2023/11/22

『店の名はイズコ』

レコードや古物を買い集め、売り渡す、人から人へ、物が渡るときに触れ合ったり触れ合わなかったりする心と場所の話。店ってなに? 人と、物と、場所の事情が生んだ、不思議な話をいろいろ書きました、ユニークなできごと、哀しい話、優しい話を思い起こして綴りました。

田口史人『店の名はイズコ』が届きました。
うーん、これはいい本! 東京都高円寺と長野県伊那市で〈黒猫(旧・円盤)〉を営む田口史人さんの自主制作本、テーマは「店」。中古レコードをはじめとする古物を扱う個性的な店々で出会った人、時間、レコードとの逸話を綴っています。例えば「入店と同時に閉まってしまう店」や「バイトが悲鳴を上げている店」、「レコードが法外に高い店」なんかの風変わりな店も登場。とは言え、それらの場所をコケにせず、ネタにして読み手を笑わせようともしないから、この本は素晴らしい。

当人にとってそのときに「一万円の価値がある」と感じて出した一万円は圧倒的に正しい。価格とは価値と価値の交換なのだから。この店での体験は、その後、経済と価値のことを考える時にいつも思い出してしまう。(「価値について」)

一編ずつがちょうどいい文量で読みやすく、そのなかに一つはジーンと沁みる言葉だったり、鋭い洞察が含まれている。すいすい読めるのだけど、繰り返し紐解きたい暖かみのある時間も流れています。

販売価格は1650円(税込)。当店の定番『あんころごはん』も再入荷。

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