2020/03/21

<PEOPLE'S PARK-CINNAMON MEETING->開催記念放談 PART2

「魅惑のオンラインショップ」、〈パライソレコード〉にもフライヤーが!(植田)

3月22日(日)に開催される「PEOPLE’S PARK -CINNAMON MEETING-」。つくばの書店・〈PEOPLE BOOKSTORE〉と横浜発の雑誌『EL CINNAMONS』がタッグを組んだこのパーティの魅力を伝えるべく、店主植田とトニー李編集長による同級生放談(第2回)をお届けする。(李)


オン・ザ・ロード

 植田さんと初めて会ったのは2012年ですよね。
 8年前。もうそんなに経ちますか。
 横浜に白楽という面白い街があって、そこで定期的に行われている「ドッキリ闇市」というイベントに植田さんが遊びに来ていて。
 その日、打ち合わせと称して、白楽に呼び出されて。駅を降りたらすぐドッキリ闇市で。ビール片手に「うわー面白い!」って歩き回っていたら、李くんが出店していて、発売されたばかりの『STREETWISE』をその場で買ったという。
 だからふたりの出会いは「路上」、ビート文学だって言ってるんです(笑)。お店を始める前でしたよね?
 そうですね。その翌年に地元のつくばで良い場所が見つかって、「それじゃあ、何かお店でもやってみようか」ということで古本屋を始めました。それでお店をオープンするタイミングで「『STREETWISE』も置きたい!」と思って連絡したんですよね。
 それ以来、売り切れてもずっとオーダし続けてくれていて、本当に感謝しています。
 その後、しばらく音沙汰がない時期があって「李さん、どうしてるんだろう?」と思っていた頃に、EL CINNAMONSという名義でTシャツやセレクトCDを作り始めたことを知って、そこから再び注目するようになりました。

LOS CINNAMONS?

 そもそもEL CINNAMONSってどういうきっかけで始まったんですか?
 横浜にチャーリー宮毛という面白い人がいて。CRAZY KEN BANDの剣さんと10代の頃からの親友で、お互いに強い影響を与え合っている間柄なんですよ。そのチャーリーさんがブーガルーというラテン音楽に出会って、新たにバンドを始める時に“シナモンフィーリング(CINNAMON FEELING)”という感覚を打ち出すんです。
 ちょっと長いですが、「シナモンフィーリングとは」という文章を引用してみますね。これ、坪内祐三さんが定義した「ストリートワイズ」みたいで好きなんだよな。

「例えば、NYの下町に見る色使いの派手な手書きの看板、安ホテルのラウンジのコーヒーの味、三流デパートのエスカレーター付近のペンキの匂い、地下鉄のなかで聞こえるトリッキーなスパニッシュ・スラングなど。これら妖しくチープな空気を形成している諸要素と出会った瞬間に感じる異国的で、気の遠くなるような心地よさを指す。また、心地よさとは一見対極にあるトラブル感やアンラッキー感をも含みこむ」

 何のこっちゃって感じですよね(笑)。ただ、僕はこの“シナモン感覚”というものに一発で魅了されてしまって、それで2012年に作った『STREETWISE』という雑誌でチャーリーさんの特集を組んだんです。
 あの特集は濃かったですね!
 そうしたら今度、その特集を読んだという変な男が現れて。
 『EL CINNAMONS』で表紙イラストを描いているメンチカツ伊藤ですね。
 “シナモン感覚”に反応していた奴がもうひとりいたことにビックリしたんです。しかも同い年で。それからは3人で集まるようになって、何回目かの飲み会の翌日だったと思うんですが、チャーリーさんが3人で撮った写真をツイッターにアップしていて、そこに「EL CINNAMONS」と書いてあったんですよ。知らぬ間に(笑)。それが始まりですね。
 でも、本当は「LOS CINNAMONS」が正解なんですよね(笑)。
 そうなんです(笑)。後で気付いたんですが、「そのいい加減さも含めて自分たちらしい」と開き直って、そのままユニット名にしちゃいました。

ここから、すべてがはじまった(らしい)。(植田)

絶妙な“チンピラ感”

 そのユニット名がやがて雑誌名になったと。
 編集者の血が騒ぎまして(笑)。最初は同人誌という形で第1号を作り、2号目からは自分がシナモン感覚を共有できると思った人たちに声をかけさせてもらって、現在4号まで刊行しています。
 昨年末に発売された4号の感想をツイートしたら、すぐに反応してくれて嬉しかったんですが、EL CINNAMONSは誌面に「路地」を作るのがうまいですよね。整理されすぎていない、雑踏のような記事作りに毎号感心するなあ。あと、絶妙な“チンピラ感”が漂っているのが良い。個人的には、昨今増えている書店だったり、リトルプレスに足りてないのはそこだと思っていて。「いーじゃねえか! 誰に頼まれたわけじゃねーんだから!」って酒を煽る感じ(笑)。
 ワハハハ。確かに今もビールを煽っていますし。もう一杯行きましょうよ!
 家に帰るのが怖い(笑)。
 最近は3人で会う機会も減ってしまったんですが、雑誌の中でチャーリーさんとメンチカツはシナモン感覚をより深く追及していく方向に、僕は僕でシナモンを媒介に外に広がっていくような方向でそれぞれ動いています。まぁチャーリーさんの文章が載っていれば、それは紛れもないシナモン雑誌なので、そこはブレないようにしつつ、今後も続けていけたらなと。
 ちなみに次号の予定はあるんですか?
 頭の中では常に考えていますよ。というか、そればかり考えている(笑)。文芸誌でも音楽誌でもカルチャー誌でもない、そのあわいの領域というか、結構、可能性があると思っているんですよね。
 じゃあ、そろそろ出演者の紹介をしていきますか。


(PART3に続きます!)

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