2024/06/30

6/30 店日誌

6月30日、日曜日。開店前に〈つくば美術館〉で開催中の展示「あなたの灰の中の骨へ 骨の中の灰へ」を観てきた。作家は河津晃平さん。先週、展示のお知らせを店まで持ってきてくれたのと、〈gallery Y〉の細田さんから感想を聞いて行く気になった。うーん、すごい。展示として結実するまでの思考と構想、労力とがガッチリかみあっている。「総合展 写真/映像/空家/清掃/解体」という冠に偽りなし。自分は美術展での映像作品が苦手なのだが、今日の作品はながく、しっかり向き合えた。あいにく会期は今日15時まで……なのだが、間に合えばぜひ足を運んでほしい。

湿度があれど、そこまで暑くならなかった昨日は冷房をつけずに店にいた。入荷したてのNOOLIO『SIDE.C Classics』Vol.7を聴くのに絶好の環境。ミックスされたジャズ、ソウル、レゲエやダブがよくひびく。キーンと冷やした静かな室内で本を読むのも好きだけれど、こんな感じの古本屋ってのもいいんじゃないかな。

若い友人たちと話していると発見が多い。自分のものさしで計れるものなどそう多くない(と言うか、ほとんどない)。とか、当たり前のことを認識、ときに更新できるのは実にありがたい。しっかり話せる人がいるってのは貴重だな。

今日も書籍、音源に入荷あり! オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

2024/06/29

6/29 店日誌

6月29日、土曜日。朝のラジオはダブ特集。ダブの創始者のひとり、キング・タビーの残した音源を中心に、リー・ペリー、U・ロイ、オーガスタス・パブロ、ヤビー・Uなどを取り上げて、各人の楽曲、ヴァージョンをフル尺で聴かせてくれた。自分なりに本を紐解いたり、レコードを聴いてみたり、積み重ねてきた経験が整理されるような丁寧な構成。毎週当たり前に流しているが、この番組の存在の大きさを改めて感じた。オーガスタス・パブロ「ロード・ブロック」を爆音で聴いてみたい。

店番太郎くんが貸してくれた、SABU MARTINEZ/SAHIB SHIHAB『WINDS & SKINS』がすごい! サブーのパーカッションだけでもカッコいいのに、サヒブ・シハブがくりだすエレキ・フルートなどなどの楽器が組み合わさって、出自不明の謎音楽ができあがっている。1978年のスウェーデンでの録音音源が30年後の2008年になってリリースされたものらしい。うーん、聴くほどにスゲエ! 

急な雨、不快な湿度があいまってか、昨日はガラーンとしたまま閉店間際(誰もこなかった……)。大ピンチを前にして、あきらめかけたときに太郎くんが救援投手のような買い物をしてくれる。上に書いたCDとともに、彼に月間MVPを捧げたい。

今日明日、明後日は13時開店! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を!

『SIDE.C Classics』Vol.7

「Cruisin’ to #404 -インターネットでは見つからない/実在しない魅惑の空間-」へと誘います。 夏はもちろん季節を問わず「If I Had a Lowrider♪」の心持ちでクルーズのお供 に楽しんでいただけたら幸いです。

NOOLIO『SIDE.C Classics』vol.7が届きました。
お待たせしました! NOOLIOによるサマーミックス・シリーズの最新作が昨年より約3週間はやく到着。色気のあるピアノ・ジャズ~ラウンジ・ミュージックが誘う導入、中南米のムードを漂わせるドゥーワップ&女性ヴォーカルのはらむエキゾチックなタイム感。じわーっと染み込むような裏打ちで徐々にレゲエ度が高まってくる……なんて書いている今、聞いているのは中盤あたり。あえて冷房をつけずにモワッとした空気といっしょに味わうのも、いいんじゃないでしょうか。

販売価格は1320円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

2024/06/28

6/28 店日誌

6月28日、金曜日。一昨日の鹿島行き、その後の飲み(ながい雑談)とで体力の減退がいちじるしく、昨日の夕方過ぎには集中力がほぼゼロに。20時を待たずに閉店、帰宅後すぐ就寝、いつも以上にゆっくり寝たものの身体は重たい。梅雨らしい雨のせいか、湿度か気圧のせいなのか、ラジオ体操もままならない。無理せず、ローギアで動くこうと決めて、朝からゆっくり本を読む。リリースされたばかりのHAPPY『Ancient Moods Mahollova Mind』を聴いていて、なにかに似ていると感じるも、追求せずダラーっとする。

ひさしぶりに顔を出した柴田大輔さんと、幼少期の記憶が入った箱をゆさぶるような風景について話す。平成初期に建てられた住宅からなるニュータウン、それに付随して造られた小体なショッピングセンター。荒廃して忘れられつつある、かつての幸福像の残骸に自分たちは思いを捨てきれないでいる。

そのとき、ほぼ同じタイミングできてくれたのはスペクテイター編集部の青野さん。関心をもつ分野、文化に共通するところもあり、別口の話を聞かせてもらう。今月末刊行予定だった単行本は来月頭に刊行されるとのこと。

今日も通常営業。お出かけの際は、急な雨にお気をつけて。

2024/06/27

6/27 店日誌

6月27日、木曜日。昨日は店をやすんで〈鹿島サッカースタジアム〉に。つくば市内で待ち合わせて高速道路でビュンと走る。水田、利根川、とおくに海。平たい風景に目を奪われていると道が混んでくる。アントラーズのステッカーを貼った車が多く目に入る。スタジアム付近は鹿島サポーターがたくさん。ぶっとい声でチャントが響く。慌ててトイレを済ませていざ入場。この日はなんとビールが半額! 同行の新田と俺は2杯ずつ、両手にビールを持って指定の席に行くと、……いやあピッチが近い! 臨場感がすごい。試合前からテンションが上がる。

試合そのものは膠着したシブ〜い内容(上位同士が相手のつよみを消しあった好試合とも言える)。それでも充分楽しめた。生でみるJリーグは発見が多かった。鈴木優磨がズボンを捲りあげる瞬間を目撃できたのも嬉しい。生ビールは前後半で2杯ずつ、合計4杯。鹿島スタジアム名物のもつ煮込みは一口だけ。

そんなわけで、今日からまた通常営業! お暇があればご来店を!

