2025/07/14

7/14 店日誌

7月14日、月曜日。音もなく雨が舞っている。太陽が出てきたかなーっと思うと、サーサーと細い雨が降ってきて、困る。妙な天気に戸惑う。店に着いて、ラジオをつけると核融合党(なんじゃそりゃ??)の桑島某の政権放送が流れてきて、唖然。その後は元水泳選手の鈴木大地。今の日本には元気が足りないとのこと。子供たちに希望を、全世代の人たちに明るい未来を。そのためにスポーツや文化、芸術などの力を活かすらしい。むーーー、悪いことは言ってないけど、信用できるかと言われると、どうも首を捻ってしまう。

ラジオで聴く政権放送。顔が分からない分、声と言葉に意識が向く。次に出てきた辻健太郎って人はベーシックインカムを導入したいと話している。今のところ、この人の話がいちばんマトモに受け止められた。たまたまつけたラジオから流れてきたので、先入観なし。政党などの情報もなし(みんな、東京都選挙区の立候補者なのだが)。

今日はたぶん静かだろうから、コツコツ、少しずつでも古本をオンライン・ストア〈平凡〉に上げていく。しばらく寝かせてしまったウィリアム・バロウズ関連の本を出していくので、気になれば覗いてほしい。

今日も通常営業! 本の買取、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2025/07/13

7/13 店日誌

7月13日、日曜日。ちょっと暑い。庭の草刈りで汗をかき、シャワーを浴びてから散歩がてら買い物に出る。スーパーで食材、ドラッグストアで文房具などを買ったのち〈つるばみコーヒー〉の前を通りかかるとブラインドが開くところ。オーイ、元気かいって感じで手を振り合って歩きだす。20日にせまった参議院選の候補者ポスターを観察、誰に、どの党に投票するかを考えながら道をゆく。周辺は水田、畑ばかり。草取りをする女性、収穫をする男性たち、目が合えば「おはよう/オハヨウ」と声をかけ合う。

9時前後は晴れていたけど、じょじょに雲が出てきて不穏な空模様。ザーッと雷雨がくるかもしれない。沖縄付近で発生した台風はどんな進路をとるのだろうか。明日と明後日、両日とも雨だとちょっと困るのだが……。

DJ PATSAT『平凡な生活|DJ PATSATの日記』はおそらく今日、遅くとも明日には再入荷予定。夏の定番『SIDE.C Classics』を手がけるNOOLIO氏が営むARRROUND WICKED SOUND MAKER関連作品も届いているので、ご注目を。KONTEKE TEKETA『FIVE』がいいペースで売れていて、嬉しいナァ。

今日明日も通常営業。在庫確認など、お問い合わせはお気軽に。

2025/07/12

7/12 店日誌

7月12日、土曜日。今日も涼しい。朝の散歩、庭の草刈りを終えても、それほど消耗しない。ゴンチチのラジオを耳に入れつつ休憩したのち、オンライン・ストア〈平凡〉での購入分を発送しにつくば学園郵便局まで自転車を走らせる。週末の昼前、ペデストリアンは小さな子供を連れた家族連れが目立つ。小さな自転車でヨロヨロ、シャカシャカ走る子供たちに注意を向けながら低速で走って、無事に到着。レターパックプラスを窓口に預けた帰路、書店か新しくできたコーヒー店にでも行こうかと考えるも、どこにも寄らずに店にきた。

酷暑がいったん収まったからか、店前の道を歩く人も少なくない。たまたま通りがかったような若者が100円の文庫、新書なんかを買っていく。最長常連のひとり、ヒロタさんも顔を出す。涼しくてラクだね〜と話すうち、しみじみ、ありがたいなあと感じ入る。昨日は閉店間際まで客足が絶えず、いいペースで営業できた。

買い取った古本の山を崩しながら値付けして、どんどん棚に並べている。550円以内のものも多いので、ご来店の際はご注目を。オカルト、奇天烈、悪趣味っぽい本もあり。美術系の図録、作品集もあり。

今日明日、明後日は13時開店! お暇があればご来店を〜!

2025/07/11

7/11 店日誌

7月11日、金曜日。いやあ、涼しい。身体が楽だし、悠々と歩けるのが何より嬉しい。午前中に40分くらい歩いても汗をジワリとかく程度。車の少ない道を歩いて、野鳥を眺めたり、考えごとをしているうちに目的地に着く。そう、これだよ! 最近足りてなかった時間は、これだったんだ。焦らず、気ままにほっつき歩く。その間で思索にふける(って書くと大袈裟で、ぼんやりとアイデアを転がしてるって感じ)。雨続きも困るけど猛暑から解放されて、いい気分。今日もいい日になればいい。

酩酊状態にある男の背中は、生活と犯罪の匂いがした。リュックに詰め込まれたアルミホイルと覚醒剤。僅かな背徳感と刹那主義者特有の投げやりな態度。横を通過した一台のパトカーから射るような眼差しを横目でやり過ごし、目的地までの最後の角を曲がろうとしたその瞬間、後方からパトランプの赤い閃光が走る。(「2020年6月13日(土)」)

DJ PATSAT『平凡な生活|DJ PATSATの日記』、前半の目玉は上記「2020年6月13日(土)」だと思う。書かれることは物騒だけど、手応えのある短編小説のようで、日記全体に波及する重みがある。DJ PATSAT=土井政司の技巧が光る名場面。『平凡な生活』は品切間近、近日中の再入荷予定あり。

この数日、オンライン・ストア〈平凡〉を利用する人が増えている。新刊と新譜、旧譜と古本を組み合わせたり、目当てのものを単品で買ってくれたり。今も注文が入るたび、店主とふたりで「やったー!」と喜んでいる。今後ともどうぞよろしく。

古本、中古音源に入荷あり! お暇があればご来店を!

2025/07/10

7/10 店日誌

彼は自分が既にプロデュースし、誰かシンガーのクレジットでシングルとしてリリースしたであろう、何年か前の曲のリズム・トラックを、ここで、平気で使っているのである。そんなことに気付くのに、10年以上もかかってしまったのだ。(山名昇)

同時期にレコーディングされた他アーティストのためのリズム・トラックを使い、彼独自の音空間が展開する。モコモコとした、霞がかかったようなサウンド、怪しげな効果音、時折登場するDJやコーラス、単にダブとしては括れない、アルバム全体としてのまとまりがすばらしい。(工藤晴康)

7月10日、木曜日。久しぶりで通して聴いた、リー・ペリー『スーパー・エイプ』に封入されたライナーノーツを読んで、納得。本作はコラージュで仕立てられたリー・ペリーの独創音源集なのである。当然ダブでありレゲエなのだけど、その括りをとっぱらって身体で受け止めた方がしっくりくる。情報と知識だけじゃ受け止めきれない、いわゆる芸術/アートに近いものだと言ってもいい。上記、工藤晴康の解説文はこう書き出される──「70年代中期のリー・ペリーが、いかにすごかったかを証明する1枚」(出典は石井志津男(編)『レゲエ・ディスク・ガイド』)。

ライナーノーツや解説書籍をひもときながら音楽を聴くのは楽しいし、体験としての強度も深まる気がする。もちろん、前知識や心構えなくバーン! とぶつかってしまうのも重要なのだけど、興味をもった対象により深く迫っていくのなら、時間をかけて手がかりを集めていく以外の方法はない。パーティーやイベント、ライブに出かけまくってもいいし、レコードを集中して聴いて、自分なりの感触を掴んでいくのもいいと思う。

日中は気温が高すぎて、通りから人がほとんど消えてしまう。気温が下がる夕方くらいから、ようやく動き出しの気配を感じる。1人、2人と店にきて、1冊か1枚、何かを買って行っていき、ああ、どうにか今日も成り立ったか……と安堵する。高温の時期、店はなかなかキビシイぞ。

今日も通常営業! 新刊にちょこちょこと入荷あり。

2025/07/09

7/9 店日誌

7月9日、水曜日。いやー暑い! 暑いけど、東京よりはいくらかマシだ。つくば駅に着いて、地上に上がると風がふーっと吹いて、熱にまみれた身体を迎えてくれた。なんとなく気分も軽い。そりゃ10分も歩けば汗だくだし、クーラーがなけりゃ店はやってられない……のだけど、東京はマジで暑かった。人が多いし、あちこち室外機だらけ、炎天下で15分も歩けば目眩を覚える。電車に乗れば車内はカチカチに冷えてて、目的地に着けばまたムワーッとした空気に包まれる。あの温度差、冷熱の循環は身体に悪い。

それでも、東京をあちこち歩きまわって得たものは大きかった。尊敬する店、同業の先輩を訪ねて話を聞く、買い物をする。出かければ欲しい物だらけだから、金はどんどん減っていく。合間にビール、コーヒーは飲むし食事もするわけで、みるみる財布が軽くなる。この調子で大丈夫かな〜と思わなくもないけど、きっと何とかなる。まあ、いい酒は飲めたし、店に向かう姿勢を改めるきっかけは得られたのだ。

大阪市東淀川区のサイクルショップ〈タラウマラ〉店主、土井政司さんの『平凡な生活/DJ PATSATの日記』は今日の夕方、16時過ぎに入荷予定! すでにいくつかのご予約を頂いていて、初回分ははやく完売しそうな気配。気になる方はお早めに。

今日明日、明後日は15時開店! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ!

