなやり取りをしながら言葉をかわした若い人。しずかに本を選ぶ人。時間をかけて店内を物色する人。出入りは多くなくても、印象に残るお客さんが何人かいた。

今日の営業は13時から19時まで。本の買取に関することなど、お問い合わせはお気軽に。

2024/05/05

5/5 店日誌

5月5日、日曜日。いやあ長かった! 気まぐれに営業時間を伸ばしてみたら、途中で息が切れてしまった。連休中とあってか遠方からきてくれる人がいる。近所の人もふらっと顔を出す。とあるバンドのドキュメンタリーを撮った監督もくる(たくさん音楽の話ができて楽しかった!)。ああ、嬉しい。だけど疲れる。たまらず、夕方過ぎにコンビニでビールを買って帰ってくると、ちょうど良く新田が登場。あとはもう流れのまま……。

オンライン・ストア〈平凡〉の常連Kさんが日吉からきてくれた。話をしたら、同い年。鹿児島市から遊びにきた方も何度か平凡を使ったと話してくれる。言葉にすればたんなる通販。でも、こうしてやり取りができると意味がちがう。

当店から徒歩3分、天久保の休憩所〈古着屋may〉は今日まで連休中。隣のカフェでは遠藤良個展「HEAVEN!」、近所の焙煎所でも焼き物の展示を開催中。あちらこちらで催しあり。

今日は11時から19時までの営業。お暇があれば、ご来店を。

2024/05/04

『PONPOKOYAMA』(CD-R)

ぽんぽこ山『PONPOKOYAMA』が届きました。
幡ヶ谷〈forestlimit〉で月イチ開催されている、“たぬきのお祭り”をイメージした選曲でDJをする「ぽんぽこ山」のサンプラー音源。レギュラーメンバーのテンテンコ・カントリー田村・チャーハンの3者が選んだ13曲を収録した、41分20秒。民謡とエキゾチックミュージック、若干のワールドミュージックの要素が相まって、めちゃくちゃにウケそうな内容です。今、こういうのを聴きたい人は多いんじゃなかろうか。

販売価格は700円(税込)。少数入荷のため、店頭販売のみ。

『Dream Sequencer』(CD-R)

チャーハン『Dream Sequencer』が届きました。
不思議な抒情を感じさせる、コラージュ&ミックス作。アヴァンギャルドな音像が続くのか……と、ほんのちょっぴり不安になる冒頭を経て、進めば進むほどに自然と音が連なっていくのが面白い。本作のジャケットをつくったソニックさん(a.k.aXREENSAVER)が話すとおり、妙にクセになる懐っこさがあるような気がします。

販売価格は1000円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。