2024/06/26

本日休業

6月26日(水)は休みます。

2024/06/25

『WISE GUYS』(CD-R)

SPRA『WISE GUYS』が届きました。
とびっきりワイルドなルードボーイ・チューン! たまたま一緒に聴いた知人がロックンロールと表現したのも納得。これまでになくふてぶてしく、ひらきなおったようなリリックがバシバシ響く。オレたちは音をとめない! アイツもオレもワイズ・ガイズ。ヒップホップ万歳。諸行無常の世を生き抜くヤツらに送る、ぶっとい1曲。150枚限定のCD-R。インスト、リミックスをふくむ全3曲。

販売価格は1100円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

6/25 店日誌

6月25日、火曜日。ものすごい湿度だった昨日よりいくぶんかマシな気がするけれど、今日もだいぶ蒸し暑い。溜まった缶を捨てたり、電気料金を支払ったりでスーパーやドラッグストアをまわったら汗びっしょり。いちど帰宅してシャワーを浴びてからの昼食、昼寝を経て、いまに至る。身体は重たい。気分も上げづらい。それでも、店に来なけりゃ、自分の仕事は成立しないのだ。6月末でこの暑さ、7月8月になったらどうなるのか……と心配にもなるが、どうにかやっていくしかない。

先に紹介した、倉地久美夫『OPEN TODAY』がとんでもない! 2024年のこの世界に、こんな作品が作られていることが驚きだ。万人に薦めようとは思わないが、本作に反応する人が少しでもいるならば、捨てたもんじゃない。

ユーロ、コパ・アメリカ、Jリーグとサッカー関係の情報が多すぎて、追いかけきれない。でも、動画をちょっとでも見てしまうと引きこまれて声が出る。アルバニア戦でのスペインのゴールキーパー、すごかったね。そんな話を誰かとしたい。

数ヶ月ぶりの火曜営業! 明日26日(水)は振替休業ですので、ご注意を。

『OPEN TODAY』(LP)

完全弾き語りだった前作から一転、倉地のもう一方の本領であるマルチ・ミュージシャンぶりが発揮された一人多重録音を積み重ねに積み重ねた異形の録音作品が完成しました。アートワークも含めて、これまで以上に日本の伝承や祝祭を感じさせる作風が倉地作品の新展開を感じさせる驚愕の作品に仕上がっています。

倉地久美夫『OPEN TODAY』が届きました。
ジム・オルーク録音、英国のレーベルからリリースされた『Sound of Turning Earth』以来5年ぶりとなるフル・アルバム。これが……ものすごい! ギターの音、声、歌詞、重ねられた楽器の音すべてが特別。どすーんと腹にこたえるサウンド。まずは黙って針を落として耳を傾ける。次は歌詞カードの文字を追ってみる。その次は重ねられた楽器の音が生む世界観に意識を向けてみる。なんて感じで、いかようにも聴ける全10曲。ポスト・ロック/パンク、フリージャズ、フォークまでを内包するこの深み! 圧倒的です。

販売価格は4180円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

2024/06/24

『缶チューハイとベビーカー』


育児の苦労や幸せを描いた文章は数多あれど、育児しながらどう飲むかを綴った文章はかつてなかった。子育ては常に切ない。


パリッコ『缶チューハイとベビーカー』が届きました。
界隈のパリッコファンのみなさま、お待たせしました。「育児エッセイだけは絶対書かない」と心にきめていたパリッコさんの育児&飲酒エッセイ! ぱらぱらとページをめくると「子どもと酔っぱらいは似ている」「ボーナス“酒”チャンス」「酒場ライターと子育て」「いつか娘と酒が飲みたいか?」「仕事が進まず、飲むしかない」なんて言葉が飛び込んできて、おもわず目移り。カッコつけず、身の丈のパリッコ節は相変わらずで読むのが嬉しい1冊です。

販売価格は1980円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

6/24 店日誌

6月24日、月曜日。午前中は〈シネプレックス つくば〉まで自転車でひとっ走り。10時20分上映のダニエル・ゴールドハーバー監督作品『ハウ・トゥ・ブロウ・アップ』を観た。約2時間があっという間。終盤での展開にはなかなか驚かされた。ハッピーでもバッドでもないエンディングを見届けて外に出るとピーカン! 陽光がまぶしい。湿度が高くてムワッとする。赤塚公園から洞峰公園、二宮公園を抜けて帰ってきた。開店時間に間に合ってよかった(汗ダラダラ)。

とりあえず今日も通常営業! 13時から19時まで開けてます。

6/23 店日誌

6月23日、日曜日。曇り空、雨が降ったからか湿度はそこまで高くない。思い立って、家から店まで歩いていく。途中の田んぼにはオタマジャクシがたくさん! 大きくなってきていて、カエルに近づきつつある。さきにある用水路の水位が高いとちょっと嬉しい(カラカラの用済みになった状態はけっこう寂しい)。そのまま歩いて筑波大学、図書館わきにあるスターバックスは賑わっていた。ジェラート? アイス? みたいなコーヒーを啜っている人もチラホラ。あれは、どういうときに欲するものなのだろう。

