レコ
田口史人『店の名はイズコ』が届きました。
うーん、これはいい本! 東京都高円寺と長野県伊那市で〈黒猫(旧・円盤)〉を営む田口史人さんの自主制作本、テーマは「店」。中古レコードをはじめとする古物を扱う個性的な店々で出会った人、時間、レコードとの逸話を綴っています。例えば「入店と同時に閉まってしまう店」や「バイトが悲鳴を上げている店」、「レコードが法外に高い店」なんかの風変わりな店も登場。とは言え、それらの場所をコケにせず、ネタにして読み手を笑わせようともしないから、この本は素晴らしい。
当人にとってそのときに「一万円の価値がある」と感じて出した一万円は圧倒的に正しい。価格とは価値と価値の交換なのだから。この店での体験は、その後、経済と価値のことを考える時にいつも思い出してしまう。(「価値について」)
一編ずつがちょうどいい文量で読みやすく、そのなかに一つはジーンと沁みる言葉だったり、鋭い洞察が含まれている。すいすい読めるのだけど、繰り返し紐解きたい暖かみのある時間も流れています。
販売価格は1650円(税込)。当店の定番『あんころごはん』も再入荷。
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