2025/07/08

7/8 雑記

翠海、古書コンコ堂、ルノアール、居酒屋カヤ、オレンガタン、ドトール、関甚、トラスムンド、ディスクユニオン、喫茶穂高、まつや、ほどほど。東京をうろつき回った、2日間。

2025/07/07

7/7 連休

今日、明日は連休です。

2025/07/06

7/6 店日誌

7月6日、日曜日。当店から自転車で10分ほどの距離にある〈ブックセンターキャンパス〉はいつも9時前には開店しているから、出かけやすい。思い立って出かけた今日は暑いといえば暑いけれど、耐えられないほどではなかった(冷房がないので大変そうだったけど……)。相変わらずの物量に圧倒されつつ店をみて、色川武大、森茉莉、田中小実昌なんかの本を買い、店主の岡田さんと話すと、再来週7月19日(土)から8月いっぱい休業して9月から再開すると教えてくれる。つくば市の宝といって大袈裟でない、古本屋。遠からず、また出かけなくては。

その後、近所のスーパーで買い物を済ませて、とことこ歩いて〈つるばみコーヒー〉に顔を出し、ドリップパックを数種購入。最近どーすか、いやーなかなか、なんて調子で話して、昨夜のヤクルトスワローズの奮闘ぶりを聞いて店を出る。当たり前だが、外はじわ〜り、むわ〜り暑い。

とろろソバを啜って麦茶を飲み干すと、ふーっと眠くなり、10分弱の小休止。ぱっと目が覚めて歯を磨き、身支度を整えてから店にきた。そう遠くない距離なのだけれど、到着すると汗だくだ。ふーふー言いつつ、ブログを書いて、また出かける。近所の〈古着屋may〉を覗きにいくのだ(サマーセール開催中……と、目立つところ書かれていた気がして)。

今日は通常営業! 明日7日(月)と8日(火)は連休です!

2025/07/05

7/5 店日誌

7月5日、土曜日。いよいよ、『ワレイカ・ダブ』に針を降ろす。2004年/2007年にリリースされた日本盤CDの帯には「世界中に僅かな枚数しか流通しなかった故に、争奪戦が繰り広げられるオークションの華。レゲエ・ファンの99%が耳にできなかったあの音が、日本のみのCD化」とある。今回入荷したオランダ盤の再発LPは間違いなく、このCDを踏襲している。だってジャケットがまんま同じなんだもん。なのに、大事な「WARRIKA DUB」ってところが「WAREIKA DUB」になっちゃってる! 真面目か!

『ワレイカ・ダブ』は俗に「ゲットー・ロッカーズ盤」とも呼ばれる。(…)ホワイト・ジャケットにマジックで『WARRIKA DUB/GHETTO ROCKERS』と記されている。つまり「ワレイカ」の綴りが「ワッリカ」に替えられ、「ゲットー・ロッカーズ」というグループによるもの、あるいはゲットー・ロッカーズがレーベル名かと思えるような、いかにもレゲー〜ダブらしいインチキ臭さプンプンの細工がしてあるわけだ。(山名昇)

山名昇さんによる日本盤ライナーではリコのワレイカ〜ワッリカ〜ゲットー・ロッカーズ表記に関して抜けなく説明がなされている。いささか地味とも言える内容にも「インスト曲のダブってどーなってんだよ」などツッコミつつ、「フルサイズのアルバムの丸ごとのダブ・アルバムだということも特徴のひとつ」と補足しながら、「どこか「PRE」盤らしい、ラフな仕上げも、むしろ好感を持って迎えられるのではないだろうか」と閉めている。

んで、オメーはどう感じたのかって? 一言でいえばソリッド、鋭い仕上がりになっていると思う。音数が減って、剥き身になった「マン・フロム・ワレイカ」(B面2曲目)は簡素だけど、元曲がはらんでいたユーモラスな空気が消えてない。パーカッションとリディム、ギターが絡み出すところではウウ! と声が出る(タマランって意味でね)。他の曲に関しては、また後ほど。

今日明日は13時開店! 明後日7日(月)と8日(火)は連休です。

2025/07/04

7/4 店日誌

7月4日、金曜日。インスタグラムで身近な人は極力フォローしたくない。その人がどこに出かけて、なに食べて、誰に会ったかは直に知らせてほしいし、ストーリーズ経由で飲み会の状況なども見たくない。店にくれば会える。縁があれば、街のどこかで遭遇できるわけだから。同業者もできれば避けたい。これには自分に原因があって、他所からの影響はSNS越しでは受けるのじゃなく、店に足を運んで驚きたいのだ(例えば、5月にたまたま訪れた〈アムレトロン〉みたいに)。

ソーシャル・ネットワーク・サービスは自己表現のためにあるわけじゃなく、店舗情報、入荷案内を流すための道具なんだと思ってる。そりゃ、熱い言葉に胸を動かされたり、紹介されたものを買いたくなったりする。無味なコピペ・テキストよりも、その人なりの文章に触れたいとは思ってるのだが、疲れることもある。

いまやインスタグラムは空気みたいなものだから、こんなことを書いても、意味がないのはわかってる。誰かを批判したいわけでもない。バシバシ使いまくって、関係を増やしていく人がいていい。読んで救われる人がいたっていいと思う。とかなんとか、自己弁護めいたことを書き始めると、キリがない。

*

KONTEKE TEKETA『FIVE』ジョンのサン『ショートガイド』、STONESTONE『STONESTONE』など新譜音源の入荷多数! インディーなんて当たり前、みんなとっくに好きにやってる。ローカルとかストリートとか、いちいちウルセーのである。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞー!

2025/07/03

7/3 店日誌

 7月3日、木曜日。友人に、最近ブログがつまらないと突っ込まれる。それらしい商品解説じゃなくて、オレの声が聞きたいってことだと思うのだけど、これがなかなか難しい。特定の人物への非難、違和感の表明はよほどじゃないとやりたくないし、最近はそうした感情を抱くことも減っている……。むー困った! 何かに毒づこうと思っても、ノーアイデア。まったく、なんにも言葉が出ない。ああ〜飲み会の誘いばかりでイヤになるぜ。とか? 自分の時間を大事にせねば。だとか? やっぱりつまらないよねェ。

今日の午後、知人と話していて「自分の人生を生きる」って言葉の意味がストン腑に落ちて、納得。そりゃそうだ。めちゃくちゃ当たり前だけど、実践してる人ってどれくらいいるのだろう? たぶん、そんなに多くない。既存の幸福、成功モデルにどうやって近づくか。そんな話ばっかりされてる気がする。

そんなこんなで開店時間が迫ってる。これから本の写真を撮って、ツイッターとかインスタグラムでも紹介したいのだが、間に合うだろうか。15時ちょうどに更新されてたら上手くいったということで。ただいま14時19分。

今日明日は15時開店! ジョンのサンの新譜が届いたぞ〜!

2025/07/02

7/2 店日誌

7月2日、水曜日。『relax』2000年10月号の特集は「SUPREME」と「イームズ」。店をはじめた時には既にプレミア価格が付いていた号なのだけど、これまで吟味する機会なく、何冊か売ってきた。いざ改めてページを繰ると、巻頭コラムに小野郁夫による「イームズとスケートの大事な関係に気づいてる?」があり、ソルスティス・ミュージック・フェスのフォトページ、イルドーザーの4ページが続く流れにグッと掴まれる。この頃の『relax』はやはり特別だったのだなーと再確認。

本特集は飛ばして、モノクロのコラムページ「fab!」の白根ゆたんぽ、松田岳二、水本アキラ、小柳帝、飯田アキオ、MC BOO!!、安田謙一、グルーヴあんちゃん、内門洋が怒涛のごとく現れる構成にシビれる。「fab!」にはさらにNYのインディーマガジン2誌の直撃取材あり、力の抜けた連載あり、するすると読まされる。

カルチャー、ファッション、アドバタイズ。雑誌がはらむべき要素を併せ持ちながら、時代の空気を誌面に反映させる。編集長の舵取りがあり、遊びのわかる編集部員がいて、マジカルな雑誌が生まれていた。こりゃ長続きはしないよなあ……なんて悟ったようなことは言いたくないのだが。

今日も古本、新譜に入荷あり。オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

2025/07/01

7/1 雑記

ああ、面白かった! 家から歩いて10分ちょいの距離にある一の矢神社の例大祭ってのに出かけてみると、付近は子供たちでいっぱい。親に連れられた幼稚園児、小学生から友達と連れ立って歩く中学生、高校生。イキった感じの男女もちらほら。こういう風景久しぶりだな〜と生ビールを飲みつつのんびり歩く。普段は車がビュン! と抜ける道路も通行禁止で清々しい。16時頃からの豪雨が上がった空気は澄んでて心地よい。暮れていく空もきれいだった。

動き出した神輿を見送ったのち、スーパー前の焼き鳥屋で注文したネギ間、ナンコツ、ニンニク串をつまみながら缶ビール。いい夕暮れ。いい休日。たっぷり歩いて2時間半の小旅行。日常とは異なる時間を味わった。

2025/06/30

6/30 店日誌

“このアルバムが示しているのは、ラテンアメリカのクンビアは、統一された物語を持つどころか、簡単には一括りにできないということです。他の音楽スタイルとは異なり、クンビアはひとつの国やひとつの伝統に属するものではありません。その伝統は大陸をまたいで、多様なアクセントと系譜を持っているのです。”(マリオ・ガレアーノ)

6月30日、月曜日。信頼のレーベル! オクラ印の新譜、フレンテ・クンビエロ『インコンクレート&アソシアードス』が到着。「「高山地帯のトロピカニバリスモ」というバンドのコンセプトを軸に……」なんてコピペは簡単だけど、コンセプトに込められた意味を理解するのは容易くない。2025年の現在も進化、変化を続けるクンビア(=コロンビア発祥のダンス・ミュージック。晩年のジョー・ストラマーも愛した音楽で、色気と頽廃、サビついた音色などをはらむ)を代表するバンドの新作(しかも日本盤で!)を聴けるのは、やっぱり貴重だ。当たり前だと思ってちゃいけない。

このレコードを直に、つくばの店まで持ってきてくれたのは、オクラ印を営むヒデ・モリモト氏。ヒデさんとは音楽はもちろん、本や映画、イベント開催の苦労話などなどを話せるから時間がいくらあっても足りなくなる。いつ会っても刺激をくれる、大事な人である。

フレンテの前には、大阪は西成在住のDJ DOVEによる極上メロウセレクション『大阪産/revel dove music sound』GRINGOOSE『COAST Ⅱ COAST』も到着! どちらもヴィンテージ・ソウル/レゲエ多めのミックス作品。自分の店は古本屋? 音楽店? たまに分からなくなるけど、やっぱり楽しいんだよなァ。

今日も通常営業! お暇があれば、お出かけください!