郵便局のATMでお金をおろして、歩を進めると〈古着屋may〉のホソヤさん、〈千年一日珈琲焙煎所〉のタツローくんが立ち話をしている。ひさびさに会うオオツボさんにも挨拶をして、店にきた。なんとなく、こういう時間が大事な気がする。

それにしても、昨日は手ごたえのない1日だった。店にいてアホらしくなり、外のベンチでビールを飲みはじめたところに、〈シリシリ器〉のニッタがくる。シリシリ器では今日14時からマサキくんのライブがあるらしい。入場無料。気になれば、ぜひ足を運んでほしい。

今日、明日は13時開店! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/06/22

6/22 営業中

(土曜日の午後、古本屋には誰もこない)

–コンチワー!
おお、ひさしぶり。今日はひとりなの?
–ココロはテスト期間中で外に出れないらしいっす。
そっか、高校生も大変だね。
–オレは余裕っすけどね。全然勉強してないっす。
ふーん。でも、赤点とか多いとめんどうだよね。
–そんなことより、このTシャツ! メルカリで安くみつけたっス。
銀杏ボーイズだ。
–つい買っちゃいました。あと、レコードもたくさん。
いいじゃん。バイトした金はじゃんじゃん使った方がいいよ。
–オレは本も買いますよ!
ちょうど見せたい本があるんだよ。えーと、これこれ。
–オザケンだ! 若い! ココロにも見せたいなー。買います。
偉いなあ。これはキミに買ってもらえて嬉しいよ。
–あ、でも金が足りない……あと50円ないっす。
じゃあいいよ。50円引き。
–ありがとうございます! あとステッカーもください!
はいはい、いくらでも。誰かにあげてもいいよ。
–にしても人、来ないっスね。
なんかなあ、今日は全然ダメだな。キミが最初の客だよ。
–金貯めて、また来ますよ! ココロも連れて。
まあ、無理なくね。いつも買い物してくれてありがたいよ。
–あ、そろそろバイトに行かないと! また!
はいよー! またね。

(外の通りからバイクの音がブーンときこえる)

6/22 店日誌

6月22日、土曜日。けっこう久しぶりで〈Cox/Shingoster LIVING〉に顔をだす。来週予定している鹿島スタジアムでの試合観戦のこと、身近な友人の動向(大したことじゃない)などを散々話したあとで、お店が来月で20周年だと聞かされる。それに合わせたわけでなく、特別な催事などが決まっているらしく、そりゃあ凄い! と驚く。いま、ここで書けることは多くないけど、たぶんそう遠からずになんらかのお知らせがされると思う。ちなみに、同店ギャラリーでは「よつめ染布舎 ネオ型染展」を開催中。

店に戻ってきて、開店直後の〈古着屋may〉に。数日前から目をつけていたTシャツが残っていたので、買うことにする。フロントは胸にワンポイント、大きめのバックプリント。昨今流行りのタイプの原型のようなノベルティTシャツ。デザイン、サイズが好みなのはもちろんだけど、物としての魅力に参ってしまった。

坪内祐三『日記から 50人、50の「その時」』といった新刊をはじめ、古本にも日々入荷がある。オンライン・ストア〈平凡〉に並べているのは、そのごくごく一部。店にはそれ以上の量がどーんとあるので、気になる方はぜひご来店を。

今日明日、明後日は13時開店。週明け25日(火)は営業、26日(水)は臨時休業。

2024/06/21

『日記から 50人、50の「その時」』

五十回の連載で、登場させる人物を毎回変えて行く。そして、その原稿の載る紙面の日附の前後数日(できれば当日)の日記を紹介する。(…)例えば永井荷風や古川ロッパのように膨大な量の日記を書き残している人も一回しか登場出来ない。そのタイミングを選ぶのが腕の見せ所だ。

坪内祐三『日記から 50人、50の「その時」』が届きました。
個人的に届くのをとても楽しみにしていた一冊! 毎日新聞で2005年4月から2006年4月まで続いた連載が約20年の時を経て書籍化。夏目漱石にはじまり、三島由紀夫、山田風太郎、浮谷東次郎、武田百合子、植草甚一、古川ロッパ、永井荷風……等々50人が記した日記をもとに綴られた時代と文化、個人のあり方。帯の惹句「これぞ、坪内祐三だ!」にたがわない、シブくも軽みのある日記の文化誌になっています。

販売価格は1980円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

6/21 店日誌

6月21日、金曜日。奈良にある喫茶店に本を送るべく台車をおして郵便局へ。10分弱の距離とはいえ、ぐいぐい歩くと汗をかく。9時ちょうどに手続きを済ませて、なじみの局員さんに段ボール1箱分の本をあずける。帰りにローソンに寄って支払いをひとつ。レジには長いこと書店で働いていた顔見知りの方がいる。先々週くらいから働きはじめたらしく、胸には名札と研修中の文字。今どきのコンビニで働くのは大変だろうけど、慣れて、続けてくれたらいい。こんなに近距離で顔を合わすようになるとは思わなかった。

道の先には犬の散歩お母さん。数ヶ月前に息子さんと道端で会ったときに、進路がどうなるか決まる直前でドキドキだと話していたの思い出して聞いてみる。なんと、北海道に行ったらしい。店を始めたころは小さな小学生だったのに、今や立派な大学生。そりゃ、オレも年をとるよなあ。

店に戻って書類をととのえ、ATMに支払いにいく。道中には顔馴染みのYさん。暑い、暑いと言いいつつ挨拶。昨日の朝から午前中、用事を済ませる小1時間で幾人かの人と会い、声を交わした。同じ場所にながくいるとこういう風になるのだろうか。カッコつけずにやり取りできるのが、すごく嬉しい。

