9月30日、木曜日。日々綴っているこのブログ。いつの間にか店主の独白、はっきり言い換えれば、おっさんのボヤキ日記になっていた。内側でふつふつと沸き出す不満や違和感、周囲とのかみ合わなさを吐きだす場になってしまっていた。もうちょっとしっかり、店のことを綴っていこうとおもう。
明日から10月。みじかい秋、じっくりと味わいたい。
9月29日、水曜日。JUN YABUKI『LIGHT HERE,LIGHT NOW』刊行記念展が今週末の10月2日(土)から、福島県郡山市の古書店〈Small Town Talk〉ではじまります。作品集収録の原画をコラージュしたもの、あらたに描き下ろした作品などで構成される展示とのこと。会期は、10月31日(日)までのほぼ一ヶ月。作品集の販売はもちろん、矢吹純の在廊時にはサインも入れてくれるはず。ご都合が合えば、お出かけください。
昨日も今日も入荷あり。日々、店には何かしらの動きがあります。
頭来たんだよな、要するに。だってさぁ、俺たちが好きで古着を着てたわけさ。だってさぁ、最近のヤツってぇのは昔ほど作りが良くないんだよ。(中略)それをさぁ、商売人の野郎が金儲けだけが理由でどんどん買い占めてくんだ。冗談じゃねぇやってなもんで、それなら自分で店作って本当に好きなヤツらとそれをシェアしたいと思ったんだ。–ギャズ・メイオール「流行はストリートから」(花房浩一『ロンドン・ラジカル・ウォーク』より)
9月28日、火曜日。ギャズ・メイオールみたいに店を始める人が増えればいい。四方八方に気をつかって、お利口さんづらするのが好きなら、そうすりゃいい。スマートフォンを駆使して意思表示、情報発信するのが仕事と思っているなら、それでいい。世の潮流に無理にあらがう必要はない。できるだけ自然に、率直であるのが役割ならば、それを引き受けて実践すべきだろう。
今日も通常営業。通販などのお問い合わせはお気軽に。
批評とは究極的に、何かを選び取ることである。そのあとの理屈(言葉)はいくらでもデッチあげることが出来る。そして世の多くの人びとは、その「言葉」の部分にこそ批評があると思い込んでいる。–坪内祐三「批評としての書評とポトラッチ的書評」(『文学を探せ』より)
9月26日、日曜日。レコードの貸し借りをする数少ない友人がいる。彼は、所持するものを介して自分語りをするタイプではない。欲しいもの、気になったものを出来るだけ、買っていく。自らの内側にある好奇心に忠実に、レコードを選ぶ。外面など二の次、三の次。知った風に言葉を費やすこともない。ただ、音楽が好きなのだ。当たり前のようで、こういう人はあまりいない。
今日は13時から19時まで開けています。明日、月曜は定休日。
『ランバーロール』04が届きました。
前号とおなじく、著者として参加している古山フウさんのご紹介で取り扱いを決めた最新号。……これが、とても素晴らしい。6つの漫画と短編小説、戯曲とで構成された約150ページ。作品それぞれが持つ世界の奥ゆき、登場人物の息づかい、揺れる感情。これら全てを受け止めるのは、簡単ではないかもしれないけれど、まずは手にしてみてほしい。気になったものから、一つずつ読んでいってほしいです。
販売価格は1650円(税込)。読む人それぞれに、見つけられるものがありそう。
9月24日、金曜日。先週から買取依頼が増えてきました。当方、自動車を所持していないので、出張買取は不可。店へのお持ち込みか、発送(要・事前連絡)であれば、常時受付中。何かしら疑問があれば、メールにてお問い合わせください。
その他、通信販売、在庫確認などのお問い合わせもお気軽に。ただし、お名前の記載もなく「×××はありますか?」と、唐突なメールには返信できないこともあり。その点はあらかじめご了承ください。
今日、明日、明後日は通常営業。26日(日)は久しぶりの催事出店も予定しています。