2025/06/29

6/29 店日誌

6月29日、日曜日。RICO『MAN FROM WAREIKA』にじっくり耳を傾ける。のどかなようで、ときに緊張感のある独特の体感。ルーツ・レゲエなのは間違いないのだが、米国ではブルーノートからリリースされていたのは何でだろう? トロンボーン主導のインストゥルメンタル、複数の管楽器アレンジがジャズマンの琴線に触れたってことなのか。ミステリアスな音の鳴りに興味をもった人がいて、幹部を口説き落とした人がいたとしたら……と想像をめぐらすのも面白い。

トロンボーンという物言わぬ楽器が、時には他の何よりも雄弁に聞く者の琴線にストレートに何かを語りかけてくる事を教えてくれたリコの76年1st。(備前貢)(*1)

インストゥルメンタルのアルバムのなかで、オーガスタス・パブロやリコ、タン・タンのアルバムが優れているのは、彼らがバック・トラックを選び、演奏し録音したあとも、アルバム全体をこまかいところまでプロデュースしていく力を持っているからではないかと考える。ただのもの吹きではなく、インストゥルメンタルであっても言葉を用いない歌として、強い意志を持って自らの歌を聴かせてくれる。(小玉和文)(*2)

この作品のなにが特別なのか、考えるほど味が増していく。どこか呑気なトロンボーンの音色、ゆったりとした流れに身を任せてりゃいいのだけれど、それだけじゃもったいない。なんで? どうして? と探求しても、簡単な答えがでないからレゲエは魅力的なのだ。

(*1)石井志津男(編)『レゲエディスクガイド』より (*2)小玉和文『ノート・その日 その日』所収「レゲエの”もの吹き”の話」より

それにして買取りが止まらない! 値付けが追いつかず、どんどん店に積まれていく。金額表示がなくても気になれば気軽に値段を聞いてほしい。大体の本は売れるので。

今日明日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ〜!

2025/06/28

6/28 店日誌

6月28日、土曜日。THE COVENTRY AUTOMATICS『DRAWING OF A NEW ERA』に針を降ろすと、そりゃまあ最高で、2周続けて聴いてしまった。ユルめのスカ・チューン「WAKE UP」で始まるA面、「NITE KLUB/RAQUEL」「LOOK BUT DON’T TOUCH」のエモーショナルかつソウルっぽいイントロにハートが熱くなる(後者にはギター・ソロがある!)。後の代表曲「CONCRETE JUNGLE」も、この時期は荒々しくて味が異なる。

結局、スペシャルズというのは、私の考えでは決して単純なスカのバンドではなく、これはリーダーだったジェリー・ダマーズとイクォールでもあるのだが、もっとパラノイア的な、フリーキーなグループだったのだ。(石川サチ子)(*)

「後の代表曲」とか「この時期は荒々しく」なんて書いてるのは、このバンドがそのままザ・スペシャルズになるからだ。知ってる人も少なくないだろうけど、ここで初めてコヴェントリー・オートマティクス=スペシャルズと出会う人もいるはず。タイミングを大事にして、思いっきり楽しんでほしい。

(*)『BLUE BEAT BOP!』所収「職場のタイピストに今も人気のスペシャルズについて」より

 軽やかなスカ〜熱いソウル、パンクを縦断するような「STUPID MARRIAGE」で幕を開けるB面もいい。沈み込むような「TOO MUCH TOO YOUNG」やワン、ツー!のかけ声がクールな「LITTLE BITCH」、燃え上がる「(DRAWING OF A)NEW ERA」など聴きどころたくさん。気軽なバーあたりで適当に流してくれたら嬉しいんだけどなァ(そんなお店が、あったらいいなァ……)。

今日明日、明後日は13時開店! ご都合に合わせてお出かけください!

2025/06/27

6/27 店日誌

6月27日、金曜日。輸入盤の新譜レコードが到着! RICO『MAN FROM WAREIKA』・『WAREIKA DUB(GHETTO ROCKERS)』とTHE COVENTRY AUTOMATICS『DAWING OF A NEW ERA』、TAPPER ZUKIE『IN DUB』なのだけど、スゲーでしょ。こんな作品たちを扱えるとは思ってなかった。レゲエ、ダブ、パンクの要素を併せ持つレコード。夏に向けて、しっかり紹介していくつもり。

暑いのと軽めの二日酔いが相まって余裕がない。頭の中がとっ散らかってて、思考に集中できず、メールの返信もできないまま。拓人くん、矢吹くん、もうちょって待っていてくれ! 今夜までには何らかの意向を伝えますので。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2025/06/26

6/26 店日誌

6月26日、木曜日。いやあ、今日は暑い! 湿度が高くて日差しが強い。こうなるとちょろっと雨でも降ってほしいなあと思っちゃうけど、まあ我慢。シトシト、ジメジメ、ベタベタ状態よりも気分はいい。必要なのはクーラー、手拭い、缶ビール。さらに、NOOLIO 『SIDE.C Classics』vol.8HAPPFAT『MELT 6』があれば、快適だ。クーラーの温度設定は25℃〜27℃。かたわらに扇風機を置いておけば、だいぶ涼しい。

15時半過ぎにアメリカからのお客さん? に加えて、雑誌の納品もある予定。夕方には鹿児島の友人、〈食堂湯湯〉の中村くんも来るとか、来ないとか。どんな状態になるのか読みきれないけど、心の準備だけはしておこう。

今日明日は15時開店! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ!

2025/06/25

6/25 店日誌

6月25日、水曜日。蒸し暑いな〜やる気が出ねえ〜、ボヤきながら自転車で走り出すと、突然の雨。まあ、すぐ止むだろ〜なんて調子でかまわず進むと、雨足は強くなる。豪雨か驟雨か、どっちでもいいけど、とにかくビショビショ。木陰で休止、リュックから取り出したポンチョをかぶって、ソロソロとペダルを漕ぐ。周りの学生たちもカッパを着てたり、無防備だったり、傘を差して歩いてたりと大変そうだ。そこを車がビュン! と走る。やはり速度は暴力だ。石油エネルギーあってのスピードってことを忘れるなよ〜。

いろいろグチりつつ、あちこちを濡らしながら店に到着。ラジオをつけると今日はサザン・オールスターズのデビュー記念日らしく萩原健太さんが話してる。聞き手は伍代夏子とアナウンサー、「ふんわり」という帯番組はタイミングが合うのでチョイチョイ聴いてしまう。

直に持ってきてくれる方、遠方から送ってくれる方、方法や分量、種類もバラバラの古本がどんどん集まってくる。査定をして買取り、値段をつけて店に並べていっても、なかなか追いつかない! どこか別な場所にも並べたい! 店の一角に古本を置きたいって方がいれば気軽に声をかけてほしい。

水曜から金曜までは15時、土曜から月曜は13時開店。今週もよろしくどうぞ。

2025/06/24

6/24 雑記

午前中、店で少しだけ仕事をして、昼食のため帰宅。はやばやと戻って作業を続けるつもりだったのだが、寝て起きたら14時過ぎ。頭はぼんやり、身体も重い。こりゃ今日は無理だわいと観念して、嵐山光三郎『東京旅行記』を読み出すと、まあ面白い! じわじわ、ぐいぐい引き込まれて、17時頃まで耽読。

じゃあ、そろそろって頃合いで家を出て、歩く。10分ほどで着く蕎麦屋〈T〉で瓶ビール、厚焼き玉子、日本酒、二八蕎麦。陽が落ち切らないうちに店を出て、いい気分で帰路につく。悪くない休日。

2025/06/23

6/23 店日誌

6月23日、月曜日。朝いちばんに予約した〈Bespoke〉で散髪、店主羽山さんとあれやこれや話してるうち、12時前! あらら時間がない! びゅーんと自転車を走らせ一旦帰宅、シャワーを浴びたのちメールの返信。昼食の素麺が茹であがり待ちの今、ブログを書くべくiPadの画面を叩いている。目の前には扇風機。首には手拭い。冷たいビールを飲みたいところだけど、グッとこらえてスペースを埋めている。このままだと定時の13時には間に合わなそうだけど、15分までには開店したい。ただいま12時38分。

店に着いて13時2分! 汗だくだけれどギリギリセーフ。ラジカセに入ったままのCDを再生するとメロウなソウルが流れはじめる。NOOLIO『SIDE.C Classics』vol.8は今日から本格的に販売開始。いやあ、今作もめちゃくちゃ気持ちいいですよ。

今日も通常営業! 通販、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に!