あいにくの本降り(梅雨入り発表も……)。お出かけの際はお気をつけて。

2024/06/20

6/20 店日誌

6月20日、木曜日。キリンが出している、夏限定のスプリング・バリー・サマークラフトが美味い。なんでも「本商品は、これまでの画一的な夏のビールとは一味違う、香りと味わいを堪能する、クラフトビールならではの夏の新しい楽しみ方を提案します」(公式ページ)とのこと。自分は特段クラフトビールが好きなわけではないのだが、この爽やかさはクセになる。現時点で飲んだのは3缶程度。まだ新鮮さがあるからなのか、口するたびちょっと驚く。

そういえば、冴えない個人雑誌として紹介している『MON』01にも缶ビール飲み比べの記事がある。それをみた原島宙芳さんが「のごどし生はひでー」と言って、あれじゃアルコールなんとか水だよねと話していたのが面白かった。

オンライン・ストア〈平凡〉の見ごたえが増している。平凡店主の「縄文の石ころ展」に気がつく人もちょろちょろといて、メッセージをくれる人もいる。不自然な盛り上がりは求めていないが、じわじわ温度を上げていきたい。

今日も書籍、音源に入荷あり! お暇があればご来店を。

2024/06/19

6/19 店日誌

6月19日、水曜日。昨日の雑記に書いたことで終日モヤモヤ、オオヤミノル『喫茶店のディスクール』を再読してみたり、言い訳めいた文言を足してみるかと考えてもみたが、そのまま残しておくことにした。八つ当たりして、人を嫌な気分にしてどうする。みっともないし意味もない。誰にも何もいいことがない。恥ずかしいが、消さずに残す。

けっきょく、店を放ることのできない人。大胆に動いて、出来事に関わる人。どちらが面白そうに見えるかと言えば、答えるまでもない。何度考えてみてもいつも同じ結論である。自分は黙って店を開けるのみ。

今日明日、明後日は15時開店。本の買取依頼は常時歓迎、お問い合わせはお気軽に。

2024/06/18

6/18 雑記

どうしても行きたい場所、展示があって臨時休業。ならば、定休日などはじめから無くてもいいんじゃないかと考えてしまうのは、自分の頭が硬いのか。店の営業情報はインスタグラムのストーリーズかポストでご確認を! といったところで、それを見られない人はどうすりゃいいのか。高性能端末が行きわたった社会であるから、まあ仕方ない。でもやっぱり店は孤塁を守ってほしいと思う。

他者の意思表示、都度の行動に良い悪いと言える立場でないし、いまここで書いているのも単なる印象でしかない。楽しい! 良かった! 感動した! って方々に出かけて言えるのが、ただただ羨ましくて僻んでいるだけとも言える。それでもなあ……いいね! とかだったりする安易な同調で世論が形成されていく雰囲気、どうにも馴染みきれないのだ。楽しそうだが、どうも違う。うーん賛同できない。そんな感覚をポイと捨て切ることもできないまま今に至る。

さいわいにも今日は雨。遠くには出かけず、本を読んで、レコードを聴くことにする。

2024/06/17

6/17 店日誌

6月17日、月曜日。二日酔いで重たい身体をひきずるように歩いて、カスミに缶を捨てにいく。蒸し暑い。食欲がない。長ズボンも靴下も履く気にならない。ああ、それにしても昨夜はよく飲んだ。変なこと言っちゃったかな……と反省気味で歩いていたらひらめいた。そうだ、サクレを食べよう。今日最初にお腹に入れるのは、あれしかない。その足で買って帰って頭をキーンとさせながらひといきに食べる。グレープフルーツジュースも一気飲み。勢いのまま、床にゴローンとなって昼寝をした。

今日も通常営業。お暇があれば、お出かけください。

2024/06/16

6/16 店日誌

6月16日、日曜日。ビールの空き缶を捨てに近所のカスミまで歩いていく。途中の大きな公園の手前、田んぼと畑が向かい合うあたりをキジの親子もトコトコ歩く。親と思われる大きな方には色がついてない。よく目にするのは身体が緑で頭に赤の鶏冠のようなものが付いている。どちらが雌で、雄なのだろうか。店に戻ってラジオをつけると「子ども化学電話相談」のまっ最中。動物担当の先生は明日が誕生日らしく、子どもから祝福されていた。いいやり取りが聞けて、気分がいい。

今日も書籍、音源に入荷あり。オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

2024/06/15

『Double Happiness』(TAPE)

asuka ando『Double Happiness』が届きました。
ひと足先に届いたアナログ盤も好評(待っていてくれた方々、ありがとう)! asuka andoの6年ぶりの新作のカセットテープも到着。レコード、サブスクと異なる耳心地、これもまたいい味わい。なにより嬉しいのが「わたしが眠っている間に」、「Romantic Rhodes Dream」が追加収録されていること! 特に後者は金子巧(cro–magnon)のローズ・プレイがマジで素晴らしすぎる極上ヴァージョン。こんなにも甘くて柔らかいラヴァーズ・ロックにはそうそう出会えない、はず。

販売価格は3080円(税込)。こちらは少数入荷のため、店頭販売のみ。

『NATURE GUIDE』




子供時代に空想していたような SF の世界が繰り広がる。未来と廃墟が混在する実験場を探索した10年の記録。自然や風景について考えた、その道程を示すガイドブック。

高田洋三『NATURE GUIDE』が届きました。
写真家・高田洋三によるアリゾナにある実験施設〈バイオスフィア2〉(バイオスフィア1は地球そのもの、とのこと)内の風景をおさめた写真集。施設がつくられたのは90年代、莫大な富をもつ幾人かの個人によってはじめられた「閉鎖環境下にエコシステムを構築する実験」は今、現在も進行中ではあれ、施設内には朽ち始める部分あり、植物の成長を制圧しきれないような状況もあり、見どころの多い128ページ。ブックデザインは関川航平。

