また、線があった。
また、線が引いてあった。
今回は感想も書いてある。「実に良い話」とか「落ちが良いですな」なんて。
なんとなく、好感の持てる字体とやわらかい口調で。消したくないなと思ってしまう。
そしてこの本、『川明かりの街』がすこぶる素晴らしい。
翻訳者としてのイメージのつよい、常磐新平さんによるエッセイ集。
ひとつひとつの話が短い。断定的な口調が少ない、ように感じるからなのか、読んでいてストレスがほとんどかからない。
そして淡々と冷静なようで、常磐さん自身が面白い。なんだか愛らしくもある。
40歳を過ぎてお酒を呑みはじめて、いまごろ失敗をしています。
そんな台詞はなかなか言えない。
「何を食べてもおいしい。何を飲んでも、まずいと思ったことがない。
ひとさまにいろいろと迷惑をかけているのに、これでいいのだろうかと申訳ない気がしている。」
これもいいなあ、と思う。
あたらしい『popeye』では夏の本として片岡義男さんの本をセレクトしていた。
それはとても素敵だしなんだかお洒落だ。まさしくシティ・ボーイという感じもする。
だったら「PEOPLE」では常磐新平さんの、この「街」エッセイシリーズをおすすめすることにする。
少しだけずっこけた、大人の小話。
これを持って、街に出よう。小脇に抱えるには小さいけれど、持ち歩くにはちょうど良い。
ふとしたときに、読みやすい。話も短く、心地が良い。
ヒマなあなたにおすすめします。
「そこに線があった」
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