2025/06/22

6/22 店日誌

6月22日、日曜日。不調の原因は週はじめに食べた鳥刺だった可能性が高い。要因は、トリ肉などに棲みつくカンピロバクターという菌が引き起こす症例に酷似していること、ともに食した家人も同じ状態になっていること。いきなりの夏バテ? って可能性もゼロではないし、他の原因も考えられるから闇雲な断定は控えたいのだが、そろそろ疲れてきた(主に肛門が……)。発症から3日〜5日程度で回復するらしいので、持ち直すのは今日か明日だろうか。期待しながら復調を待っている。

来ないものを待つことと、かならず来るものを待つこととに差異があるとしたら、器の小さいのはあきらかに後者だろう。待っても詮無いものを待つことにこそ意義があるのだから。(堀江敏幸)(*1)

堀江敏幸の小説を読みはじめると驚くほど、波長が合う。『いつか王子駅で』の6章目は「待つ」ことの考察が主軸になっていて、徳田秋声『あらくれ』を例にあげつつ「私」の黙考がつづく。「なすべきことを持たずに一日を迎え、目の前にたちふさがる不可視の塊である時間をつぶすために必要な熱量は、具体的ななにかを片づける場合よりはるかに大きい」(*2)という箇所につよく共感。

(*1)『いつか王子駅で』(新潮文庫)p.96 (*2)同p.85

なじみの人、あらたに知る人、ここ最近は1人でしずかに本を選ぶ人が少なくない。3〜4人での来店はできるだけ遠慮してほしい。そもそも狭い店だし、動きづらくなるだけだから。

今日明日も通常営業。オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

2025/06/21

6/21 店日誌

6月21日、土曜日。胃腸の不調にともなう身体のダルさは回復傾向。就寝中の排便数もグッと減り、起床後の気分はスッキリ。コーヒーを淹れたのちラジオを流しながら草刈り、シャワーを浴びる。朝の習慣を一つずつ取り戻していく。たぶん明日にはもっと早く起きられる。体操もできるだろう。小さな希望、楽観が集まって大きなエネルギーになる。歩く、走る、食べる、飲む。読む、聴く。些細な行為が積み重なって、つくられるものって何だろう。人柄? じゃなくて、もっと柔らかいことのような……。時間をかけて考えてみよう。

しかし、私は、日常生活ではきわめて保守的な人間で、一日を殆ど同じくり返し、同じペースで過ごさないと、身体の具合が悪くなってしまうのである。(小林信彦)(*1)

小林信彦『東京のロビンソン・クルーソー』の表題章を再読、この人、やっぱり変わってる。昭和39年以降の好景気にわく日本にあって「(これで、なんとか不況になるだろう……)」と念じていた人はどの程度いたのだろう。「やっぱり、大部分が体制順応派だと思う。ただ少数の、どうしても秩序の中に入っていけない」(*2)と書く人に居場所はあったのだろうか。

(*1)「東京のロビンソン・クルーソー」p.162 (*2)「私の早大事件」p.144

天久保1丁目〈Good Near Records〉ではセール開催中。買い物3000円で10%、5000円で20%割引になるらしい。目をつけてる盤は安くはないし、地味だから誰にも買われないとは思うのだけど、購める時機が来たのかも。

今日明日、明後日は13時開店。オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ。

2025/06/20

6/20 店日誌

6月20日、金曜日。胃腸の調子が悪い。就寝後も1時間に1回はトイレに立ち、ジャーっと用を足す。起きてても寝不足なのか、単に疲れてるだけのか、身体に力が入らない。仕事はできても強く踏み込めないもどかしさ。早朝の草刈、体操、コーヒーのローテーションもこなせずストレスが溜まる。これは夏バテ? 疲労の蓄積? 夜中のトイレで子供のころに寝冷えした記憶がよみがえった。向こう数日は酒を飲まず、遊びにも出かけず、最低限の業務をこなしていく。

今日も通常営業。お暇があればお出かけください。

2025/06/19

6/19 店日誌

6月19日、木曜日。6時半の体操を終えて、コーヒーを淹れる準備を始める。5年以上は買い続けている〈音楽と珈琲〉の豆が常時4種あり、最近では〈つるばみコーヒー〉のタンザニアがあるので、気分にまかせて電動ミルで挽いていく。お湯が沸くまでにレコード棚から1枚抜き出すのだが、ここが重要。今、これ聴いとかないと……など考えずに、直感を信じて針を降ろす。気分が一番、気候が二番、配置が三番。いくつかの要素が絡み合ってインスピレーションを生んでいる。

今朝はまず『Reggae For Lovers』、その次に『CUBA,que linda es CUBA』、『Puka Shells』って流れで聴いていって、気分よし。欲を出さずに選ぶのが大事なのだと思う。

定休の火曜日にインドネシアを中心にしたアジア広域に関する本をたくさん買い取った。芸術、舞踊、祭礼、映画、生物、植物など幅広いテーマの本があり、簡単にはまとめきれない。人類学や民族学にも触れる本も多いので、興味があれば見にきてほしい。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり!

2025/06/18

6/18 店日誌

6月18日、水曜日。この数日は4時過ぎに目が覚めている。インターネットの世界を遊泳しつつ、ラジオでNHK第一を流したり、ぼんやりしたのち5時半前に庭の草をチョキチョキと伐りだす。目を覚ました蚊を追っぱらいつつ、草をバサバサ払っていく。集中して15分から20分、ジワリと汗をかいたところでハサミに付いた草を手ぬぐいで拭って、早足で退散。蚊が集まってくる前に家に入ってシャワーを浴びる。サッと着替えてふーっとひと息。読みかけの本をぱらぱらめくる。

天気予報によれば、梅雨前線が消えてしまったらしく、今後しばらくは35度前後の気温が続くとのこと。去年はどうだったか? ブログを遡ってみると雨模様、一昨年は謎、先一昨年は代官山蔦屋書店で展示の搬入作業していた。なんと、あれから3年か。もっと、ずっと前のことのように感じられる。

なにかいい仕事をしたい。そういう気はどうしてもする。(…)金にならなくても、世に認められなくても、それどころではない。たとえ、損をしても世の嘲罵を浴びても、それでも尚したい、してしまう、しずにいられないというような、そういう全く自律的な仕事を指しているのである。(高田博厚)

代田橋〈バックパックブックス〉で買った、濱川博『現代のアウトサイダー』が面白い。まったく知らなかった高田博厚、名前だけ知っていた高橋新吉やバーナード・リーチの生き方に心が動く。偉人伝とは異なる描かれ方に共感して、興味が生まれる。名前だけでも記憶の片隅に留めておければ、あらたな出会いがあるはずだ。

今日明日、明後日は15時開店。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2025/06/17

6/17 雑記

それにしても暑い! まだ6月だってのに……。

2025/06/16

6/16 店日誌

という訳で、“とりとめもなく現在は流れる”というのは、別にとりとめもないという訳ではなく、流れないと思っていたものが気がつくと流れているから、その流れの方向性が見極められないというだけなのです。(橋本治)

6月16日、月曜日。橋本治『革命的半ズボン主義宣言』を読んでいてアチャーと思う。本書の第一部で「とりとめもなく現在は流れる」ってのはそれらしいだけのコピー言葉として例に挙げられていて、ダサくズルいものとして扱われているのだけど、いや待て自分は? テキトーに言葉を置いてごまかしてない? ……やってるのだ。例えば、昨日の日誌で、榎本空『音盤の来歴』に触れて「深く、しなやかに音楽愛が綴られている」と書いている。え、しなやか? どういうこと? ええっと、なんか柔らかくて権威主義的じゃなくて、身近に感じさせる……とかゴニョゴニョと応えることになる。

また例えば、11日(水)の日誌では「霊性のあるヴォーカルは書くまでもなく、特別だ」と書いてる。なんじゃそりゃ。書くまでもないなら書かなきゃいい。もしくは「ボブ・マーリーの声は特別だ」か「めちゃカッコいい」と書いときゃいいのだ。さも何かを言ってる風に振る舞おうとするから、ダサいのである。ああ、恥ずかしい。

先週から面白い本をつづけて読んでいる。上記した2冊のほかには荒川洋治『ぼくの文章読本』、西村賢太『下手に居丈高』、原武史『最終列車』。高妍『隙間 sukima』もよかったなァ。

さあさあ、真夏日。店内、できるだけ涼しくしておきます。

2025/06/15

6/15 店日誌

もし音楽に形があるなら、こんな形をしているのかもしれない。規則正しくまわり続ける黒いレコードの丸々としたフォルムを見ながら、そう思った。(榎本空)

6月15日、日曜日。できれば両面、せめて片面。レコードを聴いているうちはiPadを手に取らずに本を読みたい。組み合わせさえ上手くいけば時間が静かに流れていく。今朝はオクノ修『唄う人』を小さな音で流しながら、榎本空『音盤の来歴 針を落とす日々』を読んだのが正解で、ちょうどよく集中できた。後者を友人たちに薦められていたのが納得。深く、しなやかに音楽愛が綴られている。

アラン・トゥーサン、ライ・クーダー、レオン・レッドボーン、アレサ・フランクリンのこと、彼・彼女たちのレコードとどこで出会い、どんな風に針を落としてきたのか──著者の音盤の来歴を紐解くうちにウズウズしてくる。レコード屋に行きたい。それも、チェーン店でなく個人店。できれば歩道に面した路面店がいい。ジャンルはなんでもいいので、ちょうど良く落ち着いた音楽が流れている小さな店に出かけたい。

一昨日、13日は店を閉めてから東京、幡ヶ谷に出かけた。目的地〈Forest Limit〉のドアを開けるとNOOLIOさん! マサキ、ヨシダ、ニッタにチャーハンさん! 次から次に友人たちに顔を合わせる。ビールを買うために並んでいると、すぐそばにはエマーソン北村さん。今月中の再会を約束して姿勢を正す。わかっちゃいたけど「スーパーぽんぽこ山」は特別なパーティーだった。