販売価格は3850円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

6/15 店日誌

6月15日、土曜日。道端でよく会うモドキプロと話していて、気がついた。「しかし暑いな」「っスね」「梅雨入りはまだまだ先らしいぞ」「っスね」「どうなってんだろ」「でも、梅雨きてほしいんスか?」「……うーん。いや、きてほしくないな」「っスよね」。たしかに、オレは梅雨を心待ちにはしていない。ムシムシして不快な上に、ゲリラ豪雨に見舞われることもある。店にいても雑誌の表紙がめくりあがってきて、イヤになる。雨が続くと、お客さんもこなくなる。

でもなあ、いきなり猛暑になられても心の準備ができていないし、身体はキツいし。庭の草刈りも追いつかないし(水不足も心配だ)。6月から9月はながーい夏。初夏(短)から盛夏(長)、晩夏(短)と捉えておくのがいいのだろうか。

スーパーやドラッグストアで目に入るビールの6缶パックがとつぜん、輝いてみえてくるのは気温の上昇ゆえか。古着屋、古本屋など業種をとわずビールを常備している店が多いのは、近隣の店々の特徴と言えると思う。天久保一丁目〈gallery Y〉で開催中の展示会期は今日までに延長になったらしい(ここにはビールはありません)。

今日、明日は13時開店! 暑いですが、ご都合つけばご来店ください。

2024/06/14

『ジット・プミサク + 中屋幸吉 詩選』

ふたりの詩をおもしろいと思い身近に感じているのに、理解できているのかどうかはよくわからない。言葉は通じにくいものだということを何度も経験していれば、理解できていないことはまったく不思議ではなく、むしろ当たり前だと思える。でもふたりには強い友情を感じる。なぜだかよくわからない。謎は深くなっていくばかりだ。(八巻美恵)

八巻美恵・編『ジット・プミサク + 中屋幸吉 詩選』が届きました。
“叢書 群島詩人の十字路”と題されたシリーズのうちの一冊で、2012年刊行版のデッドストック。1966年に亡くなったふたりの詩人──タイに生まれたジット・プミサクと沖縄出身の中屋幸吉──の詩を読み、編み込んだのは「水牛通信」の中心にいた八巻美恵。確かな言葉の伝わる詩作を5篇ずつ、日記などの短いテキストで構成された約115ページ。簡素なしつらえが内容に響き合っていて、格好いいです。

販売価格は1100円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

6/14 店日誌

6月14日、金曜日。開店の15時から17時半過ぎまで、だーーーれもこない(コーヒーを持ってきた隣の店長、郵便配達の方だけ)。と、そこからasuka ando『Double Happiness』を買いにきたIさん、わりに前からの顔馴染みの人が同時に来店。たくさん買ってくれたIさんの会計を済ませて、その次の方も送り出すと、間をおかずに3人組の若者、カップルと思わしき2人組と次々に入店。読んでいた本から顔を上げたとき、声が出そうになった。ギュウギュウじゃねえか! そんなときにかぎって誰もがよく店をみてくれる。

普段あんまり動かない新譜CD、幅広いジャンルから選ばれた古本数冊、安価な文庫本などが売れていく。急な展開にあわてつつ、お客さんたちとちらほら話してステッカーやチラシも渡す。気が向いたら、またきてください。そんな気持ちが伝わればいい。

筑波大の卒業生、佐藤さんがつくった雑誌『MON』01が好評で、品切れ間近。当店の取材記事が掲載された『sb』2-42号を手にとる人が多いのも、嬉しい。古本も日々出しているのでご注目を。

今日も通常営業! 明日、明後日は13時から20時までの営業です。

6/13 店日誌

6月13日、木曜日。オンライン・ストア〈平凡〉の一角を借りて書いている、「ピープル店主の読書日記」が250回をこえたらしい。いい加減な日記なので実際に読んだ冊数はもっとずっと少ない。とは言え、これまでまともに読書記録をつけてこなかったので、自分にとっては貴重なもの。せっかくだし2024年上半期の3冊、なんて記事にしてみようかなあとぼんやり考えているけれど、実際やるかどうかは分からない。

当店は古本7割、新刊と音源、その他もろもろ3割で構成された雑多な書店。インスタグラムにそう書いてみたけれど、実際の割合はどんなものか。古本がごちゃごちゃっとあるのは間違いない。

今日も書籍、音源に入荷あり! 些細なことでもお問い合わせはお気軽に。

2024/06/12

6/12 店日誌

6月12日、水曜日。先週の日誌で書いた木材店の作業場、実際に台風で屋根が飛ばされてしまっていたらしい。顔をあわせたKさん(木材店の若旦那)に小屋無くなっちゃいましたねーと話すと、いやさあ、こないだの風で屋根がぶっ飛んでさ! 隣の新築を傷づけることはなかったからいいけど、もういいだろうって壊したんだよ。危ないしさ。ああ、なるほど。それだったら仕方ない。けど、ちょっとだけ寂しいですと伝えた。とある区画の、ボロ小屋の話である。

発売を楽しみにしていた、安田謙一『神戸、書いてどうなるのか』の文庫を買って、外に出る。ちょうど授業の合間だったのかキャンパス内は学生さんでいっぱいだ。自転車で移動する人、歩く人。それぞれのペースで動くから、移動には気をつかう。ソロソロと慎重に通り抜けた。

