2025/11/24

11/24 店日誌


そういえば、前に、あるジャズ喫茶でウィントン・ケリーがかかっていて、なんだか心にしみた。少しも難しくなくて、通り雨のように降りかかってくる。愁いをふくんでいながら、ハッピーで、粋。そんな彼が四十前で亡くなっていたのが意外だ。(佐伯誠)

11月24日、月曜日。佐伯誠『ジャズと自由は手をつないでいく』は変わった本だ。ページに対しての文字数は少ないのだけど、物足りなさは感じさせない。むしろ、言葉が少ないからこそ膨らむイメージがある。がばりとページを開いて、目に入った言葉を拾う。例えば───「そう、年季の入ったタフな奴を泣かせるのはジャズだけだ」「都会で道に迷うのは、べつに大したことじゃない。むしろ、よろこぶべきことだよ」だとか。

傷んだもの、すり減ったもの、凹んだもの、ヒビの入ったもの……欠損をマイナスに見ないで、趣として愛でる。それは、事物の変化を、見逃さないように、五感をとぎすますということ。モノの核心、モノの精粋 quintessence を見抜く力をみがくこと。

ふっと頭に浮かんで「45rpm studio」の2017年のカタログをひっぱり出す(8年前のリリース時に河野友花さんが送ってくれたのだ)。セピア色の写真に組み合わさる佐伯誠さんのテキストには独特のビートがあって、バシバシ心に響いてくる。いわく「感動というものは、触知した一瞬と少しズレて湧き上がるものだ」。

ステッカー新色の効果なのか、オンライン・ストア〈平凡〉の注文が絶えない。あっという間に完売した『日めくりジャズ』はじめ、品切のものも遠からず補充する予定なので、引き続き注目してほしい。

今日は……もしかすると、18時に閉めるかも。ご来店はお早めに。

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