夏葉社から届いたばかりの『ガケ書房の頃』。書き手は山下賢二さん。元ガケ書房の店主であり、いまは編集グループホホホ座の構成員である人だ。しかし、夏葉社の本に巻かれる帯はいつも見事だなと思う。思わず手にとりたくなる惹句が簡単な言葉でそこに置かれている。本書の場合には見ての通り「京都、本屋さん、青春」とある。そりゃあ、読みたくなるよねと思うのは自分だけじゃないだろう(『かわいい夫』の「寝る前に、一、二編」ってのも見事だった!)。
さて、肝心の内容に関しても簡単に触れておきたい。読後にのこった印象は「店を始めるには思い込みが必要で、店を続けるには、その思い込みから醒めなくてはいけない」。さらに続ければ「思い込みから醒めていくのは、けっこうつらいしはずかしい」ということ。これは、読む人みんなに共通する思いではない。ただ、自分なりに結実できた言葉である。なので、ボクのこの文章をあんまり意識せず読んでみてほしい。でもやっぱり店だったり何かしらの場所、自分なりの仕事を始めたい、見つけたいと思っている人に読んでみてもらえたらと思う。漠然としていてもいい。もし、これは他人には任せておけない! と思い込める何かがあるのなら、始めてみてもいいんじゃないかな。青春ってのは思いっきり恥ずかしいほうがいいのだから。
うちの店にしては多めに仕入れた『ガケ書房の頃』、おすすめします。1944円(税込)で売っています。
***
『ガケ書房の頃』
著者:山下賢二
写真:三島宏之
デザイン :櫻井久、中川あゆみ(櫻井事務所)
価格:1800円+税
版型:四六判並製
頁数:288頁
ISBN 978-4-904816-19-6 C0095
2004年、京都市左京区北白川にオープンし、
2015年2月に店を閉じるまで、ずっと、ガケ書房は、
どの本屋さんにも似ていない、オリジナルな本屋さんで
あり続けました。
そうした本屋さんは、どういうふうにして、出来上がったのか。
店主は、なにを考え、どのように試行錯誤したのか。
『ガケ書房の頃』は、その店主による、赤裸々な書店論であり、
エッセイ集です。
なにも持っていなかった若者が、90年代、ゼロ年代を、
ときに唐突に、ときに楽観的に、ときに歯を食いしばりながら、
駆け抜けた、時代の記録。
本屋さんの青春期。
0 件のコメント:
コメントを投稿