本でも音楽でも映画でも、自分がほんとうにいいとおもえるものに出あったとき、それをもっと深く理解したいとおもって言葉にし、誰かに伝えたくなる。批評の喜びは、そういう気持と無縁ではないとおもう。(「批評のこと」)
店が暇だった土曜日の夜、何か気楽に読める本がないかなーと手に取ったのが、荻原魚雷『本と怠け者』。2011年に刊行されてすぐ買って、何度となく読んでいるが、通読したのは久しぶり。天野忠、古山高麗雄、梅崎春生、菅原克己、等々この本をきっかけに名前を知り、興味を持った作家は多い。
これまで以上の読み味があったのは、歳をとったからなのか。特に、著者本人が「批評三部作」と呼ぶ3編。「限度の自覚」「精神の緊張度」「批評のこと」で引かれた文章、書かれた言葉に触れて、考えてしまった。渋さ、巧さに憧れるのは簡単だが、自分なりの切り口を持たなければ、つまらない。それっぽく振る舞っていたら、変化は起きない。
退屈や停滞に便乗して、安全地帯に留まろうとする自分に気がついてしまった。今こそ、感動や情動にまっすぐ向き合わねば。好奇心に忠実に。ユーモアを忘れずに。あれこれ手を出してみて、とっ散らかってもいいんじゃないか。
そんなわけで、とびぬけた感性を持つ方が薦めてくれた、ヴィヴ・アルバーティン『服 服 服、音楽 音楽 音楽、ボーイズ ボーイズ ボーイズ』を買ってきた。読むぜ。おもいっきり飛び込むぜ。
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