当店、PEOPLE BOOKSTOREは筑波大学の目の前、というか、敷地の一部みたいな立地だから大学内の施設をよく利用する。郵便局の方々とは顔馴染みの感があって、書籍部ではよく本を買う。スターバックスにはほとんど行かない。

今日明日、明後日は15時開店。お暇があれば、お出かけください。

2024/06/11

6/11 雑記

惰眠を貪る。こう書くと大袈裟な感じがするのだけど、今日は午前中からずっとむさぼるように眠ってる。ぐーぐーかすーすーか、すぴーっとかはわからないけど、気がつけば寝ている。レコードを聴く。本を読む。ビールを飲む。いずれかをしているうちに眠ってしまう。半袖短パンで寝っ転がると、身体のすぐそばを風が通って気持ちがいい。音楽はロックステディ~ラヴァーズ・ロックかハワイアン。こちとら週1回の定休日、好きなように過ごして何がわるい。

ああ、それにしても気持ちがいい。今も寝たままアイパッドの画面を叩いている。

『Double Happiness』(LP)

スウィート&ラヴリー全開な2ndを経てたどり着いた本作は、年齢を重ね、経験を重ね、酸いも甘いも嚼み分けたがゆえの成熟した愛の表現をものにして、「重ねることで生まれる喜び」(囍=DOUBLE HAPPINESS)を歌い綴った堂々たる仕上がり。

asuka ando『Double Happiness』が届きました。
ラヴァーズ・ロック・シンガーの6年ぶりの3作目はやわらかく、人肌ごこちのぬくもりにつつまれた全9曲(サブスクリプション・カセットテープは全10曲)。モワモワとした甘い煙がただようような音像、ピンクとヴァイオレットが滲みながら溶けあったアートワークの相性はバッチリ。今井美樹「雨にキッスの花束を」をカバーするセンスにもニヤリ。夜に羽ばたく蝶を思わせる優雅さもたたえるレコードです。

販売価格は3960円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

2024/06/10

『COUPS DE FEU ET BOMBES』(CD-R)

BIRDSTRIKE『COUPS DE FEU ET BOMBES』が届きました。
TactSatoを通して知り合った友人、スガちゃんのつくった8曲入りのCD-R。これが……とても美しい。ピアノの旋律、風の音と電子音、ときおり現れるギターなどの生楽器を組み合わせて構成した詩情にみちたインストゥルメンタル。8曲目「PAS UNE VIDEO」の前の無音の空白が効いている。余韻をのこさず閉じられる29分40秒。

販売価格は500円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

6/10 店日誌

6月10日、月曜日。当店をはじめ〈千年一日珈琲焙煎所 CAFE〉や〈古着屋may〉があるのは天久保3丁目。〈Club OctBaSS/Bar DISCOS〉と〈wear crab〉、〈鯨食堂〉がくっつきながら共存していて、名店〈大成軒〉もあるのが1丁目(ここには〈gallery Y〉もある!)。大通り沿いに店が多いつくば市にあってこの環境はかなり貴重だ。自転車があれば余裕で、ちょっとがんばれば徒歩でも行き来できる距離に飲食店や写真館、ギャラリーなどが点在している(もちろん、他にもまだまだ店がある)。

昨夜、閉店してから何人かの友人と連れ立って、天久保をめぐった。途中でコンビニに寄ったり、ちょっとしたスペースで立ち飲みしたり。観光地にでかけていくのも悪くないけど、近場でいい時間を過ごせるのがいちばんだ。

今日も通常営業。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/06/09

6/9 店日誌

6月9日、日曜日。東京駅から東海道線に乗って30分ちょい。横浜は意外に遠くない。横浜駅で京急線に乗り換えて日ノ出町で下車、友人がいとなむカレー屋〈ムムムカリー〉を探して歩く。わりにすぐに見つかって、また道をゆく。ストリップ劇場前の行列を横目に歩いていくと中央図書館にぶつかる。そこから野毛坂をちょっとくだったところに古本屋をみつける(11時前なのに開いてて、嬉しい)。値付けは厳しめ、でも文学書を中心にいい本が揃ってる。しっかり棚をみて、一冊購入。

開店時間ちょっと前にムムムに戻ると、なんと行列。4~5人目について開店を待つ。店内から音楽がいい感じに響いてきて、心がはずむ。いざ開くと、目の前のカウンターにはヨウヘイくん! 久しぶり。挨拶をしてヨロッコビールの生と二種盛りカレー。しっかり辛くて汗が吹き出す。ぱぱっと食べて、町に出るとすぐそばに古本屋。変わった店だけど、いい本がある。数冊買って、また歩く。

伊勢佐木町、関内にはベイスターズのユニフォームを着た人が目立つ。好天ゆえかあちこちに人が多い。馬車道沿いにあるディスクユニオン、古本屋に立ち寄って、横浜トリエンナーレの会場に到着。点在する展示をいくつかめぐる。感想は……うーん、気持ちは分かる! 展示として面白いとは思わなかったけど、そうだよね〜と何度もうなずく。

横浜美術館の前で〈古着屋may〉のホソヤさんと合流。野毛に戻ってのみはじめる。気がつけば夕方、まあまあ酔って大目的のVivian Sui Methodのライブを観にいく。人がすごい! そして、みんなマジメである。ガサゴソ、ガリガリ、ガーゴーと音を出しながら刷られる版画を黙ってみている。その光景が妙におかしく笑ってしまった。催しとしては成功だったように思えるが、どうだったのだろう。