今日明日も通常営業。引き続き、どうぞよろしく。

2025/06/14

6/14 店日誌

6月14日、土曜日。開けてます。

2025/06/13

6/13 店日誌

6月13日、金曜日。歩道をゆく彼を見つけて思わず駆け出す。高妍『隙間 sukima』を持って「これ、読んだ! 台湾のことなにも知らなかったよ」と伝えるとニコリと微笑んで「嬉しいです。この作者は若い人ですよ」と教えてくれる。彼以外にも台湾から留学していた友人はいたし、中国との関係について書いているのを目にしたこともあったけど、積極的に興味は持たず「大変だなー」と受け流していた。その点、『隙間』の大きな要素は台湾と沖縄、中国と日本の絡み合うさまを描いていること。やさしい絵なのだが、全体に漂う哀しみは強く、確かなものだった。

彼、と書いてて、彼の名前も知らないと気がつく。よく顔を合わせるから、次に会ったときに聞いてみよう。しっかり覚えて、その次からは名前で呼びかけられるようにできたらいい。

文章は読者を威圧することがあってはならない。だかこれはむずかしい。文章を書くよりむずかしいことかもしれない。それには何も書かないのが一番だとすら思う。書かなければ威圧にも荷物にもならない。(荒川洋治)*

図書館で借りてきた荒川洋治『ぼくの文章読本』を読み出して、考えさせられる。こんな風に毎日ここに書く必要などないのである。なにかを書くために他人を上げたり下げたりするのはおかしい。黙っている方がよほど良い。それをわかった上で書き続けるなら、よく考えて、よく観察しなくちゃいけない。うーむ、なかなか難しい。(*荒川洋治『ぼくの文章読本』所収「おかのうえの波」より)

今日も通常営業。通信販売や在庫確認など、お問い合わせはお気軽に。

2025/06/12

6/12 店日誌

阿房と云うのは、人の思わくに調子を合わせてそう云うだけの話で、自分で勿論阿房だなどと考えてはいない。用事がなければどこへも行ってはいけないと云うわけはない。なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う。(内田百閒)

6月12日、木曜日。なんと素晴らしい書き出しだろうか。内田百閒『阿房列車』(ちくま文庫版・内田百閒集成1)の冒頭、「特別阿房列車」に胸がときめく。さあ、グイグイ読むぞと意気込むと、これがなかなか難しい。テンポが合わない。切符を買うのに手こずり、同行者と問答したのち昼酒を飲み出す。ビールを飲むグループを嫌悪しながら、自分もウイスキーを飲む。なんとも狷介、偏屈な百閒なのだが、嫌ではない。むしろ面白いのだけれど、ページはなかなか進まない。

「時候がよくなって、天も地も明かるい。又阿房列車を運転しようと思う」。次なる「区間阿房列車」の書き出しも好ましくて、ワクワクする。でも、スムーズに読んでいける自信はない。約70ページ。焦らずに進もう。

ついさっきコンビニで見かけたポパイの特集は「僕らにちょうどいい古着」。自分は特別に古着が好きなわけじゃないけど、最近は〈古着屋may〉でしか服を買ってない。気取らず、気張らずに服を選べる環境があるのがありがたい。さて、「ちょうどいい古着」とは何なのか。値段? 品質? 年代? それらのバランスってことなのだろうか。

今日も通常営業。古本はもちろん、新譜や中古音源にも入荷あり。

2025/06/11

6/11 店日誌

驚異のリズム、爆発するロック。(…)ポップス史上でも、リズムに関しては最も革命的な1枚だが、全体の印象は地味。ここまでのアイランド作品がアグレッシヴだったのに対して、ちょっと引いてみせた、渋い通好みの作品とは言えまいか。(山名昇)

6月11日、水曜日。数日前に天久保1丁目〈Good Near Records〉で購入したボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ『ラスタマン・ヴァイブレーション』は確かに地味なのだが、厳選された音数もあってタイトな体感がある。耳に入ってくるのはアイ・スリーズの伸びやかなコーラス、チナ・スミスの手数の少ないギター・フレーズ、タイロン・ダウニーの機械的なキーボード。バレット兄弟のリズムの上で、隙間をつくって泳がせてみたって感じなのだろうか。霊性のあるヴォーカルは書くまでもなく、特別だ。

上に引いた山名昇の解説は、アンチョコ的に活用してる石井’EC’志津男(編)『レゲエ・ディスク・ガイド』の当該ページから。短くも的確、意外性もふくむテキストは「実はジャケットもこれが一番好きだ」と閉められる。

朝から本降り。こうなると店は暇だろうなあ。いい本たくさん買い取ってるんだけどなあ。ジメジメしてないだけ、よしとするべきか。オンライン・ストア〈平凡〉にどんどん古本をあげていくので、気が向いたら覗いてほしい。

今日明日、明後日は15時開店。些細なことでも、お問い合わせはお気軽に。

2025/06/10

6/10 雑記

ぼくは広告が嫌いだ。まだみんなが何も知らない時に、むりやりみんなに押しつけるようなやり方は好きじゃないんだ。いいレコードなら、自然といつのまにかみんなが聞くようになると思う。世に送り出し、時にまかせて、どうなるか成り行きを見守るのさ。(ウィリス・アラン・ラムゼイ)

あれはいつだったか。矢吹純から突然、レコードが送られてきた。ウィリス・アラン・ラムゼイという人が吹き込んだもので、緑地のジャケットにはニヤリとした本人と思われる写真のみ。いささか地味な印象をもったが、針を落として「いいじゃん」と思い、矢吹くんに感謝を伝えた。そのまま2〜3年は経っただろうか。今朝になって急に目に入ったレコードを聴いてみて、驚く。すごくいい。裏面記載の中川五郎の解説にも味わいがある。

ウィリス・アラン・ラムゼイのこうしたやり方は、確かに歌を大切にしたものだし、永続きするかも知れない。しかし一方、贅沢すぎる、あまりにもプロ意識に欠けているという批判も甘受しなければならないだろう。(…)早く新しい作品を聞かせてほしいものだ。(中川五郎)

けっきょく、この人──ウィリス・アラン・ラムゼイはこの1枚しかレコードを作らなかったらしい。小西康陽の連作エッセイ「レナード・コーエンの偽日記から。」にも似たような人物が描かれていた気がする。

2025/06/09

6/9 店日誌

私たちはどうしても、すべての行動を目標に向かう時間に置き換えてしまいます。大切なのは、この思考から脱却することです。つまりは「輸送(Transport)」から「徒歩旅行(Wayfarning)」への変化。

美しい夕陽を見かけると、すぐにスマートフォンを取り出して、写真を撮ってしまう。時間をかけて眺めたり、誰かに話したりすることもなく、ただ写真を撮ってそれで終わり。まるで、過去をゴミ箱に捨ててしまっているようです。(ティム・インゴルド)

6月9日、月曜日。3年前のある日、突然届いた大きな段ボール。入っていたのは『AFTER2025』という無料冊子だった。「AFTER2025は「ぶっちゃけ万博どうなん?」と「どうせやるんやったら……」のあいだを、今を生きる人たちの声をたよりに、うろうろしながら、あれこれやってみる試みです」。へええ、なるほど! こりゃ面白そうと読み出して、見つけたのが上記したティム・インゴルドへのインタビュー。なぜか今、思い出した。

東京五輪、大阪万博はなんだかんだで開催されて、おおむね成功みたいな風に片づけられていく。経済効果? 観光誘致? なんてスローガンだけが叫ばれて、国家的催事が行われていくのは好きじゃないけど、大きな声で反対するほどの興味もない。ああ、なんだかなあ。

6日から8日までの3日間、筑波大学で開催されていた「文化人類学会」に参加した人が何組か店に来てくれて、それぞれに手ごたえのあるやり取りができた気がする。ああした催しと営業が連動するのは初めてじゃないかな。

今日も通常営業。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2025/06/08

6/8 店日誌

6月8日、日曜日。店にきて値付け、品出し、オンライン・ストア用の写真を撮りながらラジオで「のど自慢」を聴いていたら12時51分。今日は青森県からの中継で、ゲストの王林が「踊るりんご」を歌っていて、次は山本譲二。やはりいい声。吉幾三がつくった「妻よありがとう」を熱唱している。ゲスト2人の参加者へのコメントには優しさがあり、みんな嬉しそうに話していた。さて、審査発表。特別賞は15番、「君は薔薇より美しい」を歌った人だ! よかったもんな〜!

ここ、前からありました? なんて聞かれることが増えている。もう12年、13年目になります……と応えると「え! 気づいてなかったー!」と反応される。そうやって話す人は大体いいお客さん。またお願いしますと声をかけて、送り出す。

今日明日の営業は13時から19時まで。古本入荷、めちゃ増えてます。

2025/06/07

6/7 店日誌

6月7日、土曜日。いい天気。気分よく自転車を走らせてると、前方を歩く長髪、ジーパン、ジャケットの男性が目に入る。オシャレな人だなーと追い抜くと、なんと! ベーヤマくんじゃん! フランス留学の合間をぬって、ビザ申請と文化人類学会参加のために一時帰国中とのこと。近しい間柄じゃないし、とくだん心配していたわけじゃないけど、なんとなく元気そうで安心した。いい雰囲気をまとっていた。

大学を抜けたのち、〈古着屋may〉で立ち話。夏に向けて、プリントTやポケットTシャツの種類が増えていて、店内の抜けがいい。最近、店にいて楽しいですか? なんて唐突かつ率直な問いかけにホソヤさんは丁寧に応えてくれる。そのうちにお客さんがきて、店を出てきた。

NOOLIO『SIDE.C Classics』の過去作を気まぐれに聴いている。どれも本当によく出来てる。曲と曲とが繋がって生まれる空気、相互に作用するヴァイブレーション、全体のイメージ作りにブレがないから流していて気持ちがいいんだな。

今日明日、明後日は通常営業! お暇があればお出かけください。

2025/06/06

6/6 店日誌

ヴァイオリン、クラリネットなど、アフリカから連れてこられた黒人奴隷に全く縁のない楽器が、カリプソ創世記の十八世紀末にトリニダッドやジャマイカで使われたのは、そこにある楽器を使う、という極く当たり前な発想からだった。(…)これと同じ事が、戦後の河内の盆踊りで起きたのだ。(鷲巣功)