墨汁と筆でプリミティブな図を描く画家・林青那が、
作品集「KUROMONO」をブックレーベル・Baciより刊行しました。
出版を記念し、収録作と新作を交えた展覧会を開催します。
衝動的な線の内に静けさが漂う作品は、
観る人の心を原始の世界へと誘います。
墨の強い黒と、そこから生まれるかたちをお楽しみください。
絵画集『夜の木』(10刷)が届きました。
2012年から版を重ねて、10刷目。その表紙画に選ばれたのは「ドゥーマルの木」。初版と同じ作品の色をかえて刷り込み、シックな装いになりました。ビニールの封を解くと、あふれ出すインクの香り。他のどれにも似ていない夜(黒)の色あい、それぞれの木がもつ物語。ゆっくり味わってほしい一冊です。
販売価格は3520円(税込)。吉祥寺の出版社「タムラ堂」が年に一度、発行する特別な本。
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9月18日、土曜日。ニコニコ顔を絶やさずにいて、他者の共感をさそう人がいる。じかに接している以上は悪い気はしない、させないのだけれど、そういう人物は平気な顔をして他人の発想や選択、視点を剽窃することがある。そして、なんとなくのイメージだけれど、その彼、彼女はインスタグラムの熱心なユーザーである。共有、イコール、善。この発想を疑ったことがないのかもしれない。
ここ数年、そういう人に似た顔つきの店が増えているように感じる。業種はそれぞれ。雑貨屋やカフェであれ、パン屋、花屋であれ。もちろん本屋だって同じことだ。
朝から雨が降りっぱなし。お出かけの際はお気をつけて。
9月15日。昼過ぎに二度目のワクチンを打つために診療所におもむく。駐車場はガラガラ、「今日は空いてるなー」っと医院に入ってみると待合室には自分だけ。あっという間に案内されて、いくつか会話を交わして、すぐ接種。今回の方がチクリとしっかり痛んだ。また話を聞いて、病院を出る。ものの5分もかからず終わってしまった。
その後は家でレコードを聴きながら本を読む。秋の空気を感じながら過ごす午後。こんな時間は久しぶりだ。左腕こそ重いけど、身体の具合はわるくない。そのまま夜までゆっくり過ごす。
9月16日。急に決まった雑誌の撮影。昨日だったら受けられなかった。さいわいにもそこまで身体は重くない。約束の13時に店を開けて、1時間ちょっと、作業に付き合う。その合間でモデルの若い男性と音楽話で盛り上がる。なんでもお父さんがジャムバンド、フィッシュのファンらしい(phanだ!)。店にあった音源を流しながら、けっこう楽しく話をする。
空気がさわやか。流す音楽、どれもがピタリ。気持ちがいい。今日みたいな日はこのままのんびり店を開けていたいなァと、うしろ髪を引かれるも、体調を優先して帰宅する。ああ、こんな気候がもっと長く続けばいいのに(明日からまた雨なんだって……)。
もうここに至って、寺さんを「ロックの始祖として認めろ」だとか、そんな小さなことはどうでもよくなってきました。寺内タケシはそれ一人だけでひとつの宇宙なのです。
円盤のレコブック『寺内タケシの宇宙と故郷』(上・下)が届きました。
田口史人さんの独自芸「レコード寄席」を誌面化するレコブック・シリーズ、満を持して登場するのは……寺内タケシ! 従来どおり、関連作品を発表順に辿って聞いていき、ものされた上巻53ページ、下巻57ページ。
とにかく、驚かされるのは寺内さんが音楽、ギター演奏へ注ぎこむ圧倒的な熱量! 田口さんの筆が生み出すテキストも怒涛の勢い! それらに引っ張られるよう、ぐいぐい読めてしまいますが、今はまず上巻を読み終えて一息ついたところ。ひとっ走りしたような気分です。
販売価格は上・下ともに1100円(税込)。ああ、寺さんをテーマにしたレコード寄席に参加したい!