ヘロヘロになりながら、電車を乗り継ぎ、つくば駅に戻ってきたのは22時すぎ。ホソヤ家の車に乗せてもらって、どうにか帰宅。昨日はなが〜い1日だった。

今日も通常営業! 本の買取り、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2024/06/08

6/8 店日誌

6月8日、土曜日。友人の梅井くんが益子で〈露草〉という店をはじめる。野の草、花木を採集して販売するらしい。どういう形態で、どんな意思を持って行われるのか、現時点ではよく分からない。店に行っても、分からないかもしれない。とにかく、彼が店をはじめるのが喜ばしい。なんたって梅井くんは当店最初のお客さんなのだ。手さぐりの時期がつづいても、どうにか踏ん張ってほしい(なんて書くのも余計なお世話だな……)。

今日は店番太郎くんが開けてくれます。お暇があれば、ご来店を。

2024/06/07

6/7 店日誌

6月7日、金曜日。ニルヴァーナ『ネヴァーマインド』を聴いている。一聴して、涸れてるなーと思った。部分的にヘヴィではあるけれど、全体に湿り気がない。猥雑で暴力的な音楽という印象がくつがえされた。繰り返し再生するのが嫌じゃない、けっこう整ったアルバムなのである。音像というか、端々の音の鳴り方がその後に与えた影響を感じさせる。好きな曲は「Lithium」と「Drain You」、「Something In The Way」。

14時すぎに急に電気が落ちる。入居するビルはもちろん、近隣の店舗群もまっくら、信号機も止まってしまう。近所の印刷屋さんやローソンの店員さんと情報交換。〈古着屋may〉や〈千年一日珈琲焙煎所〉まで歩いていって、いやー困ったねー(ちょっと楽しい)とか話してるうちパッと電気がついて元に戻った。

今日も書籍、音源に入荷あり! 明日8日(土)は店番太郎くんが開けてくれます。

2024/06/06

6/6 店日誌

6月6日、木曜日。住まいに近い材木所の作業場が解体されていた。ありあわせの具材で組み上げられていて、台風が直撃すれば吹っ飛びかねないつくりなのだが妙な味わいがあり、眺めて飽きない。できればもっと近くで見たい! とか写真を撮りたいなーと思うことあったのだが、強面にみえるオジサンがいて、声をかけられなかった。あの場所もまた宅地になるのだろうか。近所がどんどん殺風景になっていく。

クラッシュのセカンド『GIve ‘Em Enough Rope』を聴いている。音がぶっとい。ハードロック的と評されるのも納得の音像。ドタドタ走る馬のようでヤボったい。ここから『ロンドン・コーリング』に繋がっていくのも納得できる。

入荷以来、大好評! HAPPFAT『WRAPP』(CD-R)が再入荷。梅雨から初夏にぴったりのインスト・ミックス。近所の〈古着屋may〉でよく流してくれていて、そこからお客さんが流れてくるのがとても嬉しい。

今日明日は15時開店! オンライン・ストア〈平凡〉にも入荷あり。

2024/06/05

6/5 店日誌

6月5日、水曜日。新刊書店で購入した吉行淳之介『吉行淳之介 掌編全集』(中公文庫)を読みだしたら、止められない。奇妙な味わい、思いがけない結末、溶解する夢と現実……という惹句のついた帯がまかれた表紙をめくると「肥った客」がしずかにはじまる。小さな酒場である。と書き出される9ページの短い話の終わり方に驚く。次々に出てくる話は夢のようだったり、妙に世俗的だったり、色合いはさまざま。小さなドアで出入りするように、語り部となる男女が入れ替わる。ついさっき、36個目の「百の唇」を読み終えた。

自主制作の冊子や雑誌、音源などが届く。開封して中身を確認。本であればページをめくり、音源であればケースを開けてディスクを取り出す。読むか聞くかして内容をキャッチする。ピンときた箇所、浮かんだ言葉を組み合わせて紹介文をしたてあげる。先週はこの作業を繰り返すうちあっという間に時間が過ぎた。

今週、8日(土)は店番太郎くんの担当日。いつもよりちょっとだけ短く、13時から19時までの営業予定。それ以外の日は通常営業。ご都合に合わせて、覗きにきてほしい。

今日も書籍、音源に入荷あり! オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

2024/06/04

6/4 雑記

午前10時の映画祭でヴィム・ヴェンダース監督作品『パリ・テキサス』を観た。キャップに髭もじゃの男が砂漠を彷徨して、音楽はライ・クーダー。漠然としたイメージだけを手がかりに劇場に。前より真ん中に席を取る。客数少なめ、年齢層はやや高め。

本編がはじまってすぐイメージ通りの画があらわれる。音楽が不穏に響く。クレジットのフォント、サイズがバッチリだなーと感心する。かなり序盤の弟が兄を迎えにいくために乗る飛行機内のシーンがいい。『ベルリン 天使の詩』でも刑事コロンボ(ピーター・フォークって人らしい)が乗る機内の雰囲気が好きだった。窮屈で、浮き足立った感じがして。

主人公トラビスの顔が好きだ。アップになると見惚れるような造形。弟の家に戻ってからの不思議な存在感、夜中に皿を洗ったり子供のハンターを学校まで迎えにいくギクシャクした動きに笑う。ハンターは終始勘がいい。身勝手な親をもつと器量がよくなるものなのか……と考えてしまった。それにしても、弟夫婦は不憫だなあ。

アート・ディレクターとして記名されていたケイト・アルトマン(KATE ARTMAN)がどんな人なのか、気になっている。

2024/06/03

6/3 店日誌

6月3日、月曜日。布団から出て、ラジオ体操。あたーらしい朝がきた……と歌がはじまったところで携帯電話が異音を発する。カタカナにも置き換えようのない嫌な音。ジシンデス、ジシンデスと声が聞こえてくる。震源はまたしても富山湾、能登や富山に住む友人たちはさぞ怖かろうと思うも、なにもできない。しばらくラジオのニュースに耳を傾け、大きな事故は起きていなそうだと察して、レコードに針を落とした。フランク・アンド・ヒズ・シスターズ。なんとなくのんきな音楽が聴きたかった。

