2020/01/27

1/27 出張日誌


とにかく、何かを作るというのは大変なことだし、作品を見て勝手なことを言うひとは多いし、時間も、お金も、いろいろなものをムダにしたり、捨てたりしなければならない。全てを得ようとしても、うまくはいかない。(中略)それだけに、自分の知っているアーティストの作品を見たりして、素直にイイナーと思えると、あいつがあれだけやっているのなら、僕にしても、もっとガンバロウとほんの一瞬でも思うことが出来るし、負けたくないとも思う。
− 永井宏「ジェラール・ガルーストの奥さんの弟」(『マーキュリー・シティ』より)

出張先でみつけたのは、永井宏さんの『マーキュリー・シティ』。1988年に東京書籍から刊行された初版。一度、手に入れていたものを手放してしまったことを悔やんでいたので、この再会は本当に嬉しい(もちろん、かつて保持していたものではない、今回のは何とサイン入り!)。

一昨日から「仕立て屋のサーカス」の会場で本を売らせてもらっていて、つくば市の実店舗では知り合う機会が得づらい方々と話をすることが多い。のんびり人を待つのも楽しいけど、こうして出かけて(本と身体を動かして)、人に会うのも刺激的だ。店での営業が長距離走なら、出張販売は短距離走。みじかい時間で、多くの人と交感し、本を売る。ときに消耗ははげしいれど、この現場で得るものは大きい。

僕はそんなアーティストたちを仲間だと思っている。向こうはまったくそんなことは思っていないだろうけど、そんなひとたちが数多くいるから、僕は精神的に随分と助かっているのだ。

こう締めくくられる「ジェラール・ガルーストの奥さんの弟」に触れ、この四日間の出店現場について考える。毎度、懲りずに声をかけてくれて、本当に有り難い。ただし、そうであれば、一出店者であっても無自覚にその場の雰囲気に乗っかるだけではいけないだろう。自分は今、目の前にいるアーティストたちとどんな関係をつくれているのだろうか。

ぼんやりと内省しつつ、今日は三日目の出店。会場で会えたら、会いましょう。

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