My loads are lightの新作「Plain TRIPLe Packs」が届きました。
綿麻比率50/50のハイゲージパイル型靴下、3足を真空パックにしたもの。デニム、ブラウン、グレーの3色で丈はやや短め。毎度書いている気がしますが、履くときっとクセになる。やっぱ、これじゃないと! と思ってしまうのは、安定のマイローズ・ワークスがあってこそ。
販売価格は5500円(税込)。量販店に比べて値段が張りますが、一度試してみてほしい。
ずるずると続いた冷戦の最中、ソ連・米国との付き合い方は各国一様ではなかったが、程度の差はあれどの国でもジャズを演奏することは自由を得ることを意味し、ともすれば反体制であることと直結していた。
岡島豊樹・編『東欧ジャズ・レコード旅のしおり』が届きました。
ページを開いてまず目に入る、ポーランド、チェコスロヴァキア、ハンガリー、ユーゴスラヴィア、ルーマニア、ブルガリア各国のジャズジャケ・コレクションが面白い! その後に東欧ジャズの総合オリエンテーションを挟んで、各国ごとのジャズ事情に加えて関連する芸術表現、政治状況などを紐解いていきます。正直に言って、どこから読むべきか、とまどってしまうほどの情報量。魅力的な記事がならびます。
販売価格は2200円(税込)。カンパニー社刊行『AA 五十年後のアルバート・アイラー』(赤版)も在庫しています。
9月8日、水曜日。開店前に時間があったので、普段なかなかいけない近隣の店に行ってきた。コックスとジャンゴ、長く付き合っている友人たちが営む店。それぞれに活気があって、どちらもこの時期ならではの工夫がされていた。自分も店を営むゆえ、しょっちゅう行き来できるわけではないけれど、ながく続いていってほしいと思う。ああ、いい時間を過ごさせてもらったなァ。
お隣〈千年一日珈琲焙煎所・カフェ〉では明日からはじまる展示の設営中。
ジャズ三部作のラストを飾るのは全編サックス・ソロによるマジの記譜/即興演奏作品である。馬鹿馬鹿しくも硬派なモダン・ジャズ世界がアルト・サックスの響きとともに展開される。
Yoshio Ootani『Jazz Modernism』が届きました。
大谷能生 in BLACK SMOKER RECORDS、ジャズ三部作の掉尾を飾るのは、なんと全編サックス・ソロ! 関連作が出るたび度肝を抜かれてきましたが、今作もまた。公式解説によれば「村上春樹の短編にインスパイアされた「Bird Plays Yesterday」。セロニアス研究の第三弾「Thelonius Studies#3」。某ギタリストのライブ・ソロを完コピで再現した「JoJo's Bizzare Adventure」など」を収録とのこと。
販売価格は2200円(税込)。後半の3曲は強者たちによる、リミックス。お聴き逃しなく。
ようやく観られた『アメリカン・ユートピア』。驚くほどにノレなかった。2時間弱の上映中、なぜだ、どうして……と考え続けてしまったから、余計に良くない。最後の場面(エンドクレジットだよ、それも)まで心の扉は閉まったまま。終わってしまった喪失感とやっと終わったという安堵感が入り混ざった状態で、帰路についた。
感情移入できなかった理由はいろいろある。ただ、ここに書き出していくとキリがないし、それをまとめられる自信もない。ひとつ、書けるのは観客の存在。舞台公演の記録映画であるからステージ上の表現だけで収められるとは思わない。だけど、観衆があそこまで映画に介入しちゃっていいのだろうか。彼、彼女たちのノリノリの姿を見るたび、自分は冷めていった。
あの、引いた目線こそが、映画のメッセージなのか。アメリカという国の滑稽さを皮肉るための演出なのか。いくら考えてみても、はっきりとした答えはでない。
7月に同じ〈キネ旬シアター〉で観た『アメイジング・グレイス』との違いは何だろうか。あの作品も観衆、客席の模様が映画の大きな要素になっていた。が、もっと危なっかしい雰囲気だった。操縦しえない感情が会場全体を横溢していたように思う。突然、のっそり動きはじめる老婆がいて、それを止める人たちがいた。カメラの前を人が横切り、長話が終わらないアレサ父、それをみてハラハラしている司会役の牧師(彼もよく話し、歌う)がいた。終始、ドタバタしていた。
ベーシスト、チャック・レイニーの演奏、生み出す音が素晴らしい。だけれど、彼の姿はまともには映らない。劇中で劇的に紹介されるわけでもない。それでも場全体を包むような楽器の響きに自分は大きく心を動かされた。
噴き出す汗でドロドロになるアレサ・フランクリン。あの顔、姿もまた印象深い。生々しさを映画、音楽をはかる物差しにするつもりはない。なのだが、昨日観た『アメリカン・ユートピア』よりもつよく、はげしく感情を揺さぶられたのは確かである。人工的な熱狂と霊的なもの、その違いを感じたということか。
9月4日、土曜日。新刊の小出版物『骨折映画館』、『トラべシア』6号、『BEACON』vol.1に加えて品切れのちに再入荷したアンソロジー『心がなければ幸いだ』、『小柳帝のバビロンノート』がここ数日で届いています。新入荷の音源ではHAPPFAT『MELT 2』と『borrado』、イサヤー・ウッダ『DAWN』に注目する人が多いでしょうか。その他、古本と中古音源には日々、何かしらの動きあり。暇を持て余したり、なんとなく気が向けば、ぜひご来店ください。
今日は13時から20時まで開けています。通販のお問い合わせは、お気軽に。
MASA HAMANOI
自然や人を あるがままに
時にアソビゴコロを持って写真表現するフォトグラファー
広告や雑誌撮影のみならず、自身の作品制作も積極的に行っている。
空間演出、デザインディレクションなどを手掛ける
クリエイティブチームAlt.としても活動。
Web : masahamanoi.com
Instagram : @masahamanoi