自分が取材された記事が載った『sb』42-2号、DJ PATSAT『PATSATSHIT』といった新刊をはじめ、古本や音源もよく動いた週末。いろんな人がきてくれた。久しぶりに顔をだす知人も幾人か。6月の滑りだしは、まあ好調か。

8日(土)は久しぶりに店番太郎くんに店番を任せて、横浜トリエンナーレにVivian Sui Methodのライブを観に行く。3箇所で開催されている美術展を見つつ、ちょこちょこ酒がのめたらいい。日ノ出町のカレー店、馬車道のディスクユニオンにも行きたい。何はともあれ、天気がよければいい。

今日は通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/06/02

『MON』01

普通、雑誌って絵を描いている人にインタビューするじゃないですか。その道で成功している人に。でも実際は、チャレンジしようとしている人や、成功していない人の方が多い。多いくせに、そういう人の話って聞けないじゃないですか。(「おしゃべり with アニーさん」) 

『MON』01が届きました。
数年前まで筑波大に通っていて、バンドをやったりマンガを描いたりしていたSさんが去年だったかに雑誌をつくろうと思っていると話してくれて、プロト版を見せてくれた。へえ、頑張ってるじゃん。でも寄稿者の紹介はした方がいいよ。なんて話して、じゃあっと送り出したまま数ヶ月。その雑誌が完成したようで、店まで持ってきてくれた。誌名は『MON』。特集はなし(考えていなかったらしい……)。

全体に冴えない雰囲気が漂っていて、面白い。今だったらもっと上手く、整理された雑誌をつくる人はいくらでもいるだろうけど、この味は出せない。ぱらっとめくって気になったのは「実録・シルクスクリーン大失敗の記録」と「クマイルス・ライブレポ」、「おしゃべり with アニーさん」を読んでみたら面白かった。

販売価格は1000円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

『あれ』vol.2

何一つ頼まれていないのに、五十二年後に二号を発行したわけだが、今号の特集は『あれ』創刊号。私が皆さんに読んで頂きたい創刊号の一部を抜粋した。

不定期刊行雑誌『あれ』vol.2が届きました。
栃木県足利市を拠点に『轟音 紙版』を刊行する編集者、牧田幸恵さんが昭和47年に刊行された同人誌『あれ』の意思を継ぎ、52年ぶりに2号を制作! ガリバン印刷で発行されていた『あれ』創刊号をダイジェスト、いくつかの記事を転載しています。刊行人である沙原歩さんも参加した裏面の随筆欄もなかなかの読み応え。なんじゃこれ? と済ませばそれまで。興味を持ってひもとけば、なるほどと膝を打つ言葉を見つけられるかも。

販売価格は200円(税込)。通販希望の方はメールでお問い合わせください。

6/2 店日誌

6月2日、日曜日。買い物に出たついでに今日もCDを1枚購入。温度が上がってくる時期にパーっと鳴らして気持ちのいいジャズがほしかった。ジョージ・シアリング・オリジナル・クインテットの録音作がその欲求を満たしてくれるか、どうか。封すら開けてない状態なのだが、たぶん大丈夫だろうと思っている。朝にちらっと顔を出した隣のカフェでは、ゆらゆら帝国が流れていた。

新刊の仕入れをしぼってはいても、信頼する個人のつくるものであれば喜んで買い取る。DJ PATSAT『PATSATSHIT』をはじめ、まだ紹介できていない小さな雑誌がふたつ届いた(どちらも直納品)。

今日明日は13時開店! お暇があれば、ご来店を。

2024/06/01

『PATSATSHIT』

DJ PATSAT『PATSATSHIT』が届きました。
大阪市東淀川区淡路でサイクルショップ〈タラウマラ〉をいとなむ土井政司さんと瓜二つの赤の他人、DJ PATSAT。彼がかつてものした『DJ PSTSATの日記』は日記本ブームによって雨後の筍のように編まれたものとは全く異なる雰囲気があった。しばらくの沈黙を経て、2024年の今ふたたび自著を編むとの知らせが入る。そりゃ当然、うちの店でも扱わせてもらいます。しっかり、ビッチリ仕入れさせてもらいます。

冒頭に置かれた「はじめに」にグッときて言葉が出ない。その後につづく「日付のない日記」はときに声をだして笑いそうになるユーモアがある(マジな話、めちゃくちゃ面白い!)。「対話編」と題された章は小野裕介、小幡玲央、蟹の親子、日常炒飯事との対話で構成。これらは今から読みます。

販売価格は1650円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。

6/1 店日誌

6月1日、土曜日。ここ数日耽読している『中原昌也作業日誌 2004−2007』の影響か、思いっきり買い物をしたくなり近所のリユース店でCDを一気に8枚購入。サブスク時代にあってなんの珍しさのないものばかり(ニルヴァーナ『ネヴァーマインド』とか)。でも、じっくり耳を傾けてこなかったものはやっぱり現物が欲しい。ケースから取り出したディスクを入れて、再生する。いい! と思ったり、うーんと黙ってしまったり、色々だけれど、それを含めて楽しいのである。

たった今、近所の〈古着屋may〉で短パンを買ってきた。カラー、サイズともにバッチリ。コンビニにビールを買いにいくような気分で服が買える。散歩がてら店を覗けるっていうこの環境がなにより嬉しい。

さあ6月! 梅雨入り前のいい天気、お暇があればお出かけを。