6月6日、金曜日。鷲巣功『河内音頭』に触発されて、『Port of Spain Shuffle』に針を降ろす。副題に「Black Music n Britain in the early 1950’s」とある通り、トリニダッドやジャマイカで録音されたものじゃないのだけれど、カリプソが沢山入ってる。この盤は、山名昇『Blue Beat Bop!』の序章で紹介されていたので知って、買ったはず──「イギリスに渡ってきていたカリプソニアンたちが録音したものだ。もちろん、ここで聞かれる音楽も、ブルー・ビートと呼ばれるスタイルの先駆けである」(「山名昇「トゥイスト、ボール、ジャム、スカ!」)

そのままパラパラと『BBB!』のページをめくっていると、知った写真のコラージュを発見。クランシー・エックルズだ。なるほど、だからリユース店で見つけた『ROCK STEADY INTENSIFIED!』のジャケットにピンときたのか。この人が「68年には、リー・ペリーの巨大ヒット’People Funny Bou’をアレンジで手助け」していたと知る。

さてインターネット環境が行き渡ったとは言え、河内音頭の世界はそれが全てではない。(…)わたしには、音と灯りを頼りに「あ、あそこだよ、あそこで演ってる」と、ようやく辿り着いた経験が生々しく残っている。(鷲巣功)

音楽に関することほどインターネットだけじゃ調べきれない。サブスクで耳には入れられても、体験としての厚みは感じづらい。ライナーノーツや書籍、雑誌をひもといて時間をかけて知っていく作業を経ないと、身体に残るものは多くない。年始にヒデさんが書いてくれたことを思い出す。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を〜!

2025/06/05

6/5 店日誌

6月5日、木曜日。今の時期、朝7時台に聴くレゲエが気持ちいい。先月に入荷、紹介した『DREAD IN SESSION』『REGGAE FOR LOVERS』を流すと、心身がぐーんと伸びるようで気分がいい。風に肌を撫でられたみたいな心地良さ。夏でもなく梅雨とも言えない、微妙な季節特有のほのかな脱力感にぴったり寄り添ってくれる。売らんかな! ってノリの営業目的ではなく、率直な実感である。どっちもいいレコードなんだよなあ。

ブルース・バスターズを知らない人たちのために簡単に言っておくと、ブルース・バスターズは、ジャマイカのサム・アンド・デイヴだと思ってもらえればいい。(渡辺浩司)*

じゃあ、次に針を降ろすのは……ブルース・バスターズ『フィリップ&ロイド』である。メロウでソフトな演奏に乗るスウィートなコーラスワーク、これぞロックステディ。本作のことは去年の5月にも書いている。(*『BLUE BEAT BOP!』所収「ブルース・バスターズ」より)

じわじわと暑くなってきて蚊も増えた。いかんせん目の前が林(実際は大学だけど)だから、虫の発生は避けられない。そろそろ梅雨になるのかな。とかなんとか言ってるうちに猛暑がきちゃう気もするぞ。

今日も通常営業。古本の入荷多数、またまた店が本だらけ。

2025/06/04

6/4 店日誌

僕は、色川さんのどの文章からも、「ぐにゃっと柔らかい、しかしごりごりした存在感の塊」を感じる。作家だなあ、とつくづく思う。(佐伯一麦)

6月4日、水曜日。この数日で紐解いた本では、田畑書店編集部(編)『色川武大という生き方』がいちばんだった。33人の追悼文をまとめたものなのだが、読むうちに色川武大の姿がぬらっと立ち上がるようで、穏やかながら迫力がある。上に引いた、佐伯一麦「『狂人日記』と私」はすらすら読めて、アクもある名文。「お互い何もしていない。何をしたらいいか分からない。でも──。と感じ、思いつつ曖昧に生きている」と始まる、山際素男「色川武大という男」も味わい深い。

何も求めず散歩に出かけてみると、どういう訳かその瞬間から、ゆっくりと時間が流れ始めます。おのずと気持ちが豊かになり、忘れてしまった懐かしいものを見つけたり、雲の流れに心地良さを感じられたりもするでしょう。(谷口ジロー)

谷口ジロー『歩くひと』もいい。ページを眺めるだけで心が広がり、満たされるのは、散歩でしか味わえない時間の流れが描かれているから。街の空気、風の感触までを感じさせる漫画はそんなに多くないだろう。

いま、読んでいるのは鷲巣功『河内音頭』で、たぶん5年ぶりの再読。「日本の音楽文化論に一石を投じる快著」という惹句に偽りなし。五木田智央の装画も含めて、スゲー本。

今日明日、明後日は15時開店。お暇があれば、ご来店ください。

2025/06/03

6/3 雑記

朝いちばんで近所の保険センターで健康診断。ひと通りの検査を終えると10時ちょい過ぎ。帰り道に〈つるばみコーヒー〉で一服、店主と話してじゃあ、またね! と歩き出すと赤いフォルクスワーゲンが走ってくる。最近よく見る車だなーと思ってると「うえださーん」と声がかかる。なんとまあ、友人たちが乗る、よく見る車そのものだった。その場で拾われ、再度〈つるばみコーヒー〉に。同行2人がコーヒー豆を購入したのち、流れのまま北条の〈栄楽〉に向かう。

何年も噂だけ聞いていたラーメン屋。こんな店がつくば市内にあったのか……驚きつつ、ラーメンをすする。ひとかけらも予期してしてなかった展開に、静かに唸る。偶然を引き寄せるのは、ちょっとしたタイミング。なかなか面白い休日だった。

2025/06/02

6/2 店日誌

6月2日、月曜日。つくづくポケットライブラリ『趣味のほとりで』発売記念、編集人・金井タオルの即売会は盛況のもと無事終了! 遠方から足を運んでくれた人、たまたま通りがかった人、いつものお客さんなど、いろんな人と話ができた。突発的な企画だったのだけど、滞りなく進められたのは金井さんとの信頼関係あってこそ。当日限定のオマケを付けてくれたり、いろいろな配慮、工夫にも感謝している(お約束の飲み会も楽しかった……かな)。

今日も通常営業。オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ。

2025/06/01

6/1 店日誌

ずっとプライムでいたいと言いたいところですが、リアルに30歳くらいかな。ちゃんと人としてもかっこよくなったときに、同時にかっこいいスケーターでいたいです。(鎧碧斗)

それぞれの仕事や家庭を抱えて、それぞれの環境で経験値を積み重ねて、ここまで右往左往スケートボードをしながら生きてきました。その経験値に勝るものはありません。スキル云々じゃなくて、半世紀スケートボードと一緒に人生を生き抜いてきたソルジャーだからこそ見える景色。(EIJI MORITA)

6月1日、日曜日。届きたての『Sb』4-44号を読んでいて、元気が出た。清々しい。好きなら好きでいいじゃんか。対象との距離が変わっても、好きなままなら続けていける。毎日じゃなくていい、週に数回、年に数回になるかもしれないけど、気持ちを残せていればいい。めちゃくちゃ当たり前のこと過ぎて、誰も言わないことが書いてある。ローカルでインディペンデントなんて普通のこと。カッコつけの道具じゃないのだ。

年を重ねていくのに恐怖がないとは言い切れない。いや、正直に吐露すれば、けっこう怖い。現実が迫ってくるのは目に見えてるし、刺激に対して鈍感になっていく気もする。つまらない大人になるには嫌だな〜と思うほど、老け込んでいくのかな。したり顔して生きたきゃないよな。

『Sb』が読み物として優れてるとか、鋭いなんて言うつもりはないけれど、スケーターたちを取り上げて商業誌として成立しているのが好ましい。金は大事だ。だけど、金じゃ買えないものがあると体感するのは、もっと大事だ。(……じゃあ、オレも! がんばらなきゃダメじゃんか!)

てなわけで、今日は金井タオルの即売会! ぜひお出かけください。

2025/05/31

5/31 店日誌


5月31日、土曜日。今月は長かった。ゴールデンウィークなんて遥か昔のことのようだし、暑くなったり寒かったりで季節感もどうもおかしい(雨と肌寒さで終わるとは月頭は想像してなかったヨ……)。前のめりに時間を捉えて、区切りたい人が「今年も残すところあと半分」なんて言い出すのは目に見えているけど、まだまだ半分。ようやく前半が終わったところ。やれることは沢山ある。欲張りすぎず、関わりすぎず、目の前のことを片付けていけたらいい。ちょい長めの展望が持てたら、もっといい。

あなたの趣味は何ですか? 私の趣味は、小冊子を作ること。また、そこに掲載するために友人・知人と雑談を交わし、収録した音声を文字に起こして再構成すること。あとは、日々のなかで考えた事柄を雑文として書き散らすこと。(金井タオル)

明日は雑誌『つくづく』編集人・金井タオルが終日在店、最新号となる『趣味のほとりで』(つくづくポケットライブラリ)の即売会を開催。ライター、ポストカードのオマケと、金井さんの解説付きの直販企画。イベントっていうノリじゃなく、ちょっと賑やかな通常営業というイメージですので、お気軽にお出かけください。

入荷ホヤホヤの、DJ PIN『SWEET LEAF at Colors』への反応が多くて、励みになる。心地よいわけじゃなく、刺激と実験、即興と挑発が入り乱れたライブ録音。すっっっっっげー! としか言えないのだけど、面白いのだ。

