クートラスの思い出
“時間”は素晴らしい芸術家だと言っていたので、古いものにはなんでも惹かれたが、
それ自体であんまり完成しているものを自分の近くに置くことは好きではなかった。
だからアトリエにあったのは、ほとんどガラクタだったが、ガラクタが構成されて作品のような顔をしていた。
部屋中、どこにでも、彼の視線を受け止めるようにリズムを取って一枚の絵の中の、色彩とかタッチみたいにオブジェが構成されていたから、
クートラスの部屋もアトリエも、それ自体が作品のようだった。
リトルモア刊の『クートラスの思い出』より、岸真理子・モリアさん。
これがいわゆる“センス”なんだよなあと一人うなった。クートラスの感性をもっと知りたい。
この人に、少しでも近づいてみたいと思っている。
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