今日明日、明後日は13時開店。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2025/05/30

5/30 店日誌

5月30日、金曜日。配布中の「ピープルブックストア日報」は15号目、2024年2月24日(土)から3月17日(日)までが記録されている。3月末に予定していた鹿児島出張が迫ってきてウズウズしつつ、準備をしていた頃。これといって特別なことは書かれてないし、生産的とも言い切れず、感動の場面などあるわけがない。部分的にでも共感してくれる人がいれば嬉しいのだけど、どうだろうか。

中年になるとあっという間に時が経つ。たぶん記憶力の低下も関係している。すぐ忘れるから、十年くらい前がわりと最近のことのようにおもえるのかもしれない。(荻原魚雷)

高松市在住の福田賢治さんが編む『些末事研究』は刊行されて10年、10号目。特集は「中年の十年」。若者の十年とはまったく異なる時間の流れ。前向きでも後向きでもなく、無理矢理に明るく見せるわけでなく、それぞれの実感を伝えてくれる。

この数日、新刊と新譜の入荷が多い。その分、古本買取の数が減ったけれど、ちょうどいいバランス。安い、高いの判断は人それぞれ。共有される情報よりも個人の感性、言語化できない閃きを優先するのもいいのでは。

今週末は通常営業。お暇があればご来店ください。

2025/05/29

5/29 店日誌

5月29日、木曜日。作詞家・松本隆が手がけた楽曲のカバー集『でもしあわせなんて何を持ってるかじゃなくて何を欲しがるかだぜ』がとてもいい。池間由布子が歌う1曲目「かくれんぼ」は長尺のサイケデリック・ヴァージョン! 低くうねるギターフレーズ、途中でコラージュされるサウンドもめちゃくちゃカッコいい。その後も吉田省念、ベーブルース、ohhki、長谷川健一、AUX、ふちがみとふなと、山本精一、テニスコーツ、mmmと一筋縄ではいかないメンツが揃っている。

ジャケット画は林静一、歌詞カード印刷は小田晶房(hand saw press Kyoto)、企画は山下賢二(ホホホ座浄土寺店)。「喫茶店で松本隆さんから聞いた秘話」と題されたミニインタビューも収録されていて、端々まで抜けのない力作。大充実の内容と言っていい。

このほか、NOOLIO氏が手がけたDJ PIN『SWEET LEAF at Colors』(これが凄い! 宇宙的厚みを持つスーパーミックス!)や広島〈STEREO RECORDS〉からリリースされたHiroshi Morikawa『untitled 65.7』も到着。

てなわけで、今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ!

2025/05/28

5/28 店日誌

5月28日、水曜日。先週は暑かった。歩けば汗だく。なじみの飲食店では冷房をつけていたし、扇風機を出している店もあった。レゲエ、ロックステディはモワッとした空気のなかで聴くのがいちばんだね〜と居合わせた友人と話していた状況から一転、今週は涼しい。少なくとも、暑くない。1週間でこんなにも気温、湿度がちがうってことに驚かされる。最近は気候に翻弄されっぱなしなのである。

(上段を書いたのは午前中。今は14時5分。日差しが強くてけっこう暑い。湿度が高くなくて歩くのにはちょうどいい。なんとなくゴールデンウィークっぽい。今日は扇風機を出そうかな。)

1969年5月15日に愛宕警察署の留置場から、東京・巣鴨(当時)の東京拘置所に移された永山則夫は、7月2日に大学ノートへの筆記が許可され、『無知の涙』の執筆を始める。それから28年間にわたって、膨大な量の「ノート」を書き残したのである。それを支えたのは、想像を絶する大量の読書だった。(佐木隆三)

仕入れたばかりの永山則夫『文章学ノート』をぱらぱらとめくって言葉を失う。なんという読書量だろうか。トルストイ、野田知佑、柴田錬三郎、渋谷陽一、椎名誠、開高健、神津カンナ、吉本ばなな、宗田理、サルトル、ドストエフスキー……と書き出すとキリがない。永山則夫は戦後社会を象徴する人物の1人なのだと思う。

今日明日、明後日は15時開店。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2025/05/27

5/27 雑記

注文していた自転車を受け取り、ドラッグストアに走る途中で蕎麦屋を発見、ものは試しと入ってみる。昼のみの営業でメニューは4種。酒なし。潔くさっぱりした店に好印象を得る。金宮を1本持って〈古着屋may〉で借りていた自転車を返却。店主ホソヤさんと軽く話して、店から家までサッと走る。オンライン・ストアに本をあげる準備をしてから、レコード、コーヒー。庭の草刈り。近所の〈つるばみコーヒー〉で談笑したのち、公園でちょいとビールを飲む。気楽な休日。

2025/05/26

5/26 店日誌

5月26日、月曜日。平野公子さんが載っていると知って、店にくる途中に『暮しの手帖』を買ってきた。「公子さんのいわと寄席」と題された7ページの記事はとてもいい内容で、読んでいてちょびっと泣きそうなる。「それじゃあ会社員じゃん。つまんないな、そうじゃないんだよな、と(笑)」「寄席をやるって、やっぱり、ものすごく楽しい。なんであんなに楽しいのかしら」「二度と『同じこと』はないんです」とか、公子さんらしい言葉が散らばっていて、嬉しくなる。

読後に頭に浮かんだのは、『就職しないで生きるには』。つい最近、再刊されたレイモンド・マンゴーの著作なのだが、新装なった書影を見てもまったくときめかない。「働き方・ライフスタイル本の原点」「仕事と生き方に悩むすべての人に」なんて惹句に興ざめする。そういう本じゃないんだよなあ、真面目に考えるもんじゃないんだよなあ、どうも違うんだよなあ……モヤモヤしている。

それこそ「つまんないな、そうじゃないんだよな」って感覚をたよりに動き続ける公子さんのインタビューを読む方が参考になる。「街を歩きながら、どこかいい場所はないか、私だって今も探してます」って感じで、面白いことを探せばいい。ノウハウやハウ・トゥーに収めきれない生き方に、自分はつよく惹かれている。

※5/27追記:なんだかんだと書いたけれど、不当なまでに高くなっていた旧版が買いやすくなるのなら再刊も喜ばしい。でも、できるのなら新訳で出してほしかったなァ……。

今日も通常営業。お暇があればご来店ください。

2025/05/25

5/25 店日誌

5月25日、日曜日。クレム・ブシェイとカール・バートが手がけた「史上初のラヴァーズ・アルバム」とも言われる『Reggae For Lovers』に針を降ろすと、甘いヴォーカル、暖かなリディムが流れ出す。なるほど、こりゃ良いぞ……と聴き出すと何かおかしい。裏面記載の曲順とレコードに刻まれている曲がかなり違う。「Living In The Footstes」で、あれ? と感じて「Let’s Get It On」が始まって確信する。これじゃまるでシャッフル。素晴らしい内容だけにもったいない。じっくり耳を傾けて、正式な曲順に並びかえようと思い立つ。

A面1曲目は「Oh Girl」(クレジットではA3:以下、カッコ内表記が裏ジャケの曲順)。ボブ・デイヴィス、カール・バート、ジャッキー・パリスのコーラスはとろとろに溶けそうなほど甘い。名曲「Living In The Footsteps」(B4)でリズムが弾み、「Tears Falling In My Sleep」(A4)はドゥーワップ~ソウル。シマロンズをバックにカール・バートが歌い上げる、大ネタ「Let’s Get It On」(A1)はメロウ・レゲエ。やんわりとダブ感のある「Something Gotten Hold Of My Heart」(A5)は記載通りの曲順で、「A Simple Lover Of A Woman」(B5)は軽やかなロックステディ。

B面冒頭はジュニア・イングリッシュ歌唱の「Loving Girl」(B1)、『DREAD IN SESSION』ではブシェイが歌っていたキュートなロックステディ。続く「After The Storm」(B3)でジャッキー・パリスが再登場、タメの効いた渋いレゲエを聴かせてくれる。「Slipping Into Darkness」(B2)はキラー・リディムにコーラスが重なる名曲、うねるベースがカッコいい。これまたキュートな「Sha La La La Lee」(A2)がようやく登場。「Foot Steps Dub」(A6)は「Living In Footsteps」のダブ・インスト、反復するリディムに奇妙な味がある「Who Told You」(B6)で幕引き。

整理すると、A面は「Oh Girl」→「Living In The Footsteps」→「Tears Falling In My Sleep」→「Let’s Get It On」→「Something Gotten Hold On My Heart」→「A Simple Lover Of A Woman」という流れで、B面は「Loving Girl」→「After The Storm」→「Slipping Into Darkness」→「Sha La La La Lee」→「Foot Steps Dub」→「Who Told You」となる。

何度か聴くうちに確信したのは、本作はジャンルとしての「ラヴァーズ・ロック」をまとめたのではなく、言葉通りの「レゲエ・フォー・ラヴァーズ(恋人たちのレゲエ・ソングス)」なのだということ。甘いコーラスとダンスを誘う軽やかなリディム、メロウでスウィートなレゲエ&ロックステディがつまった12曲。悪いわけがないのである。

てなわけで、今日もレゲエを聴きつつ営業中! 暑くなるのかな……。

2025/05/24

5/24 店日誌

5月24日、土曜日。ボニー・‘プリンス’・ビリーを聴いている。今朝はまず『master and everyone』に針を降ろした。平坦だけれどいい曲が多くて、聴いていると、ゆっくり時間が流れていく。次に聴いたのはThree Queens in Mourningというバンドとの2枚組スプリット。回転数の記載がなく、はじめて聴いたときは心底たまげた(33回転で)。これが新曲か……と動揺したのだが、正しい速度にすると、穏やかでまっすぐ。普通にいい曲。久しぶりに聴いてもウットリさせられた。『Hello Joy』と題された4曲入りE.P。

流れのまま、Three Queens in Mourningの盤を聴いていて、気がつく。Bonnie ‘prince’ BillyことWill Oldhamの楽曲だけが歌われている。「I See A Darkness」からはじまるB面の展開は特に素晴らしく、なぜ気がつかなったのか不思議に思う。こちらは『Hello Follow』と題されている。

遅い時間から演奏が始まり、お客は思い思いに楽しむ。夜が深い時間になってくるとDJがいい音楽を流し始める。こういう場所で私も演奏したいと思った。こういう場所を求めていた。自分の居場所を見つけたと思った。(見汐麻衣)

引き続き、見汐麻衣『寿司日乗 2020▶︎2022 東京』を読む。「2021年12月31日(木)」内の2000年11月にロンドンで観たTeenage Funclubのギグの描写がとてもいい。「場所も、人も、時間も上書きしたくない」って気持ち、分かる気がするんだよなあ。

今日も新刊入荷の予定あり。13時から20時まで開けてます。

2025/05/23

5/23 店日誌

5月23日、金曜日。涼しい。天気予報によれば平年並みかちょっと低め、4月下旬程度の気温とのこと。急激に暑くなり冷房をつけたと思ったら、ちょっとした上着が必要になる。こんなにも激しく温度が上下することあったかな……と考えても仕方ない。身体は軽く、歩くのにもちょうどいいのだ。気分よく過ごすための工夫を重ねていけばいい。人にやさしく。情熱の薔薇。なぜか、ブルーハーツが頭で流れる。

10時半起床。珈琲を淹れ、そのまま作業。14時、昼飯。後15時〜19時半まで再び作業。今日はあっという間に時間が経つ感覚があったけれど、充足感はない。19時半過ぎ、適当に晩飯をすませて横になる。前進しているのか停滞しているのかもよくわからない1日。(見汐麻衣)

見汐麻衣『寿司日乗 2020▶︎2022 東京』を読んでいる。上記したのは「2021年3月9日(火) 曇」の冒頭部分。この後に引用される中川一政の書「我は駄目だと思うときもある やってゆかうという時もある」って言葉が何度か出てくる。見汐さんは向田邦子の随筆で知ったらしい。「前進しているのか停滞しているのかもよくわからない」状態を繰り返しながら、みんな生きてるんだな。

レコードの片面が終わらないうちはインターネットにアクセスしない。そう決めるだけで、本が読める。音楽が聴ける。たかが15分ちょいであっても、意識しないと自由になれない。やはり歩くのがいちばんなのだ(スマートフォンを持ってないから)。

今日も通常営業。お暇があればご来店ください。

2025/05/22

5/22 店日誌

5月22日、木曜日。各地から荷物が届く。朝、ポストに入っていたのが、小栗誠史『一色海岸書店』。昼過ぎにはずぼっと刺さったレターパックライトを見つける。中身はTINY STEP “SOUTHSIDE”TRIO『10:02pm/Ain’t No Sunshine』の7インチ・シングル。開店準備中に届いた箱には「ビール2杯分のアテ」を標榜する『ATHE』(サンプル)が入っていて、ちょっと間をおいて見汐麻衣『寿司日乗 2020▶︎2022 東京』も受け取る。その最中にイラストレーターのTact Satoがやってきてカパッとビールを飲み始める。

暑いけどいい天気。冷房はつけずにレゲエ、ロックステディを流して扇風機をスイッチオン。お客さんが暑そうにしてたら対応すればいい。……が、しばらく誰も来ないまま、店内にはタクトくんだけ。そのうちに友人カトウくんも来て、話に合流。もう、今日はこれでいいかな〜とか思ってると、お客さん。JJJのTシャツを着た若者が本を買っていく。

19時過ぎに顔を出した〈古着屋may〉のホソヤさん、カトウくん、タクトくん、それぞれの会計を済まして、閉店。最近の水曜日はこんな感じで終わっていく。今日はどんな日になるだろうか。

今日も通常営業。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2025/05/21

5/21 店日誌

5月21日、水曜日。暑い。歩くと汗がとまらない。ジワジワ、ダラダラ、ベタベタだ。できるだけ余裕をもって移動したいのだが、こうなるとたまらない。早く目的地に着いて一息入れたい。着替えたい。なんならシャワーを浴びて、昼寝がしたい。梅雨前だってのに、なんでこんなに暑いのか。ほんとに気持ちのいい時期は一瞬。あっという間に通り過ぎちゃうんだよなあ。

カフェに仕込みにきたサトちゃんにキャベツをひと玉渡す。郵便受けには〈元・ウサギノフクシュウ〉の小栗さんからの嬉しい小包。ラジカセからはロックステディ。アヂーだのなんだの言っても、ちょっとの出来事で気分はよくなる。単純な人間なのである。

オンライン・ストア〈平凡〉はもちろん、メール経由での直通販も大歓迎。在庫確認などのお問い合わせはお気軽に(ただ、レコードの普通郵便での発送は遠方だとけっこう時間がかかるので、ご注意を)。

今日明日、明後日は15時開店。今週もどうぞよろしく。

2025/05/20

5/20 雑記

近所の〈つるばみコーヒー〉で豆を買って、店主とおしゃべり。布団を干して、庭の草を刈り、陽の高いうちに風呂に入った。気楽な休日。

2025/05/19

5/19 店日誌

5月19日、月曜日。涼しい。半袖で出歩くのは心もとない気温である。ちょろっと雨も舞ったりするのだが、傘を持つのは面倒くさい。どんな装備で出かけるか逡巡するも、ままよ! と手ぶらで歩き出す。5分、10分と歩を進めると身体があたたまり、リズムが出てくる。15分も経てばいい気分。ちょうど昼休みだったのか、筑波大は人がたくさん。留学生の多くは軽装で、日本人の学生たちはシャツやなんやら、しっかり服を着ている印象を持った。

*

昨夜、天久保1丁目〈Club OctBaSS/Bar DISOS〉で行われた「Good Nears」は大充実のグッドパーティー。チヨリ&ヤマーン、東金バイパス、アイワビーツ、イースタン・ピーのライブを近所で観られるってのは幸運だ。……特に、アイワビーツのDJは近年屈指の衝撃。プレイ中、自分は石化されたように身動きが取れなくなる。ルーツ・レゲエ、ロックステディの名曲をスクリューにすると、ああなるのか。まるでジャー・シャカのようだった。

東金バイパスもカッコいい! あの2人には理屈じゃなく共感できる。輪郭の定まったヒップホップ。90年代〜00年代を通過してるからかな、なにか「わかる!」って感じがあるのだ。

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今日も通常営業。お暇があればお出かけください。

2025/05/18

5/18 店日誌

5月18日、日曜日。いやあ、蒸し暑い。10分も歩けば汗がにじみ、喉がかわく。建物に入ると冷房が効いてて気持ちがいい。梅雨の準備期間みたいな湿度で、これからもっともっと暑くなって、雨も降るんだぞ〜と脅されている気分になる。ジメジメ、ネトネトの気候がやってくると思うと今から憂鬱だ。……なんて言ってても仕方ない! こうなりゃ、それなりにやっていくしかないのである。元気に、とは言わずとも、どんよりせずに過ごしていこう。

今日明日の営業は13時から19時まで。本の買取など、お問い合わせはお気軽に。

2025/05/17

5/17 店日誌

5月17日、土曜日。雨よ、もうちょい加減してくれないか。道路のあちこちに大きな水たまりができていて、車が通るとバシャッと水が撥ねてヒヤヒヤするんだ。風よ、こんな日は少しだけ静かにしてほしい。横殴りの雨で傘の役目が奪われる。歩いているとTシャツ、ジーパン、スニーカーまでびしょ濡れだ。自転車に乗る若者よ、傘差し運転とヘッドフォンの組み合わせはやめようじゃないか。周りの動きを観察しながら走るのが、自転車と車のマナーだと思うんだ。

いやあ、まったく。こんな天気で来てくれる人はいるのだろうか。週末の催事、個人店泣かせの空模様。雨風を嘆いても仕方がないのだが、黙ってるのもやりきれない。ああ、まったく。こればっかりはどうしようもない。静かに本を読んでいようか。

店内、古本の入荷多数。100円~300円~500円の均一価格のもの、ちょっと珍しいもの、最近出たばかりの雑誌などがあり。オンライン・ストア〈平凡〉で買える本もあるので、気が向いたら覗いてみてほしい。

今日明日、明後日は13時開店。通信販売、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2025/05/16

5/16 店日誌

90年代まではあったものの多くが、ひとつずつ、しらみつぶしに消されていくような大波が、01年以降、幾度か世を洗っていったようにも思える。それでもなんとか、持ち堪えている文化も、街もまだある。なによりも、人がいる。滅多なことでは「へこたれない」人々が。(川崎大助)

5月16日、金曜日。届きたての新刊、川崎大助『夢のかなたの街』をひと息に読み切る。「いろんな街の記憶、あるいは感興が、虚実ないまぜになったまま、僕のなかにある」と書き出される「はじめに」にややたじろぐも、2000年代の渋谷に始まる本編を読み出すと、勢いがついて止まらない。ロンドン、大阪、ホノルル、ボストン、ユジノサハリンスク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、下北沢、ニューヨークと舞台を移し、それぞれの地で会った人、遭遇した出来事が綴られていく。

この本は著者の随想? 世界各地の街のカルチャーガイド? フィクションの混ざった短篇小説? 複数の要素をはらみながら、90年代から00年代初頭までの街の空気をスケッチしていく手法に触れるうち、野暮な分類は諦めた。好きに読めばいい。こんな説明でどうかと思うけど、とても面白い本なので、ぜひ手にしてほしい。

ツイッター(現エックス)が言論の場だとすると、自分はまったく使いこなせていない。他者のテキストを熟読することは多くなく、自らの意思表示も怠っている。使用意図のほぼ100%が販売促進。来店に繋がるきっかけが作れれば充分だ。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。